~しながわシティ VS ペスカドーラ町田~
オーシャンカップ決勝ラウンド2日目、第1試合は、しながわシティとペスカドーラ町田による3位決定戦。連戦のタイトな日程だが、前日の敗戦を払拭して、リーグ戦に繋げたい。とはいえ、両者ともに負けて臨む試合。前日の敗戦をチームでどう処理したかも勝負の潮目に影響しそうだ。懸念材料は、しながわは、前日の試合で延長からPK戦までフルに戦い抜いた疲れ。一方の町田は、自滅した感のある連続失点によるメンタルへの影響といったところ。
試合は、両チームともに攻撃に軸足を置いたセットでスタート。キックオフ直後から、お互い攻撃へのアグレッシブな姿勢を見せる。序盤の主導権の握り合いの中、1分経たずに得点したのはしながわ。ゴール前に送ったパスを町田のディフェンダーがクリアしきれず、オウンゴールに。その後は町田も積極的に攻め上がるが、再びネットを揺らしたのはしながわ。今季加入したチアゴ セウバック選手がペナルティエリア近くでパスを受けると、個人技でゴールを決めた。気になるのは、昨日も連続失点している町田のメンタル。しかし、この後の町田は気落ちすることなく自分たちの形を作ることに専念し、リズムを取り戻していく。
2ndピリオドも勢いは町田が優勢。しながわの引き気味のディフェンスもあって、しながわ陣内でのプレー時間が長くなっていく。町田が攻撃のリズムを握る中、コーナーキックの流れからゴール前にパスが通り、荒川勇気選手が得点、1点差に迫る。その後は町田の積極的な姿勢が目立ちつつも、しながわも隙あらばゴール前までボールを運ぶ展開に。残り5分を切ったところで町田がタイムアウトを取得し、パワープレーを開始する。なかなか得点につながらないものの、パワープレー返しのシュートもゴレイロのユニフォームを着た野村啓介選手が守り切ると、残り2分、ボールの奪い合いの中でしながわの守備のバランスが崩れたところで日根野谷建選手が得点。そのままタイムアップとなった。
延長開始後も勢いに乗るのは、町田。前への姿勢を見せる中、ビルドアップの流れから目の前に溢れてきたボールを、この日キャプテンマークを巻いた伊藤圭汰選手が豪快にシュート。開始1分経たないうちに勝ち越しゴールを決めた。その後は延長後半もスコアは動かず、タイムアップを迎えた。
前日の連続失点の教訓を活かし、失点しても気持ちを落とさずファイティングポーズをとり続けた町田が、見事な立ち直りを見せて勝利し、3位を獲得した。
試合後会見
ペスカドーラ町田 甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐「お疲れ様です。昨日、敗戦した後のゲームということと、ディフェンスもオフェンスも強力なしながわというチームと対戦するということで、非常に難しいゲームになるだろうと思いました。選手たちには疲労もありましたし、メンタル的に昨日負けたあとのゲームでしたが、試合前に今日のゲームをやる意味を選手にしっかり話をして、全員が高い意識で挑んでくれました。
ただ、そういう意識で挑んだわりには、入りのところで本当に簡単な失点、チアゴ選手の個にやられてしまったので、さらに難しいゲームを想定しました。選手たちも最初は相当焦った部分はあったと思うんですけど、ただ選手たちは、スコア以上に気持ちを切らさずに戦ってくれたので、そこはメンタル的にタフなものが見えた機会になって、非常に収穫のあるゲームだったなと思います」
伊藤圭汰選手
伊藤「昨日、すごく悔しい試合をして、切り替えるのはすごく難しかったのですが、僕はその悔しさをぶつけようという思いで試合に臨んだし、それはみんなも同じことを思っていたと思います。今日はみんなすごく頑張っていい試合をしたと思うので、切り替えることは本当に難しかったですけど、それが今日の勝利につながったのは、よかったと思います。まだ、試合の入りが悪かったり、相手の時間帯になることが多いので、もう少しゲームコントロールする部分をチームみんなで共有して、これからももっといい試合をしていきたいなと思います」
ーー素晴らしいゴールでした。ご自身のゴールを振り返ってもらえますか?
