試合

勝点で並ぶチーム対決は、お互い譲らずドロー決着

~フウガドールすみだ VS 立川アスレティックFC~

11月18日(金)、Fリーグディビジョン1は、フウガドールすみだが大田区総合体育館に立川アスレティックFCを迎えて第13節を開催。すみだがホームゲームを大田区総合体育館で開催するのは、3年ぶり。すみだは、このエリアでもフットサルスクールを開催しており、選手たちも指導に携わっている。普段は指導者として接している選手たちの戦いぶりを応援しに、スクール生も多く足を運んだ。

第2クールに入ったリーグは、プレーオフ出場圏内争いも熾烈に。この日対戦するすみだと立川は、勝点は同じ、得失点差で上回る立川が5位、すみだが6位という状況。12節終了時点で3位のペスカドーラ町田には、勝点で3離されていることもあって、どちらにとっても負けられない1戦となっている。得失点で差がついているが、総得点は同じ。攻守、どちらがポイントとなるのかも見どころだ。

どちらも守備からリズムを作ることを大切にして試合に入ると、自陣深くで攻撃をさせないタイトな守備を展開。フィジカルで勝るピヴォを起点に攻撃を組み立てようとするすみだと、ミドルシュートを打ってセットプレーを狙ったり、中盤でのインターセプトから機動力を活かした仕掛けでゴールへの糸口を掴もうとする立川の構図となった。

1stピリオド中盤、立川がボラ選手を送り込んだタイミングでフリーキックを獲得。キッカーに上村充哉選手、中村充選手が立ったが直接打たずに左サイドのボラ選手へパス、1対1を仕掛けたボラ選手が放ったシュートはゴレイロが防ぐが、ゴール前にいた新井裕生選手がこぼれ球に反応して先制。その後はお互い得点できず、立川リードでハーフタイムを迎えた。

2ndピリオドはリードしている立川が攻勢を強めてスタートしたが、17分に立川のコーナーキックのボールを奪ってカウンターを仕掛けたすみだがビッグチャンスを迎える。得点にはならなかったものの、この後も何度かチャンスを作り、このままでは終わらせない意志を示す。実ったのは、残り時間が7分を切った頃。キックインの流れから清水和也選手が起点となって畠山勇気選手にパス。畠山選手はそのパスに走り込んでシュートを決めた。

その後立川は、ファイブファウルとなり、守備への気遣いが必要となるが、3分以上を残した時点で先にパワープレーに移行。とはいえボールがすみだに渡ると、今度はすみだもパワープレーを行うという駆け引きに。時間が経過する中、立川は6つ目のファウルを犯してすみだに第2PKを与えてしまう。しかし、清水和也選手が蹴ったシュートを代わって入ったゴレイロの西滉太選手が止めて、追加点を許さない。その後はお互い得点できないままタイムアップ。負けたくない両チームの戦いは、その気持ちを譲らず、勝点1を分け合う結果となった。

フウガドールすみだ 試合後会見


荻窪孝監督
ーー試合の総括をお願いします
荻窪
大田区総合体育館では3年ぶりの開催だったんですけど、たくさんの方がお越しくださり、スクール生もたくさん来てくれて、かなり盛り上がりましたし、本当に感謝しかありません。その中でしっかり勝ちきって終わりたかったんですけど、立川は代表に入るタレントの多いチームで、前回対戦もそうですけど、自分たちが押し込まれたり、守備の時間が増えるというのは予想していて、苦しいゲームになるということは選手たちにも伝えていました。その中でも守備のところでは、金澤(空)選手だったり、上村(充哉)選手には、そこまで仕事はさせなかったので、非常に良かったなと思います。自分たちにもチャンスはあったので、そこでしっかりゴールをとって、勝ち切れればよかったかなと思います。あとは自分のタイムアウトのタイミングが悪くてゴールしたのにタイムアウトになっちゃったのは、ちょっと選手に申し訳なかったんです。悔しい気持ちもありますが、次につながるゲームだったと思います」

清水誠也選手
清水「今シーズン、(すみだに)移籍してきて、ここでスクールを担当させてもらっていて、普段教えている子ども達や親御さん達がたくさん見に来てくれている試合で、勝ちきれなかったことは、正直一番悔しいと思ってます。何よりも、ポイントが同じチームに対して、こういったゲームを勝っていかなければ、自分たちがもっと上の順位に行くことは難しくなります。もちろん勝点を落とさなかったことはすごくポジティブに捉えていますが、こういった試合を勝点プラス3にしていかないと、自分たちが苦しくなってしまうので、次の(ペスカドーラ)町田戦も同じような順位にいるチームなので、しっかりいい準備をして望んでいきたいと思いますし、今日できたこと、できなかったこと、いろいろ課題がたくさん浮き彫りになったと思うので、そこをどれだけチームで修正していけるかが大事かなと思います」

