ファイナルシーズン 町田ラウンド 第23節
〜ボルクバレット北九州 VS 湘南ベルマーレ〜
レギュラーシーズンを終え、ファイナルシーズンの町田ラウンドを開催したFリーグディビジョン1。優勝を争う上位リーグに注目が集まるが、入れ替え戦を控える下位リーグも目が離せないところ。その渦中にあるボルクバレット北九州が、町田ラウンド2戦目で湘南ベルマーレと対戦した。
湘南は、2日前に行われたファイナルシーズンの1戦目で最下位のエスポラーダ北海道に勝利、昨日の試合で北海道がY.S.C.C.横浜に敗れたことで残留が確定した。北九州は北海道と勝点差が8あるものの、残りの試合数から計算上はまだ残留が確定していない。対戦相手に関係なく、勝点を1つでも多く積み上げたい。
先制したのは、湘南。自陣からの縦へのパスを前線で受けた堀内迪弥がボールをコントロールしながら振り向いてシュートを放って得点。しかし北九州は、中嶋孝行監督が言うところの5-4の形、ゴレイロの伊名野慎を相手陣内に上げた攻撃を早い時間帯から仕掛け、この攻撃を実らせる。湘南の得点から2分経たないうちに宮崎岳が決めて同点に追いついた。
2ndピリオド、先に得点したのは北九州。再び伊名野を上げた形から今度は安嶋健至が決めて逆転に成功する。その後はスコアが動かない時間が続くなか、湘南が萩原真夏をゴレイロにしてパワープレーをスタート。その直後、高橋広大が「分析通り」といったコースからシュートを決めて同点に。そこから北九州は、無理をすることなく勝点1を拾う戦いにシフト。その目標通りに引分け、残留に向けて貴重な勝点1を手にした。
ボルクバレット北九州 試合後会見
中嶋孝行監督
ーー試合の総括をお願いします
今日は本当にありがとうございました。
今日もですね、朝の1試合目だったんですけれども、たくさんの方が応援に来てくださって、本当に勇気づけられました。昨日と同じですけど、応援していただいて、選手の頑張りにつながったかなと思います。リーグ的には、やはり勝点を積み上げることがすごく大事な試合だったので、本当は3を積み上げたかったんですけれども、最低限の1を積み上げられたというのはすごく良かったのかなと思います。とはいえ決定打もあったので、やっぱりああいうところでしっかり決めていって勝点3を積み上げられるように、お正月休みを挟んで、次の名古屋ラウンドでいい試合ができるようにと思っています。
ーー前半からゴレイロの伊名野慎選手を上げてのパワープレーを使っていましたが、その狙いと、パワープレーをする際の今給黎空選手との使い分けを教えてください
4-0のセットのなかで、今日は伊名野でしたが、状況に応じて、パワープレーに行く前とか、負けている状況であれば今給黎という大きな流れがあります。パワープレーのセットは、伊名野を使う場合でも4-0が多いですし、逆に言うと4-0で深さを取れないときにアクションをするなかで、僕らは5-4と呼んでいるんですけど、5-4で深さを取って相手を押し込めるという、その2つを使い分けることによって、相手のディフェンスラインを一気に下げたり、特に宮崎(岳)選手が背後にパスとか、ドリブルからの逆への返しというので一つ起点になるし、田村(龍太郎)選手とか、今日は花嶋(悠)はいないですけど、(星野)祐作がいたり、(安嶋)健至がいたり。やっぱりバランスよくできるので、4-0のところから5-4にして、ボール保持ベースを増やしながらという展開を、ちょっとアクションをつけるためには結構やります。負けてるときは今給黎に替えてという感じですね。
安嶋健至選手
ーー試合の総括をお願いします
結果的に2対2という形になってしまったんですけど、やっぱり自分たちの今の順位やレギュレーション上、やはり一つでも勝点を積み上げることが大切で、パワープレーで同点にされてしまった瞬間、もう最悪1でいいと。もちろん勝ち切りたかったですけど、自分たちの立ち位置を考えて、必ず勝点1を積み上げるとチームで話しました。プランは変わりましたけど遂行できたのは、チームとして良かったかなと思います。
湘南のマンツーマンのディフェンスは結構アグレッシブに来ていましたけど、自分たちは4-0のセットと3-1のセットを用意してきて、ボール回しに関しては多少なりともうまくいっていたと思うので、お互いに準備してきたものは出せたと思います。ただ、監督が言う通り、やっぱりあと1点を取らないとこういう結果になるのかなと思ったので、名古屋ラウンドに向けていい準備をして、もう少しゴールを取れるようにしたいと思います。でも、チームとしてこの2連戦をしっかり頑張ったかなと思います。
ーー2日連続の試合で疲れなどはありましたか?
