JFA 第30回全日本フットサル選手権大会
決勝 マッチレポート
立川アスレティックFC VS しながわシティ
3月22日(土)、全国各地の地域予選を勝ち抜いたチームが日本一を競う、第30回全日本フットサル選手権の決勝が駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場で行われた。対戦したのは、ともにFリーグディビジョン1に所属し、東京にホームタウンを持つしながわシティと立川アスレティックFC。しながわは今シーズン、最後の最後までリーグ優勝を争った強豪。一方の立川は、リーグ戦は5位に甘んじたが、全日本選手権は2年連続で決勝までコマを進めている。
しながわのキックオフで始まった試合は、攻守ともに強度が高く、激しく主導権を争うなか、お互いにチャンスは作るものの得点までは至らないまま時間が経過。そんななか、先制したのはしながわ。昨年まで立川に在籍した新井 裕生のアシストでカイオが決めた。しかし、立川もすかさず大澤 将士がゴールを決めて、ゲームを振り出しに戻した。
2ndピリオドもスコアレスの時間が続くが、その均衡を再びしながわが破る。エンドラインぎわで粘った新井のパスをカイオがゴールに押し込んだ。さらにしながわはその直後、交代で入ったばかりの笠 篤史が得点し、リードを広げた。
2点を追いかける立川は、6分以上を残した状況でパワープレーを開始。しかし、カイオにハットトリック達成のパワープレー返しを決められる。すぐに立川の上村 充哉がパワープレーから得点を決めて意地を見せるが、残り2分を残してしながわの平田 ネト アントニオ マサノリが追加点を決め、リードを3点に広げた。試合はそのままタイムアップを迎え、しながわが前身のトルエーラ柏 が2021年に優勝して以来、4年ぶりの優勝を決め、タイトルを手にした。
試合後会見
しながわシティ
比嘉 リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
この3日間は、すごくタフな試合でした。本当にキツかった。それを乗り越えて、優勝できたことは選手たちのおかげです。今日の対戦相手は、3年間指導したチームなので、簡単じゃない、タフな試合になることはわかっていました。前半、ピヴォ当てに何回もやられた。後半、修正できたところからリズムが作れました。後半のディフェンスはすごくよかった。守備が安定してからは攻撃もできるようになりました。
ーークラブとしては、前身のトルエーラ柏で優勝(2021年)して以来、2回戦敗退が続きましたが、今年比嘉監督が就任して優勝し、クラブに新たな歴史を残しました。その感想をお願いします
うれしいです。優勝は、特別な経験です。さっきも話しましたが、去年まで立川(アスレティックFC)の監督をやっていて、この4年間で決勝まで3回来ました。1回負けて2回勝った(2022年優勝:立川・府中アスレティックFC、2024年準優勝:立川アスレティックFC、2025年優勝:しながわシティ)。すごくうれしい、特別な気持ちです。
個人としてもですけど、フットサル界、Fリーグにとっても、名古屋(オーシャンズ)の連勝を止めたのは大きなこと。来シーズンも優勝争いができるチームを目指してやっていきたいし、そのためにもこのタイトルは、とても大きいと思います。優勝するチームは一つだけですから。どれだけ強くても、うまくても、優勝に値する気持ち、人じゃなければ優勝はできません。特別なものじゃないと難しいので、他のチームをリスペクトしながら、毎回優勝できるようなチームを作っていきたいです。
ーー今シーズンの立川との対戦は、1勝1敗1分けで、なかなか勝ちきれないなど難しさもありましたが、特に気をつけたところなどありますか?
ファイナルシーズンの岸和田ラウンドでの試合で、サカイ ダニエル ユウジやチアゴ セウバックを出すときにクワトロのセットを出してきた。僕らは、逃げちゃいけないと思ったので、相手のクワトロに対して裏を取られないようにしながら、どのタイミングでアグレッシブなディフェンスにいくかを考えました。変なタイミングでアクションを起こすと、もっと嫌なリアクションをされるので。今日の一番のポイントは、行く行かないのタイミングを読むこと。裏を取られなかったのは、すごく良かったですね。逆に、ピヴォ当てが多かったから、ハーフタイムで、さっき話したことですけど、修正して。いい試合だったと思います。
ーー立川・府中でも就任1年目のときに優勝していますが、リーグ戦とトーナメントのカップ戦との勝つ難しさの違いだったり、試合に臨むうえで選手に伝えたことがあれば教えてください
本当にメンタルです。長いリーグ戦を戦ったあとの大会で、1回戦、2回戦、3回戦(準決勝)を戦って、決勝までに3回勝たないといけない。そこで疲れてしまうので、どれだけいいフットサルをしていても優勝にフォーカスしてないと勝てない。
大分ラウンドの1回戦2回戦は、酷い試合をしてしまった。相手がうまかったところもあったし、負けても仕方がなかった。そこでメンタルのところを1回修正しないといけない。リセットして、もう1回フットサルをしたい、本当に優勝したいというふうに。1年かけたリーグ戦で最後に負けてしまったところをリセットするのは難しい。だから選手のみんなに本当に感謝しているんですよ。そういうところがすごくうれしいですね。
ーーしながわをさらに強くするために、どんなプランを持ってますか?