伊藤「あんまり覚えてないんですけど、こぼれ球を打った感じなんですけど、ちょっと上に打とうというのは、思っていました。下へのシュートは当たっちゃうことが多いので、ちょっと上に、感覚的にですけど、思って振り抜いた感じです」
ーー町田に在籍した、元日本代表の前田嘉史さんがベンチに入っていましたが、どういった役割をされているのでしょうか?
甲斐「前田は、来られるときに来てもらって、こういう試合でも帯同できるタイミングのときは、帯同してもらっています。前田自身が素晴らしい選手でしたし、彼が持っている長いフットサルの経験値からのアドバイスが選手たちに相当いい影響を与えてくれるのでチームにとって非常に重要な存在となっています」
ーー相手のしながわにも、町田の下部組織であるアスピランチ出身の選手が多くて、試合中もピッチ上がアスピランチ出身の選手だらけになるシーンもありました。下部組織を指導してきた甲斐監督としては、思うところもあるのではないですか?
甲斐「アスピランチ出身の選手でも、僕が指導していない選手もいますし、実際の試合では、そこまで余裕はないですけど。でももともと一緒にやっていた選手が多いクラブなので、ちょっと違った思い入れを持ちながら試合を迎えました。岡山監督もずっと一緒に仕事をしていましたし、本当に優秀な監督なので、そういう意味では対戦するのは非常に楽しみでした」
ーー2失点後、前半10分過ぎくらいからは町田のペースになったと思うが、ベンチでどのようなコントロールをしたのでしょうか?
甲斐「しながわにはブラジルのトップでやってきた選手がいますし、そのチアゴ選手の個のところで失点したものについては、余り引きずる必要はないということで、2失点に対してネガティブさを持たせるよりは、逆に残りの時間でいかに失点を止めるかという話をしました。そこについての全体的な認識が高くて、危ないシーンもありましたけど、そこで2点以上取られなかったというところが大きかったですね」
ーー今日は、金山友紀選手が早い時間帯から出場していたが、改めて託している役割は?
甲斐「金山選手は、どのポジションでも、どこの局面であっても迷いなくプレーできる選手なので、特に今日は、相手の出てくるセットのタレントを見ながら、タイミングは伺って出てもらいました。短い時間でも、攻守に渡って決定的な仕事ができる選手なので、昨日は出場機会を作れなかったんですけど、今日については出た時間に対して、十分な存在感を示してくれたと思います。ケガせずにこのまま積み上げていけば、メンバーを選ぶのは本当に大変だなという、監督としては、ありがたい悩みという状況になっていくかと思います」
ーー昨日の試合後、選手同士で何か話をしましたか?
伊藤「選手同士で、話はしました。やっぱり失点したあとに崩れてしまったので、それをいい教訓にするために、みんなでそういう話をしました。今日も先に2点取られましたけど、全員がそういう気持ちだったので、ベンチでもみんな崩れることなく、声を出していました。今後は昨日のようなことがないようにしていきたいと思います」
ーー新シーズンが開幕しますが、観客数は減っています。町田がリーグに期待することや、どういったことで集客に繋げたいと考えているかを教えてください
甲斐「僕は、2007年の開幕を経験している身なので、本当にどうやったらああいう開幕戦になるのかとか、常に数千人の観客の中でゲームができるようになるかというのは、考えますし、我々のクラブとしても課題です。やっぱり見にきてもらった試合で、選手たちが心に響くというか、また見たいと思ってもらえるようなプレーを、クオリティだけじゃなく、気持ちの部分だったりで、見にきた人に伝わるような熱いゲームがやっぱり必要だと考えます。
上手いだけ、いい試合ということだけでは、なかなか深く応援しようと思ってもらえないと思うので、そこはクラブとしても選手たちに言っているんですけど、まず戦うスピリット、そういう姿勢が前面に出た試合をどれだけできるかということ。それで、お客さんにまた見たいと思ってもらえるゲームを、1試合でも多くというところに、今シーズンも全力をかけていきたいなと思います」
伊藤「僕らが本当に全力で、100%で勝利に向かってプレーする姿を見せ続けることが、いろんな人に伝わって、フットサルのおもしろさが広がっていくのかなと思います。僕らがしっかり全力で戦う姿を見せ続けるというのと、魅力のある試合をたくさんできるようにチームとして頑張りたいです」
しながわシティ 岡山孝介監督
ーー試合の総括をお願いします
岡山「お疲れ様です。昨日今日と延長戦までもつれる中で、選手たちは体を張って頑張ってくれたのですが、勝たせてあげられなかったことは本当に残念ですし、悔しく思っています」
白方秀和選手
白方「まだ整理がうまくついてないですが、ゴール前のこぼれ球であったりというところを、僕もですし、チームとしてもっと強く行かなければいけないし、そういう話をしていた中で、やられてしまった。そうですね、そういう感じです」
ーー岡山さんとしては、古巣との対戦であったり、相手が甲斐監督というところで、何か思うところはあったのでしょうか?
