試合

底力を見せてホーム浦安が勝利を引き寄せる!

~バルドラール浦安 VS バサジィ大分~

9月の下旬から開催される、AFCフットサルアジアカップクウェート2022と、強化を兼ねたブラジル代表との親善試合のために、リーグ戦第8節終了後に約2ヶ月近い中断期間に入るFリーグディビジョン1。8月の最終週の週末、中断前、最後の試合が各地で行われ、バルドラール浦安は8月28日(日)、ホーム・バルドラール浦安アリーナにバサジィ大分を迎えた。

今シーズンの浦安は、プレーオフ進出を目標に現在2位をキープ。首位を走る名古屋オーシャンズに敗戦、フウガドールすみだと引き分けた以外は、着実に勝点3を積み上げている。一方のバサジィ大分は、新監督を迎えて新たなチームづくりを進める中で、なかなか勝利を掴めずにいる。しかし、どの試合でもチームの可能性が見える戦いぶりを見せていることから、対戦相手にとっては気の抜けない存在として脅威を与えている。

試合は、ホームの浦安が幸先よく先制。キックインからガリンシャ選手が技ありゴールを決めた。その後は、大分が徐々に攻撃のリズムを掴んでいき、その中で自陣からのパスを左サイドで受けた本石猛裕選手が浦安のフィクソ・ディドゥダ選手を抜いて得点し、同点に持ち込む。さらに大分はパカット選手が得点し、逆転した。

2ndピリオドは浦安が自分たちのリズムを取り戻すべく、強みを活かしたセットでスタート。序盤に長坂拓海選手が得点、さらに東出脩椰選手が追加点を取り、逆転。その後、大分の三浦憂選手がゴール前のこぼれを拾ってシュートを決め、再び同点とするが、2分40秒を残したところでその三浦選手がイエローカード2枚で退場となる。ここで大分は、退場のペナルティである2分間を3人で守り切るが、残った40秒で浦安がパワープレーを仕掛け、大島旺洋選手が得点し4対3に、さらに加藤竜馬選手が得点してリードを広げてタイムアップを迎えた。

浦安は前半、ガリンシャ選手を中心にした戦い方を選択し、後半はクワトロセットからスタートして大分の守備バランスの混乱を狙う。大分の足が止まったところで追加点を決めて、勝利を引き寄せた。とはいえ大分も2度追いつき、地力があるところは見せている。中断期間の修正と上積みに期待したい。

バルドラール浦安 試合後会見


小宮山友祐監督
ーー試合の総括をお願いします
小宮山
この試合に関しましては、自分たちがこれから上位を狙っていくチームなのか、それとも例年通り中位に甘んじるチームなのか、そういう意味で非常に大きな試合になるという話を選手たちにして、湘南戦から準備をしてきました。大分は、スカウティングでも見てますが、順位こそ最下位ですけど、選手たちのポテンシャルは高いですし、やってるフットサルというのも熟成していったらもっと強いチームになるなという印象があったので、選手たちにも今の順位が全てではないと、我々は1試合1試合を100%で戦ってきて今の順位なので、この試合も100%で戦おうという話をして臨みました。

全体を通してチャンスもたくさんありましたが、決めるところを決めることができたらもっと内容、展開ともに違った試合になったのかなと思いますし、自分たちで苦しくしてしまった時間帯があったのかなと感じています。ただやはり、大島のゴールもそうですけど、選手たちが最後まで勝利を目指して戦ってくれました。私もそうですけど、この試合は本当に勝ちたかったので、引き分けではなくて、なんとしてでも勝ちに行くというところを選手たちに、ハーフタイムにも伝えましたし、タイムアウトでも、5分を切って同点だったらパワープレーするよという話もしていました。一人退場した局面も、4-3で攻めて入らなかったら5-3のパワープレーをして絶対に点取りに行くよということを伝えて、パワープレーからの得点ではなかったですけども、なりふり構わずチームで勝ちに行くよという姿勢を共有できたのが大きかったかなと思っています」