昨日は朝イチの試合だったので、終わって12時過ぎくらいにはホテルに着いて、そこからはしっかりもう明日勝つための準備をしようと、選手も監督もそれぞれ行動していたので、そこの疲れはなかったです。僕個人でいうと、昨日より動けたなっていう感覚でしたね。うちの選手は誰も疲れてなかったかなと思います。なのでお互いにいい状態で臨めていたんじゃないかなとは思います。
ーーゴールシーンを振り返ってください
5-4をやっていたんですけど、前半に宮崎が点を取った形とは、後半の入りで少し変えたんです。右利きの方で数的優位を作って、僕が持った瞬間に左に、おそらく角に星野がいたんですけど、そこで認知できたので。本来だったら星野につけて多分田村という形が理想なんですけど、牧野謙心選手がおそらくそっちがラストだと予想して先に動いたので、もう一個なかに運んで、そのまま打ったというところです。しっかりフィクソの動きを見れたなというところと、田村選手もセグンドにいてくれたので、オウンゴールした選手は気になって足に、多分(シュートのコースは)外れていたと思うんですけど、当たってしまったのかなと思います。狙い通りではありますが、しっかり決められればよかった。でも、練習してきたものは出せました。
※公式記録は安嶋健至選手の得点となっています。
湘南ベルマーレ 試合後会見
伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
クリスマスイブの本日も、たくさんの方に応援に来ていただいて、本当に感謝しています。この会場も、この間も言いましたが、非常にいい雰囲気でゲームができていると思います。
試合内容に関しては、ボルクさんがプレスをかけてくるなかで、うちのピヴォ攻撃がうまくできればというところでしたが、ピヴォにボールを入れることがなかなかうまくいかない部分がありました。そんななかでも(堀内)迪弥が反転シュートを決められたことは、一ついいところだったかなと思います。守備のところでは、ボルクさんはキーパー攻撃が上手なので、そこを止めきれなかったなというところがあります。
ただ、この間のゲームもそうですけど、今日のゲームも最後まで諦めることなく同点に追いつけたことはプラスだと思いますので、次に向けてまた頑張りたいと思います。
ーー残り36秒のタイミングでタイムアウトをとったがその指示は?
サインプレーでなんとか最後シュートで決めきれないかというところの指示ですね。
ーー勝点3か勝点1かという考えについては?
我々も優勝などはないですし、YS(Y.S.C.C.横浜)さんが一番上にいますが、上位を狙っていますし、そこの部分での戦いもあるので、勝点は当然欲しいところではあります。ただボルクさんがキーパー攻撃をしてくるという予想がある程度あったので、そこから取れればチャンスもあるかなというところだったので、通常通りに戦ったというところですかね。
ーー順位的にもモチベーションを保つのが難しいファイナルシーズンになっていますが、その位置付けはどのように考えていますか?
今シーズンのスローガンは「積湘(小)為大」です。コツコツ積み上げていますので、それをそのまま積み上げるだけです。ですのでモチベーションを一時的に上げるようなことは特にはありません。目指すべきところに向かうのみです。
ーー今シーズンの課題については、残りの試合でどのように向き合おうと考えていますか?