土台はディフェンスです。失点が多すぎる。3失点すると、もっと点を取るために、もっと狙わなきゃいけなくなる。だから僕らはディフェンス。みんな頑張っているところもあるけど、(指揮を執って)1年目なんで、まだ慣れてない。行くのか行かないのか、(味方に)寄せてもらうとか、やり方があるんですけど。一つの方向性を持ってディフェンスできるように、それを頑張っていきたいです。
ミックスゾーンにて
※ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません
しながわシティ
新井 裕生選手
ーー立川アスレティックFCから移籍して1年目、立川に勝利しての優勝について、感想をお願いします
去年、アスレ(立川アスレティックFC)を退団するときに、去年は決勝で負けてしまったんですけど、社長の晃さん(皆本 晃選手兼代表)と、もう一度この舞台で会うのが男の約束だと話をしていました。お互いに準決勝は厳しい試合でしたけど、そこを勝ち上がって、この舞台でアスレと戦えたということは僕にとってすごく大きなことでした。退団したけど、アスレへの愛がなくなったわけじゃないので、この「日本一」を懸けての試合を元チームメイトと戦えたというのは、すごく感慨深いもので。そのなかで、僕たちが勝って優勝できたというのは、僕が決断したことの一つ証明になったのかなと思います。
ーー覚悟を持って臨んだ1年だったと思うが、そのラストの対戦が立川だったということについては?
そうですね。昨日の準決勝は、アスレも負けている展開から最後に追いついて、延長戦で勝ったというのを目の前で見て、これはもう何が何でも勝って決勝に行かないと、サポーターを含め、晃さんも含め、なんて思われるかわからないぞというようなプレッシャーがありました。だから男と男の約束として決勝に行けたのは、すごくうれしかったですし、そこで勝ったというのは、もっとうれしいことですね。
ーーアスレからしながわに行く時、皆本さんにはどのように話をしたのですか?
Fリーグ選抜から帰ってアスレに戻ったときに、僕のなかではアスレで選手人生を終わらせるという覚悟や決意がありました。でも、選手を続けていくなかで、日本代表のことだったり、家族のことだったり、個人としてのさらなる成長だったりを考えたときに、一つ、厳しいというか、自分に責任だったり、大きなプレッシャーをかけるという意味で、この移籍を決断するということを伝えました。晃さんには、ジュニアユースから育ててきたので本来であれば残ってほしいし、前身の府中(立川・府中アスレティックFC)の頃からのフィロソフィー的な部分を伝えていってほしいとは言われました。それよりも今、自分が置かれている状況と、さらなる上を目指したいという自分の向上心というところを、僕がゴリ押ししたという感じですね。
ーー決勝戦前か後に皆本さんとは話をしたんですか?
昨日、アスレの試合が終わってベンチの入れ替えのときに、「明日な」っていう声があったんで、「絶対勝ちます」というふうに一言、っていう感じですね。
ーー実際、この優勝をかけた戦いの舞台に立つというのはどういう経験で、パフォーマンスはどうだったと感じていますか?
