~トルエーラ柏 VS バサジィ大分~
F1、F2リーグをはじめ、アマチュアや学生などさまざまカテゴリーのフットサルチームが参加する「全日本フットサル選手権大会」。3月6日(土)は、準決勝の2試合が浜松アリーナで開催された。
第一試合を戦うのは、今季F2リーグを全勝で優勝し、翌週末に入替戦を控えるトルエーラ柏と、F1リーグを2位でフィニッシュしたバサジィ大分。柏はここまで勝ち上がるのに、F1リーグ8位のバルドラール浦安、そしてF1王者である名古屋オーシャンズまでも倒してきた注目のチーム。勢いにのった戦いぶりで、旋風を巻き起こしている。
1stピリオドの開始直後は、失うものは何もないとばかりに主導権を握るべくアグレッシブに進める柏と、初顔合わせの相手の様子を探る大分といった構図に。やや消極的な大分に対して、流動的なパス回しを見せる柏がまたたく間にペースを握り、立ち上がり2分で高い位置でインターセプトを狙い、内野脩麻選手が先制点を奪う。8分にはキックインの流れから佐藤建也選手が追加点を決める。12分には大分の攻撃の流れから守備体制が整わないのを見越して裏に抜け出した中村友亮選手が3点目をゲット。その1分後、再び柏がキックインからの流れ、ファーのゴール横で熊谷利紀選手がパスを受け、なんなくゴールに流し込んでリードを4点差に広げた。
点差は開いたものの、大分がこのまま引き下がるわけもなく、14分には自陣で奪ったボールを素早い展開で前線へ送り、ゴールを狙う。一度はゴレイロが防いだものの、吉田圭吾選手がこぼれ球を頭で押し込んで1点を返した。流れを掴んだ大分は、17分には高い位置でボールを奪い、守備陣形が整わないうちに勝負をかけて瀧澤太将選手が鋭いシュートを放ち、2点目を決めた。
2ndピリオドも先に得点したのは、柏。フリーキックをキャプテンの白方秀和選手が決めた。さらに大分は、28分には柏のコーナーキックからオウンゴールを献上。しかし、ここでもあきらめない姿勢を発揮。30分にはインターセプトから縦に速い攻撃で吉田選手が再び得点。35分には小門勇太選手が直接フリーキックを決め、37分にはパワープレーから森洸選手が得点し、1点差に詰め寄った。しかし、このあとは柏が粘り強く守備を見せ、リードを守って決勝進出を決めた。
素晴らしいチームと、良い試合ができた
バサジィ大分 伊藤雅範監督
ーー今日の試合を振り返ってください
伊藤「まずはいい試合ができたんじゃないかと思っています。ただ、次のラウンドに出場できる権利を得られなかったことは非常に残念だと思っています。選手はベストを尽くしてくれたので、また来年、強くなって、Fリーグの舞台で、全日本選手権の舞台で頑張りたいと思います」
ーー前半に4失点したことはプラン外だったと思うが、相手の勢いに飲まれてしまったことが原因でしょうか?
伊藤「自分たちの力を出せなかったので、会場の雰囲気に飲まれたとか、プレッシャーに打ち勝てなかったとか、そういう要因もあると思います。ただ、相手が本当に素晴らしいチームだったというのは、試合をしてまず何よりも感じたことです」
ーーマークが外れたり、セットプレーでの失点が重なったが、トルエーラ柏の動きが想定外のものだったのでしょうか?
伊藤「前半から失点を重ねてしまったというところで、非常に自分たちで難しくしてしまった。そういうちょっとしたことであったり、本当にいろいろな要因があったうえで、このゲームが成立していたと思います。そういうなかで、自分たちが6失点したことが次に進めなかった一番大きな要因だと思っています」
吉田圭吾選手
ーー相手チームに感じたことは?
吉田「やっぱり一つ一つのプレーに対する気持ちが強い、球際にしても、ゴールに迫るプレーにしても、気持ちが強かった。気持ち負けしたかなと思っています」
ーー立ち上がりがあまり良くなかったように見えたが、どのような理由だと考えていますか?
吉田「僕たちは、タイトルや準決勝がかかった試合で勝った経験がない。昨年のプレーオフでも緊張して勝てなかったので、難しいですね。経験のある選手が少なく、若手が結構あがってしまって、それを含めて立ち上がりが良くなかったかなと思います。僕たち若手、中堅のメンタルが弱いかなと思っています」
ーー残念な結果になってしまったが、昨季のプレーオフ、今日の試合の経験を次にどう活かしていきたいか?
吉田「毎年、こういう大会やリーグ戦で、上位に食い込む回数を増やすことによって、僕たちも経験を積んで試合に臨めるようになると思う。上位に居続ける、勝ち続けるという結果が必要だと思います」
森洸選手
ーーセットプレーでマークが外れることがあったが、スカウティング外のことがあったのか、その要因を教えてください
森「個人的には、こちらのミスが連続してしまったと思う。ミスが多かったのと、全体を通しても抑えるべきところを抑えられなかったりとか、集中できてなかったりというところだと思う。だから、スカウティングがどうこうというより、自分たちの力が出しきれたのか問うところを見つめ直す試合だったのかなと思います」
ーー大分らしいカウンターが見られなかったが、試合に飲まれてしまったことが要因でしょうか?
