~湘南ベルマーレ VS バサジィ大分~
東京オリンピックとそれに続くFIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021の開催によって長い中断期間を挟んだFリーグディビジョン1。10月16日(土)には、湘南ベルマーレが中断後、初めてホームでリーグ戦を開催。バサジィ大分を小田原アリーナに迎えて第9節が行われた。湘南は、試合の消化数に差はあるものの、現在暫定で1位。中断明け初戦となったY.S.C.C.横浜も3対1で勝利し、勢いに乗ったままホームでの試合を迎えることとなった。
1stピリオドは、個々の選手に力のある大分とチームの連携で戦う湘南の主導権の奪い合いからスタート。その中で、ホームの後押しを受ける湘南が徐々に攻勢を強めていく。4分には、大分のゴレイロからのビルドアップのパスに10番ロドリゴが足を出して触ったボールがそのままゴールイン。ラッキーな形で湘南が先制した。湘南の勢いはそのまま止まらず、同時間帯に自陣でボールを奪い、右サイドからカウンターを仕掛け、逆サイドから走り込んだ萩原真夏選手がゴール。今季サテライトから昇格した萩原選手は、このゴールがFリーグ初得点となった。
2ndピリオドは、負けられない大分が序盤から主導権を握り、何度もチャンスを作ってはゴール前に迫り、ホームチームに圧力をかけていく。26分には分厚い攻めを見せ、最後は山田凱斗選手がゴールにボールを流しこんで1点を返し、ゲームの行方をわからなくした。終始ゲームを押し気味に進める大分は、終盤パワープレーを開始。攻める大分となんとか守る湘南という構図の中、残り時間30秒となったところで湘南の鍛代元気選手が相手ボールに食らいついて奪い、狙いすまして無人のゴールへシュート。さらに残り数秒となったところで大分のパスを奪った浦上浩生選手がパワープレー返しを決め、湘南が4対1で勝利した。
人数制限付きの試合ではあったものの、大分から足を運んだサポーターを含め、観客数は760名。手拍子で選手を後押しし、湘南のホームらしい熱い空気に包まれたホーム戦となった。
試合後会見
湘南ベルマーレ 伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「ホーム小田原アリーナに帰ってきて、たくさんの観客の中で試合ができることをすごく幸せだなとまず感じました。相手の(バサジィ)大分さんは、本当に個が強くて、そこは当然うちの選手たちも認識していて、だからどうしようということではなく、うちの個を出そうとみんなで共有して試合に臨みました。前半に、いい形でというかラッキーな点だったかもしれないですけど、あの点(1点目)はホームだから取れた点なんじゃないかなと、本当にそう思います。2点目も萩原(真夏)が今季初ゴールを取ったことは、チームにすごく勢いをもたらしたと思います。相手が個がある分、押し込まれる時間帯もすごく多くて、1点取られてから守備の時間を耐え抜いた、全員が耐えられたというメンタルの部分が非常に大きかったかなと思っています。応援していただいた方々、会場を作ってくれる下部カテゴリーの選手やいろんな方々に感謝したいと思います。ありがとうございました」
上原拓也選手
上原「お疲れ様でした。まず初めに、(会場の)設営をしてくれたクラブ関係者やサテライトの選手に感謝を伝えたいと思います。ありがとうございます。ホームでは、僕らがリーグ戦を戦うためにたくさんの人が動いてくれていて、素晴らしい環境、素晴らしいピッチ、素晴らしい雰囲気の中でやらせてもらえています。これは本当に当たり前じゃないと思うし、僕らが輝く場所を作ろうと動いてくれる人がたくさんいてくれることは本当にありがたいことだと思うし、その感謝を今日は結果で返すことができてよかったです。ありがとうございます。
ホーム戦は4試合目で、これまでの3試合はすごく早い展開で先制点を取れていて、すごくいい印象があるので、今日も早く点が取れたことはすごくよかったと思います。ただ、前回同様後半にバタついてしまったり、失点をしてしまった部分があったので、そこはチームとして改善というか、意識のところで変えていかないといけないと思うし、あそこでもう1点取れていればもう少し楽に試合を運べていたと思います。フットサルは何が起こるか分からないので、そういう意味で今日はチーム全員でしっかり我慢できたことはすごく大きかったと思います。次につながる試合になったと思います。
次はアウェイで(シュライカー)大阪さんと試合があるので、そこをしっかり勝って、次の週のホーム戦、第1クール最後の(ペスカドーラ)町田戦に向けてやっていく。まずは大阪戦、しっかり勝てるようにチームで同じ方向を向いて頑張りたいと思います。応援ありがとうございました」
ーー1点目はラッキーとおっしゃったが、ディフェンスの狙いでもあるのでは?
伊久間「そうですね、うちのディフェンスのスタイルとして相手に圧力をかけてボールを奪いにいくというところは当然やっているものです。それからあの場面はおそらく相手にボールが収まった状態ではなかったと思うので、そういう場面では全員が奪いにいくという意識は持っているので、ラッキーだとは思いますけど、あり得ることではないかと思います」
ーー若い選手の成長を感じますが、どういったアプローチをしているか?
