試合

中1日で同じ相手と対戦、1勝1敗ながら攻撃力の高さで町田が1歩リード

~ペスカドーラ町田 VS バルドラール浦安~

12月10日に開催された第18節のフライデーナイトFリーグは、ペスカドーラ町田がホームにバルドラール浦安を迎えての1戦。実はこの対戦、2日前の水曜日に浦安のホームで行われたばかり。7月に予定されていた浦安ホームの第7節が選挙の影響を受けて延期になり、その代替日が12月8日となったのだった。この日は、中1日で互いのホームを行き来する、かつてないレギュレーションの2試合目となった。

8日の初戦は、ホームの浦安が3対2で競り勝っている。しかもこの試合で連勝を5に伸ばす好調ぶり。とはいえ、チャンスの数では若い攻撃陣が波に乗る町田が上回っていた。疲れを完全に癒すことも、また戦術などを大きく修正することも難しいこの試合は、チーム本来の力が試されることが予想された。

試合は、前節勝利している浦安が積極的な入り。早々にインターセプトからガリンシャ選手が起点となって相手を2人引きつけて逆サイドの東出脩椰選手にパス。余裕を持って受けた東出選手が落ち着いて狙って先制ゴールを決めた。しかし、前節と同じことを繰り返したくない町田は、高い位置からプレスを仕掛け、前への圧力を高めていく。町田の同点弾が生まれたのは、ゴレイロ・イゴール選手からのロングパスから。手前でクリアしたボールがルーズになったところを浦安のゴレイロ税田拓基選手と町田の毛利元亮選手が競り、こぼれ球を倉科亮佑選手が拾ってシュートを決めた。ここからは強度で勝る町田がホームの後押しを受けて攻撃のリズムを作っていく。コーナーキックからのサインプレーで甲斐稜人選手が、フリーキックからの流れで毛利元亮選手が、自陣からの組み立てから中央でパスを受けたピヴォの本石猛裕選手がボールキープから振り向いてシュートを放つなど5分かからない間に4得点を挙げた。さらに13分、サイドで1対1を仕掛けた中村充選手からの折り返しのパスにゴールに向かって滑り込んだ毛利選手がこの試合2点目を決め、5対1で前半を折り返した。

2ndピリオドは、浦安がゴレイロを藤原潤選手(今シーズン限りで引退を表明)に交代してスタート。藤原選手は、相手陣内まで上がって攻撃に加わるので、パワープレーと同じような数的優位を作った攻撃の仕掛けができる。この効果で浦安の攻撃の起点になることが多いガリンシャ選手にボールが入る回数やサポートが増えてゴール前でのチャンスが増えていく。ゴールへの圧力を高めた効果が現れたのが29分、コーナーキックからのサインプレーで東出選手が得点を決め、1点を返した。しかし町田のモリーナ監督は追加点が入らない焦りを見せる若い選手の手綱をタイムアウトなどでうまく捌いて浦安の追撃を許さず、さらに追加点を甲斐選手が決めて6対2という大量得点差で勝利に導いた。

この日、町田で得点を決めた4選手は、前日に発表された新生日本代表に招集された5人のうちの4選手。残りのヴィニシウス選手も得点こそなかったがアシストなど攻撃の起点になり、存在感を示した。中1日で戦った同一カードは、相手にダメージを与える得失点差で町田に軍配が上がる結果となった。

試合後会見


ペスカドーラ町田 ルイス ベルナット モリーナ監督、金山友紀選手
ーー試合の総括をお願いします
ルイス
「水曜日に試合をして、中1日空けて今日の試合でしたが、結果を見てわかる通り、水曜日の試合の課題であったフィニッシュのところが、今日は少し前進できたと思います。ただ試合全体を見ると、前半は課題が克服できていたけど後半は水曜日と同じような試合になっていたので、その点で少し課題が残りました。