ーー退場者が出た局面で、4-3で進めていましたが、最初から5-3(パワープレー)にしなかった理由を教えてください
小宮山「やっぱりリスクがありますから。5-3でも、シュートが外れてすぐにクリアランスから始められてパワープレー返しをされるというリスクがありますので、まず1分間は様子を見たかった。うちの4人もガリンシャ、ディドゥダ、長坂(拓海)、石田(健太郎)というすごく技術がある選手なので、必ずどこかの隙は突けるんじゃないかなと。ただ、ディドゥダのところのパスラインをうまく切られてしまって、彼が外からしかシュートを打てない状況になってしまったので、大島(旺洋)に代えて、大島でダメだったらパワープレーをしようと。大島は左足右足同じように精度高く蹴れるので、そういったことも考えて。ところが、なかなかマイボールでボールが切れなくて、5人目を投入できる時間がなかった。最後は、残りは20秒くらいしかなかったと思うんですけど、今日に限っては、リスクより、点を取りに行くというリターンを求めていきました」

ーー前半ちょっとうまくいかなかったというのは、どういったところに理由があると考えていますか?
小宮山「これは多分お互いのやり方だったと思うんですけど、私は正直大分は、この試合に関してはやり方を変えてくるという印象を持っていました。たぶんクワトロと3-1ではなくて、私が大分の監督だったら浦安に対しては3-1で押してくるなと。なぜなら森村(孝志)選手、小門(勇太)選手、本石(猛裕)選手と、いいピヴォが揃ってますし、うちはフィクソがディドゥダと田中晃輝の2枚しかいないので、そういったところを突いてくるかなというところがありました。やはりうちのガリンシャに対して、パカット選手を長い時間つけてましたし。スカウティングでは、パカット選手は割と早く交代していたので、私は、ガリンシャとパカットの我慢比べだと思っていましたし、そこがチャンスだと思っていたのですが、全然交代しなかったので、そうするとこっちもガリンシャをずっと出している分、ピヴォ当て一辺倒になってしまったかなという反省はあります。

前半は、大分がどう戦ってくるかを見たかったのと、ガリンシャを出すとパカットが出るというのがわかったので、後半はクワトロを出して、大分の選手は、マンツーマンの守備でエラーを起こすことがあるので、クワトロのセット、東出(脩椰)、吉田(圭吾)、長坂、大島のドリブルというところに活路を見出そうかなと。後半は、ガリンシャを出すふりをして、ガリンシャがいないサイドというところが、うまくハマったんじゃないかなと思っています」

ーー前半は、浦安ペースで進んでいるのに、大分にカットされて一気にカウンターで攻められることが多かったが、後半の終盤は大分は同点なのにちょっと上がり目でスペースが空けてきて、そこに浦安のカウンターがハマったのは、どういった戦術の流れだったのでしょうか?
小宮山「私の見解ですけど、大分はピヴォ当てとサイドの1対1というところで、うちの選手たちを剥がせる、キープできる、押しこめるという認識があったと思います。私は逆にそこがチャンスだと思っていました。あれだけ時間を使って晒して、ピヴォに入れるのであれば、そこだけ耐えることができれば。大分のピヴォは、自信を持っているので、みんな追い越していって、ディフェンスバランスを取る選手がいないんです。ですからそこでボールを突くことができたり、奪うことができたら、長坂が何回かキーパーと1対1になった局面もあったと思うんですけど、裏に大きなスペースがあるのでチャンスだよねと。

ただ、うちは強いフィクソがさっきも言った通りディドゥダと田中晃輝しかいませんし、二人一緒に出すことはありません。この試合は、森村選手のところでミスマッチが起きると考えていて、ディドゥダと田中が本石や小門についたとき、森村選手は、うちのアラが見なきゃいけない。でもディフェンスができるアラは、宇野伊織くらいしかいない。石田健太郎だとまだ森村選手の方が身体が強い、となったときにどうやってそこを押さえるか。時間を作って長くボールを保持して欲しい、なぜならつっつけるチャンスができるから。実際につっつけてカウンターというところはハマったかなと思います。

