~湘南ベルマーレ VS 立川アスレティックFC~
7月2日(土)、Fリーグディヴィジョン1第3節が開催され、湘南ベルマーレはホームでのリーグ開幕を迎えた。対戦したのは、立川アスレティックFC。この2チームは、昨シーズン最後の全日本選手権と、今シーズンのリーグ開幕前に行われたオーシャンカップで早い段階で対戦し、いずれも湘南が敗れている。湘南はホームで勝って、カップ戦のネガティブな印象を払拭したいところ。
リーグ戦、ホーム湘南は、ここまで1勝1分。アウェイ2連戦を負けなしで戦い、ホームでの開幕戦をポジティブなイメージで臨む。これまでいなかったピヴォの選手が加入し、新しい攻撃のスタイルを構築しているところでもあり、楽しみも多い。一方の立川は、オーシャンカップで決勝まで戦ったにもかかわらず、リーグ戦は2連敗。ここからの巻き返しを狙う。
試合は、湘南がここまでの好調ぶりをしっかり確認したような内容で勝利。「今季はセグンドに走ることを攻撃の共通認識としている」と伊久間洋輔監督が話したように、狙った形でしっかり得点できたことも今後につながるポジティブな要素となっている。
1点目を決めたのは高橋広大選手。フィウーザ選手が相手陣内まで入って数的優位を作るビルドアップから立川の選手を自陣深くに押し込んだところで、ミドルシュート。ゴール前に立った堀内迪弥選手の影響もあってか、立川のゴレイロ、黒本ギレルメ選手もなすすべがなかった。2点目は、一瞬相手に奪われたボールを再度奪ってカウンター、ゴール前に長いパスを送ったところを堀内選手が反対サイドから詰めて得点した。湘南は、守備から攻撃のリズムができていて、ハードワークの成果が得点として結実することでさらに良い循環となっている。
立川は、良いときのピッチをワイドに使った攻撃はあまり見られないものの、シュートを打つシーンはいくつかあった。しかし、枠内に飛んだものはことごとくフィウーザ選手が止めるので、もう一工夫欲しい印象となった。
2ndピリオド、立ち上がりは立川のリズムで際どいシーンをいくつも作る。が、湘南が守備でハードワークを見せてチャンスを潰していく。立川が自分たちの時間に得点ができないことで焦りを募らせる中、得点が生まれたのは三度湘南。立川陣内でボールがルーズになったところに鍛代元気選手が足を出し、そのボールがそのままゴールに転がり込んでいった。
得点が取れない立川は、7分を残したところでパワープレーをスタートする。しかし、立川のシュートをキャッチした湘南のフィウーザ選手がパワープレー返しで得点。さらに高い位置でプレッシャーをかけた林田フェリペ良孝選手がボールを奪って得点するなど、湘南がさらにリードを広げる結果となった。その後、残り約2分になったところで立川の金澤空選手がゴール。一矢を報いてタイムアップを迎えた。
湘南は、最後に失点はあったものの、ホームで完勝。一方の立川は、3連敗となった。次節は、同様に3連敗中のバサジィ大分と対戦する。ここまでの戦いが勝利の糧になることを期待したい。
湘南のホーム小田原アリーナは、芝生エリアも広く、天気の良かったこの日は、ふわふわアトラクションなども用意され、子どもたちも試合までの時間を飽きることなく楽しめる。また、アリーナ内の演出もリニューアル。大型ビジョンが用意され、炎の演出とともに試合中もリプレイが流されるなど、よりエンターテインメント性がアップした。試合前には湘南ベルロックの演奏に加え、ダンスチーム「UP GROUND DANCE STUDIO」もパフォーマンス。ハーフタイムには、大道芸人「Performer SYO!」が登場し、場内を盛り上げた。フットサルだけではなく、そこにいるすべての時間が楽しめる演出が用意されている。
試合後会見
湘南ベルマーレ 伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「ホーム開幕戦ということで、たくさんのお客さんに来ていただいて、演出もいろいろ、昨年より変わったり、すごい盛り上がりの中で、本当にそれだけでも幸せだなと思います。本当に作ってくれたクラブの人たち、応援してくれた人たちに感謝申し上げたいと思います。
