試合

パワープレー返しで3得点、開幕戦は幸先よく北海道が勝利

~ペスカドーラ町田 VS エスポラーダ北海道~

6月18日(土)、Fリーグが開幕、昨シーズンを3位で終えたペスカドーラ町田は、ホームの町田市総合体育館にエスポラーダ北海道を迎え、リーグ初戦を戦った。

ホーム町田は、リーグ開幕前に行われたオーシャンカップで決勝ラウンドまで進み、3位を獲得。経験値を上げてこの一戦を迎えている。一方の北海道は、1回戦で敗退。しかも昨シーズンのリーグ戦も3勝したのみ。入れ替え戦は免れたが、昨シーズンと同じ轍は踏みたくないという思いを強くして臨む開幕戦となった。その中で北海道に一つ有利なポイントといえば、北海道が昨シーズンに上げた3勝のうち2勝は町田を破って得た勝利だということ。実は、波乱の予感を秘めた対戦だった。

試合は早々に動く。北海道のキャプテンで、以前町田に在籍した室田祐希選手が左サイドを破って開始18秒で得点。町田から見ると、オーシャンカップから続く試合が始まって間もない時間帯での失点となった。その後も北海道が前からのプレスとインターセプトで攻勢をかける展開。町田の守備の連携が乱れたところで5分に仁科佑太選手が得点し、リードを2点に広げた。その後、町田はタイムアウトを取って流れを変える。自分たちのリズムを掴んだ中で得たセットプレーでヴィニシウス選手が得点。1点差に迫った。しかし、守備の出足で一歩優ったのは北海道。町田のミスで流れたボールを室田選手が拾ってゴール前に運び、逆サイドの水上玄太選手へ。そのまま流し込んで突き放した。町田も気落ちせずに攻めて倉科亮佑選手が決めて1点差でハーフタイムを迎えた。

2ndピリオド、再び早々に得点したのは北海道。前への意識が高く、積極的に奪いにいく守備からこぼれたボールを室田選手に繋ぐと、そのままゴール前まで運び、立ちはだかるフィクソとゴレイロの股を抜いてゴールを決めた。2点差がついた町田は、自分たちのリズムを取り戻すべくゲームを進めるがシュートまで持ち込んでも得点までは至らず、5分を残したところでパワープレーを開始する。しかし、町田の甲斐監督が「向こうは簡単に決まる」と試合後に語ったように、北海道はパワープレー返しのシュートがきれいにゴールに吸い込まれていくシーンが続いた。それでもラスト1分を切ったところで野村啓介選手が得点。なんとか次節へ繋ぐ意地を見せた。

試合は、3対7で北海道が勝利。今季のリーグ戦も一筋縄ではいかないことを証明するような試合となった。

試合後会見


ペスカドーラ町田 甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐
お疲れ様です。
そうですね、ちょっと最初の入り方が悪くて、難しいゲームになってしまいました。前半はできる限り修正して、後半に繋がる形で終えられたんですけど、ハーフタイムで話していた後半の入り方と進め方ということに対しての内容が、すぐに壊れてしまって、4対2になったので、そこで選手たちもちょっと動揺したところもあったと思います。その後も前半と同じように効果的にシュートまでいくシーンは作れていたと思うんですけど、なかなか点を決め切ることができなかったので、なかなか思い通りにいかない、難しいゲームでした。

パワープレーは3点を取る必要があったので5分くらいをみていたんですけど、それも踏まえて、通常のゲームで点が入らないことが継続して、逆に向こうはパワープレー返しが簡単に決まってしまうという、今日はもうそう日なんだなと解釈して、ゲームは終わりました。ただ、これだけのお客さんが集まってくれているので、選手たちにも、最後の1秒まで1点でも多く取るように、諦めずに戦おうと言いました。それでも1点しか取れなかったんですけど、長いリーグ戦の中ではそういう時もあると思うので、これからしっかり修正して、次の試合の準備をしたいと思います」

