~湘南ベルマーレ VS エスポラーダ北海道~
12月12日(日)、湘南ベルマーレはいくつかあるホームタウンの中で、年に一度開催している秦野市の総合体育館でエスポラーダ北海道を迎えてホームゲームを開催した。両チームとも前節は敗戦。湘南は、アウェイで立川・府中アスレティックFCに敗れ、暫定首位の座を名古屋オーシャンズに明け渡した。また、北海道はフウガドールすみだに、これもまたアウェイで0対9と大差の敗戦を喫している。どちらもメンタル面への影響が心配される前節の結果となっている。
しかし、終盤に入ったリーグを戦う選手は、どのチームもたくましい。特に前節大敗を喫した北海道は、今節にかける雪辱の思いが強いようでアグレッシブな姿勢を攻守に見せる。とはいえ強度高く組織的に守る湘南の守備を崩すことができず得点までは至らない。するとホームの後押しを受けて流れは徐々に湘南に。特にゲームメーカーの役割を果たすロドリゴ選手を起点にチャンスを作り出す。先制点もロドリゴ選手から本田真琉虎洲選手へのホットラインから。ゴール前へのパスをゴレイロ前に陣取る本田選手が軽く触ってコースを変えて決めた。北海道はすぐにタイムアウトを取って修正を施すが、前への圧力を高めた湘南を止めるのは難しく、ミスを逃さず内村俊太選手が得点。さらに1stピリオドの終了を目前にした時間帯にカウンターからロドリゴ選手が鋭いシュートを決める。湘南が3点をリードして、折り返しとなった。
2ndピリオド、北海道はゴレイロを交代。足元がうまい坂桂輔選手を湘南陣内まで上げて数的優位を作って攻撃を仕掛けていく。一方の湘南は、元Jリーガーの島村毅選手がスタートから出場し、Fリーガーデビューを果たす。2分弱の出場時間の中でシュートを放ち、爪痕を残した。その後も湘南が優位な展開。得点差があるせいか、攻撃の仕掛けにも余裕がある。起点となるのはロドリゴ選手。キックインから前に運びながら守備の2人を惹きつけると回り込んだ内村選手に足裏でパス。フリーになった内村選手がシュートを放ってこの試合2点目を決めた。その後も湘南はバリエーションも豊富な攻撃を見せる。キャッチしたボールを持ち上がったゴレイロのフィウーザ選手が瞬間的に数的優位を作って起点となり、ペナルティエリア内にいた籔内涼也選手へパス、薮内選手は足裏でコースを変えてそのままゴールにイン。5対0とした。その後湘南は、ゴレイロを上原拓也選手に交代。北海道は坂選手を上げた攻撃をおり混ぜ、最後まで諦めずに戦うが得点することができず、2試合続けての敗戦となった。
湘南は、今季ホーム負けなしを今節も継続。暫定2位の位置を守りながら、何があるかわからないリーグ戦を戦い続ける。
試合後会見
湘南ベルマーレ 伊久間洋輔監督、上原拓也選手
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「今日も本当にたくさんの方々に来ていただいて、ホーム負けなしを守れて非常に良かったと思います。ありがとうございます。
試合の方は、(エスポラーダ)北海道は前節0対9で大敗しているということで、『そういう試合の後って難しいよね』っていう話を選手にして、しっかりと守備をやろうと試合に入りました。チャンスは作ってもなかなか決めきれずにいましたが、守備はしっかりと、多少危ないところはありましたけども、先制ができたので、それが全てだったのかなと思います。
今日はほぼ全員出すことができましたし、キャプテン(上原拓也)も試合に出すことができたので、その辺りが今日の試合の収穫かなと思います。前節うちは、立川・府中(アスレティックFC)に負けているので、気持ちの持って行き方がなかなか難しいところがあったんですけど、今年言っている1戦1戦を戦うというところを選手がしっかりと持っていてくれて、勝利できて良かったと思います。次節に向けてまたしっかりとトレーニングして行きたいと思います。ありがとうございます」