あとは長い時間出ていましたよね、本石、小門、森村は。私も前半は、ガリンシャを引っ張りましたけど、あとはほとんど均等で、宇野も吉田圭吾も使いましたし。うちで出てないのは、岡田大毅だけだと思うので。体力の温存も含めて総力戦、勝負どころがどこかというところで、一番大事な局面に、大島があそこでスプリントできた。パカットは疲れてました。1対1は行けと言っていたんですが、しっかり彼がやってくれたなという印象です」

ーー中断期間に上積みしたいことはありますか?
小宮山「すべてですね。6勝1敗1分できましたけども、この8試合で出ている選手のバランスというのは、うちは2セットで出てますけど、やっぱり極端に長く出ている選手がいますので、底上げが必要かなと思います。理想は本当は3セットで強度高く、誰が出ても落ちないディフェンスっていうところを目指してますが、やはり選手には個性や特徴があるし、全員同じことはできないので、そこはもっと特徴を色濃く出せるような準備というのを、攻撃においてもディフェンスにおいても、セットプレーにおいても、必要かなと思います。

上位にいるのでこれからもっと研究されると思いますが、うちにはアルトゥール選手のようにわかっていても止められないボレーを打てる選手がいないので、今日もずっとボレーの練習をしてきて、大分のディフェンスはボレーに対する対応が遅れるから、ボレー打てるよと言っても、ことごとく枠に行かない。多分名古屋(オーシャンズ)だったら全部入っていると思うんですよね、そこが大きな差だと思います。こっちは継続してやり続けるしかないと思いますので、技術、戦術、フィジカル、メンタルの全部において、上積みが必要かなと。研究されても、わかっていてもアルトゥールのシュート、ダルランの反転、絶対に止められないよねというところをうちも突き詰めていかないと。

それからうちはクワトロがこれからもっと武器になると思ってますので、クワトロの精度を上げていきたいなと思います。3-1のセットも大事ですけど、クワトロが鍵になると思いますので、4-0のセットに関して、もっとそこに入ってこれる選手を使っていきたいなと思います」

ーーイゴール選手のシーンは、何が問題だったのでしょうか?
小宮山「当たったか当たってないかじゃないですか? 僕も、セルフジャッジでゲームを止めるなという話をしています。チャンスだったら飛び出るし、ピンチだったら戻れと。で、そこからジャッジで変わる変わらないがある。とりあえず失点をしないようなところに守備を取りなさい、攻撃だったら審判が止めないならチャンスだったら上がりなさい、それはもうずっと言い続けているので。イゴールは、どっちのボールかわからないところでマイボールだと思って投げた、その彼の判断は素晴らしいですよね。先週の湘南戦で、僕もバックパスだと思ったし、選手たちもバックパスだと思って止まってしまってリリースされて、失点しているんですよ。本当にもったいない。セルフジャッジして。選手たちによく言うのは、みんなは審判じゃない、審判は他にいるわけですから。

そういう局面だったし、あれが入るか入らないかで結果は全然違ったと思うんです。残り7秒1点差だったら何が起こるかわからないので、あれを(加藤)竜馬が決めて2点差にしたのは非常に大きかったです。投げたイゴール、走った竜馬、本当に素晴らしかったと思いますし、審判が止めないのであれば続いていますから。そこはセルフジャッジするなというのは、いつも言ってますので、それが出たんじゃないかなと思います」

石田健太郎選手
ーー試合の総括をお願いします
石田
「中断前最後の試合ということで、みんなもホームだし、気合が入っていた部分もありましたけど、少し自分たちが(ゴールを)決めるところを決めないで、難しい試合にしてしまったなっていう印象です。でも、最後よく勝ったなというのは思いますし、このチームも少し、力がついてきている証拠なんじゃないかなと思っています」

ーー「よく勝ったな」というのは、前半が上手くいかなかったところからですか?
石田
「上手くいってないわけじゃないですけど、こうやってチャンスがある中で決めきれない試合というのは、いつもの浦安だったら先に1点決められてしまうとか、このままズルズル試合が終わって、気づいたら負けているとか引き分けというゲームが多かったので。リードされた中で後半が始まって、いい時間帯で点を積み重ねられたのはすごく良かったなと思います」

