~Y.S.C.C.横浜 VS シュライカー大阪~
Fリーグディビジョン1第4節、皮切りの試合は7月8日(金)、平日夜に横浜武道館で行われたY.S.C.C.横浜とシュライカー大阪の対戦。大阪からもサポーターが足を運び、金曜日のナイトゲームを見守った。
ホームの横浜は、第2節こそ絶対王者名古屋オーシャンズに1-2と惜敗したとはいえ2勝1敗。今季から指揮を取る鳥丸監督の指導は浸透しつつあり、ゲームでは新しいスタイルを体現しながら躍動する選手の姿が見られる。対戦する大阪は、2勝1分で今季はまだ負けなし。3シーズン目を迎えた永井監督はその采配でチームを上向きに導いている。
しかし、蓋を開けてみれば、大阪に有利と見られた戦前の予想を覆す結果に。特に前半は横浜が自分たちのペースに誘い込み、5得点を挙げた。
開始直後、ファーストシュートを放ったのは大阪。キックオフからの流れで相井忍選手が左足を振り抜いた。それを横浜のゴレイロ・矢澤大夢選手がセーブ。そこからの攻防は、一進一退。どちらもチャンスを作りつつ、得点までは至らない展開となっていた。大阪は、ゴレイロの高見政顕選手がハーフウェーラインまでボールを持ち上がり、数的優位を作って攻撃をスタートする。横浜は、この攻撃に対し、パスの受け手に激しくプレスを仕掛けることで揺さぶりをかける対応。アグレッシブな守備から徐々に攻勢を強めて、15分に相手陣内で得たキックインから高橋響選手がゴール。その約40秒後には笠篤史選手が流れからゴール。攻守がハマった横浜は、いい流れを掴んでさらにその約1分後、北野聖夜選手が放ったシュートが守備に入った選手に当たって3点目。その40秒後、コーナーキックからペナルティーエリア内で受けた芝野創太選手が得点し、リードを4点に広げた。このタイミングで大阪はパワープレーをスタート。しかし、横浜ボールになったところでゴレイロから最前線で受けた守備についた選手の裏をとって芝野選手が再びゴール。横浜が5点のリードで折り返しを迎えた。
2ndピリオド、お互いに強度高くプレーし、主導権を奪い合う攻防からスタート。譲らない展開の中、大阪は早々にパワープレーを開始する。攻撃が実ったのは4分、計盛良太選手が左サイドからシュートを決めて1点を返す。大阪は、パワープレーのセットと守備のセットを使い分けつつ、基本的にパワープレーを継続する。横浜も相手の攻撃に対応しながら、隙を見てゴールを狙うものの、ボールを握る時間は大阪が長い。そのパワープレーで大阪は8分に相井選手、さらに1分経たないうちに再度計盛選手が決めて2点差に迫る。横浜は耐える時間帯が続く中、相手ボールを奪った北野選手が自陣からロングシュート。一瞬の隙をついてのパワープレー返しを決めて、大阪を突き放す得点を決める。しかし大阪も冷静さを保ち、攻撃を続けていく。その切れない気持ちが横浜のファウルを誘う。両チームすでにファイブファウルに達していたため、大阪の相井選手は第2PKを選択し、しっかり決めて再度2点差に詰め寄る。しかし、これ以上はお互いに得点できず、タイムアップとなった。
前半は横浜、後半は大阪がそれぞれ主導権を握る試合となったが、両チーム合わせて10得点の試合は、ホームの横浜が勝利。大阪は今シーズン初の黒星となった。
Y.S.C.C.横浜 試合後会見
鳥丸太作監督
ーー試合の総括をお願いします
鳥丸「(シュライカー)大阪については、中3日でしたけど、対策を準備しました。わかりやすくキーパーからリリースされたボールに対してダブルチームを組むというところで、うまくハマって、何手か先まで、こうされたらこうしようというのはあった中で、想像を超える対策はなくて、うちの選手のクオリティのところで5点を取ることができました。
5対0になって後半の最初からパワープレーするとなると、スペシャリスト4人をずっと出すことはできないし、そこの準備はさすがにしていませんでした。僕が4月からやってきたところでインプレーの部分は発揮できたと思うんですけど、パワープレーの対応というところで、まだやりきていなくて、僕も指示が曖昧になってしまって、選手たちを苦しめてしまったなと思います。勝ちはしましたけど、ちょっと納得というか、素直に喜べる試合ではなかったなというゲームでした」
矢澤大夢選手
矢澤「キーパーが上がるという大阪のやり方に対して、鳥さん(鳥丸監督)の考えた対策が前半がっちりハマって、相手のリズムを崩すことで5点決められて、前半はすごく良かったと思います。後半はパワープレーの対応で、経験が浅い部分で、やられ慣れてなかったので、あれだけ長時間やられるとやっぱり穴があって、そこを突かれたという感じですね」
ーー攻撃の形ができてきていると思うが、監督の狙いとしてはどうでしたか?