比嘉さん体制になってから、アスレの時期も含めるとこの4年間、選手権(全日本フットサル選手権大会)だったり、(Fリーグの)プレーオフであったり、今シーズンの(Fリーグ)ファイナルラウンドであったり、1位をかけた戦いを今までにないほど経験してきました。そのなかで、リーグ戦も自分の力が最後の最後、発揮できずに優勝を逃したという思いもありましたし、去年の選手権の決勝も得点王を取ったにもかかわらず、シュートを11本打って、1点も決められなかったという悔しい経験があった。でも、それで気負うとダメになるのはわかっていたので、今年1年間の自分は、立ち位置的にも勝つことを最優先にして。今日も、できれば自分で点を決めたかったですけど、重要な先制点と勝越し点の起点になることができたので、自分としては、この1年間の成果が出たのかなと思います。今まではアシストするような選手ではなかったので。今年はアラをやったり、代表でもいろんなポジションをやらせてもらっていて、その経験がこの決勝で出せたので、とてもよかったです。パワープレーの守備も、昨日の名古屋戦も、その前のすみだ戦も含めて、今までやってこなかったなかで、ちょっと前がかりになったときに失点しましたけど、それ以外は、ほぼ完璧な運び方ができたかなと思います。
ーーしながわというチームに来て自分の取り組みだったり、意識に変化を感じますか?
アスレにいたときは、フットサルのことを考えたり、仕事のことを考えたり、家族のことを考えたり、考えることが多いなかで、今年はプロとして自分と向き合う時間が本当に多く取れました。パーソナルトレーニングやケアする時間に当てられたので、何か大きくパワーアップしたとかそういうことではないんですけど、本当に細かい部分だったり、メンタルや日々、練習に取り組む、マインドがすごく向上したのかなとは自分で思います。
ーーこれまでの新井選手は、決めて欲しいところでなかなか決めきれず、そのせいで結果が出せないイメージがあったけど、一歩乗り越えて点は決められなかったけどアシストはできたというところで力が発揮できました。こうしたことを踏まえるとまだ伸び代があるなとて思いますが?
この1年間、僕自身も自分がアラでここまでプレーできるとは思っていなかったですし、キッカーやパワープレーの守備だったり、自分自身もびっくりするくらいいろんな自分が発見できて、自分自身が目指す「選手像」というのが、ちょっとはっきりしてきたなと思います。それに、完成された選手のイメージができたので、そこに向けて、日々必要なものを、来シーズンも、そのまた先も。AFCもありますし、ワールドカップもありますし、選手として輝けるときに最大限輝きたいなって思います。
ーー選手像のイメージを具体的にいうことはできますか?
難しいですけど、選手像で言ったら吉川(智貴)さん(名古屋オーシャンズ)だったり、パッシャン(元・名古屋の西谷 良介さん)だったり。でも、求められているものが違うのであれば、そのときは(森岡)薫さん(ペスカドーラ町田)やバナナ(クレパウジ・ヴィニシウス選手:ペスカドーラ町田)だったり。求められているものによって何でもできるよっていう。プレーだけじゃなくて、ピッチ内なら守備も攻撃も含めた、そういう選手になりたい。ピッチ外もピッチ内も含めて、チームのことを考えて、チームのために動ける選手になりたいと思います。
ーー1年間、アラでプレーしながらここが変わったという具体的に感じるところはありますか?
スピード感。プレーのスピード感は変わりました。ピヴォで失うときとアラで失うときの危険性はちょっと違うので。ピヴォだったら思いっきりプレーして取られても即カウンターにはならないんですけど、アラで失うと即失点というプレッシャーは、今年1年間苦しんだんですけど、後半になるにつれてある程度できるようにはなってきたかなっていうふうには思います。
ーーチームは変わったとはいえ4年間同じ監督のもとにいるのにもかかわらず、要求されるものが変わったんですか?
監督は変わってないですけど、今年はチーム内でケガ人もありましたし、求められるものはアスレにいたときより幅広くなりました。プレー以外の責任感も要求されましたし、選手としてもっと上を目指さないといけないとは伝えられました。
ーー監督は同じでもチームが変わることで環境が変わって、アスリートとして自分と向き合う時間が増えたことも要求される内容に影響していますか?
比嘉さんは、Jリーガーだったり、プロでやってきた年月が長いので、その経験から僕の取り組みだったり、姿勢という部分を今年1年間改めて見直すことが必要だと言われました。この先もっともっと上に行くためには、ピッチ外の部分での取り組みが本当に大切で、ただトレーニングしろとか、ただ食事を気にしろというのではなく、常に選手としての生活を送れるようにというふうには言われました。
ーー24時間、フットサル選手でいろということですね?
そうですね。
ーー監督が変わってないことも良い方向に行っている理由の一つですか?
僕が移籍する理由の一つも、比嘉さんとまだまだ一緒にやりたいというのがあったし、今年1年間一緒にやってきて、改めて僕をもっと上の舞台に連れていってくれる監督だなと思いました。
ーー今日の試合のアシストは素晴らしかったが、あれは練習通りのものか、それともひらめきによるものですか?
