ファイナルシーズン 町田ラウンド 第24節
〜ペスカドーラ町田 VS バサジィ大分〜
レギュラーシーズンを終え、ファイナルシーズンの町田ラウンドを開催したFリーグディビジョン1。優勝を争う上位リーグと、F1残留をかける下位リーグに分かれて対戦が行われている。上位リーグの見どころは、レギュラーシーズンを首位で駆け抜けたペスカドーラ町田が、今まで一度しか優勝を譲ったことがない名古屋オーシャンズをこのまま抑えて優勝を勝ち取れるかというところ。ホームアリーナで迎えた2戦目は、バサジィ大分と対戦した。
大分は、前日に優勝争いを演じている名古屋と対戦して勝利。町田ラウンドに波乱を起こして一躍注目を集める存在となった。町田はファイナルシーズンの初戦に勝利していることもあり、名古屋が敗れたことで優勝へのカウントダウンを意識する状況となった。
試合は、序盤、大分がリシの得点で先制。レギュラーシーズン終盤にかけて調子を上げ、前日の名古屋戦にも勝利している勢いを見せつけた。その後も大分が攻勢を強めるがスコアは動かないまま時計は進んだ。終盤、町田の山中翔斗がカットインから強烈なシュートを放って得点を決めるが、その直後に現在ゴールランキング1位を走る大分の仁部屋和弘が得点し、大分が再びリードする。
2ndピリオドも終始大分ペースで展開。序盤に高溝黎磨が得点、さらにセットプレーから陣川凌、町田がパワープレーに入ったところで再び仁部屋のパワープレー返しが決まる。最後に町田は、野村啓介が放ったシュートのコースを礒貝飛那大が変えて得点。一矢を報いたが、そのままタイムアップとなった。
大分は、ファイナルラウンド最初の2戦で、上位2位チームに勝利する健闘ぶり。町田は、痛い敗戦を喫することになった。
ペスカドーラ町田 試合後会見
甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
昨日、名古屋(オーシャンズ)に勝った大分には勢いがありました。それ以前の5試合くらいを振り返ったんですけど、大分の状態がすごく良いことはわかっていましたので、本当に難しいゲームになると思っていました。実際に大分の勢いも感じましたし、自分たちが掲げているゲームプランと言いますか、状況判断レベルがなかなかうまく遂行できなかったので、もちろん負けたのは残念ですけど、内容的に言えば妥当な結果だと思います。今シーズンはもう大分と対戦する機会はないですが、来シーズン大分と対戦するときにはしっかり勝ちに行けるような状態にして臨みたいと思います。
ーー試合後のミーティングが長かったが、どんな話をしたのか?
細かい内容まではすべてお話しできないですけど。今日のゲームで起こり得る想定であったり、大分の狙ってくるであろうポイントであったりということは、試合前にしっかり触れていましたが、正直、今日は勝つのは難しいと思いながらゲームを迎えました。昨日名古屋が負けたことで、少なからずうちの選手たちのなかにも勝点勘定だったり、ちょっとした邪念だったりもあったなか、立ち上がりにちょっとバタバタして、本来のメンタル状況じゃない時間帯もありました。そこはベテランがたくさんいるチームじゃない、若いチームならではだなと、僕は第三者的に見ていたところもありました。ゲームの内容については、大分の特徴が出た、名古屋戦も含めて大分のスタイルで勝ち続けてきているところへの自分たちの戦い方について、話をしました。「それはなんですか?」 っていう質問ですよね(笑)? それはもう大分の特徴です、まさに。今の状態の良さをみんなで共有して挑んだんですけど、我々が共有した以上のパフォーマンスだったので、自分たちにとっては「チームとしても個人としてもまたしっかり積み上げていかないといけない」と再認識できるゲームになったと思います。
ーー今日は敗れましたが、優勝を意識することに変わりないと思います。この後の試合に向けてはどんなマインドで臨みますか?
