~ペスカドーラ町田 VS フウガドールすみだ~
11月27日(日)、Fリーグディビジョン1第14節、ペスカドーラ町田はホームアリーナ、町田市立総合体育館にフウガドールすみだを迎え、東京ダービーを開催。共に東京にホームタウンを持つチームということもあり、すみだのサポーターも多く足を運んだ。
今シーズンのFリーグはプレーオフを行うため、多くのチームがまずはプレーオフに進出できる3位以内を狙って、リーグを戦っている。ホームの町田は、第13節終了時点で3位。しかも、名古屋オーシャンズ以外に負けなしだった2位バルドラール浦安に勝利、連勝も3に伸ばして、勢いに乗っている。一方のすみだは、6位。立川アスレティックFCと同じ勝点ではあるものの、得失点差で遅れを取っている。3位を狙うグループ内で水をあけられるのを防ぐためにも、直接対決で上位町田の勝点を削り取りたいところだ。
町田は中断期間中に加入したゴレイロのジオヴァンニ選手がチームにフィットして新しい武器となりつつある。足元がうまく、両足ともに正確なキックが蹴れる上に、相手陣内までボールを持って侵入し、ビルドアップにも加わる。攻撃の起点に新たなポイントが生まれている。すみだはこの試合、若手選手も加えて登録。日本代表の清水和也選手が入るファーストセットを軸に、新鮮な組み合わせのセットで応戦した。
両チームともに基本はピヴォを攻撃の起点とするシステム。攻撃面では、いかにそこにパスを通して活性化するかがポイント。守備においては、ピヴォにボールを入れさせないよう、なるべく高い位置でボールを奪い取りたいところ。前からプレスをかけて、できるだけ相手陣内でプレーする時間を長くしたい狙いを持つ。中盤でボールを奪い合う展開が続く中、先制したのは町田。すみだの攻勢から一転、流れたパスをペナルティーエリア内でキャッチしたジオヴァンニ選手が、相手ゴール前に陣取る野村啓介選手へパス。野村選手はディフェンスについた相手選手と入れ替わる形でフリーになって、ループシュートを決めた。
追う展開のすみだも慌てずに対応。攻撃に重心を傾けると、自陣からのロングパスを前線で受けた清水選手が相手選手を交わしてシュート、同点に。しかし、その30秒後には町田の山中翔斗選手がカットインからシュートを決めて、町田が1点リードで折り返しを迎えた。
2ndピリオドのオープニングも町田のジオヴァンニ選手がチャンスを創出。ゴールエリア内で相手ディフェンスと競り合う荒川勇気選手の頭を目掛けてパスを送り、フリックでの得点を狙う。その後もお互いにチャンスを作りながらも、集中した守備で得点を許さず時間が経過。5分を切ったところで1点を追いかけるすみだがパワープレーを開始し、町田はアグレッシブな守備で応戦する。
得点が入らないまま残り53秒のタイミングですみだが直接フリーキックを獲得。ゴール正面の好位置から清水選手が狙い澄ましてシュートを放ち、同点ゴールを決めた。その後は町田がパワープレーを開始するが、得点できずにタイムアップ。2-2の引き分けで勝点を分け合った。
ペスカドーラ町田 試合後会見
甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐「チームとしては、想定していた戦いが、選手たちがハードワークしてくれてしっかりできたので、結果は引き分けになりましたけど、ポジティブな内容でよく戦ってくれたなと思います。
あとは毎回ですけど、レフェリーに試合を壊されるので、こういう思いをできるだけしないで良くなるような改善をしていただきたいです。それはもう勝ち負けのところで我々チームだけの問題じゃなくて、このサッカーの日本代表の試合が行われるようなときにでも、この会場に来てくれるお客さんとか、こういう状況であってもABEMAを見てくれているお客さんとか、そういう人たちに本当に申し訳ない。レフェリーのジャッジでゲームの勝ち負けが決まるようなことは、2度としてほしくないなという印象です」
伊藤圭汰選手
伊藤「勝てる試合を引き分けにしてしまったという試合だったなと思います。もう少し自分たちが追加点を取らないといけないゲームでした。すみだもすごくいいチームですけど、僕らがすごくいい状態でゲームを進められていたので、すごく悔しい引き分けになったという試合です」
ーーポジティブな内容と言っていましたが、監督が評価されているポジティブな部分とはどういったところですか?