伊藤圭汰選手
伊藤
「お疲れ様です。
試合の入りが悪くて、すぐに失点してしまって、(交代で入った)僕らのセットも失点してしまって、2点リードの試合は難しくなるので、そこはやっぱり試合の入りから修正していかないといけないと思います。後半も『行こう』という気持ちの中でまた失点してしまって、そういうゲームの運び方はずっと僕らの課題だと思います。勝つチームというのは、途中で負けていても試合をひっくり返せると思う。僕らもその力はあると思うので、連続失点しないようなゲームの運び方をしていきたいなという思いはあります。今日は本当にシュートが入らなかったですし、相手のシュートはたくさん入りましたけど、そういう日だと思って切り替えて、これから本当に頑張るしかないなと思います」

ーー今シーズンのチームづくりと、目標について教えてください
甲斐
選手が何人も変わったりしたので、また新しいスタートになるんですけど、これまでの3年間で積み上げてきたものと、選手一人ひとりの特徴と言いますか、タレントをしっかり発揮させられるような、そういうチームにしていけたらなと思っています。

プレーモデルとかゲームモデルとかということはいろいろありますけど、僕は選手が一番力を発揮できるスタイルを、どうやってアジャストするかということが大事だと思っているので、システムとしてクワトロをやるとか、3-1をやるとか、そういう形ではなくて、試合に出ているセットだったり、出ている選手たちが特徴を活かせるような戦い方をして、結果にしっかりこだわりたいなと思っています。

目標というのは、我々だけじゃなくて、どのチームも優勝を目指していると思うんですけど、今は始まって試合をこなす上で、先のことは分かりませんけど、もちろん我々も、一つでも多く勝って、プレーオフを目指して、やっていきたいと思っています」

ーーオーシャンカップから開始早々の失点が続いているが、その辺りはどのように考えていますか?
甲斐
「そうですね、そこは経験値だったり、例えば今日はFリーグのスタートの1節目だったり、お客さんもいたりして、選手たちも浮足だったりしたところも少なからずあって、僕が本来こうだろうと思う姿ではなかったりしました。そこら辺の経験値のなさとか、自分たちのゲームコントロールのレベルというところについては、これからの課題かなと思っています。技術的に戦術的にというよりは、メンタルコントロールだったり、入りのところに関してもそういった原因かなと思っています」

伊藤「やっぱり試合の入りは、いくら経験していても難しいものがあって、僕も何回もスタメンで出ていますけど、相手のやり方だったり、僕らの動きだったりっていうのを少し落ち着いて、俯瞰してみられるようにならないと、やっぱり難しくなってしまうと思います。みんなが落ち着いてプレーできれば、もっと良くなると思うので、若い選手が多いですけど、経験を積みながら、失点しないようにしていきたいなと思います」

エスポラーダ北海道 金井一哉監督
ーー試合の総括をお願いします
金井
本日もコロナ禍の中、多くのお客様に来ていただき、またこのゲームを運営していただいたすべての方に感謝申し上げたいと思います。

今シーズンの開幕ということで、非常に難しいゲームということは想定しながらチーム一丸となって戦って、勝利できたことは非常によかったんじゃないかなとは思います。その中で、隣にいる室田キャプテンを中心に、全員がハードワークできたことはすごくプラスになります。まだまだこれからシーズンが続いていきますので、できたことできなかったことをしっかり整理して、また次節に向けて準備していきたいと思います。本日はありがとうございました」

室田祐希選手
室田
監督も言った通り、いろんな人の協力で今シーズンも開幕できたと思っているので、まずそこに本当に感謝して、プレーしたいと思っています。

今日の試合は、いい時間帯に先制点が取れて、そのあともエスポラーダには珍しく、こんなにゴールが入ったので、ゲーム運びとしてはすごくよかったのかなと思います。ただ、もったいない失点も多かったので、次節に向けてそこは調整していきたいなと思います」