さっきミーティングでも話したんですけど、おそらく世の中の人は「あといくつ勝てば」と星取り勘定をするし、選手たちもそういうのを目にする機会もありますし、そこに目を向ければ、そういう感情が出てしまうと思います。ですが僕は、このファイナルシーズンの5試合は勝点の勘定をするのではなく、今シーズンやってきた戦いをどのチームともしっかりやって勝ちを目指す、その途中で、例えば昨日のような名古屋の敗戦があって、カウントダウンのような状況が見えたとしても、そこに目を向けず、最後の5試合目で、どういう結果、状況であっても、最後の名古屋戦に勝って、今シーズンを終えることが目標です。(次に対戦する)立川(アスレティックFC)も当然簡単なゲームじゃないですし、(バルドラール)浦安もそうです。とにかく1試合1試合戦って、優勝に相応しい終わり方を目指していきたいと思っています。
原辰介選手
ーー試合の総括をお願いします
一言で言えば、悔しいゲームでした。試合前のモチベーションはみんな高かったですし、大分に対してなにをすべきかというのは、整理されていたなかで、自分たちの望まない展開に一喜一憂してしまって、もちろん大分にやられた部分もあったんですけど、自分たちで逃してしまった感覚の方が強いゲームになりました。
ーー今日はキャプテンマークを巻いて出場しましたが、心がけていたことと、優勝争いの難しさをどう感じているかを教えてください
心がけたことは特にいつもと変わらなくて、(キャプテンマークを)巻いていようが巻いていなかろうが、まずは自分の仕事をすることと、自分もベテランの域に入ってきたので、セットで一緒に入る若い選手たちが実力を最大限発揮できるように毎試合意識しています。優勝争いに関しては、本当にこれまで縁がなかったですけど、名古屋が負けたり、勝点差などもあるんですけど、個人的には気にしてません。上位リーグのすべてに勝てば優勝できるという本当にシンプルなことなので、チームとして1試合1試合に勝つことに注力しています。
ミックスゾーンにて
※ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません
野村啓介選手
ーー試合全体を振り返っての感想からお願いします
僕らの入りも良くなかったですし、大分はすごい良かったなという印象ですね。
ーー入りが良くなかったのは、どういったことが原因だと考えていますか?
個人個人、いろいろあるとは思いますけど、誰がっていうわけじゃなく全体的にやっぱり昨日の名古屋の結果だったり、さっき監督も言っていたんですけど、周りからのいろんな話だったりっていうところを心のどこかで気にしちゃってるというのは絶対みんなあったと思います。僕らは今まで本当に目の前の試合、1試合1試合というところでやってきたんですけど、そのなかで少し他の部分に気が向いちゃったというのが、気づかないところであったかなと思います。
ーー大分が名古屋に勝ったことが衝撃だったところはありましたか?
今シーズンの戦いを見てたら、もしかしたらあるかなというふうにはずっと思ってはいましたけど、ただ実際に勝って、自分たちにすごく有利な展開になったので、逆にちょっと気にしちゃったところは少なからずあるかなと思います。
ーーそういったなかでもチームを引っ張っていこうという野村選手の意識が試合中も見えましたが、その辺はどういう気持ちで臨んでいたんですか?
そうですね、僕自身もいつもと変わらない気持ちで挑んでるつもりではあったんですけど、実際それがどうだったかは分からないですし、そういうふうに見えていたのであれば、うれしいです。でも、やっぱり少なからずうまくいかなかったときとか、特に失点が早かったし、自分たちのセットのなかでも少しギクシャクするというか、いつもだったら何も問題ないところで味方にイライラしたりというシーンがあったので、そういうところは気になったポイントで声掛けなどをするようにはしてましたけど、でももう少しプレー面で落ち着かせたり、ゴールという結果でチームを落ち着かせたかったという気持ちはあります。
ーーそれでも最後は一矢を報いるアシストがあって、その辺はさすがだなと思いましたが?
パワープレーは、試合ではあまりやってなかったですけど、練習ではずっとやっていたし、空いてるところを探すだけなので、そこを落ち着いてできればチャンスはあると思っていました。ああいう形でも1点取れたのはよかったですけど、でも、その前に僕のところでチャンスもあったので、そういうところをちゃんと決めれていれば。それでも追いつける点差ではなかったですけど、そういうところを詰めていきたいなとは思いました。
ーーいつもだったら決めているところが今日は決められなかったというところですか?
いつもだったら入ってるところが決められなかったという印象も正直そんなになくて、本当に毎試合毎試合僕らいっぱいいっぱいで、勝つか負けるかギリギリのところで勝ってきたチームなので、やっぱり失点が重なったのがきつかったですね、特に後半。2対1のままいけたらよかったですけど、後半に失点が重なって、さらにバワープレーの準備をしてるときにもまたもう1失点、もったいない形で重なったんで、失点のタイミングが悪かったかなというのもあります。
ーー年明けに3試合ありますが、この試合の経験をどう活かしていきますか?