今日はほとんどの選手が試合に出て、全員が仕事をしっかりしてくれて、なおかつ我々のホームでこうして勝ち点を重ねられたというのは、非常に大きな試合だったと思います。

試合中に、中村充がケガをしてしまったことは、私としても心配が残る試合だったし、後半に課題が出たけれども、全体的に考えると勝利という結果を出して、ホームで勝点3を重ねられたことは非常にポジティブなことなので、大変うれしく思います。試合はこれからも続くので、引き続き勝利を積み重ねられるように頑張っていきたいと思います」

金山「今までのFリーグを見ても、異例な2連戦だと思いますし、お互いこういうレギュレーションで(試合を)やることがないので、難しいものがあったと思います。それでも一昨日負けた試合をしっかり切り替えて、その借りをすぐにホームで返せるということだったので、とにかく今日は内容でも結果でも圧倒するという形で臨みました。監督も言ったように前半は良い試合運びができたと思うんですけど、後半はちょっと停滞してしまったところが課題だと思います。でも、勝ちながら完成していくというのが理想だと思うし、来週はまたホームで試合があるので、若い選手が多くなってきましたが、ホームでは絶対に負けられないという思いや、そういう気持ちを持つ大切さは伝えたいと自分は思っているので、次もこういう結果を残せるように、また来週のトレーニングからやっていきたいと思っています」

ーー水曜日の試合後会見で支配率も高い、チャンスもあるのに決められないのはわからないという話をしていたが、今日はゴールも取れて勝利した。どんな働きかけをしたのか、または選手がホームということで奮起したのか、どちらだったのか?
ルイス
「監督として、例えば中1日で新しいことを伝える、何かをやることでフィニッシュを劇的に変えられるかというとそうではない。ですが、水曜日の試合を反省として、昨日選手たちに伝えたことがあって、試合の最後までいろいろなフィニッシュの形を作れていたけど、得点を決め切れないということについて、君たちのフィジカルベース、技術ベースは全然問題ない。要はフィニッシュが決まらないということは、最後のメンタル的なコントロール、どれだけ落ち着いてそこを確実に決められるかということ。そこについてアドバイスはしてきました。そして、その話をしたからといって劇的に変わるかといったらそうではない。たださっき仰った通り、今日はホームだったので、選手たちはホームで勝つ責任というものを持っている。そこと今言ったようなことがうまく作用して、こういうスコアに繋がったのかもしれない。ただ、ゲームの内容としては大きく違わなかった。我々は水曜日と同じように引き続きチャンスを作り続けたし、フィニッシュの形というのは相手のディフェンスを崩し切ってシュートまでいくというのはやり続けていた。そこの積み重ねで、最終的にいろんな要因、ホームであったり、ちょっとしたアドバイスを彼らに話したというところでの効果として今日の得点につながったのかもしれないと思います」

ーー2ndピリオドに相手のゴレイロが上がっているときにシュートを狙い、その直後にタイムアウトを取ったが、その理由は?
ルイス
「あのシチュエーションでボールをダイレクトで蹴ってゴールを狙う必要性があったかという話です。これは前から話していることで、あの時のあのシチュエーションで、ディフェンスのプレッシャーはなかった。ああいうシチュエーションのときはワントラップ、ツートラップしてから冷静に繋ぐ、ボールを失わない(方が大切)。結局シュートを打って外れて、そうしたら相手のボールになるわけです。しかも自分たちが勝っている試合で。そういうところでボールをロストすることの無駄を選手たちには以前にも伝えていたんですけど、今日改めて伝えた。というのは、それをやった選手はその話を聞いて理解して気をつけないといけないと思うけど、周りで聞いている他の選手たちは、一緒に聞いていても、自分のこととして捉えないで、同じことをやる場合がある。それを改めてたしなめたということです」

ーー代表に5人選出されましたが、それについてのコメントを
ルイス
「まず非常に誇りに思いますし、この5人の選手にとってもすごく素晴らしいこと。僕もすごくうれしいですし、クラブとしても価値があり、誇れること。すごくうれしく思います。