上原「お疲れ様でした。まず始めにいつも言っているんですけど、今日も下部組織の選手やスタッフの方々がたくさんサポートしてくれて、年に一回の秦野開催ということで、この秦野市をフットサルでもり上げるために本当に大事な試合だったと思うし、本当にたくさんの人が応援に駆けつけてくれたこと、見えないところでいつもサポートしてくれていることに感謝しています。ありがとうございます。サテライトの選手は昨日試合があって、疲れている中でも僕らのためにサポートしてくれて感謝しています。ありがとうございます。
試合に関しては、点差以上に難しい時間帯もありましたし、本当に最後までどうなるかわからない試合だったと思います。北海道さんは、キーパーを上げてパワープレーをしてくる、Fリーグでもなかなか見られない戦術を取るので、そこに対してどうやって自分たちが順応して守備をするかが本当に大切だったと思う中で無失点で終えて、キーパーとしてもうれしいですし、チームとしても非常にいい部分が出たなと思っています。得点も、薮内選手が今シーズン初得点を取ったり、牧野選手がシュートに持ち込むようなシーンがあったり、そうやって若手の選手がベテランや中堅をどんどん追い越していくような気持ちを持ってやっていくことでチームは本当に良くなっていくと思うので、そこにもっともっとこだわってやっていくことがすごく大事だと思います。
前節負けてしまって、暫定首位から2位になってしまったんですけど、僕たちは常に挑戦し続けなければいけないと思っているので、そこのスタンスだけは絶対に変えずに、残り4試合、変わらず戦い続けたいと思いますし、もし結果がついてこなかったとしても、これは絶対に来シーズンや選手権につながると思います。その姿勢だけは変えずに1戦1戦全力で戦って、応援してくれる方もたくさんいるので、その方たちやサポートしてくれる方たちのためにも、残り4試合勝利をして、みんなで喜びあえれば最高だと思うのまだまだ諦めずに最後まで戦って行きたいと思います」
ーー島村選手がデビューしましたが、出場の意図と感想を
伊久間「島村は登録完了前から練習には合流していましたが、試合と試合の合間のトレーニングは次の試合のためのトレーニングが多いので、実戦というのはなかなか難しかったんですけど、ここ何日か紅白戦を行って、非常にパフォーマンスが良かった。ただ実際のFリーグの試合では未知なところがあったので、一回使ってみたいという思いがあって、今日、点差が3点離れたところで一回出してみることができました。彼のパフォーマンスも良かったですし、シュートまで行っている部分も、本当にキーパーと1対1、決めてくれればと本人にも言いましたけど、パフォーマンスは良かったと思います。今後はフットサル感や、フットサルに慣れる部分、ディフェンスの部分を高めていけば戦力になっていくと思っています」
ーー前節敗戦で難しいところがあったと言ったが具体的にどういうアプローチをしたか?
伊久間「勝ち続ければ首位を守りながら名古屋にプレッシャーを与えられるぞというところが負けたことによって、みんなの気持ちがどういう感じなのかなという部分で難しいのかなと思っていたんですけど、1週間過ごしていく中で僕以上に選手たちがしっかりしているというか、次に向けて日々の練習をしっかりと、次の試合を勝つためにやれたなと。僕自身はその気持ちの部分がどう動くのかが難しいかなと思ったというところです」
ーー牧野選手が代表に招集された感想は?
伊久間「これまでの代表は、ゴールキーパーとフィールドプレーヤーという分け方で発表していたところをフィクソ、アラ、ピヴォとポジションごとに発表をしている中で、牧野に関しては今シーズン、フィクソの一番重要な相手のピヴォを押さえる、ディフェンスの部分ということにかなり能力的に高いものを出している。Fリーグのほとんどのチームが3-1のピヴォを置いた戦術を用いる中で、そのピヴォをほとんどシャットアウトしているのではないかと思うので、そこに関して代表に呼ばれてもおかしくないかなと。もちろん得点の部分とか、そこは本当に要求される部分ではあると思いますけど、フィクソという意味では招集されても全然おかしくないなと思っていたというところです」
ーーゴレイロが上がるパワープレーに対応し、危ないシーンもあった中で防ぎ切ったことは、かなり自信になったのでは?
