~ペスカドーラ町田 VS 名古屋オーシャンズ~
12月29日(水)、延期になっていたFリーグディビジョン1第9節、ペスカドーラ町田 VS 名古屋オーシャンズの試合が町田のホーム、町田市総合体育館で開催された。この対戦は、フットサルW杯による中断明け直後に予定されていたもの。しかし、タイ代表を含めて8人の代表選手を抱えた名古屋は、新型コロナウイルス感染対策のため、帰国後2週間はチームに合流して練習ができないことから開催が延期となっていた。奇しくも1週間前の12月25日(土)に開催された第20節が名古屋ホームの同一カード。1週間で同じ相手とホームを入れ替え、対戦することとなった。
前回対戦は、町田が早い時間帯に3得点を決め、名古屋が追う展開。1stピリオドのうちに2点は返すが、2ndピリオドはお互いに追加点を奪えず、町田が1点をリードして試合が終わるかと思われた最後の最後、17秒を残すところで名古屋が同点弾を決め、引き分けに持ち込んだ。加えて名古屋は、延期となっていた第8節シュライカー大阪との対戦も12月28日に消化している。こちらはリードされる展開から逆転したが、長時間パワープレーを行い、心身の消耗は計り知れない状況。それでも優勝に向けて同じ相手に負け越すことは許されないとアウェイの地に乗り込んできた。
試合は、アウェイ名古屋が先制。ここのところ先制されては追う展開が多かった反省から「原点に戻ってしっかり守備から」(星龍太選手)入ることでいい流れを引き寄せた。2点目も疲れを感じさせずに前からプレスをかけることで町田のゴレイロ・イゴール選手のミスを誘い、正面からの間接フリーキックを得て、ペピータ選手が決める。町田は得意のプレスがはまらず、逆に名古屋がインターセプトからオリベイラ アルトゥール選手が決めてリードを3点に広げた。ここで町田がタイムアウトを取り、悪い流れを断ち切る。その後は、お互いに主導権を奪い合う中、町田が徐々に自分たちのリズムを取り戻し、攻撃を形にし始める。流れが町田に傾く中、名古屋はファウルが重なり、5分以上の時間を残して5ファウルとなる。プレスラインが下がった名古屋の守備をついて、町田が攻撃に重心を傾けると、毛利元亮選手が起点となって、逆サイドで受けた倉科亮佑選手が決めて1点を返した。さらに町田が相手陣内で攻撃の強度を上げると、名古屋の選手がたまらずにファウルで止めて、第二PKとなり、毛利選手がしっかり決めて1点差とした。このあと名古屋のオリベイラ アルトゥール選手がレッドカードで退場。しかし名古屋は2分間の数的不利をしっかり守ってハーフタイムを迎えた。
2ndピリオド、町田は走れる選手がスタメンのセットに登場。攻守に狙いを持って走り回り、流れを引き寄せる。前からのプレスが奏功してインターセプトからそのままシュートに持ち込んで伊藤圭汰選手が得点、同点に。「やるべきことをやり続ける」(ルイス ベルナット モリーナ監督)結果が表れた。さらに再度インターセプトから髙橋裕大選手が決めて逆転に成功。直後にイゴール選手からのロングパスを本石猛裕選手がゴール前に落として日根野谷建選手が走り込んで決めてリードを広げた。その後、名古屋はパワープレーから水谷颯真選手が得点。1点差に迫ったものの、町田が粘り強く守って勝利を掴んだ。
この日は名古屋から足を運んだサポーターも含めて902人が来場。町田サポーターはDJの掛け声とともに手拍子を行い、ホームの雰囲気を盛り上げた。この応援に応えて年内最後のホーム戦を勝利で飾った町田は、たくさんのサポーターと勝利の喜びを分かち合った。
試合後会見
ペスカドーラ町田 ルイス ベルナット モリーナ監督、金山友紀選手
ーー試合の総括をお願いします
ルイス「まず何をおいても一番に、今日の私たちの選手たちに本当におめでとうと伝えたいです。2つ目として、私にとっても非常にうれしい勝利でした。それと今日は、これだけのお客様が来てくださって、サポーターの皆さんも力を振り絞って応援してくださって、その中で勝利できて、サポーターの皆さんと、この勝利の喜びを分かち合えたことを非常にうれしく思います。