ーー後半はスタートから出ましたけど、指示などは?
石田
「そうですね、前半はガリンシャがたくさん出ていて、相手はガリンシャに対してパカットがついていたんで、相当ガリンシャを引っ張っていたんですね。なので監督も4枚のクワトロのセットで1回リズムを変えたいというところをハーフタイムに話していたので、最初僕たちが出たという感じです」

ーー今日の前半は、ピヴォのいるセットに入ることもありましたが普段から練習などはしているんでしょうか?
石田
「練習だとあんまり一緒に、3-1の方に入るというのは、正直ないんです。でも、試合では、その場の指示でパッと出されて、『やろう』という感じなので。でもディドゥダもガリンシャも能力が高い選手なので、僕は味方の良さを引き出しつつ、いかにゴールに結びつけるかというのが自分の仕事だと思っているし、どんな選手と出ても、基本的にやれる自信はあるので、そこは問題ないかなと思っています」

ーー大分は、現在あまり勝ててはいない状況ですが、今日は一時リードもしました。印象は?
石田
「今日だけじゃなくて、スカウティングをもちろんやるんで、映像見ている限りだと今のように下位にいるチームではないことは明らかですし、噛み合ってないだけなのかなと思います。今日もああやっていい流れだと脅威になるのは間違いないので。ただ、僕たちも積み重ねていく中で、それを凌駕するフットサルを少しずつできているのかなと思います。湘南戦の後のコメントでも言ったんですけど、相手どうこうではなくて、自分たちのフットサルをやっていけば、自ずといい結果につながっていくと思っているので、相手がどこであろうと、順位も関係なく、自分たちのフットサルをやっていければと思っています」

ーーチームとして、個人として、中断期間に上積みしたいことは?
石田
「チームとしては、自分たちだけが中断期間に入るわけじゃなくて、全チームが中断期間に入って、細かい修正とかをやってくると思うので、今自分たちは2位にいますけど、まだまだ修正点は多いと思いますし、その修正点というのは失点が多い部分というのは間違いなくあるので、そこは改善すべきかなと思っています。

個人的には、あんまりゴールを取るような選手ではないですけど、取れる選手になるというか、相手から見て怖い選手、試合を決定づけられる選手にならなきゃいけないなと思います。なおかつ多分、勝ちが続いていくとメンタル的にもチーム的にシビアになっていくと思うので、落とせない試合が続くという気持ち、そこのコントロールはやっぱりキャプテンとしてやらなきゃいけないなと思うので、自分のプレーも見返しつつ、やっぱりチームのことも考えながらやっていきたいですね」

バサジィ大分 試合後会見


館山マリオ監督
ーー試合の総括をお願いします
館山
今日は、チームにこれまでとは違う姿勢があり、選手が一生懸命頑張った。最後の40秒位で相手のパワープレーで、フリーキックからカウンターになって、残念でした。でも、お客さんはおもしろいフットサルを見られたと思うから、それはよかったと思います」

ーーチームの姿勢が変わったという話がありましたが、変わった理由は?
館山
「チームにいいときと悪いときがあって、悪いときはコントロールしなければならないし、いいときは続けてやる。今日は、そういったところが見られました。勝ちたい気持ちはみんな一緒で、最後だけが悪かった。僕が何かを言っても言い訳になるので、あまり言いたくはないですが」

ーー中断期間の10月までは、どんなトレーニングをしていこうと考えていますか?
館山「今日は選手が頑張って、18歳の選手も出場していろいろなことができたと思います。結果だけが悪かった。チームは、上向きだと思います。2セットをバランスよくと考えているが、守備がまだ修正が必要なので、いい守備ができるように頑張りたいと思います」

ーー今日のパカット選手の役割を教えてください
館山
「フィクソが3人いますが、最初はガリンシャにパカットを当てるということは考えてなかったです。たまたま当たったときにパカットがインターセプトしてカウンターに行けることが多かったので、ガリンシャと当てるようにしました。今日、一番カウンターに行けたのは、パカットのインターセプトからでした」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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