~ソーシャルディスタンス勝利のダンスで祝福~
12月5日(土)、湘南ベルマーレはホーム小田原アリーナに今季からF1に昇格したY.S.C.C.横浜を迎え、Fリーグ初の神奈川ダービーに臨んだ。
Fリーグは、9~10月はリモートマッチ、11月から入場制限付き試合として観客を迎えての試合が開催されているが、地域によってはリモートマッチを継続しているところもある。湘南ベルマーレでも秦野開催の試合は、無観客で開催している。小田原アリーナでの試合は、10月31日以来ということもあり、有観客の試合は今季初めて。選手もサポーターも待ちに待った試合となった。そんな記念すべき試合が神奈川ダービーというのだから神様のお膳立ても心憎い。
試合は序盤、湘南ベルマーレが押し気味に試合を進めるものの、Y.S.C.C.横浜の攻撃にあわやという場面も。そんななかパス回しで崩しにかかる湘南ベルマーレ。ゴール正面でこぼれ球を拾った鍛代元気選手がパワフルなシュートを蹴り込んで先制。その後も積極的に攻めて試合を押し気味に進めて、2点をリードして試合を折り返した。
後半はY.S.C.C.横浜も気持ちをリセットしてスタート。主導権争いのなか、再度湘南ベルマーレの得点が決まる。これは、キックインからのセットプレーで身長152cmの林田フェリペ良孝選手がヘディングシュートで奪ったもの。フットサルでは珍しいヘディングシュートの得点は、しっかりデザインされたセットプレーを見事に遂行したからこそ生まれたと言える。その後、Y.S.C.C.横浜に1点を返されるも、ダメ押し点を鍛代選手が決めて4-1で勝利した。
アリーナを訪れたサポーターは、誰もが久しぶりのホームで試合を迎えられた喜びにあふれた様子で、選手の溌剌としたプレーにいつも以上に熱心に拍手を声援がわりに送っていた。そんな試合の締めくくりは、選手だけでソーシャルディスタンスをとって勝利のダンス! 現在、治療でチームを離れている久光重貴選手もこのときばかりはダンスの列に加わった。
今季初の小田原アリーナでの有観客試合は、ホームならではの幸せな時間が流れる神奈川ダービーとなった。
初の神奈川ダービーで勝利を届けられたことがうれしい
湘南ベルマーレ 奥村敬人監督
ーー今日の試合を振り返って
奥村:Fリーグ初の神奈川ダービーで、ホーム小田原アリーナで勝つことができて非常にうれしく思っています。そして久光(重貴選手)に勝利を届けられたこと、ファン・サポーターの方々、スポンサーの方々に勝利を届けられたことが、チームとしてクラブとしてうれしく思っています。
試合の方は、フィールドプレーヤーが9人という状況のなかで、選手の時間管理だったり、バランスだったりというのはすごく大変だったんですけど、ピッチに入った選手が常に100%で戦ってくれたおかげで非常に締まったゲームができたと思います。
データの中で、Y.S.C.C.横浜さんが30~40分の間の失点が多かったので、それまでにたくさんの選手を使って最後にしっかり固めたメンバーで締めるという自分の中でプランがあったんですけど、それをしっかり遂行できたのは選手たちが(試合に)出た時間のなかで一人ひとり仕事を果たしてくれたからだと思いますので、本当に選手たちに感謝したいと思います。
とはいえ、まだまだ自分たちのパフォーマンスが100%出せているかというとそうではないので、またしっかり練習を重ねて、次のバルドラール浦安戦に向けてチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。
ーー盤石な試合展開だったように見えるが?
奥村:そうですね、自分たちが先制点を取れて、良い流れで試合を進められたことが一番よかったと思うんですけど、実際に先制点を取られる可能性も2本くらいあったと思いますので、そこをチーム一丸となって守れたところが良い流れで進められた理由だと思います。
ーー小田原アリーナで今季初の有観客試合だったが雰囲気については?
奥村:待ちに待っていた雰囲気だったので、本当にうれしかったです。単純にそれしかないですね、幸せでした。
ーー元湘南の高橋健選手は奥村監督に恩返しを考えていたようだが?
奥村:恩返しはさせないですね(笑)。彼の特徴はしっかり把握していますので、そこの対策はしてきましたし、選手たちの素晴らしいディフェンスがあったので、(恩返しは)させないです。うちを巣立った選手たちに点を取られるケースがあるんですけど、今回はやられなくて良かったです。
高橋広大選手
ーー今日の試合を振り返って
高橋:今日の試合は、キャプテンを務めることになったのですが、今季初の小田原アリーナでの有観客試合で、ファン・サポーターの皆さんの目の前で勝つことができてうれしかったです。ピッチに立つことができなかった、(萩原)真夏、(上原)拓也、(牧野)謙心、ジャッピ(本田真琉虎洲)、(内村)俊太くん、ヒサ(久光重貴)さんのために勝利を届けられて本当にうれしかったです。試合内容は、失点もあったのですが、良い時間帯で得点を決めることができて勝つことができたと思っています。
ーー得点は個の力が大きく、失点は崩されたように見えたが?