選手たちには常々、どんな状況であっても常に前向きに全力で戦っていくっていうことを伝えているんですけれど、今日の試合はそれが凝縮された試合でした。非常に厳しい状態でスタートしましたけど、選手たちは絶対に諦めることなく、自分たちのやるべきことをやり続けて、最終的にこういう結果になった。本当にいい例になったと思いますし、選手たちに一つ大きな糧になったと思います。
最後に私は、このクラブに携わるすべての皆さんにお礼を言いたいです。本当にこの勝利をうれしく思っています。それと年内はこの試合が最後で、今シーズンは名古屋に1敗もしていないというのは、クラブとして本当に大きなことだと思っています」
金山「先週の名古屋戦で、残りわずかなところで得点を決められて同点になり、引き分けたことは選手としてはやっぱり、負けたと同じくらいショックを受けていて、今日の試合にかける思いは強かったです。立ち上がり、その思いとは裏腹にうまくいかない展開になったんですけど、ベンチにいる選手もそこからどうやってひっくり返しにいくかということを話していましたし、そこをみんなが信じた結果が最終的に勝利につながったと思います。チームは、こういう経験をしながら強くなっていくと思うので、それをしっかり年明けのゲームでも証明できるように、今日はこの勝利を喜んでいいと思うんですけど、まだホームでの試合がまだ2試合残っているので、明日からそこに向けていい準備をしていきたいと思います」
ーー入りが悪かった要因について、どう考えていますか?
ルイス「先週の土曜日の試合と同じような感じだったんですけど、やっぱり緊張というか、気負っているというか。試合の入りに緊張が走っていて、それがいい方に作用しなかったということ。パスミスもあったり、判断ミスもあったりで、前回の試合も同様で今回もそういう部分が出てしまったと考えています。
そういう状態だったのでタイムアウトを取って3つのことを話したんですけど、そこで話したことすら頭に入らない状況に陥ってしまっていて、そこはやっぱりメンタル的に問題ではあるんですけど、経験の問題もある。うちは若い選手が多いので、そういう経験の少なさだったりがあったのかなと思っています」
ーー前半のタイムアウトの指示を教えてください
ルイス「1つ目は、自陣での自分たちのゴールに近いところで簡単にボールを失うなということ、2つ目は全員でもうちょっとプレッシャーをかけろということ、最後は枠に入らないようシュートを簡単に打って、ボールを相手に渡すようなミスをするなという3つです」
ーーハーフタイムの修正の指示と、2ndピリオドのスタメンを1stピリオドと変えた理由を教えてください
ルイス「ハーフタイムに話したのは、後半20分はまだかなり長い時間があるので、1つ目として、名古屋は前日も試合をしているので、この20分間で必ず運動量が落ちてくることが想定されるので、選手たちには、自分たちがやるべきことをやり続けるということをとにかく伝えました。あとはさっきも言ったように簡単なミスをしないというところ。それをやり続けることによって名古屋はだんだん疲労の蓄積されて、最終的には自分たちがやりたいことができるようになるから走り続けろ、プレッシャーをかけ続けろということを伝えました。
もう1つ言ったのが、名古屋のフィクソの星(龍太)選手と、ピヴォの星(翔太)選手に対して、龍太選手が出てない時間帯に関しては前でボールを納めてそこでボールをキープするということ。ピヴォの翔太選手が出てるときは、とにかく裏を狙え、裏を狙う攻撃をしろと、具体的にはこの2人の選手が出ている時間帯と出てない時間帯によってそのやり方を変えるという話をしました。
前半と後半のスタメンの5人を変えているのは、さっき言った意図があって、名古屋は後半の頭は必ずベストメンバーを使ってくる。しかし、ベストメンバーというのは実は一番出場時間が長い選手たち。だからここにどんどんプレッシャーをかける、走り続けるということをやることで疲労の蓄積させるという意図があったので、最初に走れる選手、プレッシャーをかけられる選手である4人を出したということです」
ーー精度が高い名古屋のパワープレーに対して守り切った守備面についてどのように評価していますか?