結果が出てないので当然課題はたくさんあります。特に得点を取ることが課題ですが、定位置攻撃は良くなっているので、継続すること。トランジション攻撃の得点は、我々の真骨頂だと思うので、守備の整備と合わせてトランジションでの得点を狙うこと。また、今シーズンはGKトラブルをはじめ、さまざまなトラブルがありました。選手はそれを乗り越えてきたので、苦しい時に力を発揮することも期待しています。全ての強度を上げていくことに取り組んでいきます。
萩原真夏選手
ーー試合の総括をお願いします
今日は先制して1-0で折り返して、後半は相手のペースになって、そのまま逆転されちゃいましたけど、最後はちゃんと追いついて、負けで終わらなかったことは今日の試合の良かったところだと思います。
守備の部分でエラーが起こって失点しているので、そこは今シーズンを通しての課題ですけど、やっぱりこの試合でもまた失点してしまったので、残り3試合、そこをどう改善していくかが課題だと思います。
ミックスゾーンにて
※ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません
堀内迪弥選手
ーー試合全体を振り返っての感想からお願いします
個人的には下位リーグの、下位同士の試合だったなという感じです。パスの質とか、精度のところがお互いに低かったなという、強度もそうやし。でも、そのなかで負けなかったことはよかったです。まだまだチームとしても個人としても精度を上げていかないと上には行けないかなという感じですね。
ーー下位同士の対戦だったという感想については、自分を振り返っての悔しさとか不甲斐なさを感じてのことですか?
自分としては、先制点を決めて、ああいう膠着というか、スコアがそれほど動かないなかで、やっぱりそこでまた(スコアを)動かせる選手にならないと上に行けないかなと思うし、そこが課題かなって思います。今シーズンの得点が多分17(12月24日現在)かな。まとめて取るというか、そういうのがなくて。(1試合)1点で終わるというところが自分の課題かなって、その1点を取った後にもう2、3点決められると、もう少しチームをラクにできるかなという感じはあります。
ーー今シーズンは、チームとして高い理想を持ってスタートしたと思うが現状ここにいるというところでシーズンを振り返ると?
フィウーザのケガだったり、(内村)俊太のケガだったりって言われてるんですけど、僕はずっと出続けていて。序盤戦は勝ち続けていたのに彼らがいなくなって負けてしまう、崩れてしまったということが実際に起こっていて。でも、若い選手が多いなかで、そう思わせないようにしないといけないし、自分も、このチームやったらベテランになるので、やっぱりもっと引っ張っていかないといけないなと思います。
理想はやっぱり今頃上位リーグで戦ってる予定やったんですけど。でも、これが結果であり、実力なんで、それを受け止めてまた来シーズンにつながるように。残留は決まりましたけど、それを一つプラスに捉えて、やるしかないなって思ってます。
ーー堀内選手自身はそれでもゴールランキングの上位にいるが、もっと取れたように思えるが?
そうなんですよね、自分自身も全然やれてる感じがなくて。なんか「むっちゃ取ったったわ」とかって満足することがなくて。まあ何をしても満足はしないと思うけど。まだまだできるなっていうこと、この立ち位置というか、この点数じゃない、本来この実力じゃないっていうのが自分でもありますね。
ーー今日のゴールを見ると、もっと取れるはずとみんな思うと思います
そうですね。なんか出しきれてないというか、爆発しきれてないというのは、自分でも感じています。僕は出場時間は結構長く出してもらっているんで、やっぱり僕が爆発すればチームももう少し楽になるやろうしっていうのは思います。
ーーピヴォの選手は、ポジション柄チーム全体を引っ張るというのは難しいですか?
