試合

ホーム最終戦を勝利で飾りたい北九州、勝ちへの執念が上回る長野に敗戦

~ボルクバレット北九州 VS ボアルース長野~

1月8日、ボルクバレット北九州のホームゲームは久留米アリーナにボアルース長野を迎えて行われた。
北九州にとってホーム最終戦となったこの試合には279人の観客が訪れたが、1-3で北九州の敗戦となり、北九州から駆け付けた多くのファン・サポーターの前で勝ち試合を見せることはできなかった。

先に好機を迎えたのは北九州だったが、先制したのはセットプレーから松永翔選手が放ったシュートのこぼれ球がオウンゴールとなった長野。思わぬ形で失点した北九州も、第1ピリオド終了前には押し気味にゲームをすすめ、決定的な場面を作るものの長野の粘りのある守備で得点には持ち込めなかった。

第2ピリオドも序盤から攻撃的な北九州が相手ゴールを脅かすシーンがあったが、逆に中村亮太選手のスーパーゴールで長野が追加点を奪う。

2点のビハインドとなった北九州はパワープレーからオウンゴールが生まれ1点を返すが、終了間際に米村尚也選手がパワープレー返しで古巣への恩返し弾を決め、長野は2点の差をつけて勝利をもぎ取った。

この試合が長野にとっていかに大きな意味を持つかということを考えると、北九州としても非常に難しい試合になったことは間違いない。全体としては北九州がゲームを支配し、攻め込むシーンも多かった。しかし1点を決めてからの長野の気迫はすさまじく、ワンプレーごとにベンチの選手も声を上げ、時間の経過とともに益々士気の高まりを顕わにしていく様は圧倒されるものがあった。

また長野の田口友也選手、松永翔選手、上林快人選手、米村尚也選手の4人は元ボルクバレット北九州所属。重要な試合が古巣との対戦となったのも巡り合わせの妙である。負けた時点でF2との入れ替え戦が決定する長野の勝ちへの執念が北九州を上回ったともいえる。そう感じさせられる緊迫した独特の空気がピッチを支配する試合だった。

試合後会見


ボルクバレット北九州 馬場源徳監督

ーー今日の試合の振り返りをお願いします
馬場試合の入りですが、相手にとって非常に大切な試合というのは理解した上でこの一週間を作ってきました。攻撃的な姿勢を見せる、しっかりと攻め込むということに対して、対戦相手が非常にタイトなディフェンスをしてくるというのも想定していました。

その中でアクシデントから一点を追う形となりました。とても残念な失点だったと思います。こういう試合では一失点の重みは相当あると思っています。

失点をしてからはゴールキーパーを替え、攻撃的な布陣でいくことでより多い回数の攻撃を再現することが出来ました。ただし、最後の決定機もしくはセカンドポスト、全員での打ち込みなどの質はまだまだ理想的な形からは遠かったと思います。そのためなかなか得点できないままずっと試合の時間が流れていく。そしてまたもうひとつアクシデント的なゴールが入ってしまうことで2-0というとても難しい試合展開となりました。

最後のパワープレーで1点返したのですが、その先も決断や精度を欠き、パワープレー返しという形で3点目を献上することになりました。想定内の中では最悪のゲームシナリオ、ゲーム運び、そして精度という形で久留米の試合を終えたというのが正直な感想です。

前回、前々回のインタビューにもあったように、なかなかクオリティの部分が上がらない、決定機の部分の質が低いということをそのまま露呈した形の試合となりました。津田、イザケを欠いた中で、残りの中堅選手だけでもこの試合のレベルで勝ち切らないと、次のシーズンにはつながらないのかなというのが正直な感想です。

また前回のインタビューでもありましたが、リーダーシップを持った選手というものを育てる、もしくは囲っていく必要があるというのを再認識したゲームともなりました。こういう難しい展開になる中で、結果を出す、流れを切る、失点を許さないというリーダーを自分たちはしっかりとチームの中に囲うことで来シーズン以降中位、上位を目指すためのチーム作りを急がなければならない。これはボルクバレット北九州がF1に上がってからの慢性的な課題だと自分たちは認識しています。

F2から昇格して残留することができた、そして残留することから中堅、上位を狙うにあたってやはり他のクラブが抱えている、結果を出せる6人、7人の選手を囲い、そしてそこに自分たちの若いタレントを育てていくというチーム作りを目指さなければ、この先F1で中位もしくは上位を狙い続けるのは難しいというのが正直な現状です。