甲斐「すみだは本当に伊藤キャプテンが言った通り、いい選手がたくさんいますし、いいチームなので、その長所を消すというか。我々のハイプレスであったり、強度であったりというところで、持ち味を出させずにゲームのイニシアチブを取りながら進められたというところ、そういう意味合いでポジティブだったということですね」
ーーパワープレーの守備がすごくアグレッシブでしたが、どういった狙いがありましたか?
甲斐「基本的には我々は、リアクションを待つようなディフェンスはやらないので、どの相手であっても相手にプレッシングというか、いっさいプレスに行かないというスタンスではないということですね。そういう意味で今日は、すみだのポジション配置がもし寄せない状況であると、深い位置まで侵入されてしまうので、特にタイムアウトを取ったあとは、ラインを下げずになおかつプレスのタイミングというのを統一して、いつも以上にアグレッシブに変えました」
ーー中断期間中に加入したジオヴァンニ選手は、立川戦の途中出場から起用が続いていて攻撃の起点にもなっていますが、彼に対する評価を教えてください
甲斐「以前もお話ししたことがあるかもしれないですけど、シュートストップの能力そのものも高いですし、足を使えるという意味でいうと、ただ上手いというよりは、どの局面であっても、例えばディフェンスが二度追いして、通常のキーパーですとちょっとテンパったり、状況判断をミスったりしそうな局面があると思うんですけど、そういう局面で狼狽えることがいっさいないというか。ゴールマウスの中にフィールドの選手が入っているかのような、ちょっと余裕がある感覚を持っているので、常にキーパーを使うというスタンスではないんですけど、いつ使っても安心してビルドアップを繋げることができるかなと思っています」
ーー清水和也選手とマッチアップする時間もありましたが、どんな印象だったか、また気をつけたところを教えてください
伊藤「清水選手は、同世代ですけど、日本を代表するようなピヴォで、右足も左足もシュートがあるのですごく対応は難しかったんですけど、僕だけじゃなくて、チームのみんなで守り切ったという印象があります。前の選手がパスコースを切ってくれたりすることで、僕も前のポジションを取れたりしたので、僕だけじゃなくて、みんなで守るような意識で取り組みました」
ーーABEMAでワールドカップを放送している影響もあり、日本対コスタリカ戦の前の時間帯の試合ということで、この試合の視聴数が普段よりも多い7万1000を超えました。この機会にフットサルを初めて見る方も多いと思いますので、改めてそれぞれが考えるフットサルの魅力を教えてください
甲斐「一番難しい質問ですね。言わないといけない内容がありすぎて、端的にいうのが難しいですけど、フットサルは狭い中で常に攻守、サッカーでいうバイタルのエリアが常にずっと続いているようなアグレッシブなゲームなので、時間帯を問わずずっと楽しめるような、熱くなれる競技だと思います。サッカーと比較すれば、ですけどね。細かいことを言えばキリがないくらいあります」
伊藤「僕も同じような意見ですけど、サッカーに比べて攻守の切り替えが多いのと、シュートエリアが近いのでシュートの回数も多いですし、そういうゴールに直結するプレーが多いのがサッカーよりフットサルの方が魅力的だなと思ってます。言葉で表せられないくらい深いスポーツなので、僕ももっともっと勉強しなきゃいけないと思っています」
フウガドールすみだ 試合後会見
荻窪孝監督
ーー試合の総括をお願いします
荻窪「まず、町田までたくさんのサポーターの方が応援に駆けつけてくださり、ありがとうございます。今日は、プレーオフ争いで生き残っていくためには大一番のような試合だったと思います。自分たちの思っていたような流れにはできなかったんですけど、最後、なんとか追いつけたのは、他力になってしまうかもしれませんが、まだほんのわずか望みをつなげられたのかなと思ってはいます。選手たちにも言いましたが、練習からもっともっと質を上げていかないといけないなと、改めて感じた試合でした」
栗本博生選手
栗本「非常に悔しいです。試合後の会見ではいつも口酸っぱくプレーオフという言葉を出させていただいていますけど、本当に去年悔しい思いをして、3位以内、プレーオフは簡単なことじゃないのは身に染みてますし、そういうメンバーが多くいる中で、今、監督も言ってましたけど、試合前に、『この試合が決勝戦』『これに勝てばプレーオフに行ける』、そういう位置付けで試合に臨みましたが、果たしてそういう気持ちでやれたかどうか。それが非常に悔しいと思いますし、情けないなという気持ちです。ただ、後半、締め直して、プレッシングから頑張っていこうといった中で、そうやってギアを上げれば、点を取る力もありますし、追いつける力もあるというのは、前回の立川(アスレティックFC)戦もそうですし、今回も同じで、そういう力があるにもかかわらず、前半からそういう試合ができなかったということが非常に悔しいと思います」
ーーメンバーが揃わない中、この試合に向けてどういった工夫をされましたか?
