~湘南ベルマーレ VS バルドラール浦安~
いよいよ第2クールに突入したFリーグディビジョン1。11月6日(土)には、ここまでホーム無敗を誇る湘南ベルマーレがバルドラール浦安を小田原アリーナに迎えた。11月とはいえ、秋晴れの快晴で気温も20度前後まで上がり、開場までの時間をアリーナ周辺の芝生で過ごすサポーターも多く見られた。まだまだ入場人数や応援の方法に制限はあるものの、アリーナには浦安サポーターも足を運び、合わせて612人が手拍子や拍手で選手に声援を送った。
試合は、浦安の積極的な姿勢が際立つ展開から始まった。高い位置からプレスを仕掛け、マイボールになれば素早くゴール前までボールを運んでシュートまで持ち込んでいく。しかし、ボールはわずかに枠を捉えられず、またセットプレーでは湘南のゴレイロ・フィウーザ選手が壁となって立ちはだかった。序盤の流れは浦安にあったが、その時間帯も湘南はプレスをかける位置を高く保ち、逆襲の時を伺う。すると11分、ゴレイロからのビルドアップのボールを右サイドから運び、その逆サイドを走り込んで裏をとった浦上浩生選手が得点。一瞬の隙をついて先制点を奪った。その約30秒後には、ロドリゴ選手が個人技で追加点。ここで浦安はタイムアウトをとって仕切り直しを試みるが、その1分後に再びロドリゴ選手が得点を決めた。3点差がついたところで浦安はパワープレーを選択。しかし、パワープレー返しで高溝黎磨選手、鍛代元気選手が得点し、差を広げていく。浦安はここで通常の戦い方に戻し、10代を含む若手選手でセットを組んで反撃に出る。しかし、フィウーザ選手との連携から萩原真夏選手がバックヘッドで得点。湘南が6得点をリードしてハーフタイムを迎えた。
仕切り直しの2ndピリオド、大差を追う浦安だったが入りはリフレッシュした印象。守備からリズムを作って攻撃に繋げていく。一方の湘南も6得点で満足することなく、鋭いカウンターでゴールを狙う。均衡を破ったのは再び湘南。相手陣内で高溝選手がボールを奪い、相手選手を引きつけて高橋広大選手にパス。高橋選手は1対1の局面でゴレイロの藤原潤選手をゴール前からひきずり出して、無人のゴールへシュートを決めた。ここで湘南は、ゴレイロをフィウーザ選手から上原拓也選手へ交代。しかし、リズムを崩すことなく三度ロドリゴ選手の技ありゴール。ロドリゴ選手は、ハットトリックとなった。その後は浦安が攻める時間が長くなるものの得点は奪えず。7分を残したところで浦安は再度パワープレーを選択。執拗にゴールを狙い、39分にはガリンシャが執念を実らせ、1点を返した。しかしその20秒後に再び湘南・高溝選手がゴールを決め、9対1とした。
湘南は、ホーム無敗を継続。幸先の良い第2クールのスタートとなった。
試合後会見
湘南ベルマーレ 伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「今回も熱い応援で、ホーム無敗を継続できてよかったなと率直に思います。本当にサポーターの力はすごいなと感じます。
ゲームは、浦安さんのゲームを分析する中で、プレーの一つ一つの精度が高いものがあるので、そこを十分注意することと、我々のやっている裏のスペースへどんどん走っていくスタイル、体で負けないというところは全員に言い続けて試合に臨みました。前半は、危ない場面を相当作られ、そこには課題を残しましたが、先制点が取れると、やっぱりうちのペースになるというところはみんなにも共有していたので、早めに点が取れて良かったです。ロドリゴが個人技で点を取ってくれるとやっぱり乗れます。また、全員で守備ができたことがよかったなと感じています。今日の勝因としては、相手が前半からパワープレーに来て、そこで得点を重ねられたところかなと思います。後半には、いつも出ていない選手も出せましたし、すごく収穫のあるゲームだったなと思います。前節退場した本田真琉虎洲がいないところも全員でカバーできるということは、チーム力が上がってきた証拠なんじゃないかなと思います。来週に向けてまた準備していきたいと思います。ありがとうございます」
上原拓也選手
上原「お疲れ様です。まず、いつも言っているんですけど、設営をしてくれたスタッフの皆さんやサテライトの皆さん、応援に来てくれたファン・サポーターの皆さん、ありがとうございます。第2クールが始まって、またこうして応援してもらえる幸せを噛み締めながらプレーすることができました。昨年、無観客試合が多かった中で、こうやって当たり前のように皆さんが足を運んで応援に来てくれる、この状態というのはやっぱり、スタッフの皆さんが尽力してくれたおかげだと思うし、そこに感謝しながらプレーしていければと思います。
今日の内容は、大差で勝つことはできたんですけど、監督も仰った通り、入りのところで少し、スタートダッシュがうまくいかなかった部分があったので、そこは課題だなと思います。今日は結果的に、そこで点が入らなかったですけど、そこで点を取られた時に崩れてしまうと思うので、試合の入り方はチーム全員でもっともっと統一していかなきゃいけない、笛が鳴った瞬間に試合に入るということはすごく大事だと思います。ただ全部が全部同じようにできるとは思ってないですし、うまくいかなかったときにチーム全員で修正をしていくことはすごく大事だと思います。今日は最初のところで失点をしなかったのは大きかったと思います。
