~一緒に感動を引き起こしたい~
2018年12月。
私は初めてボルクバレット北九州の試合でアウェーの地を訪れた。
その地は横浜。
そう、Y.S.C.C.横浜のホーム平沼記念体育館である。
サッカー(主にギラヴァンツ北九州)の試合で全国津々浦々に遠征してきた経験はあるが、フットサルの試合でのアウェーは初めて。そんな私にとって、平沼記念体育館の場所は非常に馴染みのあるニッパツ三沢競技場のすぐそば。
好きな街・横浜に行けるという楽しみも相まって、家を出る時から既に気分は高まっていたのだが、アリーナに到着してからは更にテンションが上がったのだった。
首都圏のチームとの差
アリーナ入口前には選手達のぼり旗が並び、中に入ってからはクリスマス仕様のサンタコスプレで、各々ポーズを決めた選手達のポスターがズラリと貼られている。
販売されているグルメもオリジナリティがあるし、チアや音楽、DJに至るまで、演出の華やかさにも驚かされた。
まるでBリーグのアリーナのようだ。
そこにサッカーでも馴染みのあるY.S.C.C.横浜のエンブレムの弾幕に気合の入った応援団。もうひとつ私が驚いたのは、取材するメディアの数の多さ。今季スタートした同じカテゴリー(F2)なのに、東京周辺のチームはここまで違うのか。
F1の世界から見れば当たり前の風景なのかもしれないが、正直この日は試合の内容より、それ以外の部分に受けた衝撃の方が大きかった。
全国ネットのテレビ番組でも取り上げられる程、ユニークな取り組みで知られるY.S.C.C.横浜のホームで、私は来るまでの高揚とは全く別の種類の興奮を覚えて北九州への帰路に着いたのだった。
あれから約1年。ボルクバレット北九州は最終戦にあの日私に衝撃を与えたY.S.C.C.横浜をホームに迎えた。
既に両チーム共に来季のF1昇格を決めており、この結果によって優勝が決まるという最高の舞台である。これも何かのめぐり合わせだ。
F2リーグ2年目の今シーズン。ボルクバレット北九州もチーム、クラブ共に様々なチャレンジをした。
eスポーツへの参入。
北九州市立大学地域創生学群との連携では、学生による試合当日のイベント企画や運営サポート、SNSの運用。地域密着活動では選手達が様々なイベントに顔を出した。
そのチャレンジをひとつの形として体現したのがバレット祭と銘打った夏の終わりのデウソン神戸とのホームゲーム。F2としては異例の2,512人の観衆を集め、「九州で何が起こっているのか?」と日本中のFリーグファン、関係者の関心を集めた。あまりメディアに載らない事が、逆に謎のベールに包まれている風に映ったのかもしれない。
私たちは損をさせない試合をします
前売り券が完売し、立ち見の出る満員の浅生スポーツセンターで、チームカラーの赤で染まったホームの応援団と、水色のアウェーの応援団が声援で対峙する中、優勝をかけて戦う両チームの選手達。この熱気あふれるアリーナの中に身を置けたことは感慨以外、何と表現したらいいのだろう。
力及ばず、ボルクバレット北九州は逆転優勝とはならなかったのは残念ではあったが、それでも来季はF1だ。
無敗でF2王者となったY.S.C.C.横浜はやはり強かった。
5月から始まる来シーズンは両チーム共に試合でも、試合外でもF1を賑やかにしてくれるに違いない。
既にF1に所属しているチームのファンを含めた関係者の皆さんには、是非九州で起きている「何か」の謎を解きにボルクバレット北九州のホームゲームに乗り込んで来て欲しい。
勿論北九州市や福岡県の皆さんにも試合に足を運んでもらいたいのは言うまでもない。
「とにかく見て楽しんでもらうことが一番。私たちは損をさせない試合をしますし、一緒に感動を引き起こしたい」(ボルクバレット北九州・馬場監督の試合後会見のコメント)
Text by 東 恭子
Photo by 東 恭子
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