森「立ち上がりに関しては、らしくないプレーが続いてしまったと思います。カウンターに関しては、相手がしっかりケアをしてきたので、相手を上回れなかったのかなと思います。でも、間違いなく雰囲気に飲まれてしまっていた選手もいたし、気持ちの弱さとして出てしまったのかなと思いますが、全体を通してみるとよく戦ったのかなと思います」
攻守にわたって、らしさを出せた試合
トルエーラ柏 岡山孝介監督
ーー立ち上がりの4得点でペースを握ったと思うが、相手への対策はどのよう考えて試合に入ったのでしょうか?
岡山「相手は縦に速いフットサルをしてくるので、そこのパスラインを抑えたり、ピヴォにボールが入ったときに、しっかり反転させないようにしたり、他の選手がマークを外さないようにしっかりついていくことだったり、そういった部分はよくできたかなと思います。攻撃に関しては、柏らしく流動性を持って適切に判断できれば、攻撃のバリエーションは多いので、打ち取れるかなと思っていました。そこはうまくいったと思います」
ーー明日への意気込みをお願いします
岡山「今まで通りしっかり楽しんで、全力を尽くして頑張りたいと思います」
白方秀和選手
ーー試合が終わったあと涙を流していたが、白方選手にとってこの大会はどんな意味を持っていますか?
白方「僕らのチームは入替戦(3月13日・14日開催:Fリーグ2020-2021 ディビジョン1・2入替戦)を控えていて、それが第一目標であることは間違いないんですが、その前の大会ということで、個人的には入替戦に向かっていい入りができるように、F1のチームとなるべく多く試合を重ねて、F1の強度に慣れておくことが大事かなと思っていました。ですが、大会が始まって、F1のチームを倒すことができて、チームとしてすごく自信を掴むことができています。ここまできたらやっぱりこの最高のチームメイトと優勝したいなと思っています」
ーー準々決勝(名古屋オーシャンズ戦)は累積で試合に出られなかったが、それを経てこの試合に臨んだ気持ちを教えてください
白方「名古屋戦はスタンドから観ていたんですけど、みんなすごく頼もしかったですし、ピッチに出ている全員が輝いていました。大分は、僕の古巣という個人的な感情もありましたけど、ここまで連れてきてもらったみんなに恩返しができたらいいなというのと、この大会も長く勝ち進んでいけるように、この試合に全てを賭けようという気持ちで臨みました」
ーー入れ替え戦に向けて、これだけF1の上位陣を倒すてくると自信もついてくると思うが、手応えはどうでしょうか?
白方「チームとして勝ち進んでいくにつれて完成度も上がって、すごく手応えがあります。ただ、入替戦で対戦するボアルース長野は、練習試合も含めて対戦したことがないので、どういう展開になるのか想像がつきません。今は考えるよりも目の前の試合に、バルドラール浦安は練習試合をしたことがあったんですけど、名古屋や大分は対戦したことがないので、対戦したことがないF1のチームに、どのように対抗して、勝つかということだけに集中して試合を乗り越えたいと思って戦ってきた。入替戦は2試合あるので、そういう力や、僕ら選手権で2日連続の試合を今週で3週目になるんですけど、乗り越えてきているので、そういう自信を持って1試合に対して全てを出し切れば、チャンスはあるんじゃないかなと思っています」
内野脩麻選手
ーーF1の上位陣を倒して決勝に進出しました。改めて、このチームの強みはどこだと考えていますか?
内野「今まで所属してきたアグレミーナ浜松だったり、ヴォスクオーレ仙台だったり、今まで過ごしてきたシーズンの中でも特別にチームの団結力だったり、方向性がみんな一つの方向に向いていることは強く感じています。そこが今、このチームの結束を強めていると思いますし、普段の練習からおごらずに取り組んでいるので、必然的に強いチームになっていけるのかなと感じています」
ーーこの大会を通してチームの成長を感じていますか?
内野「点差はついていても厳しい試合を繰り返してここまできています。F1のクラブと真剣勝負で戦える大会は、今季に関してはこの大会しかなかったので、そういうギリギリの試合を何度も何度も勝ってきたことが、個人的にはそういったギリギリのハラハラ感も楽しみながら、他の選手もみんな楽しんでプレーしていると思いますけど、成長につながっているんじゃないかなと思います」
ーー出身地である静岡で決勝を戦えることについての思いを教えてください
内野「地元でこういった大きい舞台でプレーできる機会はそんなにないと思いますし、さらにそれが決勝戦というのは、緊張もほどほどにあるんですけど、この緊張感を楽しんでプレーしたら、いい結果も待っていると思います。ここまで2連戦、2連戦、2連戦を3週続ける、なかなかない貴重な体験ができていると思うので、そういった部分も含めて決勝では自分らしくプレーできればと思います」