~湘南ベルマーレ VS シュライカー大阪~
11月19日(土)、Fリーグディビジョン1第13節が開催され、湘南ベルマーレはホーム・小田原アリーナにシュライカー大阪を迎えた。前回対戦は、大阪ホームで2-2の引き分け。上位を狙うのであれば、2度同じ相手と対戦するリーグの中で、せめて勝ち越すことが必要だ。
プレーオフ出場争いは、現状3位を狙うグループの争いが熾烈になりつつある。単独3位のペスカドーラ町田を勝点3差で追いかける湘南は、これ以上負けるわけにはいかない。対する大阪は、ケガ人や出場停止などもあってベストメンバーでの戦いがなかなかできず、9位と苦しんでいる。
湘南のトップスコアラー、堀内迪弥選手は昨シーズン大阪に在籍していた古巣対戦。ファーストセットに名を連ねた。大阪は齋藤日向選手、加藤未渚実選手が前節から復帰。加藤(未)選手はファーストセットからの出場となった。
序盤、最初にチャンスを演出したのは、大阪。右サイドから計盛良太選手がファーポストに陣取る加藤翼選手へパス。湘南のフィウーザ選手が防いだが、大阪にとって惜しいシーンから試合は始まった。しかし、堀内選手を前線の起点に、縦に速い湘南が徐々にリズムを作り、攻勢を強めていく。本田真琉虎洲選手とロドリゴ選手のホットラインが機能し始めると、3分を待たずに本田選手が得点を決めて先制。6分には、フィウーザ選手からの前線へのフィードを堀内選手が落として内村俊太選手が決めて2-0とした。
早い時間帯に失点が続いた大阪は、タイムアウトを取得。落ち着きを取り戻すと、湘南の守備の連携の乱れを突いて計盛選手が得点、1点差に迫った。終盤に大阪は、絶好の位置でフリーキックのチャンスを獲得し、見事なサインプレーで枠内に蹴り込むが、フィウーザ選手がファインセーブ。すると今度は湘南がキックインからシュートへ。ゴレイロが弾いたボールが津田京一郎選手に当たってゴールに入って得点となり、リードを広げた。
2ndピリオドも先制したのは湘南。中盤で奪ったボールを本田選手がゴール前に送り、走り込んだロドリゴ選手が決めた。とはいえ大阪も攻撃の形を作り、シュートまで持ち込む。しかし、ぎりぎりのところでフィウーザ選手に阻まれるシーンが多く、得点までは至らない。両者得点が入らないまま時間が過ぎると、カウンターからコーナーキックを得た湘南がデザインされたプレーを見せて、堀内選手がゴール。恩返し弾を決めた。
得点差が開いた大阪は、9分以上を残してパワープレーをスタート。しかし、直後にパワープレー返しのロングシュートを再び本田選手が決めて6-1に。それでも大阪は、湘南の守備陣形に合わせてパワープレーの形を変えたり、ボール保持によっては通常のセットで攻撃を仕掛けたりとらしさを発揮し、30秒を残したところで野村悠翔選手が得点、意地を見せた。大阪は、シュート数で湘南を10本上回る攻撃力を見せたが、フィウーザ選手の活躍もあって決めきることができず2得点にとどまった。
湘南ベルマーレ 試合後会見
伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「今日も本当にたくさんの方々に応援に来ていただき、ありがとうございました。先週今週とホームでしたが、先週は負けてはいないですけど勝ちゲームを落としたような、今週のトレーニングは、そういう雰囲気があったんですけど、今日に向けて、ゲーム内容は良かったし、まだ終わってないしということで、ゲームを最後に締めるところに注力してトレーニングしました。その結果、前半のうちに先制できましたし、先制している試合は全試合負けてないんですね、それもみんなもわかっているところで、ゲームが進みました。ただ2点取ったあとの1失点、先週もそうでしたし、あそこは改善が必要なところだなと思います。ただ、追加点を重ねられたことは非常に良かったと思いますし、取るべき選手が取ることによって、チームの雰囲気も上がりました。最後のところ、大阪さんはやっぱりパワープレーなど、戦術的なところは得意ですが、そこに対してもみんなでしっかりと守備ができたかなと思います」
フィウーザ選手
フィウーザ「皆さん、こんにちは。今日は、よかった、うれしいです。みんなうれしいです。今日の試合、めっちゃ大事ね。だけど今日はみんな40分間強い気持ちを持って、ゴールを決めて、40分間ディフェンスも強くできました。次の立川戦は、もっともっと大事です。頑張って、来週も勝ちましょう」
ーー前回対戦は引き分けでしたが、そこからの大阪の変化は何か感じられましたか?