今日に関してはひらめきの方が大きいかなっていう感じです。2得点目のアシストに関しては、晃さんがああいうふうに「ガッ」とくるのは、わかっていたので、それを逆手に取った感じです。長年一緒にやっていたところが出たかなと思います。
ーー1点目のカイオの頭を狙ったのは?
あれはもうシュートを打とうと思ったんですけど、(立川の湯浅)拓斗が来てたんで、咄嗟に。とりあえず中に入れればどうにかしてくれるだろうと思ってのプレーです。
白方 秀和選手
ーーケガでピッチには立てなかったですけど、柏時代と合わせて2回目、優勝した気持ちを教えてください。
今回は関わり方が全然違いますし、ただやっぱり優勝すると素直にうれしいですし、頑張っていた選手が報われたというか。比嘉さん、やっぱり怖いので(笑)。その中で1年間みんな頑張っていって、日々成長して逞しくなって尊敬の気持ちしかないですね。
ーーどんな思いでこの試合を見ていましたか?
僕はケガをしてからもうずっと、リーグ戦の途中から出られる状態ではなかったので、でもなんて言うんですかね、本当にみんなのことを信頼しているし、同じ熱量で戦っているつもりです。だから(リーグ戦の)ファイナルシーズンも(優勝を逃して)惜しかったときも本当に悔しかったです。僕は、自分が出ないからといって「負けてもいい」という気持ちは一切なかったし、(契約)満了が決まってからも、いろいろ感情はありましたけど、このメンバーで頑張ってきたことは変わりないですし、みんなの活動をリスペクトしていたので、絶対に優勝して欲しいと思っていたし、チャンスはあるんじゃないかなと思っていました。最後に優勝できて良かったと思います。
ーー今シーズンは、新しい監督を迎えて体制も強化していよいよ優勝を目指していくぞとスタートしたシーズンだったと思いますが、ケガをするまではどんな思いでシーズンを戦ってきたのでしょうか?
優勝を目指していかないといけない監督と選手が揃ったというのはありますけど、それが結果に直結するかと言うのは難しい問題だと思います。リーグ戦も節を重ねるにつれて、基本的には勝ちが多かったですけど、途中、中断前くらいに引き分けが続いたときは結構苦しい時期もありました。選手も難しいメンタルのなかで戦っていたと思うんですけど、普段の取り組む姿勢が徐々に実って、比嘉監督の戦術も時間が経つにつれて浸透してきたと思いますし、中断明けからまたちょっと一段階上がった感覚がありました。そうですね、中断明けからは本格的にリーグ優勝ができるんじゃないかという思いがありました。
ーー長くチームを引っ張ってきた選手として、今シーズンは特別な思いだったのかなと思いますが?
そうですね、僕もやっぱり年齢もそうですし、周りのメンバーを見てもそうですし、「ここで優勝したいなという思いもありますし、だからこそ途中からずっと出られなくなったということに本当に悔しいというか。ですけど、割り切って自分ができることはちょっとでもみんなの支えになれるようにと思ってリハビリも続けてきたんで、自分で達成はできなかったですけど、一緒に戦ってきたメンバーがこうやって結果を残したことは素直にうれしいです。
ーー表彰式の時には、サカイ選手からキャプテンマークを巻かれましたが?
そうですね、ちょっと泣きそうですけど。うん、一緒にやってきた彼の心遣いがすごくうれしかったです。一緒に試合に出て喜びたかったなぁとは思いますけど。
ーーこみあげるものがありましたか?
ありましたね。今シーズン、本当に4試合しか出てないけど、こうやって気にかけてくれるのは、やっぱりすごくいいチームだなって思います。
ーーリーグ戦で優勝を逃したあと、すぐに始まる全日本選手権で、決勝トーナメントだけ少し時間が空いて行われて、難しい時期に難しい戦い方が求められるなかで勝ちに向かえたチームについて、今振り返ると?
本当にいいチームだなと思うし、リーグ戦もあとちょっとのところだと思います。ああいうのはもう仕方がないというか、最終的に言えば得失点差とかですけど、取り組みについては自信を持ってちゃんとやってたって言えますし。比嘉さんもああやって怒りますけど、僕はリハビリで外から見てることが多かったので、愛情が溢れていると思って見ていました。ただ、言われている選手は大変だなと思います。間違ったことは言ってないけど厳しいですし。勝ちへのこだわりからの振る舞いだと思いますが、選手がそういうものを受け取ってやっているから成立しているとも思います。言われて腐る選手もいなかったですし、その結果が今日につながったと思います。
ーー在籍ラストの年に優勝できたのは良かった?