伊久間「一選手として見ているということかなと僕は思っています。例えばロドリゴ選手など、個人として自分の特徴とか、何をすべきかをわかっている選手がベテラン勢にはいると思いますが、若い選手も若いからではないと思っていますし、試合に出るからには歳は関係ないので、そういうアプローチをしていると自分では思っています。当然、アドバイスなどはしますが、そういう扱いをしているということ。彼ら自身もいい見本であるチームのベテラン勢を見て、意識が高まっているのではないかなと思います」
ーーチームの好調の要因はどんなところにあると思うか?
伊久間「今、チームで掲げているフットサルのラグビー化、走る、体で負けない、何点でも取りにいく姿勢など、戦術的要因というよりそういう統一した意識をみんなが体現しているんじゃないかなと思っています。それが好調の要因なのかなというふうに思います」
ーー今日は終盤まで2対1の接戦だったが、パワープレーに入って勝ち切った。勝ち切れるようになった要因は何か?
伊久間「フィジカルベースは格段に上がっていることは間違いないと思います。フィットレイン(FITrain24)さんにクラブスポンサーについていただいて、そこで週何回もトレーニングができているというところと、全員がその必要性を感じて、個々に取り組んでいるところ。それから府川トレーナーを中心に体作りをしていることと、試合に向けてのコンディション作りがうまくいっているところがああいう劣勢なときでもしっかり体が動く、体をぶつけられても次にまた行けるという状態にできているのかなと思います」
ーー暫定だが現在1位、どう思っているか?
伊久間「まだ3分の1だと思うので。本当に1試合1試合、『今日は大事だ』『今日は大事だぞ』と言っているんですけど、全部が大事だということなので。1試合1試合を戦っているっていうことを選手も、僕だけじゃなくて選手もそこは感じています。1試合に集中しているのが見えるので、そういうことなのかなと思います」
ーー監督交代や長い中断期間があってもメソッドを継続し、体現して負けなしできてる、その要因は何か?
上原「奥村前監督が掲げていた、『転んでも何度も起き上がる戦う集団』というコンセプトがあって、それをみんなが共通認識を持って全うしていること、伊久間監督も練習のたびにそのコンセプトを僕らに伝えてくれていて、それがみんなにすごく浸透していると思います。個人個人でそれぞれの課題があったり、セット間での課題があったりしていますが、それを各自が自立して取り組んでいる選手が今年はすごく増えたなと思うし、そういう部分でみんなが自立してフットサルに没頭しているっていうところが、今好調を続けている要因なのかなと思います。また、若い選手にはそれを見て何かを感じ取って欲しいなというのはありますし、逆にその若手の選手や、今日先ほども言いましたけどサテライトの選手がさらに底上げしてくれることでこのチームがもっと高いレベルに行けると思ってます。やっぱりまだベテランの選手に頼っているというか、そういう若手の選手がまだまだいるので、そこを試合に出て経験して、どんどんどんどん自立していけば、もっともっと上がれると思うし、個人のレベルも上がると思うし、そこが今、いいところと足りないところだと思います」
ーーチームの雰囲気は?
上原「チームの雰囲気は、すごくいいですね。正直、名古屋(オーシャンズ)戦が終わったあとは、監督が不在というところで不安がありました。その中でも伊久間監督のマネジメントだったり、僕らにいい声をかけてくれたりして、いい意味で割り切って伊久間監督に順応しようとしている選手がたくさんいたので、これなら大丈夫だなというのは思いました。これからも試合は続いていきますけど、いい時も絶対あるし、悪い時も絶対ある。その悪くなってしまったときに何ができるかっていうのをしっかり考えながら、やっていければいいなと思っています。雰囲気や、1人ひとりのモチベーションだったりは保てていると思うので、これを維持して、もっともっと上げていって、常勝軍団になっていけるようにしていければいいなと思っています」
バサジィ大分 伊藤雅範監督
ーー試合の総括をお願いします
伊藤「素晴らしいアリーナ、環境で試合ができたことを素直にうれしく思います」
森村孝志選手
森村「試合開始早々に、湘南さんのディフェンスから失点、カウンターでの失点で先制パンチを食らい、そこからパワープレーをするまでにゴールをこじ開けられなかったことが勝てなかった要因です」
ーー前半は試合運びがあまりうまくいってなかったようにみえたが、試合の狙いは?
伊藤「アンラッキーな失点でした。うまくいっていない印象は持っていません」
ーー後半試合を立て直せたポイントは?
伊藤「たらればですが、前半に1点返せていたら、リードがより少なければ違った展開になったと思います」
ーー中断期間中に強化したポイントと、試合でその部分が出せたか?
伊藤「若手の育成とコンディション調整がメインです。すぐに成果が出る取り組みではありません。結果に捉われず継続的に進めていきます」
ーーW杯の経験はどんなものだったか?
森村「フットサル人生においてとても重要な経験でした。プレー一つ一つのずる賢さや、決定力の違いなど沢山感じることができました」
ーーその経験をチームに戻ってどう還元したいか?
森村「やはり勝っているときの振る舞い、リードされているときのメンタルの持っていき方、どこで一番パワーを発揮しないといけないかなど、自分が行動することでどんな状態でもプラスのエネルギーを発信していこうと思います」