上原「あのタイミングで僕が出ることについては慣れていますが、ああいう時間帯で出場させてくれるのもかなり勇気がいると思うんですけど、そこを思い切って出してくれることには感謝しかないですし、そこに応えようと今日はプレーさせてもらいました。いつもそういう思いを持ってやっているんですけど、今日はそこで無失点に抑えられたことはうれしかったですし、去年、何試合か出た試合で、無失点できていたのに失点してしまったり、悔しいところがたくさんあった。今日はそういう意味で無失点で終われたことは良かったと思います。でもやっぱり自分の理想というのは最初から出場してゲームを作っていくキーパーなので、そこに到達できるように、努力を続けていくこと大事だと思うので、引き続きやって行きたいと思います。ありがとうございます」
エスポラーダ北海道 金井一哉監督、宮原勇哉選手
ーー試合の総括をお願いします
金井「本日はコロナ禍の中、多くの方にご来場頂きありがとうございます。また、この試合の開催にあたり、湘南ベルマーレの皆様、ご尽力頂きました全ての方に感謝申し上げたいと思います。
今日の試合は結果の通り完敗だと感じておりますし、私自身の責任を感じています。湘南さんの強いプレスや個人技に苦しみながらもチャンスを作り出しましたが、ゴールが遠く、得点出来なかった事が敗因の一つです。連敗が続いており、チームは非常に苦しい時間を過ごしています。ですが、1つ1つのプレーにこだわり、勝負にこだわり続けて自分たちでこの壁を乗り越えるしかありません。壁は乗り越えられる人の前にしか現れません。この高い壁を乗り越えた先に待つ勝利を信じて、チーム一丸となって突き進んでいきます。本日はありがとうございました」
宮原「本日も応援してくださった皆様、試合の開催にあたってご尽力いただいた皆様、本当にありがとうございました。今節は決定力の差が出た試合となりました。試合全体を通して、苦しい時間帯に的確に得点を積み重ねられてしまったという印象です。こちらにも決定機がいくつかありながら、決めきれなかったことで後手となってしまいました。また、会場は湘南さんの独特の雰囲気、一体感があり、選手も勢いや自信を持ってプレーしているように感じました。最後までハードワークしつづけた相手に対して、粘り強く戦い切れなかったことが今日の敗因の1つだと感じています」
ーー前節のフウガドールすみだ戦の敗戦から立ち直った前半に見えたがどういうアプローチをしたか?
金井「前節はメンタル的に負荷のかかる試合結果でした。その中で、湘南戦に向けて2つのことに取り組みました。
1つ目は、試合に向けて戦うメンタリティを取り戻すように、選手間でのコミュニケーションを増やしました。すみだ戦の反省でもある試合の入り方について、試合前はどのようにするか、また、試合が始まったあとに上手くいかなかったときはどうするかなど、理想だけではなく、困難なことが起きたときの対処法まで話し合いました。
2つ目は、守備のスタートラインをゲームの状況に合わせて上下させることです。基本的にチームは前からプレスをかけるスタイルがベースですが、ケガ人やセットメンバーを考慮し、守備組織が不安定なポジショニングからのプレスはリスクが高いので、まずはしっかり守備から入るように準備しました」
ーーGKは鶴岡選手が先発でしたが、前節からGKを変えた狙いと今日の鶴岡選手の評価は?
金井「鶴岡選手の先発理由ですが、前の質問でお答えいたしました通り、今節はしっかり守備からゲームに入っていくようにプランニングをしていました。エスポラーダ北海道にはタイプの違った2人のGKがおり、私はどちらも信頼しています。今節のプランニングをもとにまずは攻守においてリスクマネジメントされたゲームスタートをするために鶴岡選手を先発に選びました。第一ピリオドで0-3になってしまいましたが、誰にでもミスはあることです。鶴岡選手が出来るプレーを最大限の集中力を持って実行してくれたことは評価しています」
ーー後半GKを坂選手に変えた狙いは?
金井「残念ながら、第1ピリオドはプランニング通りにいかず0-3となってしまいましたので、第2ピリオドはより攻撃的に行かなければいけませんでした。そのため、GKを坂選手に変えてリスクを掛けてでもボールを自陣から相手コートに前進させるための時間を短縮させ、相手コートでのプレー回数を増やしてゴールを奪う狙いを持っていました。GKが流れの中でボールを持ち上がることは、見た目以上にメンタル的負荷が高いと私は認識しています。坂選手も与えられた時間の中で、メンタル的負荷を抱えながらも積極的に攻撃に参加してくれたことは評価しています」
ーー前節すみだ戦の敗戦から選手たちの間でどのような声がけやアプローチしたか?
宮原「選手のみでのミーティングを何度か行ない、現状に対する反省、改善点を話し合いました。その中でもチーム全体としてポジティブな言葉を発していくこと、選手それぞれの役割について再確認をしました」
ーー宮原選手自身は、どんな思いを持って試合に臨みましたか?
宮原「苦しい状況だからこそ、現実から目を背けずに最後まで戦い切ることが重要だと思っています。個人的には今は試合に出場できない分、声による指示や援助、チームの雰囲気作りを意識して試合に臨みました」