試合の方は、どちらかというと苦手にしている立川(アスレティックFC)、選手権でもオーシャンカップでも、昨年のアウェイ戦でも敗れている中で、ここが大事だぞというところはみんなで共有して、試合に入りました。アウェイ2連戦を負けなしで帰ってきたことは、非常にみんなのモチベーションになっていましたし、ホーム開幕ということでかなり高いモチベーションを維持したまま試合に入れました。前回の大阪戦ではうちのプレッシングが、相手のキーパー攻撃によって出なかったので、その辺は修正できて、前から行くことができたんじゃないかなと思います。得点もしっかり2点取れた中、後半のちょっと苦しいところで、しっかりディフェンスできたところが勝因なのかなと思います。3点目を(鍛代)元気が取ってくれて、これでもういけるんじゃないかなというところまで来て、そのあとのパワープレーの対応もしっかりできたと思います。まだ修正するところはありますので、次の町田戦に向けてまた頑張っていきたいと思います」
フィウーザ選手
フィウーザ「立川はとても強い相手ですが、今日はディフェンスを頑張って、たくさん点も取れて勝利できて良かったです」
ーーホーム開幕戦ということで、改めて試合を振り返っていただけますか
伊久間「今シーズン加入した(堀内)迪弥とか、前所属だった大阪との試合はちょっと硬かったのかなと思いますけど、それが今日はしっかり得点をとってくれましたし、やっぱり得点を取る選手が増えてきているのは非常にいいことだなと思います。もちろんフィウーザを中心としたディフェンスも素晴らしかったと思います。まだまだ点を取れる場面はあったので、そこをうまく修正できていけばまた次につながるかなと思います」
ーー苦手な立川に勝てたというのは、いかがですか?
伊久間「苦手なのは、結果としてカップ戦だったので、昨シーズンはリーグ戦ではホームでは勝ってますし、その内容自体は決して悪いものではなかったのですが、立川さんがうちを得意としているんじゃないかという想定の元に戦って、それをちょっと払拭できたというのは大きいことだと思います。今後にもつながるのかなと思います」
ーー今季の意気込みをお願いします
伊久間「開幕前にパレードをしてもらったり、非常に期待も大きい中、今はまだ3節ですけど、まだ負けてないですし、これが普通になるように、選手の個人個人のいいところが出せるようになっていけば、優勝を狙えると思います。もちろん優勝を狙っているんですけど、そのためには各選手の成長が必要ですので、そこをやりながら1戦1戦戦っていきたいと思います」
ーー1点目2点目、得点の形が良かったですけど、狙いですか?
伊久間「2点目はカウンターでしたよね。今季はセグンドにしっかり走ろうというのをみんなで共有しているんです。そこが意識ができて、あの得点は非常にみんなも思い描いているというか、あれを常にやろうよというのが得点となって結びついたのは非常に良かったと思います。デザインしたものとはいえないですけど、あのカウンターというのは、うちの形なのかなと思います」
ーー攻撃の完成度っていうのはどのくらいなんでしょうか?
伊久間「50%くらいなんじゃないですかね。去年の得点が今日みたいな形が結構多いので、それプラス、定位置攻撃といわれる、今年はピヴォ、迪弥が加入して、そこからの得点を取りたいと考えています。1試合目にありましたけど、セットプレーではなくて、通常攻撃からピヴォ攻撃をもっとしながらチャンスを作っていきたい。去年のスタイルプラスそれを入れていくというところでいうと、それくらいのパーセンテージかなと思います」
ーー立川に対して特に何か対策、意識されたことはありますか?
伊久間「対策というよりは、まだうちの修正というか、うちのいいところを出していこうとか、そういうところが多かったかなと思います。ただ、立川さんはボール回しが早くて、みんな動き回るタイプなので、それに翻弄されるとやられてしまう。あるていど、そういう話をしながらディフェンスの面などはやった感じですね」
ーー今シーズン、新しく加入した堀内、津田選手は、監督の目にはどう写っていますか?