逆を言えばこの二年間という短い期間でそういう立ち位置までこのクラブがきたことは誇らしく思っています。ホーム最終戦は残念な結果になりましたが、私たちがこのF1でしっかり上位を狙う足がかりをつかんだということは示せた一年だったと思います。ここからレギュラーシーズン残り1試合、しっかり来年のことも見据えた中でチーム、クラブ構成を続けていきたいと思っています」

田村研人選手
田村「結果は負け。悔しいけどこれが今のチームの実力です。真摯に受け止めています。

ただ幸いなことにこの試合で終わりではありません。最終節、横浜戦がまだあります。去年の勝ち点、順位を上回れるチャンスが自分達にはあります。

勝ちたい気持ちだけでは勝てないリーグ。自分達に今ある、武器を最大限に活かして心技体全てを整えて挑み、ボルクらしい試合をして、勝利で終えたいです」

小林謙太選手
小林「今日の試合も攻撃・得点力に課題が残る試合となってしまいました。どんな試合も失点0は非常に難しいと思っています。なので得点数を増やしていくことがリーグ中位から上位を目指す為には必要と感じています。チャンスを決め切る力をつけると言う課題に個人としてもチームとしてもこれから逃げずにブレずに向き合っていきます。

今日の試合もそうでしたが、久留米アリーナやアクシオン福岡などの北九州からは少し離れた会場で今季はホーム戦が多かったですが、それでも会場に応援に来てくれるファン・サポーターには感謝ばかりです。また、会場の設営・運営に携わって頂いている全ての関係者に感謝したいです。

前節の北九州市立総合体育館では1,000人を超える方に応援して頂きました。そういった沢山の方々へ感謝の気持ちをピッチの上でゴールや勝利という形で表現したいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします」

安嶋健至選手
安嶋「試合は非常に厳しい結果になりました。自分達がスコアを動かそうと話し、その準備をしてきましたが、最後まで長野さんを崩すことができませんでした。

ピヴォにボールは入っていましたが、そこへの関わりが少なかった。周りが見てしまう時間が多かったのかなと思います。全体的にモビリティーが足りなかった印象です。自分も前半にチャンスがありながら、決めることができませんでした。

次節はリーグ最終戦です。ゴールを取ること。これに尽きると思います。しっかり準備して、必ず勝ってリーグ戦を締めくくりたいと思います。

ホーム戦が全て終了しましたが、今年は去年よりもホームで勝つことができました。グローバルマーケット様、北九州市立大学プロスポーツ実習の皆さん、サテライトのみんな、ボランティアスタッフの皆さん、各社スポンサー様、沢山の方に支えられ、あのピッチでプレーできています。そして、会場に来てくださる皆さんの後押しがいつも僕たちを勇気づけてくれていました。このご時世でなかなかファンの皆さんと交流することができませんが、いつもその声は僕たちに届いています。今シーズンも最高の雰囲気を作って頂きありがとうございました」

今回の「たまに来たからこんな店」


ボルクバレット北九州のホームゲームとはいえ、県南の久留米といえば県北の北九州市内からざっくり2時間くらいはかかるのである。関東圏なら完全にアウェーの距離ではなかろうか。

しかしその分、たまにしか食べることが出来ないご当地グルメを楽しむことが出来る。そして久留米に来たからには絶対食べようと思っていたのが「大砲ラーメン」だ。

久留米は豚骨ラーメン発祥の地といわれ、中でも大砲ラーメンは老舗の人気店である。私も昔から好きな店のひとつで、久留米アリーナが大砲ラーメン本店から徒歩で行けるということで今回食べられるのを楽しみにしていたのである。

創業以来窯に継ぎ足された呼び戻しスープにラードを加えた「昔ラーメン」の並。こってりと濃厚でこくがあるにもかかわらず、決してしつこくはない。スープがからんだゆで卵ととろけるようなチャーシューをどのタイミングで食べるかペース配分を少しだけ考えるのも楽しいのだが、結局は美味しいのであっという間に平らげてしまう。この後試合会場に行かなければならない私にとってはこれでちょうどいい。

食後に予定がなく、満腹になってしまっても大丈夫ならば大盛りもいいが、ラーメンに餃子・おにぎりセットをプラスするのもいいだろう。

久しぶりに食べた「昔ラーメン」は懐かしくもあり、そして変わらず満足のいく一杯だった。

昔ラーメン 並700円 大盛800円 ミニ500円(いずれも税込)
久留米 大砲ラーメン

Text by 東 恭子
Photo by 東恭子
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