荻窪「まずは、今まで軸であった清水誠也が離脱してしまっているので、そこは畠山(勇気)をピヴォにおいて攻撃をしていくというのは、今週は練習から取り組んできました。甘利(斗亜)も去年はピヴォをやっていたので、そういったところもちょっとどう機能するのか、探りながら試合を進めました。急遽ですが、それなりにというか、最低限はチャンスも少し作れていたと思いますし、よくやった方ではないかなと思っています」
ーー自分たちの思った流れではなかったと言っていましたが、どういった流れを想定されていましたか?
荻窪「個人的にはもう少しシュートで終われて、高い位置でセットプレーを獲得できるかなとは思っていました。そこはやっぱり町田の守備は速いですし、フィクソのところでもかなり戦ってきていたと思うので、予想よりちょっと収まらなかったというのが印象ですね」
ーー町田は新しいゴレイロが攻撃の起点になることも多かったが、どのような対策を考えていましたか?
荻窪「キーパー攻撃に対しては、スカウティングでわかっていたので、どっちから寄せるといった話をしていました。正直、キーパー攻撃でやられたところは、なかったと思います。ジオヴァンニも今日はあんまり良くなかったんじゃないですか。精度とか、スカウティングよりよくなかったかなと思っています」
ーーギアを上げられたのは後半からと言っていましたが、前半から上げるために必要なことは、今思い当たるところで何か考えられることはありますか?
栗本「特にないです。先ほどちょっとお伝えしましたけど、それぞれがプレーオフにどれだけ賭けているのか、その気持ちがすべてだと思うので、それ以外の原因がなんなのかというのはわからないです。みんな常々『プレーオフ』『プレーオフ』という言葉は発してますけど、じゃあそれがどこまで本当なのか、言葉だけじゃなく行動で示せるのかというのがピッチ上だと思うので、それが前半できなかった。それ以外の理由は特に思い当たらないです。すみません」
ーーABEMAでワールドカップを放送している影響もあり、日本対コスタリカ戦の前の時間帯の試合ということで、この試合の視聴数が普段よりも多い7万1000を超えました。この機会にフットサルを初めて見る方も多いと思いますので、改めてそれぞれが考えるフットサルの魅力を教えてください
荻窪「日本のフットサルの印象だと『足技が』とか『テクニックが』というところがすごくフォーカスされていると思うんですけど、個人的にはグループ戦術というところ、攻守に渡って守備だったらゾーンだったり、マンツーマンだったり、今日ですとキーパー攻撃があったり。5対5のところの2人組から始まるグループの戦術というところが、サッカーにも生きるところだと思ってますし、そういうところをもっともっと、『どういう関係をやっているのかな』とか、2人の関係、3人組、そういったところを見てもらえると、よりサッカーの見方も変わるんじゃないかなと思っています。フットサルをもっと見てもらって、どういうサインプレーだったり、グループで戦っているのかなというのを見て欲しいなと個人的には思っています」
栗本「僕は、監督とちょっと違って、どちらかというとまずフットサルに興味を持ってもらうために、点が入るとか、スピード感がすごいとか、もっと単純なところにフォーカスして見て欲しいと思います。僕も幼少期そうでしたけど、『ロナウジーニョの足技すごい』とか、『ベッカムのカーブすごいな』とか、そんな感じでしか見ていなかったので、例えばうちでしたら清水和也、『あいつ強い』とか、『シュートすげーな』とか。『キーパーはこんな止めるんだ』とか、『顔面でも止めるんだ』とか。そういう単純なところ、そういうシーンがサッカーより多いと思うので、それをまずはシンプルに楽しんでもらえればなと思います。導入としてはそこが魅力というか、大事なところかなと思います」