~ペスカドーラ町田 VS 立川アスレティックFC~
準決勝第2試合は、昨シーズンのリーグ戦で上位に食い込んだペスカドーラ町田と、3月に行われた全日本選手権で優勝した立川アスレティックFCの戦い。町田は、3年間指揮を執ったルイス ベルナット モリーナ監督から昨年までコーチを務めたクラブのレジェンド、甲斐修侍監督がバトンを引き継ぎ、新しい歴史を紡ぐスタートを切ったところ。立川は、ホームアリーナの関係で名称を変更して初めて迎える大会となる。
1stピリオド、主導権を握ったのは、町田。強度の高い守備からの素早い切り替えと、ピヴォを起点にした縦への推進力ある攻撃でゴールを目指す。得点が生まれたのは、7分。町田がゆっくりしたパス回しから縦へ鋭いパスをゴール前へ。ペナルティエリア内でフリーになった毛利元亮選手がそのまま足裏で流し込んで先制に成功。立川は、思い通りにいかないところがあったのか、ベンチから盛んに声が飛んでいた。残り時間も町田が終始試合を優位に運んで、ハーフタイムを迎えた。
2ndピリオドは、ハーフタイムの修正が効いたのか、立川がらしさを取り戻してスタート。反対に町田は、前からのプレスを受けて、ゴレイロへのバックパスのミスを犯して間接フリーキックを与えるなど前半の良さを出せない状況に。町田が守備に回る時間が多くなる中、立川は大きなサイドチェンジを含めてピッチをワイドに使った攻撃でリズムを掴んでいく。同点弾は、際どいシュートで得たコーナーキックから新井裕生選手が決めた。その直後にも町田は、キックオフからのボールを奪われ、南雲颯太選手に決められ失点。さらに十数秒後、不発に終わった攻撃のボールを回収され、昨年まで在籍した中村充選手に決められる。ここで町田はタイムアウトを取得し、選手を落ち着かせる。しかし、立川が自陣から縦にすばやくボールを運ぶ中、守備が後手にまわり、再び中村選手がゴール。立川は、1分間に4得点を決めて勝負をものにした。町田はその後、なんとか立ち直り、それ以上の失点は免れたものの、得点を取り返すことはできず、手痛い敗戦を喫することとなった。
この結果、立川が決勝へ進み、町田は3位決定戦へ。決勝は、名古屋対立川という、3月の全日本選手権と同じカードとなった。
試合後会見
立川アスレティックFC 比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉「最初から相手にいいリズムを作られ、チャンスを作られ、先制されましたが、引き続き頑張りました。前半は、なかなかボールを取れませんでしたけど、諦めずに後半に向けて頑張った結果が帰ってきたと思います。明日、決勝を戦えることがすごく嬉しいです」
上村充哉選手
上村「うまく行った部分も、いかない部分もありますけど、今のチームは、40分終わったところで勝てていればいいというマインドが持ててきているし、難しい試合を勝てることが増えてきたので、いい方向に向かっていると思います。明日も勝ちます」
ーー後半、立て続けに得点できた時間帯は、チームとしてどういうことを意識していたんでしょうか?
上村「ハーフタイムに監督からオーダーされたセットプレーがうまく決まって、2点目は僕がディフェンスで奪ったんですけど、比嘉さんがずっと『相手を見てプレーしろ』と言っていたんですけど、言われ続けていたことができたプレーだったかなと思います。あとは(皆本)晃くんが走って、(南雲)颯太が決める、比嘉さんが就任したときから言われていたことが出せた1点だったかなと思います」
比嘉「選手のおかげです」
ーー全日本選手権で優勝して、選手たちに自分たちがやるべきことをやるメンタリティが定着して、チームとして一段階上がったように感じますが、いかがですか?
上村「正直、去年負けていたときも悪くない試合をしているなと思っていたし、今も悪くない試合をしています。1人ずつが決めるところを決めて、守るところを守ってきた結果なのかなと思います。中身がめっちゃ変わったわけではないと思いますけど、一人ひとりがゴール前で、集中できているのかなと感じます」
ーーピッチの中に社長がいるのは、やりづらくないですか?
上村「やりづらいです(笑)。ウソです(笑)」
ーー集中力が上がった理由はどう考えていますか?