第2クールが始まって、たくさんのチームからスカウティングをされた中で戦うと思うんですけど、そういう中でも相手の隙を突いていって、そこまでしっかり我慢して戦う試合が増えていくと思うので、我慢強く戦っていって、勝点3を積んでいって、その結果で優勝とかが見えてくると思うので、常に1試合1試合、目の前の試合をとにかく全力で戦って、最終的にああ優勝が見えてきたってなれば最高だと思います。11月はたくさん試合がありますけど、目の前の試合を大事に戦って、勝点3を積んでいけるように、また頑張っていきたいと思います」
ーー前半の序盤は押し込まれるシーンが目立ったが、攻勢に出られたきっかけや戦術的要因などはあるか?
伊久間「浦安のファーストセットは元代表選手が2人いて、ガリンシャがいて、攻撃力、正確性、判断力には長けたセットなので、そこに対してもちろん全員が警戒というか準備はしていたものの、ちょっと警戒しすぎた部分があったのかなとは思います。もちろんそこは、向こうが最初の主導権を握りにくる時間であり、我々が守備に回る時間が長かったが、そこを守り切ったところから、これでいけるというのはあったと思います。いつも通りだと思うんですけど、エンジンがかかるのが遅いというところに課題はあるのですが、そこは主導権の握り合いで、(主導権を)取られながら取れたというところは、向こうが押し込む時間が長い分、我々はカウンターで裏のスペースに走るというのは得意なので、そこが出せて得点を奪えたことが攻勢に出られた要因じゃないかなと思っています」
ーー7点差で途中出場したが、パワープレーなどいろいろな局面があった。どんな経験になったか?
上原「まず公式戦に久々に出たので、たった15分のプレーイングでしたけど、体はすごく疲れました。サテライトの試合に出させてもらっていたんですけど、やっぱり緊張感が違いますし、強度も全然違かったので。7点差でしたけど、試合に出ることで見えてくるものはありました。今日は、とにかく失点しないことを頭に入れてピッチに入ったんですけど、いつもよりすごく冷静にプレーができてたなと自己分析して思います。ただ最後のパワープレーの失点に関しては、さっきロドリゴ選手とも話をして、役割分担のところでエラーが起きてしまって、僕が先にファーサイドに動いてしまったところで失点をしてしまったので、やっぱり最後の最後まで集中力を切らさず、切らしたつもりはなかったんですけど、最後まで切らさずにプレーすることが今後の課題だなと思います。
前半の0-0の状態から出るのと、後半の7-0から出るというのはやっぱり違いますし、今日試合を作っていたのは間違いなく先発で出たフィウーザだと思いますし、その助けのおかげでこうして試合にも出られたと思います。この先、何が起こるか分からないですし、やっぱりスタートから試合に絡んでいけるようにもっともっとレベルアップしていかなきゃいけないという思いで常に一番手を狙って普段のトレーニングや試合を行っているので、しっかり落ち着いてチャンスが来た時に力が発揮できるように練習から頑張っていきたいと思います」
バルドラール浦安 小宮山友祐監督
ーー試合の総括をお願いします
小宮山「お疲れ様です。思った展開とは違った展開になってしまったことがこの試合のゲームプランが大きく壊れてしまったところだと思います。前半の連続失点をする前、(自分たちの時間帯に)点を取ることができたら違った展開だったのかなと思いますけど、その後は湘南の勢いとショートカウンター、そういったものに圧倒されて進んでしまったかなと感じています。一度ああいう流れになってしまうと、その流れを変えるのは難しいのでパワープレーを間に入れたりしましたけど、そういったものもすべて裏目に出てしまった試合だったかなと感じています。(チームの実力は)ここまでの差があるとは感じてないですけど、結果をしっかりと受け入れて、簡単に次という言葉を使うのは好きではないんですけども、まだまだリーグは続くので、次の試合に向けて今日の試合の反省点も含めて、また全員で前に向かっていけたらなというふうに感じています。以上です」
石田健太郎選手
石田「試合が終わってすぐなので、試合(の映像)を見てからじゃないと詳しいことは言えないんですけど、監督も言っていた通り、(試合の)入りでチャンスが何個かあったので、そこを決めていたらまた違った試合になったと思います。しかし、それを抜きにしても、自分たちのフットサルができなかったなというのが正直あって、それは相手が湘南だからとかじゃなくて、どのチームにも自分たちのスタイルを貫いてやる必要があると思います。相手に合わせてしまった部分もあるので、練習からもっと自分たちのスタイルを作っていければなと思います」
ーー前半にパワープレーを選択するのはリスクも高いと思うが、あえて選択した狙いは?
