試合

残り時間2秒で宮崎選手の決勝ゴール!北九州がクリスマスにF1残留を決める

~ボルクバレット北九州 VS ペスカドーラ町田~

12月25日、ボルクバレット北九州 VS ペスカドーラ町田の対戦が北九州市立総合体育館で行われた。

前節はアウェーで立川と対戦し、無得点での敗戦を喫している北九州。対戦相手にプレーオフ進出を狙う町田を迎え、約1か月ぶりの本拠地での試合に挑んだ。

第1ピリオド開始後約2分。町田のGKジオヴァンニ選手は、北九州のGK上原拓也選手が攻撃参加で高い位置まで上ってきているのを見逃さず、キャッチしたボールをそのまま北九州ゴールに向けてシュート。正確な軌道を描いたボールがゴールネットを揺らして先制。

思わぬ形で序盤からリードを許した北九州も、ヴィニシウス選手の強力なミドルシュートを上原選手が止めるなど追加点を許さない。攻撃でも果敢に町田ゴールを狙うが、好機をことごとくジオヴァンニの好セーブに阻まれ得点には至らなかった。

0-1から得点が動かず試合はやや膠着したまま第1ピリオドを終えたが、後半開始後6分、町田のカウンターから田村龍太郎選手が奪ったボールからジョー選手が得点し1-1と試合を振り出しに戻すと、勢いに乗った北九州は前鈍内マティアスエルナン選手がゴールを決め瞬く間に逆転に成功。

残り時間が少なくなる中、パワープレーに出た町田は37分、ヴィニシウス選手からのボールを倉科亮佑選手が決め同点に。このまま引き分けで試合終了を迎えるかと思われたが、残り時間わずか2秒となったところで、宮崎岳選手が放ったロングレンジのシュートがパワープレーで空いた町田ゴールを突き刺す。劇的な逆転勝利をおさめた北九州は、クリスマス仕様の会場に足を運んだ573人の観客を前に、今シーズンの北九州を象徴する「ボルク劇場」を披露する形に。一方、プレーオフ進出を目指す町田にとっては、終了間際で下位チーム相手に勝ち点を落とすという厳しい結果となった。

この試合は同じ北九州市をホームタウンとするサッカーJ3のギラヴァンツ北九州サポーターの優待が行われたこともあり、初めてボルクバレット北九州の試合に足を運んだサッカーファンも多く来場。このような試合を劇的勝利で終えることができたのは、新たなファン獲得のフックとなったといえるだろう。次節から2試合アウェーが続くが、ホーム最終戦の集客に繋がることが期待される。

ボルクバレット北九州 試合後会見


中嶋孝行監督監督
ーー試合の総括をお願いします
中嶋
前半ああいう形で点を入れられましたけど、ハーフタイムに話したのは、自分達のやりたいフットサル、ボール繋ぎながら、崩しながら前進しながらフィニッシュするというのが出来たし、決定機のところも意図的に作れた。逆にこちらが変な手を打つと壊れる。このまま我慢して続けようということです。前半も決定機は作れていたし、もう本当に我慢比べかなと。選手を信用してこのままいこうと後半送りだした方がいいと思いました。

後半いいタイミングでジョーが決めましたし、マティもいいゴールでした。

スカウティングとか動画を作ってそれを見せてるんですけど、山中(翔斗)君とヴィニシウスを置いて、左利き軸でやるとか。選手達は相手の特徴をうまく消すことができていたと思います。相手の脅威になるところをしっかり消していけたし、意図的にやりたいようにできたかなと思います。

ベンチもポジティブな声をかけていたし、それも良かったかなと思います。(安嶋)健至が出た時にシュートがバーに当たったじゃないですか。あれをジュニーニョとか『vamo!』って前向きに声を出すし、ネガティブにはしない。うちの選手たちは決定機はずしても文句言う人はいない

開幕前から言っていることですが、ボルクらしさを追究していくことが大事かなと思っていて。狼は群れで行動する。4人でボールを繋ぐ中でそれぞれの特徴がある。ジョーやマティ(前鈍内)のシュートの巧さとか、(宮崎)岳の繋ぎとか、(田村)龍太郎の速さとか。それぞれ役割があるのでそれを上手く使いながら、お互いの強みを生かしながら上を狙っていけたらいいなという風に思っていたので、それが少しずつプレーとして体現できるようになっている。残り4節もその姿を見せながら勝つというのが『ボルクっていいよね』と感じてもらえることになり、それがクラブの価値、ひいてはフットサルの価値に繋がると思いますし、今日だと初めて来てくれた方がまた次を楽しみにしてくれるという形につながっていけばいいなと。そういった意味では今日は最後までボルクらしさをみせることができたのではないでしょうか。

いかにボルクらしさを見せれるかということの方が僕は意味があると思ってて、我慢強く粘り強く相手のゴールに迫っていき、ギリギリのところで耐えて、そういう試合を見せて、また次も来たいと思ってくれる人が増えることが、僕らが勝ったことなるのかなと。