ルイス「西谷(良介)選手がいて、ぺピータ選手がいて、ここは名古屋のパワープレーのストロングポイントですが、そこの両サイドから出るパスが一番リスクがあります。彼らはそれができないと次は、ゴール近くの選手の入れ替わりが始まります。そこに付ききれないとファーポストにボールが入ってゴールを決められるということが起きます。それをうちの選手たちは、このまっすぐ逆サイドに飛ばすところをしっかり警戒をしながら、なおかつ斜めのところを入れさせないというところを本当に一生懸命やった。そこに尽きると思います」
名古屋オーシャンズ フエンテス監督、星龍太選手
ーー試合の総括をお願いします
フエンテス「(試合の)入りはしっかりとうまくいき、得点も決めて、守備もしっかりできて3対0にすることができました。そこまでの時間帯はコントロールができていて、ボール運びもうまくいっていました。しかし、2失点してから流れが悪くなり、そこでダメージを受けました。試合の中で、わかっていることをやられてしまい、今はショックな気持ちです。
2点目を決められてから冷静でいることできなくて、それが敗因かなと思っています。アルトゥール選手の退場も響いて、すごく難しい試合になってしまいました。前回、オーシャンズアリーナで試合をしたときは引き分けでしたが、そのときも退場者が出て、今日も退場者があって、同じ相手の試合で退場者が出ることはなかなかないと思うし、いろんなハプニングが起こったことで難しい試合でした。ただ、選手たちが感情をコントロールできずに審判に暴言を言ってしまったことは申し訳ないし、審判に関係なく自分たちが気持ちをコントロールができなかったことを深く反省しています。もっとしっかりとやっていきたいと思います。
しかし、レッドカードで退場者が出たあとにフィールドは3人になりましたが、しっかりと守ることができて、そこはすごく良かったです。
後半は、昨日も試合があったことと移動で疲れが取れてなかったなかで、退場者が出たり、ケガ人があったりで出場できる選手が限られたこともあって、立て直すことが難しかったと思います。
しかし、パワープレーでしっかりと得点ができたことはすごく良かったです。ただ、同点にできるチャンスがいくつかかあったのに決めきれず、この結果になってしまいました。町田というチームは、本当にすごいなと思います。しかし、町田の勝点3よりも、自分たちの選手が連戦でコンディションがきつい中、頑張ってくれたことが監督としては一番うれしいです。(今日は)負けたんですけど、頭をしっかりと上げて、残りの2試合を頑張っていきたいと思います」
星龍太「負けという結果は出ているので、そこにはいろんな感情はありますけど、結果は受け止めて、あと2試合、勝点4を取れば自力でしっかりと優勝を決められるので、この試合のことをしっかり受け止めたら、次のことに頭を切り替えてやることが大事だと思います。原点に戻って、しっかりディフェンスから入れば今日のようないい立ち上がりで試合ができると思うので、このあとの2試合はそこを忘れずに、そこに重点を置いてやっていきたいと思っています」
ーーあと2試合で勝点を積み重ねれば優勝が見えてくるが、次節が調子を上げてきているバルドラール浦安、最終節が残留に向けて負けられないボアルース長野ということで、その2試合に向けてのコメントをお願いします
フエンテス「今は今日の試合で負けてしまったことで、何も考えられない状態です。しかし、浦安はホームで本当に強いチームなので、しっかりと警戒して戦術を考えて試合に臨みたいと思います」
星龍太「選手の立場からすると、年末年始はチームとしてオフが与えられていますけど、頭はリフレッシュして、体は休めすぎずにしっかりと整えることがプロとして大事だと思っています。準備というのはそこから始まってると思いますし、試合は監督の指示でやるものですが、そこまでの準備というのは選手それぞれがしなければいけないと思っています」
ーー町田対策の練習をする時間がない中で、選手にはどのように対策と伝えたのでしょうか?
フエンテス「本当に短い時間しかなかったので、ここを狙おうという具体策は立てずに、後ろでボールを持ったときはしっかりと回して、空いたところにパスを出すということを伝えました。セットプレーについては、しっかりと自分たちのサインプレーをやればゴールを決められると思うので、そこを信じて、選手を信じて試合に臨みました」