試合

プレーオフ進出にしのぎを削る対決は、セットプレーの2得点で立川が制す

~Y.S.C.C.横浜 VS 立川アスレティックFC~

Fリーグディビジョン1第16節、口火を切る対戦は、12月9日(金)にY.S.C.C.横浜がホームの横須賀アリーナに立川アスレティックFCを迎えて開催。プレーオフ進出を争うチームの直接対決として注目を集めた。

ホームの横浜は今シーズン未だ負けなしで1位を独走する名古屋オーシャンズに唯一引き分け、勝点を削ったチーム。ここ5試合も負けなしで戦い、第15節終了時点で4位に浮上している。対戦する立川も中断明け後は、負け知らず。12節からは順位の近いチームとの対戦で引き分けが続いていたが、前節久しぶりに大量得点を挙げて勝利している。そのままの勢いを今節にぶつけて、勝点1差で上をいく横浜との入れ替わりを狙う。

プレーオフ進出を争う直接対決は、お互いに前からプレスをかけて守備に注力しつつ、奪ったら自分たちの攻撃の形を積極的に作る展開。とはいえ、お互いに大きなチャンスを作りながらも身体を張った守備とゴレイロの活躍で得点を許さない。そんな中、先制したのはアウェイの立川。キックインからゴール前へピンポイントのパスを送って新井裕生選手が決めた。

時間の経過とともに得点が欲しい横浜が攻勢を強めていくが、立川の守備も固い。流れの中で決めきれない時間が続いたのち、横浜が相手陣内深い位置からのキックインを獲得。サインプレーで笠篤史選手がゴールし、1-1とした。

終盤に立川がペナルティーエリア付近でフリーキックを得ると、ここでタイムアウトを取得し、サインプレーの確認を行う。ボールのそばに立ったのは、上村充哉選手と中村充選手。上村選手が先に動いてボールを後ろに落とすと、中村選手が守備に立つ横浜の選手の間をすり抜けるボールを蹴り込み、ゴールを決めて、再びリードした。

2ndピリオド、攻勢を強めたのは横浜。セットによって形を変えて攻撃を仕掛けるが、立川の守備の意識が高く、カウンターに対しても早々に帰陣するため、横浜はいい形でフィニッシュに持ち込めない。スコアが動かないまま時間が経過すると、3分強を残したところで横浜がパワープレーをスタートする。1分経過したところで横浜がタイムアウトを取得し、相手の守備陣形などを確認したのち、再度パワープレーを仕掛ける。しかし、立川の守りは固く、そのままタイムアップ。プレーオフ進出を狙うチームの直接対決は、立川が勝利した。

この結果、立川が横浜と入れ替わって4位に浮上。横浜は他チームの対戦結果の影響も受けて6位に。とはいえ、3位を狙うグループは3位のペスカドーラ町田が勝点30、6位横浜が勝点25でその差は5。決着がつくまでには、もう少し時間の猶予がありそうだ。

Y.S.C.C.横浜 試合後会見


鳥丸太作監督
ーー試合の総括をお願いします
鳥丸
前回の試合と同じくセットプレーから流れを掴まれ逃げ切られてしまった印象です。ただ、前回の試合と比べると主導権を握る時間が長かったので成長を感じることができました。相手の守備を壊すことができなかったのは、オプションを持つことも含めて指導者の責任です。選手たちは最後まで全力で戦ってくれました」

ーー立川戦に向けて、どのようなプランで臨まれたか教えてください
鳥丸「相手のピヴォ攻撃、金澤(空)選手、セットプレーの対策をし、その中で自分たちのフットサルをすることを選手たちに伝えていました」

ーー前半のスタートと後半のスタートでセットが違いましたが、相手との噛み合わせなどでの対応ですか? 意図を教えてください
鳥丸「最後のパワープレーのことまで考えたプレータイム、噛み合わせ、選手の調子のことなど考えての判断です」

ーー後半はより攻撃の時間が多かったですが、ハーフタイムでの修正はどのようなものだったか教えてください
鳥丸「ディフェンスラインやプレスのかけ方など、チームコンセプトの確認とセットプレーの狙いどころなどを話しました」

ーー後半、攻めながら得点が取れませんでしたが要因をどのように考えていますか?
鳥丸「攻撃のオプションとフィニッシュの工夫、あとはゴール前のクオリティだと考えています」

ーーアダイウトン選手がチームにフィットしてきて、攻撃のバリエーションが増えていますが、現在のチーム状況をどのように捉えていますか?
鳥丸「すべての局面で成長を感じています。もちろんまだレベルアップできると思ってるので、日々のトレーニングや試合の中で成長していきたいです」

ーーまずプレーオフ進出が目標になると思いますが、今後に向けて意気込みをお願いします
鳥丸「選手、クラブの成長を促しながら、内容と結果にこだわってトレーニングをしていきます。その中でチームが1つとなり、最後まで全員で戦いたいと思います」