伊久間「うちは長く在籍している選手や下部組織から上がる選手が多いので、彼らはうちにあまりいないタイプというか、タイプ的なところでいうと、うちの戦術バリエーションを増やすタイプというような影響があるかなと思います。彼らは文化の違いだったりというのを持ち込んできたりしていますが、迪弥も津田も本当に真面目で常にしっかりやっている、人間性も、すごくうちにあっているのかなというふうに思います。技術が上手い下手とか、飛び抜けた何かがあるとかというのも大事だと思うけど、チームカラーに合うというのもすごく大事だと思うので、みんなと溶けこんで、新加入じゃないんじゃないかと思うくらいの感じにはなっているんで、いい影響を与えているのかなというふうに思います」
立川アスレティックFC 比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉「今、3連敗になってチームの状況は少しきついですね。言い訳せずに前向きに、悪い流れを乗り越えられるよう頑張ります」
上村充哉選手
上村「自分も含めてなんですけど、長い時間出ている選手が簡単なミスをしていたら、ゲームは崩れます。3試合で3連敗しましたけど、(どの試合も)1点しか取れてないし、やっぱり1点では勝てないと思うので、そこを修正しないといけないかなと思います」
ーー2連敗している中で、この試合に向けてどういったところを意識して練習に取り組んできたのでしょうか?
比嘉「まだシーズンは始まったばかりで、45回しか練習してないです。コンディションを考えながらチームの戦術と、湘南のストロングポイントを消す内容の練習でした。去年もこういう状況があったんですけど、このチームのいいところは練習の雰囲気を崩さないところ。もちろんみんな悔しいと思っていますが、声を掛け合って、練習の雰囲気はよくして、信頼関係を崩さない。だから乗り越えられるんじゃないかと自分は思っていますし、そういう1週間でした」
ーー振り返りのコメントを聞くと、自分たちのミスから崩れていったということですか?
上村「そうですね、すみだ戦も、浦安戦もそうですけど、湘南戦も、気をつけようねと言っていたところから失点したので、そこはもったいないなと思います。流れと関係のないところから失点していることが多いし、逆にうちは流れと関係ないところ、例えばセットプレーとか、カウンターとかで、決めることが少ない。そこをもう少し詰めていかないといけないのかなと思います」
ーー5失点目後のキックオフのところで選手同士で声を掛け合っていたが、どういった話をしていたのですか?
上村「行くしかないよ、という話をしたのと、とはいえ負けていても簡単に相手に得点を与えるわけにもいかないので、そこの質の部分と。そこはこだわってやろうねという話はしてました」
比嘉「僕は監督として、選手同志がそういう要求をするのはいいと思います。お互いに要求したり、話したり、そういうコミュニケーションを取ることは、いいこと。今、チームは苦しんでいて、そういう状況では本当の性格が出てくると思う。だから要求されてどういう反応をするのか、自分の責任なのか、自分は悪くないかもしれないけど、これをやってもらいたいとか、そういうところをお互いに伝え合って、認め合わなければチームとして大きくならないです。みんな勝つために要求しながら勝てるように声をかけているので、監督として、いいと思っています」
ーー全日本選手権を優勝して、今シーズンは選手の退団はあまりなく、リーグ前のオーシャンカップは決勝まで行った中で、リーグ戦は開幕3連敗となっています。要因は何だと考えていますか?
比嘉「優勝した後にロッカーで言いましたけど、優勝してタイトルを取ることは難しいけど、リーグ戦で1位になるのはもっと難しい、もっとやらなければいけないし、それは最初から分かっていたこと。それと、人間なのでどこかのタイミングでパフォーマンスが落ちてくることもあります。僕は特に夏に弱いですね。暑くなってきて集中が切れることもある。それを乗り越えないといけない。監督として、選手を信じて、弱気にならないように前向きにサポートしていくしかないかなと思っています」
ーー湘南のストロングポイントを抑えたとおっしゃっていたが、ロドリゴ選手を抑え切れたということでいいでしょうか?
比嘉「ロドリゴはもちろん、去年の得点王で特別な選手だと思う。でもロドリゴだけじゃない、迪弥(堀内選手)は大阪のときに一緒にやっているし、内村俊太も、いい選手だと思う。相手のストロングを消すのもそうだし、自分たちのストロングを出さなければならない。1失点目は定位置攻撃で、あとはショートカウンター、それを消さないといけないです。どっちかというとトランジションは悪くない、ディフェンスを頑張ってボールを取ったあとに奪われて失点している。だからボールを奪った後にどうするかというところで修正が必要。そこを目指して頑張りたいです」
ーー今シーズンは、プレーオフもあるので、どこかで上がっていく波というのがあると思いますか?
比嘉「もちろんプレーオフは目指しています。そして優勝できるように、頑張ります」