上村「守備の話になるんですけど、今までも悪くない守りをしていて、だけど去年のシーズンは、ちょっとのズレで決められていたところがありました。そういうところで、ここを決められたから次は今のところを集中して守ろうねということを1年間続けて、失敗から学んだことが少しずつ増えてきたのかなと。僕は、後ろに入ることが多いんですけど、後ろから見ていても前の3人がうまく守ってくれるので、そういうところで集中力が上がったのかなと思います」
ーー40分が終わったところで勝っていればというのは確かにそうだが、前半の10分くらいで相手のペースになって失点している。入り方としてはどう考えますか?
上村「(湘南)ベルマーレのときも立ち上がりで失点しているので、そこは改善しないといけない部分かなと思います。でも、いいところもあれば、悪いところもあると思うので、みんなで少しずつ悪いところを改善して、いいところを伸ばしていけるようにできればいいかなと思います」
ーー最初のところの集中力という点では?
上村「そうですね、集中力ですね。40分間集中し続けるというところは、まだできてない部分もあると思うので、そういうことを言い出したらキリがないですけど、でも僕はその集中という面では良くなっていると思います」
ーー明日の試合で勝つと、立川アスレティックFCという名前に変わって初めてのタイトルとなるが、改めてそこに向けて意気込みを教えてください
上村「立川に変わって、チームもそうだし、サポーター・ファンの方もそうだし、1から始まるといったらちょっと変かもしれませんが、新しくスタートして、みんながいいクラブにしていこうというのを最近僕はすごく感じます。そういうサポーター・ファンのためにも、優勝して、いいチームを作れるように頑張りたいと思います」
ペスカドーラ町田 甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐「お疲れ様です。シーズンがまだ始まって、先週の3連戦を終えてから、今日の試合に向けてできる限りの準備をしてきたんですけど、今日はちょっと想定していた試合内容にならなかったということで悔しい気持ちです」
クレパウジ ヴィニシウス選手
ヴィニシウス「お疲れ様です。僕もすごく悔しいです。前半に先制点して、後半も勝てる状況で試合は進んだけど、一気に3得点されてしまいました。去年からメンバーが変わって、もう1度最初からチームを作り始めて、ここまで準備をしてきました。始動して1ヶ月で決勝まで行けたらよかったと思いますけど、今日のミスから学ぶしかないと思います」
ーー3人のピヴォとフィクソを軸にして、特徴のある選手も多く、組み合わせ次第ですごく可能性の広がるチームだと感じましたが、監督自身は今シーズンどんなチームを作っていきたいのか教えてください
甲斐「これまでに積み上げた3年間を経験した選手もいますし、全くそこを経験してない選手も今回多く入ってきたので、これからいろいろなものを構築していかないといけないと思います。特徴のあるタレントがいるので、できる限り一人ひとりが持っているものを試合で生かせるような、発揮できるようなチームにして行けたらなと思います。何より勝負にこだわるというところで、今日のゲームも前半から集中力高くやってはくれていたんですけど、後半のああいう失点のタイミングで、1個エラーが起きてからの修正のスピードだったり、ゲームに関係のないところに神経を置いてしまったり、勝負にとって絶対あってはならないような局面もありました。若い選手がたくさんいますけど、ベテランも経験値の高い選手もいるので、今後勝つために、チームとして勝負にこだわる意識や、勝負の分け目になるところでしっかりバランスを取って、どこと戦ってもいい勝負ができるようなチームを目指したいと思います」
ーー立て続けに失点したシーンですが、何かしら原因があると思うが、ヴィニシウス選手はどのように感じていますか?
ヴィニシウス「若い選手と一緒で、失点した後にすぐに取り返したいと思いますし、僕も若いときは自分で決めたいという思いもありました。そう言ったところをコントロールできていたら、連続失点にはならなかったと思います。
1失点目の後、原田(快)選手が1-3の形を作ろうとして続けて失点したんですが、去年の試合で1-3の形で決めたこともあるので、その責任は自分にもあると思います。僕もキャプテンとして、若手に我慢をさせるとか、若手を活かすとか、悔しいですがいい経験ができたと思います。今日と同じミスをリーグ戦では絶対に繰り返さない、そういうことを学べた試合だったと思います」