伊久間「ピヴォの相井(忍)選手がいなかったんですけど、ベテランの役割は結構重要だったりするので、そういうところがちょっと。おそらくうちが得点を重ねたときに、今、フィウーザが強い気持ちと言ってましたけど、そこでうちの方が上回れたのではないかなというところ。もちろんうちはホームだし、前回対戦は我々はアウェイでしたので、向こうの気持ちが強かったというところはあると思いますが。あとは大阪さんのゴールキーパー攻撃、高見(政顕)選手がいなかったので、それがなかった分、我々の受けるストレスは少なかったという印象ですかね」
ーー前節の北九州戦では、パワープレーの守備で失点したが、今の試合はパワープレーの守備では失点していません。時間は長かったが、どのように修正したのですか?
伊久間「先週が決して悪かったわけではなくて、やっぱり一瞬でやられてしまうのがこの部分だったりします。ですから、システムエラーというよりは自信ですね、最後の自信をどう作るかというところが重要だったので、今週のトレーニングではパワープレーディフェンスのセッションを多くやりました。大阪さんとはいつもロースコアを想定しているので、9分以上残っている時間帯からパワープレーをされる想定はなかったんですけど、先週の経験から、マイボールになったときのセットの交代など、そうした準備が必要だなというところでそういった練習をして、それがうまくできたかなと思います」
ーー前節悪い内容ではないものの引き分けだったということで、今日は9分以上パワープレーがあり、底の選手を変えたり、さらに通常の攻撃を挟んだりしながら仕掛けてきましたが、最後30秒で1失点はありましたけど、4点差で勝利しています。自信やメンタル以外の部分で勝った要因はどんなところにあると考えていますか?
伊久間「相手が大阪さんだけではなく、パワープレーされると不安というのが今のうちの心情であるというところで、選手たちもやっぱり安心材料が増えれば増えるほど、自信を持ってやれる。その自信というのは準備だったり、経験だったりによるもので、そこの部分を戦術的なものとして、そのセットを用意することによってみんなの安心感が出ると思います。
あとは負け、引き分け、と来ていて、そこも不安材料だと思うんですけど、そのときに何ができるか。戦術的な準備もして、あとはベンチからポジティブな声をかけようと、そういう話を全員にしました。試合中にミスはありますけど、ミスのゲームなんで、ミス1個1個にこう、良くないときはそこにフォーカスしちゃうんですけど、それはあるものとして、みんなでポジティブな声をかけていこうというのを、それを全員がやってくれました。そのために9分間パワープレーされたとしても、みんなで声をかけて、準備したものをやり切れたんじゃないかなと思います。最後の失点に関しては、いただけないですけど、パワープレーで失点したわけじゃないですし、あそこはちゃんと締めるべきだったよねというのは最後にみんなで話もしましたし。そんなところかなと思います」
ーー本田選手が先週のゲームでも得点、今日も2得点とアシストと調子が上がってきているようだが、期待しているところは?
伊久間「もともと力のある選手で、開幕前にケガをしてしまって、(バルドラール)浦安戦から復帰して、まだ調子は戻ってないですけど。ジャッピがいないということは、戦力が大幅ダウンという状況で始まった中で、みんな頑張ってきました。ここ2試合、ジャッピのコンディションがすごく良くなってきて、彼のプレーというのは、チャンスがあればきっちり決めてくれる選手なんで、本当に助かるなというのと、今後、不安材料がどんどんなくなっていく。ジャッピが取ってくれて、みんなの気持ちは上がっていく、という部分。技術的なところで言えば、前でしっかり収められるところと、カウンターのときのパスとかがすごく上手。自分が決めるのもそうですけど、決めさせるのも上手なんで、その攻撃の部分への期待。もちろん守備もできますけど、そこのところを今後も継続してもらいたいなと思います」
ーープレーオフに出場するための争いの中で、だいぶ勝点が詰まっていますが、今後どのような展望を持っているか教えてください
伊久間「前にも話していますが、昨年度の成績からの選手の心情として、引き分けたら痛いという状況ですけど、そこを乗り越えなければいけないということ。まずはどんなことがあっても前に進んでいく、成長していくということがメインになっています。今後のFリーグに関しては、他のチームの対戦というのは当然気になるところではありますけど、我々が自分たちのゲームをして、勝っていればちゃんと締められる、負けていれば追いついて逆転できるようなものをやっていかなければ、名古屋に勝つということは難しい。ですから、本当に1試合1試合、改善だったり、成長にフォーカスしてやると。ただ、今日勝ったことによって順位が上がるというモチベーションは選手にも当然あります。来週対戦する立川(アスレティックFC)さんは今、非常に調子がいいですし、今日の勝利があるからそことどう戦うかということに向き合えると思うので、1試合1試合ですけど、そういう気持ちで戦えればいいかなと思っています」
ーー今日、谷選手(Jリーグ:湘南ベルマーレ)が来てくれましたが?