鳥丸「今日見て、まだ4割、良くて5割かなというところは変わらないなと思います。ただ、サポートの質とかスピードとか連動性というのは、間違いなく進んでいるので、1周目よりも2周目の方が、勝てるかどうかはわからないですけど、連動の質とかスピードとかはもっとおもしろいものを見せられると思います。今日は、相手がパワープレーの時間が多くて、そうなるとどうしても受け身になって、距離感もちょっと遠くなってしまって、ボール持ちが悪くなったいうところはやっぱり反省しないといけないなと思います。同じシステムでやったとしても、メンタルの状態によってやっぱりプレーの質が変わってしまうので、そこはやっていかないといけないなという、そういう試合でした」
ーー後半相手は、パワープレーの形を変えずに長い時間やっていたが、中央に入った選手を逆に警戒しすぎての失点というのが目についたように思うが?
鳥丸「そうですね、加藤翼選手のブロックでのズレというところはわかっていたんですけど、そこをどう対応するかというところで、パワープレーの守備に慣れてない選手もいる中で、そこをうまく突かれてしまったなと思います。得点を見ればそのままだったと思うんですけど、後半は大阪のペースです。後半の入り際にうちが先に1点でも取れていれば、相手はもしかしたらパワープレーをやめていたかもしれないですし、そういうところでもう一つ上回ることができていたらうちが主導権を握れたと思います。そこは自分が監督として、足りない部分だなと思っています」
ーー終盤でゴレイロを交代した狙いは?
鳥丸「彼はU-19の日本代表に入っている選手で、試合経験を積ませたというところです。本来はこういう使い方はしないんですけど、本当に若いというところで、期待値を持って、経験をさせるという意味の出場です」
ーーパワープレーの守備について、今後に向けて長い時間対応するような練習もするのでしょうか?
鳥丸「します。次節に向けてそこに時間を割くということはないですけど、普段の練習の中で自チームのことをやるとなったときに、パワープレーの練習はしているんですけど、そういうことも想定した上で、いろんな選手がディフェンスをする機会は作ろうかなと思いました」
シュライカー大阪 試合後会見
永井義文監督
ーー5連続失点については、どういう思いがありますか?
永井「短くいうのは難しいですけど、いつもやれていることができなかったという、シンプルにそれだけです」
ーーゴレイロを呼んで指示を与えたりと立て直そうという意図は見えたが、そこでも失点が続いてしまったが?
永井「まずは申し訳ないというところ。サポーターに申し訳ないですし、メンバー外になってしまった選手たちに申し訳ないです。前半に不甲斐ない戦いをして、不甲斐ない結果になって、自分たちが悔しいという気持ちの前に、申し訳ないという気持ちの方が大きいです。修正できればよかったんですけど、自分たちは攻撃に比重を置いた選手が多い中で、立て直しが利かなかった。球際を強くいくとか、マークについていくとか、シンプルなこと。例えば、セットプレーの守備の配置とか。キックインの守備が、失点シーンもそうですけど、立っている位置が遠いんです。6mくらいのところに立っているのは、普段ではあり得ないこと。普段は審判に言われて下がるくらい。けれども最初から遠いんですよね。いろんなことに対して注意が散漫になっていたと思います。
その中で修正しようとはしましたけど、選手の背中を押すホームの歓声の中で、私の声はほぼ届かない。5失点全部、普段やっていることができていればない失点です。彼らも集中していたとは思いますけど、もう少し集中をすれば、前半、ああいう結果にはならない。では、自分が何ができたかといえば、もう少し彼らにそういう促しができたんじゃないかというのは自分自身では振り返りたいと思います。
一方で、パワープレーでチャンスを作ったり、後半こうやって盛り返す力があるというのは、自分たちが持っている力だと思います。1試合負けただけやから、何よりも大事なのは次の試合です。ホームですし、そのホームでしっかり自分たちが内容云々よりも結果にこだわって戦う。こういう申し訳ないようなゲームはしない。そこはスタッフも含めて全員でやれたらなとは思いますね」
ーー前半最後に行ったパワープレーと、後半のパワープレーは形が違いましたが、どういった判断でしょうか?