ーー昨シーズン終盤は苦しい試合が多かったが、今シーズンはどういうチーム作りを行っているのか、目標についても教えてください
金井
1つ目がチーム作りですね。昨シーズンの振り返りからもそうですけど、特に今年はまず自分たちのアイデンティティの部分、なんのためにフットサルをやっているのかとか、自分たちのスタイルというもの、これは戦術などではなく、自分たちは最後の0秒まで戦って、観ている人の心を揺さぶるプレーをする、そして勝つというのが北海道スタイルだと思っています。まずそういうところからしっかり頭に入れて、日々過ごすこと、あとは取組の中でもやっぱりしっかり日本一を目指すというところで、普段のプレーから練習からどう心がけていくのかというところは、非常に取り組んでいるかなとは思います。

戦術的なことで言えば、攻守に渡ってアグレッシブにやっていかなければいけないというのは、その上にあるのかなと思っているので、まずはその自分たちのスタイルというものをシーズン通して、どんな状況でもやり続けられる、そういうチームを目指していきたいなと思っています。

順位に関しては、本当に僕らは下からのスタートなので、すべてがチャレンジャーとして本当に1つでも上にというのが現実的ですけど、やはりプレーオフが再開するということで、ここはしっかり狙っていきたいと思っています。まずはレギュラーシーズンで3位というところで、争えるところの順位を目指したいなと思います」

ーー古巣の町田で開幕を迎えることについては、どういった思いがありますか?
室田
「5年間お世話になったチームなので、応援してくれる方が観に来てくれたりといったことがあるので、自分的には楽しみな試合でした」

ーーそれがプレーに出た感じですか?
室田
「そうですね、昨シーズンは全然点が取れなかったんですけど、取れるときには取れるんだなと思っているんで、そこはなんも考えないようにしています」

ーー昨シーズンのホーム開幕戦も同じカードで、展開も同じような感じだったと思いますが、今シーズンの町田について、昨シーズンと比べて何か違う点など、印象を教えてください
室田
「監督も変わったので、その中の事情、戦術などはわからないですけど、でもやっぱり対戦していて、本当にイヤな選手も多いですし、若い選手もすごく育っていて、僕がいた頃よりずっとずっと上手くなっていると思います。去年と変わったというか、僕的には結構、イヤでしたけどね。自分の良さのドリブルも消されていたので、その面に関してはやりにくかったかなと思います」

ーー今年はキャプテンとして対戦したが、去年と気持ちの面で違いはありましたか?
室田
「いや、そこまで大きくは変わらないですけど、そうですね、楽しんでプレーするということは忘れないようにしているので、キャプテンになったからどうのというよりは、一人の選手として楽しんでプレーするように心がけています」

ーー4点差がついていて逆転されることはまずないという中、残り1分数秒というところでタイムアウトを取ったが、失点の形などの修正でのタイムアウト取得だったのでしょうか?
金井
「確かに4点差というのは、安全だと言えど、あと1分の中でじゃあキックオフから例えばバックパスからそのまま奪われて失点、2失点目となると、すごくゲームが難しくなる可能性はあると思います。正直僕は、勝利から遠ざかっていた時間もなかなか長かったので、そこで自分たちがキックオフから何をするか、守備はそんなに間違っていなかったので、今のままでまずは守備をやりながらみんなで戦おうという最終的な確認を、あのタイムアウトではしました」

ーーオーシャンカップが久しぶりの公式戦で、チーム作りの難しさはあったと思うが、そのあと、開幕まではどのように過ごしたのでしょうか?
金井
「オーシャンカップの後に、少し残って、トレーニングマッチを少しさせてもらって、そこでFリーグのスピードだったり強度というのを改めて確認できたことはすごくプラスだったと思います。その後のトレーニングは、自分たちでやるしかないので。その中でとにかく強度を上げよう上げようというところを言い続けて今日に臨んだので、自分たちが少しでもそこに近づけることができたのかなとは思っています」

ーーご自身の2点目のショートカウンターは、ダブルの股抜きで入ったんですけど、あれは狙ったのでしょうか?
室田
「一人目のディフェンスの股は狙ってましたけど、キーパーまでは全然。でも股を抜けたら入るんだろうなと思っていました、ブラインドだったので」

ーー水上選手の得点のアシストは?
室田
「あれは狙ってます」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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