今日の試合にも良かったところ悪かったところがあるし、とはいえ、僕的にはやっぱり毎試合毎試合本当にギリギリのところで戦ってきたという印象があるので、これまでは運良く勝ててましたけど、負けていてもおかしくない試合が今までにもすごくいっぱいあったし、それがたまたま今日だっただけだと思います。昨日名古屋が負けてくれたので、むしろ助かったという感じですね。結局条件は変わってないので、すぐ切り替えて、あと2勝すればいいんで、年明けの最初の試合、立川戦だけに集中して、やっていこうと思います。
バサジィ大分 試合後会見
狩野新監督
ーー試合の総括をお願いします
町田のホームアリーナということで、たくさんの方にご来場いただいたことは本当にうれしく思います。セントラル開催で全チームが集まるというところ、名古屋と町田、上位のチームと2試合を戦うというなかで、自分たちもそこに向けてしっかり準備しきました。ハードワークしないと勝てないですし、準備してきたことがすべて出せたゲームだったのかなと思います。本当に選手たちに感謝の気持ちが強いので「ありがとう」と言いたいですね。
ーー仁部屋選手の活躍について、練習やそれ以外の取り組みも含めて、評価をお願いします
仁部屋選手に関しては、正直Fリーグでなかでも一番練習してるんじゃないかなと自分は感じています。練習以外の取り組みも含めてやっぱりプロフェッショナルというところで、彼が本当に努力している成果がピッチで出てるというのは間違いないです。多分、皆さんにも見えないところでの努力は、彼は本当に人の何倍もしているので、それが成果だと自分は思ってます。
自分は本当にベテランに厳しいので(笑)、そういうところでも本当に理解してくれて、今、チームを引っ張るというところでも先頭きってやってくれているので、それがピッチでの振る舞いにも出ていると感じています。
ーーモチベーションを上げるのが難しい順位だが選手はモチベーション高く戦っていました。その辺りも含めて準備してきたことというのを具体的に教えてください
まずモチベーションのところなんですけど、自分たちは去年、最下位争いをしていたなかで、モチベーションが下がるというのは本当にありません。自分が目指しているものは、上位でも優勝でもなくて、まずは一戦一戦、目の前の試合に勝つというところを大きな目標にしてますので、ざっくりじゃあ上位で何を目指すかとかというよりも、まず目の前にの試合を100%戦う。それをチームで1年間継続していくということをやってきたので、このレギュレーションになったとしても、選手は特にモチベーションを落とすことなく、しっかり取り組んでくれたのかなと思っています。
準備してきたところに関しては、(対戦が)3試合目になるので、スカウティングのところも含めてかなり慎重に取り組みました。上位チームは、チームが色が変わってないところが多かったので、そこも含めてしっかり対策をしたことで選手たちが理解してくれたなと思っています。ただ、自分も指導者としては本当に初心者なので力もないですし、日本代表が今目指しているものであったりを参考にしたり、いろんな方の助言をいただきながら、選手にアプローチしたり、試行錯誤しながら選手と向き合いながらやってきたというところで、全チームのスカウティングを含めて準備ができたのかなと思っています。
ーー具体的に町田対策については、どういったものを考えてきたのか教えてください
まずファーストセットの7番の山中翔斗は日本でも数少ない左利きのドリブラーで、今、日本代表でも力をつけてきていますし、自分たちは1対1の対応にこだわりをすごく持っていて、構築のところでも、組織よりも個のところで相手を上回っていくというところをメインにしてますので、そういった部分では7番の選手にしっかり対応するトレーニングをしてきました。あとはセカンドセットの21番の荒川(勇気)と10番のヴィニシウス、そこのピヴォに当たった後の対応であったり、ピヴォに入る前の対応というところを徹底して、トレーニングを積んできたところが良かったのかなとは思っています。
野口茅斗選手
ーー試合の総括をお願いします
昨日と同じで難しい試合になることはもう分かっていました。チームが一体となって戦う姿勢が最後まで出せて勝てたのでよかったです。
試合後のコメント
※写真はありません
上原拓也選手
ーー試合を振り返っての感想をお願いします
1位の町田、2位の名古屋に勝って2連勝できたことは素直にうれしいですし、シーズン始めから積み重ねてきたものが形になって結果として出ていることが何よりうれしいです。
ーー名古屋、町田と上位との2連戦で連勝しましたが、そこについてはどんな思いがありますか?