高橋:失点のシーンは、ちょっと抜けてて隙をつかれたっていう感じです。得点は本当に決めるところを決めてくれたんですけど、(練習で)やってきた形、カウンターだったり、セットプレーだったり、やってきた形で得点が取れたので、そこはポジティブに。次も取りたいなと思います。
ーー初めてのキャプテンマークで心がけたことは?
高橋:ある程度準備していたところはあったんですけど、やっぱりキャプテンを務めると言われたときにまず緊張しました。でも、心意気というか試合に臨むモチベーションというところは、いつもと変わらなかったです。
内容にこだわるよりも勝ちたかった試合
Y.S.C.C.横浜 前田佳宏監督
ーー今日の試合を振り返って
前田:まずFリーグの中で初だとは思うんですけども、神奈川ダービー、本拠地が神奈川にある2つのチームで戦えることが素晴らしいことだったと思うんですけど、だからこそこのゲームは内容は置いておいて本当に勝ちたかったです。
今の課題にしている部分がすべて失点に出てしまったので、結果的には(リーグの)先輩であるベルマーレさんに勉強させられたという結末になってしまいました。改善していきたいと思います。まだ来週もまたゲームがありますし、ベルマーレさんとももう一度試合ができますし。今シーズンは成長しながら、どう戦っていくかということになってくると思うので、切らさずやっていきたいと思います。
ーーセットの組み方がいつもと違ったように見えたがその意図は?
前田:セットを変えたというのはもちろんあるんですけども、トレーニングからはずっとやっていて、今日のゲームに当たるセットはこういうふうだったっていう形です。もちろん相手が変わっていくスポーツなので、そこには言えることも、少し言えないこともあってのセット構成になっているんですけども。ですから、それで年間やり切るっていうより、その場その場のいいメンバーでセットを組んで、もちろん勝ててないという現状があるので、何か変化をさせていかないといけないということもあるセット構成でした。
ーーいつもは4人同時に変えることが多いが、今日の後半の途中で中野(和也)選手を宿本(諒太)選手に一人だけ変えたが、その意図は?
前田:プレースタイルの特徴で、中野は対人はすごく強いんですけど、展開的にオープンな形になってきたのと、ベルマーレさんにスピーディな選手が多かったので、そこは宿本で対応したという形ですね。
北野聖夜選手
ーー今日の試合を振り返って
北野:今日は前半が2-0でしたけど、その前にY.S.C.C.横浜もゴール前で2回ほどチャンスがあって、やっぱりああいうところで決めないと結局は苦しいゲームになってしまうなっていう点が1つありますね。あとはもう少し前半からディフェンスをアグレッシブにいくべきだったので、すごく反省点のあるゲームでした。
今、新型コロナウィルスの影響で無観客の試合が続く中、これまで試合をしてきた中で一番お客さんも観にきてくれて、素晴らしい雰囲気で神奈川ダービーをやれたことにすごく感謝しています。だからこそ一緒の神奈川ということで負けたくはなかったので、非常に悔しい思いのが残る試合でした。
ーー今日は前からのプレスがあんまりはまってなかったように見えたが?
北野:そうですね、特に前半は裏にボールを蹴られたりして、なかなかうまくはめられなかったんですけど、そこはちょっと自分たちの課題でもあり、もっとピッチ内で自分たちで判断して。後半残り10分くらいはクリアランスからもフィウーザ選手がボールを切るしかないくらいなプレスだったり、ディフェンスの立ち位置だったりができていたので、あれが前半からできていたら、もう少し勝ちにつながる可能性が少しでも増やせたんではないかなと思います。
ーー最近、ファウルを取られることが多いことが影響しているか?
北野:そういうことではないですね。アグレッシブにいきつつ、自分たちは、別にファウルをしてもいいというわけではないんですけど、ファウル管理はするということはやってますので、アグレッシブさは引き続き続けて、前で取り切れたらもちろん最高ですね。
次節試合情報
湘南ベルマーレ
VS:バルドラール浦安
日時:2020年12月13日(日) 17時K.O
場所:バルドラール浦安アリーナ
Y.S.C.C.横浜
VS:バサジィ大分
日時:2020年12月13日(日) 11時K.O
場所:サイクルショップコダマ大洲アリーナ
Text by 小西 尚美
Photo by SHONAN BELLMARE FUTSAL
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