フィウーザ「谷選手、うれしいね。だけど、谷選手は、フットサルのルール、ちょっとわからないね。だけどいいね、楽しかった。谷さん、いつもきて欲しい(笑)」
フィウーザ選手と谷選手のPK対決
https://www.youtube.com/watch?v=ZjCtAlZ76wA
堀内迪弥選手
ーー今日の試合を全体的に振り返っての感想と、良かった点、課題を感じた点を教えてください
堀内「勝てて良かったなというのが率直な感想です。良かったところは、戦術的な細かいところよりも、ここ2試合勝ち切れてなくて、チームでもちょっと失点したり、うまくいかないことがあったら、チームが興奮しちゃうというか、全体がそういう雰囲気になって、冷静にプレーできないということがありました。それを先週のトレーニングが始まるときに改善していこうとみんなで決めて、今日、2点リードしていて1点追いつかれたときに、誰もチームを悪く言ったり、そういう雰囲気を出す選手がいなくて、そういう面でやろうとしていたことができて良かったと思っています。課題は、最後、やっぱり失点してしまったところ。結構、点数は離れていたんですけど、リーグ戦は得失点差も絡んでくるので、最後の失点はもったいなかったかなというところですね」
ーー勝てて良かったというのは、大阪の圧力みたいなものも感じていたんですか?
堀内「大阪の圧力というより、ここ最近、勝ち切れない、決め切れない、守り切れない、っていうことが多かったので、そこをチームとして乗り越えられたというのが良かったなと思います」
ーー古巣との対戦でしたが、どういった思いがありましたか?
堀内「僕、あんまり意識しすぎると、めちゃくちゃ感情入っちゃうんですよね。以前、僕が大阪から(ヴォスクオーレ)仙台に移籍して、仙台で古巣対決したとき、当時、ホセ(・フェルナンデス)監督だったんですけど、僕があまりにも興奮してプレーしていたんで、『お前はもう古巣対戦では使わない』と言われたことがあったので、その辺はあまり意識しすぎないように、いつも通りに試合に臨もうと思って、やるべきことをしっかりやろうというふうに考えてやってました」
ーーとはいえ、気持ちが入ってるなという印象でしたが?
堀内「ゴール決めたあとは、やっぱりね、出てきましたね、思わず(笑)」
ーー対戦して楽しかった選手はいますか?
堀内「田村(友貴)とマッチアップすることが多かったんですけど、やっぱり経験もあるし、プライベートでも仲良いので、ピッチの中で対戦できるのは楽しかったですね。良かったです」
ーー田村選手も楽しかったといってました
堀内「本当ですか?(笑) 好きなんですよ、あいつは。地元も近いし、フットサルを始めたタイミングも割と近くて、日頃から連絡を取り合ったりしています」
ーー先ほど失点後も誰も悪く言わなかったという話をしていたが、大阪の田村選手は1点取った後に流れが掴めなかったと言っていました。セットの変更も含めて、この1週間の取り組みがうまくいったということでしょうか?
堀内「セットはおそらく変わってないのですが、前節パワープレーで残り30秒で追いつかれたので、パワープレーを仕掛けられたときのディフェンスのメンバーと、交代して攻撃で時間を稼ぐメンバーをはっきりすることは監督からも言われていて。誰と誰が絶対に交代するということを徹底して、チームとして不安がないような取り組みをしました」
ーー髪の毛の色は?
堀内「この意味としてはベルマーレに染まりたいというところと、あとは見て誰でも見分けがつくようにっていうところで、自分の子どもが1歳9カ月になるんですけど、遠くからでもわかるかなと思って。覚えてもらうというのが一番なんですけど」
ーー本田選手の調子が上がってきていて、今日もシュートは2本しか打ってないのに、2得点ですが、選手から見て本田選手はどんな選手ですか?