岡山「そうですね、甲斐さんがどういうフットサルを好きかということも知っていますし、自分と共通する部分も多々あったし、そういう部分でどういうフットサルをするのかという興味はもちろんありました。ただ、古巣だからどうこうというのは、まったくないですね。すべての試合に勝たなきゃいけないと思っているので、それだけです。特別なものは特にないですね」
ーーしながわは環境がいいと言われていますし、選手一人ひとりのクオリティーも高いし、フィジカルも鍛えているのが見て取れるが、現在どういった環境でどうトレーニングされているのでしょうか?
岡山「環境というのは、どこからどこまでのことを言うのかわからないんですけど、練習場は点々としていて、20m×40mのピッチが取れる機会の方が少ないです。おいおい整っていくとは思いますが、今のところは特に環境がいいとは思ったことはないです」
ーー選手たちは通常のトレーニングとは別にフィジカルトレーニングはされてるんですか?
岡山「それはもちろんしてます。十分ではないですけど、ジムはあるので、そこでやったり、スポーツジムに行ってやってる選手もいます。今季は、チームでまとまってというのはできてないです」
ーーパワープレーなんですが、左利きの選手がいないことで対応しやすくなっているの間と思ったが、そのあたりはどうでしょうか?狙いはどうだったのか?
岡山「もちろん遠目から打つこともポイントの一つなんですけど、それをさせないようなディフェンスを町田がしていたんで、そこをちょっとうまく崩しきれないところがありましたね」
ーー左利きがいないせいか、パワープレーで角度をつけたパスがなかなか出せないと感じたが、実際はどうでしょうか?
岡山「そのパス自体は、出しづらいですけど、それ以外のとこの形はたくさんあるし、中村友亮や佐藤建也は、左でもいい折り返しがあるので、練習試合を含めて結構点は取れています。もちろん左利きがいるに越したことはないですけど、現状いない状態なので。今日はうまくいかなかったですけど、そんなに悪いとは思ってないですね」
ーー町田の強さは、どういうところに感じましたか?
岡山「連戦の試合でも、若い選手が多いし、昨日も満遍なく出ていたこともあって、体力的には落ちないなと感じました。走れる選手も多いし、伸び伸びプレーしているようにも見えます。その辺は甲斐さんの手腕、持っていき方がうまいので、選手たちが信じて、自信を持ってプレーできているんじゃないかなと思います。選手は、若いですけど、いいものを持っている選手が多いので、そういった自分たちの良さというのをしっかり理解して、物おじせず発揮できている部分が強さかなと思います」
ーー強度の高さなどでF2との差は感じることはありましたか?
岡山「F2にもいろんなチームがありますし、F1にもいろんなチームがあるので、一概には言えない部分はあります。この間戦ったヴォスクオーレ仙台も強度はすごく高かったので、そこまで遜色はないと思いますが、やはり総合的に見たら、町田の方が強度は高いと思いますね」