小宮山「パワープレーに関しましては、得点差が開いてしまったので、一度ゲームを落ち着かせたいなというところがありました。その前に一度タイムアウトをとって、選手たちに『このままじゃ流れを全部持っていかれるぞ』という言葉を、強い口調で叱咤激励したんですけど、それでも流れが変わらなかったので、そういった中で一度流れを切りたかったというのがありました。自分たちはパワープレーに自信を持ってますので、最悪点を取れなくても、点を取られることはなく、ボールを回してちょっと落ち着かせる時間というものが欲しかったというところでした。しかし、奪われ方が悪かったというところですかね。いつもだったらあんな奪われ方をしないというところで奪われてしまって、それで失点を4点5点と重ねてしまった。正直自分は0-3のままで前半を終われればというところがあったので、4点目5点目というのはちょっと、プランの外ではありました。おっしゃる通りリスクがある戦い方ではあるので4点目5点目を取られてしまうのは仕方がないことでもあるのかなと思います。選手たちには伝えたんですが、選手が悪いわけではなくて、パワープレーを選択した私の責任なので、0-3のままゲームを進めることができなかったところが大きな反省点かなと思います。もう少し選手たちに点を取らなくていい、ボールを回しておけということを伝えてもよかったということです。そこはすごく反省をしています」
ーー前半パワープレーの後、若い選手でセットを組んで戦ったが、その狙いと手応えは?
小宮山「パワープレーやその前の時間帯も含めて、隣にいる(石田)健太郎やベテランの選手たちは長い時間試合に出ていたので、一度リセットをさせないといけないところを感じていました。若い選手たちも、ベンチに入れているのはご褒美でもなんでもなくて、彼らが実力で掴み取った14人の枠なので、彼らを試合に出すことはなんのためらいもなかったです。なかなか効果的な攻撃等々というのはできなかったですけども、しっかり練習でやってきたこと、ピヴォに入れるっていうところまではできてたんじゃないかなと思いますし、むしろ若い選手たちの方が思い切ってライン間を使ったりとか、湘南の選手たちにしっかりアクションを起こせていたんじゃないかなというふうに感じています」
ーーハーフタイム、後半にむけてどう選手たちを送り出したか?
小宮山「ハーフタイムに関しては、0-6の前半というものはもう戻らないので、違うゲームにしようと、また0-0からゲームが始まるわけで、後半だけでも勝ちに行こうという話をしました。結局後半も3-1で負けなので、そういった意味でも前後半合わせても勝つことができませんでしたが、後半だけでも勝ちに行こうという話をして、選手たちを送り出しました。さっきも言いましたけど、0-6までいった責任は誰にあるのかと言ったら私にあります。選手たちは、ミスしたりとか責任を感じている部分はありますけど、その選手を起用しているのも全部私に責任があるので、選手たちは別に自信を失う必要もないですし、試合後には、この1-9という差が自分たちの現在の力の差ではないという話もしました。ハーフタイムについては、前半をひっくり返そうぜっていうところだったんですけど、なかなかそこもうまくいかなかったなというところです」
ーー前半の序盤はかなり前に圧力をかけて湘南を押さえ込んで、惜しいチャンスも何度もあったが、失点後一気に湘南のゲームになったが、何かあったか?
石田「うーん、さっきも言ったんですけど、点を取れなかったことですかね、一番は。そこまでのディフェンスとか、攻撃は悪くなかったと思いますし。点を取らないと勝てないので、そこで点を取れなかったことがすべてかなと思います」
ーー何かきっかけがあったわけではない?
石田「そうですね、そこまで大きなものはなかったと思います」