現在のうちの選手の中には、今回選出された5選手以外にも、いつ日本代表に入ってもおかしくないポテンシャルを持った選手がいます。ただやっぱりそのちょっとの差というのは、試合の中での例えば一つのプレーに対するクオリティだったり、モチベーションだったり、というところで代表選手になる・ならない、呼ばれる・呼ばれないということがあると思う。日本代表を目指すことが全てではないですけども、プレーヤーとしている以上、国を代表する選手になるというのは一つ大きな目標だと思う。ただ、選手たちにはまずはチームの中で自分たちのやるべきことがしっかりできた上で、その先に日本代表があるということはわかって欲しいなと思います。たださっき言ったように非常にうれしい、喜ばしいことだと思います。

今、町田がここまで取り組んできた、毛利元亮だったり倉科亮佑、甲斐稜人だったり、ほんの3年前はユースでプレーしていて、そこで日本一になって、3年経った今、トップチームにいて、日本代表のピッチにも立っているというのは、すごく大事なことだと思います。育成からトップ選手に育て上げていくという一つの重要なモデルになっていくと思う。これは本当に今の町田にしかできない、モデルケースになっていると思います

バルドラール浦安 小宮山友祐監督、滝田学選手(今シーズン限りで引退を表明)
ーー試合の総括をお願いします
小宮山
「お疲れ様です。なかなか言葉で表現するのが難しい試合だったなと思います。前半は、ほとんど自分たちらしさを出すことができませんでした。1点取ることはできましたけど、強度の部分で町田さんを上回ることができなかったのは、もったいなかったなと思います。先制することができたので、試合を自分たちの流れに持っていきたかったですけどね。こんなことを言ったら怒られるかもしれないですけど、不可解な判定で。あのあたりは、よくわからなかったですけど。それらも含めてフットサルだと思うので、そこに責任があるかといったら、全部の失点がそういうわけでもないと思うので。ただ流れのあるスポーツの中で、あの立ち上がりのあの同点の場面のキーパーへのチャージングは僕は納得がいかない部分はありました。それがファウルではないというのであれば、それは審判の方が決めることなので、納得は全然いってないですけども、それは仕方ないとして、そのほかの失点に関してはこちらがなんとかできた部分もあったので、そういったところがまだまだだなと思います。

後半に関しては、ハーフタイムに切り替えて後半だけでも勝ちに行こうという話もしました。引き分けで、勝てなかったですけど、前半と全然違ってしっかりと選手たちは戦ってくれたので、最低限ゲームになったかなと思います。後半のようなことが前半からできたらこんな試合にはならなかったということは、先ほど選手たちにも伝えました。前半のような試合になってしまったのが、疲れなのか、連戦だったからなのか、5連勝してたからなのか。慢心というものは練習を見ていたり、選手たちの様子を見ているとなかったので、(他に)何かしらあったのかなというところですね。非常に悔しい敗戦となりましたが、これでリーグが終わるわけではないので、私はあんまり切り替えとか次という言葉が好きではないですけども、しっかりと自分たちの中で受け止めて進んでいくしかないので、積み重ねてきたものが表現できるように、我々はピッチでしか結果を出せないので、しっかりピッチ上で表現できるように。次はホームで、ボルクバレット北九州と試合がありますので、そこに向けて自分たちがやってきたことをピッチ上で、このFリーグのピッチ上で表現できるように、やっていきたいなと思います。長くなりましたけど、以上です」

滝田「間違いなく疲労は残っていた中での試合で、みんな前半少し足が重かったと思うので、そこをもう少しエンジンをかけるような声をかけられたら、もう少し違うゲームになったかなと思いますし、前半であれだけ失点してしまって、ちょっとゲームを壊してしまったなと思います。逆に後半あれだけ、全員がプレーできたということは、前半からもっとできたんじゃないかと思うので、そこは反省点でもあります。まだ若い選手が多いですし、これから先の浦安が強いチームを作っていくためには(反省することも)必要なことだと思うので、前を向いて、次の(ボルクバレット)北九州戦に向けてまた勝てるようにやっていきたいなと思います」