結局ちょっと受け身から始まるポジションやし、受身っていうのはパサーがいないと成り立たないという意味で。前からプレッシャーをかけるっていうのはもちろんやってますけど、どういうボールを要求できるかっていうところでどうコミュニケーションを取るか、どういうふうに味方と合わせられるかという、そこに難しさを感じていますね。
ーー若い選手が多いことでの難しさもありますか?
実際、今日の試合もそうですけど、結構難しいですよね、正直。でも、そういう立場になったっていうことはわかっていて、自分も自分なりに苦しいけど、うまくいくようにしないとというか、それが課題かなと思ってますね。
ーーファイナルシーズンの残りの試合については今、どのように考えていますか?
ここから大きく順位が変わったり、降格したり、というすごく特別なプレッシャーがあるわけじゃないんですけど、でも来年とか、絶対に勝たないといけない試合、勝たないといけないシーンが来ると思うし、それを想定して、一戦一戦、勝ちにこだわるっていうことが一つあると思います。それと、チーム的には、いろいろ試せる期間でもあると思うし、さっきの話とちょっと矛盾しますけど、底上げというか、そういうことができるように、チームの層を厚くできるように、誰が出ても(同じように)できないと今シーズンみたいなことになってしまうと思うので、そこはやっぱりこだわってやりたいと思います。
高橋広大選手
ーー試合全体を振り返っての感想からお願いします
先制して、流れもつかめそうだったところで、少し警戒してたゴールキーパー攻撃でやられたので、それは痛かったかなという感じです。
ーー北九州は早い時間帯からゴールキーパー攻撃を仕掛けてきましたが、そこは想定内ですか?
想定してました。今シーズンだけの話じゃなくて、昨シーズンからも警戒してたんですけど、やっぱり、攻略しきれなかったという感じですね。
ーー北九州のこの攻撃は苦手ですか?
苦手ですね、完全に。なにか改善しないといけないかなと思うんですけど。
ーー今シーズンは、高い目標を持ってシーズンに入ったと思うが、結果として現在は下位リーグを戦っているというところでどんな思いがありますか?
悔しい気持ちしかありません。けど、結果が全てで、全部必然なので、今は受け止めて、残り3試合戦い切りたい。(ファイナルシーズンは)全部勝つつもりでいたのに(この試合を)引き分けちゃったんですけど、まだ3試合勝てるチャンスがあるので、もう割り切ってます。
ーー今日のゴールについて振り返ってください
あれは、(コーチのアルベルト)サバテの分析があって、本当に全部狙い通りに相手も動いてくれたので、自分は打つだけでした。
ーー素晴らしい分析ですね?
いや、すごい、本当にすごい、そのままだったので完璧でしたね。
ーーその分析があっても勝つのは難しかったですか?
それがあってギリ、引き分けた。今、その力が現状ということですね、湘南ベルマーレの。
ーー堀内選手は、下位リーグ同士の戦いだったという話をしていましたが?
下位リーグにいるのは事実ですけど、僕はそんな悲観してないです。なんとも言えないけど、僕は常に自信を持ってやってます。だから、勝ててなくて、(チームとして)自信はついてないですけど、残り3試合、1試合ずつ強くなって、今、全日本選手権で優勝するという短期目標を掲げてリスタートしたところだし、今日は負けなかったので悲観する内容じゃなかったと思います。
ーーファイナルシーズン残りの試合に向けて意気込みをお願いします
下位リーグにいる理由は、得点が昨シーズンより少なかったこと。カウンターからの得点も少なかったし、守備の強度でショートカウンターに持っていくところとか、シンプルにシュート本数が少ないということは認識できていて、そこを一昨日の(エスポラーダ)北海道戦から修正して、(狙い通りに)できているので、前向きに捉えています。ここからもっとシュート打っていって強度を上げていけば、残り3試合勝てると思うし、その先にもつながるので、残り全試合勝つ気持ちでやっていきます。
フォトギャラリー
▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
▶Photo by 湘南ベルマーレフットサルクラブ
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