こういう形でチームを離れるのは悔しいですけど、そこは。しながわを守るためにいろんな選手が入ってきますし、強い歴史がここからスタートするといいなと思ってます。
◇◇◇
立川アスレティックFC
饗場 健監督
ーー試合の総括をお願いします
まず、自分たちが去年も決勝まで来ていたのに勝ちきれなかったというところで、細かいエラーが起きて、昨日もそういうなかで、なんとか勝ち越しましたけど、やっぱり今日は、自分たちのそういう小さいエラーを、しながわは当たり前に突いてきました。そこからなかなか流れを取り戻せなくて、自分たちの足りないところっていうのを、すごく実感するゲームになりました。
ーー今シーズンは新しい監督を迎えましたが、その意図としてどういうチームを目指したのかというところと、1年終えてそれがどこまで達成できたかを教えてください
それに関しては2つあると思います。1つは自分たちの競技の成績というところ。何を目指すかというところでしながわだったり名古屋だったりに毎年いい選手を引き抜かれているし、(バルドラール)浦安も外国籍選手を獲得している。実際に、その浦安が今年は優勝した。優勝を狙う浦安とか名古屋とかしながわといった、資金力もあるクラブに対して、しっかり挑んで優勝争いをしていくっていうのがチームの目指すところだったと思います。それに対してリーグ戦5位というのは、満足できる結果ではないなというところです。全日本も決勝までは行きましたけど、そういうところに勝ちきれない。自分たちが目指すのは準優勝ではなくて優勝なので、勝ちきれないというのは、そういう意味でいうとやっぱり足りなかったなというのが、競技の成績という部分です。
もう一つは、どこまで行ってもプロスポーツなので、「お客さんが入って」というなかで、そこを増やしていく、チームを応援してくれる人を増やす。アスレを応援してくれることで、それ自体が楽しいなと思ってくれるファンの人をどれだけ増やすかっていうところに関しては、今日も見ていただいても、僕ら自身もちょっとびっくりして。いや、こんなに「青い」というか。パッと見、本当に何の感情もなく見ても、うちのファンの方が多いなっていう感覚は受けたと思うんですけど、クラブとしてそういうところはすごく良くなってきている部分なのかなとは思います。
ーーもう少し具体的に、最初、サバスコーチを監督として招いたというところでは、どういうチームを作りたいという狙いがあったのでしょうか?
比嘉さんまでは見ての通り、プロフェッショナルなトップチームをずっとやってきた監督です。それに対して育成を長くやっていたというところで、選手の能力を最大化したり、若い選手がもっともっと活躍するチーム作りっていうのが招いた意味だと思います。
ーーそういう意味では若手の成長が見えた試合ではあったと思いますが?
堂々と戦っていた部分もあると思いますし、チームとしては、それがよく出てるところも多いと思うんですけど、例えば自分たちが1点返して同点?2点差になってっていうところで、そのワンプレー目で(花田)耀祐が入れ替わって決められている。多分、正直ゲームはそこで終わったと思います。それが若い選手を使った代償だと思います。そういうことを考えると、当然いい側面も悪い側面もあるかなと思います。
ーージャッジのところで神経質になって失点がかさんだというところでは、選手の若さが悪く出たかなと見えましたが?
だからそこは僕がマネジメントするべきところでもあったと思います。客観的にこの試合を見たときに、今日のレフェリーがそんなにむちゃくちゃな判定をしていたとは僕は思わないです。よく話も通じるレフェリーでしたし、その中で自分らが必要以上にセンシティブになって流れを持っていかれた。結果、結局そこで2点入ったということを考えると、本当にそこが、若い選手の責任ではなく、総じて今の自分たちの足りない部分なのかなと捉えています。
ーー今シーズンは、3つの大会で優勝チームが全部違うという構図になりましたが、どういった感想を持たれていますか?
