試合

金曜夜の東京ダービーは逆転ですみだが勝利

~フウガドールすみだ VS ペスカドーラ町田~

10月22日、金曜日の夜に開催されたのはFリーグディビジョン1第10節フウガドールすみだ VS ペスカドーラ町田の東京ダービー。緊急事態宣言が明けたこともあり、仕事や学校を終えて駆けつけたと見える両チームのサポーターの表情は明るく、負けられないという思いはありながらも好きなチームを応援できる楽しみにあふれていた。特にすみだは、久しぶりのホームゲーム。選手を迎えるアリーナは、期待感に満ちて、いい雰囲気を作り出していた。

1stピリオド序盤、攻勢をかけたのは町田だった。高い位置からのプレスと積極的な攻めの姿勢を見せて開始早々の2分に毛利元亮選手が先制ゴールを決める。出鼻を挫かれたすみだも素早く体制を立て直し攻撃を仕掛けるが、枠をとらえた鋭いシュートをイゴール選手がことごとく弾き返し得点を奪えない。若いチームの町田の勢いとベテランが要所を締めてしたたかに戦うすみだという攻防のなか、16分に再び町田が得点。左サイドからの仕掛けから倉科亮佑選手がゴールを決めた。しかし、2点差に動じることがなかったのがすみだ。右サイドから仕掛けてシュートまで持ち込み、逆サイドに詰めていた岡村康平選手がこぼれ球をすかさず押し込んで1点差に押し戻した。

2ndピリオドも先に得点を奪ったのは町田。自陣で奪ったボールを素早く運んでシュート、ゴレイロが弾いたボールを山中翔斗選手が体を張ってゴールに押し込んだ。しかし流れを引き寄せていたすみだは、慌てずに攻撃を組み立ててチャンスを作る。30分には右サイドからの折り返しを中央で受けた宮崎曉選手が決めて再び1点差に。熱い攻防にアリーナの空気はヒートアップし、太鼓と拍手でホームチームを後押しする。その後もすみだがゲームのイニシアチブを握って押し気味に進め、32分に畠山勇気選手が同点ゴールを決める。さらにすみだの勢いは止まらず36分に左サイドからの仕掛けを再び畠山選手が決めて逆転。町田はパワープレーを試みたが、得点することができずタイムアップを迎えた。

試合の消化数に差はあるものの、試合前の順位はすみだが4位、町田が5位の上位対決。お互い負けられないという強い思いが内容に反映された戦いとなった。勝利したすみだは4位をキープ、町田はY.S.C.C.横浜に抜かれて6位に順位を下げることとなった。

試合後会見


フウガドールすみだ 荻窪孝監督
ーー試合の総括をお願いします
荻窪
「序盤で自分たちが先に失点をしてしまったので、プラン的にはより難しい試合になっちゃったなと思ったんですけど、よくイゴール相手に4点取れたなというのが正直な感想です。正直4点取るということは自分でもあまりイメージできてなかったし、しかもシステム攻撃で取れたというのは、中断期間に取り組んできた部分でもあるので、非常に良かったなと思っています」

ーー話にあったシステム攻撃とは?
荻窪
「1つ言い忘れたんですけど、プレス回避のところもクアトロ4枚のところもチャレンジしていて、そこから押し上がったところでピヴォ攻撃をしていくというふうに取り組んでいたんですけど、それによってピヴォのところのミスマッチとか、起きたところで自分たちがどんどん勝負していこうという話もしていたので、最終的にはピヴォを使ってフィニッシュまで行くっていうところと、アイソレーションからセグンドで合わせるっていうところ、今までセグンドになかなか人がいなくて、セグンドからのゴールというのが去年はすごく少なかったんですけど、今季はこれで3点か4点目くらい取っていると思うので、そのへんが今日はより出ていて良かったと思います」

ーー前半の入りが良くなかった理由は?
荻窪
「そうですね、雰囲気は良かったんですけどね、ふわふわしているとか集中してないとか、そういう感じではなかったので、僕もタイムアウトとか取らなかったんですけど、単純に元亮(毛利選手)のシュートが良かったと思いますし、向こうもやっぱり若い選手で勢いがあるので、あの時間帯はちょっと向こうに持っていかれてしまったかなという感じでした。でもプランとしては、2点くらいはしょうがないかなと思っていたので、よく持ちこたえて、逆転できたと思います」

ーー2点はしょうがないが3点は取ろうというプラン?
荻窪
「そうですね、正直イゴールさんから3点を取るのはかなり至難の業かと思うんですけど、それくらい取る気で行かないと、町田の攻撃陣も若い選手ですごく調子がいいですし、失点というのは、覚悟しないといけないのかなと思っていました。3点取られちゃいましたけど、個人的にはよく逆転できたなと思っています。選手たちは本当に素晴らしかったと思います」

ーー今日も若い選手の活躍があったが、彼らの成長をどう捉えているか?
荻窪
「彼らは練習から意欲的に取り組んでいますし、練習が終わった後も残って各自で本当に30分くらいとか、最後まで残って練習しています。やっぱりそういう細かい積み重ねがこういう結果につながっていると思いますし、しっかりピッチで表現できていると思います。成長しているなというのを実感しながらこうやって勝てていけるのは、チームとしてはすごくいいなと思っています」