ーー中1日で同じ相手と戦うということでどういう考え方で臨んだか?
小宮山「同じ相手と中1日で試合をすることはなかなかない経験ですが、全く違うゲームになるということは選手たちに伝えました。2連勝するために必要なことは、自分たちの強度と町田の強度を比較したときに、強度の部分では明らかに町田さんの方が上だということを初戦でも感じたので、それをどう受け止めて、どう対策して、どう取り組んでいくかというところ。しかし、中1日だとそういう調整の部分はリカバリーが中心になってしまうので、新しく戦術を足すことはできず、今まで積み重ねてきたものをどう適材適所に出していくか、効果的に出していくかということになる。そこで町田とうちを比べたときに、どこが勝っているかというところで、ガリンシャのキープだったり、東出のスピードだったり、そういった部分を、ずっとそればかりでは彼らも疲労が溜まっていくので、局面局面でどういうふうに使っていくかというところです。同じ相手と2試合するということは、前半戦と後半戦という捉え方が良いのか、間違いなく1試合ずつの切り方で、同じ相手ですけど、全く違う相手だという認識を持って臨むかだと思います。0対0から始まる違う試合というところで、そこで競り負けてしまったことが、この結果に結びついたと感じています」

ーー1stピリオドでタイムアウトを取らなかったがその考え方と、後半ゴレイロを交代した狙いは?
小宮山
「どの監督さんも連続失点するとタイムアウトを取って流れを切りたいと考えると思いますけど、私もこれまでああいう連続失点が続いたときは間違いなくタイムアウトを取って、厳しい言葉を投げかけて奮起を促すといいますか、選手にもう一回スイッチを入れていました。しかし、残りの6試合のことを考えて、シーズンも終盤に差し掛かっている中で、まだそれを必要としているチームなのか、それともそんなことはなく、自分たちで、(ピッチの)中で変えられるチームなのか、そこがすごく大きなところだと思うんです。ここまで積み重ねてきたのも我々ですし、5連勝したのも我々ですし、今日負けたのも我々です。自分たちがどう成長したかというところを、やっぱりいろんな部分で選手たちに感じて欲しかったという思いがあります。タイムアウトを取って私が叱ることでその先に何かが得られるのか、それとも中で自分たちが気づいて、誰かがリーダーシップを取って(変えていくのか)。キャプテンを含めて厳しい声が出ていたんで、必要ないかなと思いました。もっと言ってしまえば、タイムアウトを取って何かサプライズ的なパワープレーしたりとか、いろんなことしようかなとも思ったんですけど、まだまだ前半ですし、選手たちのことを信じて、チャンスもありましたから、もう一回流れをこっちに寄せられるかなと思って取らなかったです。

後半立ち上がりの藤原(潤)を上げた形は、税田(拓基)が5失点したから何か悪かったわけではなくて、彼のおかげでここまで勝ってきたということもありますし、別にペナルティではなくて、藤原の方が単純に税田より足が上手いという、良いパスを出せるというところと、最初からキーパーをフィールドプレーヤーに変えてプレーするよりも、シンプルに藤原を上げて、ガリンシャに当てて、サイドの加藤(竜馬)に渡してフィニッシュというところをシンプルに狙った。要はシュートの回数を増やしたかったというところです。なかなか効果的なチャンスは1回、2回しかなかったですけど、流れは切れたかなというのはそこで思いました。それで1点2点取ることができて、終盤でパワープレーというのはずっと考えていましたが、やっぱり4点差と3点差では意味合いが全然違ってくるので、そこで自分たちの流れで1点取ることができたらなと思いました。実際、1点取れました。以上の2点が私の中で、あのときに感じた点です」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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