永井「もちろん前半でスコアを動かしたいという思いもありましたけど、彼らは彼らで準備してきていることがあると思うので、彼らのディフェンスを見たかったというのと、それが機能するしないを見ました。後半は、前半に確認できた分、いつもやっていることやから、すごくたくさんの話しをしたわけではないんですけど、しっかり気持ちを落ち着かすことができれば、そのあたりはうまくいくんじゃないかなと。よくやってくれたと思います。
パワープレーをするときは、裏に守備をするセットがありますが、そのセットも守備だけじゃなくて攻撃もしてたし、あわよくばそこで1点取る力があれば、もう少しパワープレー以外のところでもスコアを動かせたかなと思います」
田村友貴選手
ーー今日の試合を振り返って、ピッチの中ではどうだったか教えてください
田村「入りは良かったんですけど、失点してからちょっと甘さ、さらに甘さが出たというか、自分たちは今まで失点したとしても、フウガ(ドールすみだ)戦も失点してもうまくいったし、湘南戦もそうやし。失点してからでも行けるだろうとか、ここから行けるだろうという甘さが2点目3点目4点目、5点目もそうですけど、全部そこにつながっている。1失点からの修正というところで、全部そこが前半の敗因というか、原因かなと思います。後半は、パワープレーをしていたんで、自分たちのやりたいことが相手にハマってできたんですけど、やっぱり失点してからの立て直しというところで自分たちの甘さが出ました」
ーーピッチの中で声を掛け合ったりというのは、ありましたか?
田村「あったんですけど、連続失点が早すぎて。そこも修正すらもできずに、前半をやっていた感じです」
ーー今シーズンのチームづくりのコンセプトなどを教えてください
永井「自分たちのコンセプトは変わらないんですよね。それというのは、いわゆるプレーモデルと呼ばれる、どういうフットサルをするかというものではなくて、コンセプトは『元気・勇気・感動を共有する』、元気と勇気と感動ですね、そこを共有するフットサルをしようということです。それはメンバー内もそうだし、お客さんもそうですし。
それをどうやってするかといったら、自分たちはアタッキングフットサルをするよと、相手コートでプレーするよと。それで『攻める姿勢』『勇敢な姿勢』『相手コートで戦う姿勢』を通してそういうものを共有したい。それをコンセプトにチームを作っています。もちろん戦術的な話はありますけど、そこが大もとにあります。
今日は、元気はあったと思います、失点しても声は出していたし。だけど、どんな劣勢な状態でも勇敢に立ち向かっていくには、メンタリティと戦術眼が必ず必要です。そうじゃないとやっぱり感動を生むというのはできないので。その部分というと、よく元気を出して頑張ったとは思います、(田村)友貴も言っていたように声は出ていたんですよね、『行こう行こう、次だ次だ』っていう声は出ていたし、前向きに向いていたとは思うけど、本当の意味で勇敢さを出して戦うことができたのか、本当の意味で戦術的に感動を生むような形で、修正できたのかというと、そこは正直クエスチョンが残る。3つのうち2つができていないと、やっぱりああいうゲームになってしまう。自分たちとして非常に悔しいし、残念やし、それよりもやっぱり申し訳ない。そういう部分で共有することができなかったことに対して申し訳ない、応援してくれる皆さんに申し訳ない、前半をしたと思います」