ーー次節に向けて抱負を
荻窪
「本当は(バルドラール)浦安とやる予定だったのですが、個人的には浦安さんとは早めに対戦しておきたいなと思っていたんですよね。なぜならガリンシャの良さは当然わかっていて、そこの相性が良くなる前に、なるべく早く戦いたかったので。延期になってしまったので、次は(ボアルース)長野ということですが、長野も今、監督さんが代わって、個人的には(横澤)直樹さんはロンドリーナで一緒にプレーしてたり、教えてもらったりしていた方なので、もう一度対戦したいなって思っていたんですけど、残念なことに退任してしまったので、どういったチームになるのかしっかりスカウティングしながら、戦っていきたいと思います。僕らは油断とか一切ないので、泥臭くやるっていうのは今季テーマなんで、次も泥臭く戦いたいと思います」

ペスカドーラ町田 ルイス ベルナット モリーナ監督
ーー試合の総括をお願いします
ルイス
「今日の試合は、ゲームが始まってから25分間までは非常に良かった。残念ながら再三にわたって選手たちに言ってきたセカンドポストのところ、いわゆるセグンドのディフェンスについてしっかり警戒ができてなかった。再三にわたって言ってきたし、去年の全日本選手権の準決勝のときにも同じ形で点を取られている。それ以来、すみださんのストロングポイントというところでディフェンスのときはとにかくそこを警戒するように、意識するように言ってきた中でこういう形で点を取られているので、非常に残念ですし、非常に憤りを覚える試合でした。これまでペスカドーラの監督としてやってきた中で、今日のこの試合が一番、自分にとっては非常に悲しい日になりました」

ーー今日はミスもあったが、若手を使い続ける監督の考えや決断について
ルイス
「彼らは年齢的には若い選手たちですけど、成長スピードは非常に早いと思っています。もちろん試合によっては勝つこともあれば負けてしまうこともありますが、見なければいけないのは、1試合の勝った負けたではなくて、リーグ戦をどのように戦って、どのように選手たちが成長できたのかということ。それがすごく大事なことですから、やっぱり去年のシーズンよりはステップアップしなければいけない。彼らはそういう力を持っているが、目の前の試合に一喜一憂してしまうこともある。しかし、リーグ戦を戦っていくうえでそういうことは絶対にある。あるけれども、リーグ戦全体を見て、負けた試合があった、では次の試合をどう戦っていくのか、どういうふうに自分たちはチームとしてまたステップアップしていくのかということを見なければいけない。

そういう意味でいうと、今日の試合に関しては、去年やられた同じ形で点を取られている。そこはやっぱり自分たちの中では、『すみだのストロングポイントはそこにある』『やっぱりそこは警戒しなきゃいけない』というところがステップアップできてなかったし、そこが同じ負けでも全然違うこと。

同じやられ方をしてしまうというのは、僕にとっては非常に悲しいことだし、今日選手たちにも伝えたけれど、負けるにしても去年と同じ負け方をしているということは、チームがステップアップできてないということになる。そこを選手たちには理解をしてほしいし、そういう意味でステップアップしていかなければならないことをわかってほしい。

若い選手たちはスポンジのような状態で、まだまだいろんなことを吸収できるので、伸び代もあると思う。若い選手たちにもっともっといろんな経験を積ませて、もっともっといい選手にして、チームとしてもステップアップしていく。若い選手を育てるのは指導者としてのやりがいもあるし、楽しみもあるし、結果それが日本のフットサルの成長につながっていくことになると思います。

うちのチームには、アンダー20の代表に呼ばれた選手が何人もいる。毛利元亮はA代表に呼ばれてますけど、それくらいポテンシャルがある、タレント性のある選手たちがいます。今、チームを作る中で、彼らに必要なもの、いろんな経験だったりを少しずつ与えながらやっている状況で、それは監督としてもすごくやりがい甲斐あると思っています。

今は若手選手の話ばかりになってしまいましたけど、うちにはベテランの4人の選手がいます。今日のような試合については、練習の中などでこの4選手のアドバイスというのは絶対に必要になってくるし、ベテランならではの経験値というものを練習の中で伝えてくれという話はしています。それが今の若い選手たちの力にもなっていくし、伝えていく作業は、ベテランの選手たちにとっても自分を振り返るっていうことになるので、すごくいい循環になると思っています」

ーーW杯に行った2選手の成長とチームへの影響をどう見ているか?
ルイス
「両選手とも非常に高いモチベーションのままW杯から帰ってきてくれて、W杯で感じた世界のフットサルのレベルの高さだったり、強度だったりをいろんな選手に話をしてくれていたり、練習の中で少しでも体現しようという姿勢を見せてくれていたりするので、チームにとってはすごくポジティブな要素になっています」

ーー次節に向けて抱負を?
ルイス
「まだリーグ戦の最中なので、とにかく顔を上げて前を向いて、自分たちのやるべきことをこの先も、次の試合に向けてただ単にしっかりやっていくだけです」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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