相手が上位チームだとか、連戦の疲労とか関係なく、とにかく目の前の相手を「俺たちが食ってやる」という思いで臨みました。このメンバーで行けるところまで行きたいという思いが強いですね。もちろん、簡単な試合は1試合もないですけど、そのなかでそれぞれがミスを恐れずチャレンジしていたこと、犠牲心を持って役割をそれぞれ全うしたことが勝利を呼び込めた要因なのかなと思います。残り3試合もベストな試合ができるように良い準備をしたいです。
ーー今日もアシストになりそうなパスやキックがありましたが、上原選手から始まる攻撃の形をチームとして持っているというところですか?
GK攻撃はチームのモデルの中の一つであり、シーズン開幕当初からチャレンジしているものの一つです。戦術については言えませんが、良い形で攻撃できるシーンが増えてきているので、そこは自信にも繋がっています。
ーー自分のプレースタイルとチームの方向性があっているように見えましたが、ご自身の手応えやプレースタイルへの思いは?
今シーズン大分に加入して、チームとの擦り合わせがうまく行っていると思いますし、味方ともコミュニケーションはしっかり取れています。僕の持ち味の一つは攻撃参加で少しでも相手よりボールを保持すること、攻撃のチャンスを増やすことだと思っています。味方の動きもとても良いので、そこに助けられてる部分も多いと思います。
ーー終盤に向けてチームとして勝負強くなっていった印象ですが、選手として今シーズンの戦いぶりについての感想は?
シーズン序盤は、拮抗した試合をよく落としてしまいました。チーム全体がミスを恐れて受け身になってしまうことが多かったです。選手で話し合ったときに、「フットサルにミスはつき物。ミスをしたらみんなでカバーしあえば良いし、もっとミスを恐れずに大胆にプレーして積極的にチャレンジしよう」というチームでの共通認識を持てたことが上昇出来た要因の一つだと思います。それはこれからも個人としてもチームとしても続けなくてはいけないと思っています。
狩野監督からは「フットサルに人生をかける」という話をよくされます。フットサルの時間もそれ以外の時間でも、もっとフットサルを学ぶ、もっと身体に気を遣う。そういう話を選手もしっかり聞き入れ、自分やチームとちゃんと向き合って来れた結果なのかなと思います。
ーーファイナルシーズンの残りの試合の位置付けは? また、どういう気持ちで臨もうと考えていますか?
とにかく目の前の試合に勝利すること。次の試合まで時間が少し空きますけど、そのためにもしっかり良い準備をして迎えたいと思います。
バサジィ大分は今年、「再勢」というスローガンを掲げています。強かったバサジィ大分を取り戻すだけでなく、自分達で新たな強いバサジィ大分を作っていきたい。僕だけでなく、選手みんなそういう思いで戦っていると思います。簡単な試合はないけど、自分達なら成し遂げられると信じています。残り3試合、チーム全員で魂込めて闘います。
ーー試合の話からは離れますが、大分へ移籍を決めた理由と、その選択についての現在の思いを教えてください
環境にこだわりたかったのと、フットサル人生の中で一度は完全なプロ選手として、生活をしたかったということが理由にあります。もちろん仕事と両立しながらプレーすることも大切だと思います。ですが、短いフットサルキャリアを考えたときに完全なプロ選手でできるチームは限られていますし、そういう環境に飛び込みたかったので、本当にタイミングが良かったと思います。
ーー日本代表の合宿にも招集されましたが、そこについては率直にどんな思いがありますか?
ずっと目指してきた場所だったのですごくうれしかったです。湘南を退団するときも、もっと試合に出て代表に選ばれる選手になりたいと思っていたので、すごく悩んだ決断でしたけど、そこは一つ報われたなと思ってます。
木暮監督になってから初の招集だったので、チームのモデルやどういうマインドが必要なのかが明確になったし、自分がこのチームに入って何をもたらすことができるか、そのためにしなくてはいけないことが何かが明確になった遠征になりました。次にいつ呼ばれても良いように常に準備しておくことが大切だと思います。
ーーフィウーザ選手と一緒に練習するのは久しぶりだったと思いますが、どんな思いがありましたか?
本当に久しぶりで、すごく感慨深かったです。遠征先の部屋も同部屋でトレーニングだけでなくいろんな話が出来たのでそこも良かったなと思っています。
あとは俊太君(内村俊太選手)とも代表で再会できたのはうれしかったですね。また一緒に頑張りたいです。