堀内「彼の基礎力というか、基礎力やな、素晴らしいですね。僕、湘南に来る前からいい選手やなと、『なんか点をとる」『なんかそこにいる』で、しっかり決め切るっていうイメージがあったんですけど、派手なプレーはそんなにないと思うんですけど、大事なところで結果を残し続けているし、すごいなって。今日もジャッピに終わってから『すごいね』って言っちゃいました」
シュライカー大阪 試合後会見
永井義文監督
ーー試合全体を振り返っての感想をお願いします
永井「湘南さんのこのホームでの試合には、クラブ全体として素晴らしいものがあったと思いますので、まず、彼らに『おめでとう』というところです。自分たちのところでいうと、自分たちも今、『じゃあ何もできなかったのか』というとそういうわけではないし、やれるところはやれたと思います。ピッチにいる選手たちが一番悔しいと思うので、その選手たちにそういう思いをさせたところに自分は責任を感じている、そういうゲームでした」
田村友貴選手
田村「敗戦が続く中で、1試合1試合全力でやるというところ、まずスタートからやっていこうと思ったんですけど、失点が続いて、それでも1点返して流れがきたかなと思ったところで、相手の攻撃を自分たちがしっかり守りきれなかったところが負けた要因かなと思います」
ーー前回対戦は引き分けでしたが、そこからの湘南の変化は何か感じられましたか?
永井「チームとクラブという単位で考えると、クラブ全体をみたときに、クラブの勢いというものを感じます。もちろんチームもそうですけど、クラブ全体の勢いを、オンザピッチ、オフザピッチ含めてそこは感じています。オンザピッチでいうと、3-1というシステム、その機能性というのは、個人もグループも上がってきているかなと思っています。以前は4-0システム多くを使っていた時期もありましたけども、ここは3-1を軸として、しっかりできてるなと印象を受けています」
ーーケガ人などでなかなかベストメンバーが揃わない中、前節から齋藤日向選手、加藤未渚実選手が復帰しました。コンディション的にはこれからだと思うが、今後に向けてどんな戦い方をしていきたいと考えているか教えてください
永井「彼らが戻ってくることで、自分たちが勝てていたときのセットが戻ってくるので、そこで見せていたプレーの時間をより長くしていきたいと考えています。コンディションの部分があって、2セット構成で40分のうちの20分をフルに戦うということは難しいが、コンディションが戻ってきて、そこのセットが固まってくれば、もう一方のセットも固まりやすくなってくるので、より時間が経てば自分たちのフットサルというのを皆さんにお届けできるかなと思います。それは何かといったら、もう少し人とボールを循環させた、そういう攻撃が見せられて、守備のところも相手コートでボールを奪ったりとか、そういうシーンが増やせられるのではないかなと思っています」
ーーシュート数は、大阪の方が10本以上多いし、攻めている時間帯もチャンスもあったと思うが、少ない本数を決め切った湘南が勝っています。今後、決め切るところへの取り組みはどのようにされますか?
永井「中断期間にそこの数字のデータは、全チーム出していて、自分たちはシュート本数でいうと4番目でした。ベスト5の中でシュート本数と順位が比例していないのが我々だけだったので、我々と他チームと何が違うのかというところの比較から始めました。やはりキーパーに対して2対1を作るというところは、今取り組んでいますけど、より試合の中でもそういう意識とアグレッシブさを持って、また、そこに対して入っていくことはやはり勇気がいりますし、ボールを取られた戻らなくちゃいけないですけど、そこをもう少し勇敢に。やろうとしていることはやろうとしているので、それは継続してやる。あとは試合に入ったときの勇敢さを、彼らにもう少し持たせることが大事かなと思います。練習の中身自体は、今やっているところ、戦術的なところは取り組めてはいますし、(シュート)本数も出ていますしね。キーパーに対して2対1というのは、練習でも継続してやっていきます」
ーーパワープレーを始めてから一度そのセットを下げて、指示を出していましたが、湘南の守備に合わせた攻撃に修正したということですか?
永井「そうですね、1番の大枠で言うとそういうところですかね。もちろんコンディションとか様々な側面は絡んでいますけど、大筋はそういうことです」
ーーパワープレーの狙いは?
永井「相手の守備の形が前回の試合と変わっていたので、そこに対する自分たちの手段というか、配置だったりを変えたということです」
ーー1点返したときに、流れが来るかと思ったが守りきれなかったとおっしゃっていたが、湘南の攻撃の印象は?
田村「そうですね、とにかく前に速くて、しっかりフィウーザが止めて、そこからの展開というのが速くて。背後を恐れずに前に前に出てくるところで、自分たちの切り替えの遅さだったり、相手の良さがより出てしまって、失点につながったかなと思います」
ーー田村選手は、堀内選手とマッチアップする時間が長かったが、どんな印象でしたか?
田村「そうですね、昔からよく知っている仲なので、バチバチにやりあっていたんですけど。やっぱり両足打てるし、前での怖さがありました。そこはしっかりどっちにも対応しながらやっていこうと思ったんですけど、何本かシュートを打たれて、ピンチなシーンがあったので。でも彼との対戦は、本当に楽しかったです」
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