名古屋が一番強くてというところがずっとありましたが、名古屋だけじゃなくて力をつけてきたチームがあるので、リーグやフットサル界としては、見てて面白いと思います。ただ、1クラブの側面でいうと、逆にその波というか、そこに乗っていかないと。今までは名古屋を倒せば優勝というものができたけど、今度は名古屋にも勝ってしながわにも勝って浦安にも勝たないと優勝ができない。そのなかで、そのときの順位が低い相手にも当然勝ち点を落とせない。攻略としては難しくなったと思うので、自分らがそのステージにおいていかれないようという危機感は逆に持ってます。
ーー来シーズンに向けて、クラブとして目指すところというのはどう考えていますか?
来年に関しては、より積み上げというところですね。抜けてしまう選手もいますけど、残る選手も当然いるなかで、1年間やってきて、こういうことが起きるというのがある程度わかったと思います。そのなかでより高い順位にいきたいと思いますし、来年だけではなくて、クラブがより、上位の3チーム以外にも、町田も強くて、(バサジィ)大分も強くてっていうなかにポジショニングするためには、今年1年だけ、来年1年だけというのではなくて、積み重ねて。クラブの収益も増やして、プロ選手も増やして外国籍選手も獲得していくというようになっていかないと、そこに行けないと思います。ですから、近い来年のところとその先のところ、両面があるかなと思います。
上村 充哉選手
ーー試合の総括をお願いします
力負け、シンプルに力負けだったと思います。うちは硬い試合で戦っていくしか正直勝ち目はないんですけど、最後、我慢しきれなかったところで、失点したり。立ち向かうだけじゃなくて、やっぱり力勝負ができるようにならないといけないかなって思います。
ーー力勝負というのは、具体的にはどういう意味ですか?
チーム力が上の相手に対して、立ち向かっていくことはメンタリティ的にもできていると思うんですけど、同等とか、自分たちより順位が下の相手に対して、そういう力勝負で勝っていけるようになっていけば、対戦相手が上位になっても臆することなく戦っていけるのではないかと思います。
ーー今シーズンは、新しい監督を迎えましたけど、そういったところで成長などはありましたか?
今シーズンはアラでプレーすることが多かったので、シュートのチャンスは増えてて、そこはいい感じで点が入っているシーンは多かったかなと思います。
ーーパワープレーもほぼ上村選手が決める役割を担っていましたが?
そうですね。そこを決め切らないといけないなと思います。
ーーパワープレーでもシュートチャンスは何度かありましたが?
焦りとかはないですけど、技術的な問題だと思います。
ーー比嘉監督のチームと対戦する、というところで特別な思いや緊張感などは?
いや、特にはないです。
ーー後半の中盤くらいで、ジャッジのところでちょっと神経質になったのかなというシーンがありましたが?
ジャッジについては、レフェリーと話はしますし、誰にでもミスはあるのでしょうがないとは僕は思うんですけど、あそこのバックパスのところ、僕は話をしても納得はいかなかったです。
ーーそこでチーム全体が少し神経質になったように見えましたが?
それでズルズルなったとは言いたくないですけど、そうかもしれない。若い選手も多いので、そういうところも経験していかないといけないのかなと思います。
ーーこの順位は、まったく納得いかない感じですか?
1年頑張ってやってきたけど、決勝の最後に負けて残念だったね、それでもみんなよく頑張ったねっていう美談で終わらせてたらダメだと僕は思ってるんで。もちろん退団する選手、引退する選手が、日頃から試合に出てる出てないに関係なく、前向きにプレーしてくれたから、そこにはもちろん感謝はしてます。ただ、残る選手はこの結果を美談で終わらせちゃダメだし、より自分に向き合って取り組まないといけないなと思います。
ーー今シーズンは、3つの大会で優勝チームが全部違うという構図になって力関係が変わった印象ですが、どのような感想を持たれていますか?
実際に体感をしてても、どのチームも強いし、どのチームも優勝する可能性はあるだろうなって、対戦していても感じます。なんで、自分たちも本当に優勝できるように取り組んでいかないといけないなと思います。
ーー来シーズンに向けてはどのようなことを考えていますか?
今はまだ来シーズンの話をするのは、ちょっと難しいですけど、僕は、プロ意識を持つことはすごく大事だと思います。名古屋とか、しながわみたいに、うちの選手は全員がプロ契約ではないですけど、それでも今日もこうやってたくさんの人がチケットを買って応援をしに来てくれる。スポンサーの方もサポートしてくれる。もうその時点でプロ選手だと思うので、そういう本質的なところをピッチ内でもピッチ外でも、もう少し持つ必要があるかなと思います。