今日はギラヴァンツサポーター優待の日でしたが、普段フットサルに触れたことのない方がちょっと触れてみようと思って来てくれた。そして『ああ、ボルク勝てないのかな』と思ったところ、最後の数秒で勝った。アドベンチャー映画みたいな、エンタメとしての魅力は感じていただけたんじゃないかなと思います。一体感をもって最後の最後まで粘って勝ち切るぞという圧がベンチから発せられていたと思うので、そういうのは見てる人にも伝わり、最後勝った時にその雰囲気の中で一緒になって喜び合えて、また見に行こうねとか、最後まであきらめないって大事よねとか、そんな話が生活の中にも入っていってくれるといいですね」

ジョー選手
ーー今日の試合を振り返って感想をお願いします
ジョー「今日の試合はすごく良かったと思うし、ほぼ試合を通してゲームをコントロールできた。しかしちょっと注意が欠けた時に点をとられた。でもその後もゲームコントロールして、町田のキーパーもすごく良くて、ほとんどのシュートを止めていた。だけど自分たちも引き分けにした後にもっとのっていけて逆転できた。その後はまたシュートを打っても止められるという、ジオヴァンニは素晴らしいパフォーマンスだった。

ゲーム自体も良かったが、僕らもすごくいい準備をしてきた。それが残り数秒に表れたのだと思う。一緒に戦った仲間全員でとてもよく頑張りました」

ーー自身のゴールシーンについて
ジョー「結構難しいシュートでしたが、今までがシンプルに打っていたので少し趣向を変えました。キーパーもちょっと出てきていたし、いいタイミングでいいボールが入ってきた。大体ああいう感じになったらやりたいなと思っていたプレーでした。狙い通りでした。キーパーが膝をついて前に出てくるというのも研究していたし、出来るだけジオヴァンニの上を狙って行こうと思っていました。チャンスをずっと待っていました。利き足ではない左で打ちましたが、キーパーの研究をずっとしていたので。いい準備をしなければいけないし、相手の事を研究しなければいけない。それに対してどれだけトレーニングするかということだと思います」

ーー残り試合に向けて
ジョー「とりあえず今プレーオフには届かないし、残留は決まった。あとは残り4試合を責任感を持って戦い、今日のようにゴールを決めて勝っていきたい。今日の結果でプレーオフを狙っている他のチームからは僕たちが感謝されているんじゃないですか(笑)僕が以前いた立川の黒本(ギレルメ)選手からも『絶対勝ってよ』とお願いされていました。多分すごく喜んでると思います(笑)」

宮崎岳選手
ーー「ボルク劇場」と言われる展開になった最後のシーンを振り返ってください
宮崎「相手が勝ちに来てたんで、パワープレーで最後絶対リスク負ってくるなと思っていたので、何かしらチャンスはあると思っていました。ディフェンスでもそうでしたけど、最後集中切らさないようにと考えてたんで、何とか転がって来てよかったです」

ーー試合全体に関して
宮崎「まずは結構僕自身チャンスがめちゃくちゃあって、そこを決め切れないといけないと思います。やっぱりチャンスの部分にいたっていうのは、ディフェンスの強度もそうですけど、みんなで連動して出来てたからいい取り方が出来た。ジョーが決めたシーンもそうですけど、僕が寄せてそこしかないっていう限定した状況を作れてて、龍君(田村龍太郎選手)がつぶしにいってくれて回収が出来てっていう連動が全員で出来てたからチャンスはやってくるし、全員がかかわってくるっていうのは連動できてるということ。理想の形ではあると思います。

セットもある程度固まって来てて、(シーズン)最初、メンバーが大幅に変わったことで、セット間の試行錯誤というのが監督にもあったと思うんですよ。そういうところが上手くマッチしてきたのかなと。やっぱり阿吽の呼吸っていうのはセットで絶対あって、そういうのが分かってきてもいるのかなと。この選手はここで欲しいとか、こういう動き方をするとかっていうのが感覚で分かってくる。感覚というのはすごく大事だと思いますし、サインがなくても共通認識で動けるっていうのが出てくると思うんで、そういう部分で良くなっているとは思いますね。

前半もチャンスは結構あったけど、やっぱりそれを決めてくれると変わりますね。ずっと我慢してて、1点決めれば流れ変わるからとは話してたので、ジョーが決めてくれたのは良かったです」

ーー残り試合の戦い方は?
宮崎「まずは勝たないといけないというのが一番で、今季確かまだ連勝したことないので、次の長野、北海道を確実に取らないといけないと思っていますし、一個でも上の順位を目指してやるだけなんで。あとは上位陣の相手もプレーオフがかかってるっていうのもあるんで、プレーオフ争い荒らしですね(笑)

今日も町田に勝ってるし。プレーオフ争いってリーグ全体を考えた時に、僕たちが上位陣を叩くことでより盛り上がっていくのかなと思うので、僕たちの順位だけじゃなく、日本のフットサルのことを考えるとプレーオフ争い荒らしは大切なのかなと思いますね。いい迷惑かもですけど(笑)」

ーーファン・サポーター、観客の皆さんにメッセージを
宮崎「クリスマスの日にわざわざ来ていただいてありがとうございます。せっかく来ていただいたので、劇的な刺激のある試合が出来て良かったと思います。みなさんに良いクリスマスプレゼントが出来たかなと。次もよろしくお願いします」

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Text by 東 恭子
Photo by 東恭子
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