ーースタメンには清水和也選手を多く使っていると思いますが、今日は誠也選手だった理由を教えてください
荻窪「前回もファーストセットはこのメンバーです。和也が不調だからというわけではなくて。今、誠也のセットはコミュニケーションも多く、練習から非常にまとまってますし、まず自分としては攻撃というよりは守備を主体に考えていて、このセットだったらしっかりスタートで、守備から入っていい流れを作ってくれるというふうに思っていたので起用しました。立川も、代表クラスの選手がスタートに出てきていたので、そういった面ではすごく良かったと思ってます」

ーーゴレイロは、檜山選手を使ったのも守備を考えてですか?
荻窪「彼は怪我をしていたので、ようやく完治したというのもあって前節から引き続き今日も出たという感じですね」

ーー課題が浮き彫りになったと言いましたが、具体的にはどういったところですか?
清水「相手の守備に対して自分たちの攻撃で、3-1でピヴォに対して気持ちよく収めることができなかったことが1つあります。相手がマンツーマンなのか、ゾーンなのかというところで、セットとしての共通認識をもっと持てたかなというのが印象で、そこに対してロングボールだけになるのか、もっとボールを繋いで4人で前進していくのかという決断が、今日は個人的にはあまりよくなかったと思います。悪いことばかりじゃなくて、後半になってからは収まる機会もできましたし、ファウルトラブルで相手がファイブファウルでなかなか激しいプレスができない中で、押し込む時間もありました。ですので、ゴール前に対してどれだけ人数をかけられるのかと、そこに対する自分の落としだったり、シュートのタイミング、バッファの選手を含め、動き出しのタイミングですとか、ゴール前のタイミングというのはもっと改善していかないとと思います。これからまた上位とも当たりますし、同じようにキーパーがいいチームもいますから、そこからゴールをこじ開けるのは簡単じゃないと思うので、誰か1人ではなく、全員がゴールを取る意識が大切かなと思いました」

ーー誠也選手、先ほど自分のところで収まらなかったと話していましたが、押し込んでいた時間帯もありましたし、ご自身のプレー自体は納得できないところですか?
清水「そうですね、結局決めなきゃ名前は残らないですから。そこはずっと自分の中で課題だと思っているので、そこを乗り越えなきゃいけないのと、黒本(ギレルメ)選手はすごくいいキーパーなので、ただシュートを打つだけだと簡単には入らないですし、キャッチされるイメージがあったので、それはいいシュートではないと思っています。そこに対して、セグンドがいるのか、ブラインドがいるのか、はたまたディフェンスの選手に当たって入るのかという、ただ打つだけではなく、打つための工夫というのを個人的には、意識したい。自分も他の選手が打ちそうなときにもっと意識しなければいけないですし、F1では、見えてる状態で打っても入らないと思うので。もちろん強烈な右足を持っている選手であれば、そういった可能性はあると思うんですけど、そういった選手だけじゃないと思うので、例えば、トゥキックで打つとか。試合が終わったあとなんで、なんでも言えるんですけど(笑)、個人的にはもっとシュートのバリエーション、ただ打つだけじゃなくて切り返したりとか、他の選手の上がりを待つとか、そういった決断と技術というのは、もっとあげなきゃいけないかなと思っています。個人的にそれがすごく課題だと思っています」

ーー次節へ向けての抱負をお願いします
荻窪「今日は、引き分けという結果でしたけど、マイナスのイメージというよりは自分たちの守備や攻撃でいいところもあったと思うので、次の町田戦にしっかり勝つということが大事になってくると思います。プレーオフ争いに生き残るためにもチームで必死になって練習から上げてやっていきたいと思っています。サポーターの皆さんも一緒に戦って欲しいので、ぜひ応援よろしくお願いします」