矢澤大夢選手
ーー試合を振り返っての全体的な感想を教えてください
矢澤「立川の組織的な守備を最後まで崩せず、前回の対戦同様セットプレーに泣きました」

ーー後半シュート数も立川より多く、チャンスも作っていたように見えましたが最後尾からは、どのように見えていましたか?
矢澤「シュート数が多くチャンスがたくさんあるように『見えた』だけで、立川の思い通りに試合が進んでいたと思いますた」

ーーまずプレーオフ進出が目標になると思いますが、今後に向けて意気込みをお願いします
矢澤「残り落としても1敗までだと思っていての今回の敗戦。残り試合を無敗で行くのは現実的に厳しくなりましたが、サッカー日本代表が成し遂げたような番狂わせを僕らならできるし、現にプレーオフ争いを良くも悪くも掻き回しているのは横浜なので、最後に笑ってシーズンを終えられるように目の前の試合に全力で挑もうと思います」

立川アスレティックFC 試合後会見


比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉
タフな試合だったが、攻撃も守備も悪くはなかった。勝点を取ってきたチームから勝点3を取れてよかった」

ーー調子の良い横浜の強みを出させないために、試合前にはどのような指示をされましたか?
比嘉「横浜のクワトロは、結構ディフェンスを押し込んでくるので、自分たちが簡単に押し込まれないように、いつプレッシャーをかけるのか、ボールマークチェンジするかを特に指示しました」

ーー前半のスタートのセットがいつもと違いましたが、その狙いは?
比嘉「ディフェンス。相手のメンバーも考慮して決めました」

ーー後半は、中村選手が外れて関選手と上村選手が同じセットになったりと、セットの中身が変わりましたが、横浜の攻撃への対応ですか?意図を教えてください
比嘉
「中村選手は、点をとってくれたし、悪かったわけではない。でも、南雲選手もよかったし、関選手もパワープレーで出すことを考えていたので、バランス的にプレーさせておきたかった。去年から同じセットでやっているので、特別狙ったわけではないです」

ーー前節は、守備での反省が多かったですが、今節は特に後半の守備は集中していたように見えますが、監督の評価は? 練習で心がけたことなどあれば教えてください
比嘉
「途中まではよかった。後半は、相手にボールを持たれて押し込まれたりした。でも前節は3失点、今節は1失点。そこは良かった。ただ、こぼれ球のところは強度を上げないと、良いディフェンスをしても危ない部分はあった」

ーー練習で心がけたことなどあれば教えてください
比嘉
「ディフェンスの準備をしていました」

ーー後半は、守備の時間が多くなりましたが、狙いはありましたか?
比嘉
「狙いとかはないです。試合の展開的にセーフティーなプレーを選択することが増えて、相手がボール持ってプレーすることが増えてしまった。ディフェンスもそうだけどオフェンスでもボールを持って相手を走らせるように、もっと勇気を持ってゲームのコントロールできるように、僕らも頑張らないといけない」

ーーまずプレーオフ進出が目標になると思いますが、今後に向けて意気込みをお願いします
比嘉
「プレーオフの可能性があるチームがたくさんある。1節ずつ勝点3を取れるように、周りではなく自分達のゲームをすればいけると思う。今は1節ずつ戦うだけです」

酒井遼太郎選手
ーー試合を振り返っての全体的な感想を教えてください
酒井
「アスレらしい試合だったと思います。少ない得点と少ない失点で終えることができたのはうちの試合運びだったのではないかと思います。得点に関しては、もう少し取らないと比嘉監督には怒られますが(笑)」

ーーその中で、よかったとこと、課題と感じたところを教えてください
酒井
「全試合も含めてですがいろんな選手がゴールをし、得点力、シュートの意識は高くなっているのではないかと思います。課題は、決定力と流れの悪い時間の守備で、少し監督が目指しているものが体現できない時間があります」

ーー1点目のアシストは練習通りですか?
酒井
「完全に狙っていました。あまり語ると怒られそうですが、完全に狙っていました。監督からより深いアドバイスを頂けるので、あとは精度の問題だったと思いますが、うまくいきました」

ーー前節、守備面での反省が目立ちましたが、今日の守備は選手としてどう感じていますか?
酒井
「大きくミスをした、全然だめだったという感覚はありません。ただ、失点もあり、後半には攻め込まれる時間もあったということは改善が必要です。以前からやること自体は変わっていません。精度を高めていくのみです」

ーー今日もだいぶ走っていましたが、プレーで心がけていることを教えてください
酒井
「とりあえず言えることは、走ることは得意です。走ることしかできません(笑)。それぞれキャラがあり、テクニックの選手、パワーの選手、スピードがある、1対1が得意などさまざまありますが、私は適材適所で大活躍すれば良いと思います。『割り切りすぎ』と言われればそこまでですが、シュートが得意な選手がいるならすべてその人がシュートを打てばいいと思ってしまうタイプです(笑)。私は、その全員を輝かせることができる人間になりたいです。みんながプレーしやすい環境をピッチで作ることが私の存在価値だと思います。それはピッチ外でもできることなので、もともとのキャラもありますが、そこに徹していきたいと思います」

ーーまずプレーオフ進出が目標になると思いますが、今後に向けて意気込みをお願いします
酒井
「必ずプレーオフに進出します。1つも落とさず勝ち続ければいいのです」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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