清水「先ほども言ったんですけど、今回のゲームで課題になったところをしっかりと、セットだけではなく登録されている選手全員で、共通の認識を持って各々が前向きに課題に向き合っていかなければならないと思っています。ポイントが同じようなチームに勝つのは難しいですし、何よりも、そういったチームに勝ち切るためには本当にエラーをしないということが大切だと思うので、そのエラーの質というものも見直さなければいけないのかなと思います。それと向き合いながら、全員が特徴を出して一丸となって戦うことで勝利を掴み取ることができると思うので、まずはしっかり休んでから次の町田戦に向けて、また全員で話し合いをしながら、『こうしよう』『ああしよう』というプラスの声をかけながらも、いい準備をして臨みたいと思います。先ほど監督も言いましたが、選手だけでなく、サポーターの方やスタッフ含め、全員で戦っていると思っているので、みんなで同じ方向を向いて頑張りたいと思います」

立川アスレティックFC 試合後会見


比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉
悔しいですね、(中断明け後)(ペスカドーラ)町田戦から勝ち続けて、前節は勝てませんでしたけど、いい試合をしたんです。でも今日の試合は、プレーオフを狙っているチームではないですね。ポテンシャルのあるチームでも、それを毎試合、本番のときに出さないといけない。若くて、経験が少ないところもあるかもしれないですけど、プレーオフに行けるチームになれるように、もっともっと頑張らないといけないです」

上村充哉選手
上村
「今監督も言った通り、チームとしても、個人としても、プレーオフを目指すチームのパフォーマンスではなかったかなと思います。失点も、自分のところで打たれてしまったので、そこは修正しないといけないですし。とはいえ、勝点1を取れたことは、ポジティブではないかもしれないですけど、前半戦はここで2敗しているので(浦安戦、すみだ戦)、この2戦の勝ち点2、あと浦安とフウガの勝点2があってよかった、ここで負けなくてよかったなと思えるように、ここから勝ってプレーオフに行きたいと思います」

ーープレーオフに相応しくないと言っていたが、どういったところが相応しくないと感じたのか?
比嘉
「ボールが持てなかったです。相手のディフェンスに対して、ちょっと逃げてしまった。プレッシャーがあっても、それに対してプレーしないといけないです。そのために練習しているのに、セーフティにしすぎました。自分たちは、相手のディフェンスが変わるのを読みながら、どのタイミングで止まるとか、どのタイミングでワンツーとか、どのタイミングでパラレラとかといったすべてを練習している。相手がアクションしたら、自分たちはリアクションしなければいけない。でもボールを持つ時間が少なかったので、リズムが作れなかった。前半も点は取れたけど、チャンスは少なかったと思っています」

ーー監督が言っていたことは、ピッチの中でも感じましたか?
上村
「セーフティすぎたと監督が言ったことは、まさに個人的にも感じていました。あとは今日、ベンチもバタバタしていたので、そこを収められなかった。試合が始まってから最後まで、全体的にいつもよりバタバタしながら進んでたかなっていう感じがするので。さっきも言いましたけど、この勝点2が必要だったと言えるように、来週からまたがんばります」

ーーボラ選手が長い時間プレーしていましたが、コンディションは戻ってきましたか?
比嘉
「コンディション的にはまだ、100%じゃないです。ただ相手のフィクソは身体も強かったので、ちょっとずつポイントになるところでは使っていきたいと考えました。パワープレーも今日は、皆本(晃)選手が出られるコンディションじゃなかったので。でも、チャンスも作ってくれたし、良くやってくれたと思います。もう少しフィジカルを上げて、ちょっとずつでも長い時間プレーできるようになって欲しいと思っています」

ーー第2PKの局面は西選手が出場しましたが、その狙いとしっかり止めてくれたことについての評価は?
比嘉
「西(滉太)選手は、練習のときから第2PKのキッカーの読みもうまくできるし、よく止めてくれるので、第2PKになったら西で行くと決めています。プレーオフを目指しているのにパフォーマンスが悪くて、ファウルを取られたけど、それがプラスになりましたね。出場機会は少ないですけど、練習からすごく頑張っています。試合が終わってから1人で練習しているのは、みなさんご存知だと思います。経験を積ませるのは、自分の仕事だし、そのために出場する時間を作るのも自分の仕事です。西のためじゃなくて、西がチームのためにやってくれたことがすごくポジティブなポイントでした」

ーー次節への抱負をお願いします
比嘉
「先週は浦安、今日はすみだ、来週は湘南(ベルマーレ)、プレーオフをかけた直接対決が続いていきます。来週はホームゲームだし、勝ちきれるよう、今日足りなかったところをしっかり修正して、勝点3を取りにいきたいと思います」

上村「本当に勝てるように。次に勝てばこの引き分けが意味があるものになると思うので、来週は頑張って何がなんでも勝ちたいと思います」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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