試合

9得点で完勝のすみだから17歳の高校生Fリーガー田口大雅選手がデビュー!

~フウガドールすみだ VS エスポラーダ北海道~

12月3日(金)、東京にホームタウンを持つ2チームがフライデーナイトに共同開催するFリーグディビジョン1の2試合目は墨田区総合体育館をホームアリーナにするフウガドールすみだとエスポラーダ北海道の対戦。ホームのすみだは、16節終了時点で1試合消化試合が少ない状況で6位。同じ勝点で3チームが並ぶ混戦の中位につけ、1つでも上の順位を狙うためにも負けたくない一戦。アウェイの北海道は、現在11位ながら上位につけるペスカドーラ町田に勝利したり、シュライカー大阪に引き分けるなど、勝負強い一面も持っている。

試合は、開始4秒で室田祐希選手がシュートを放つなど北海道が積極的な姿勢を見せて始まった。もちろんすみだも引くことなく攻め、早い展開で主導権を争う。その中で先に流れを掴んだのはすみだ。相手陣内で時間をかけて攻撃を仕掛けると、4分に田口元気選手がバランスを崩しながらも1対1を制してゴレイロの足の間を抜くシュートを決める。その約30秒後には自陣からのキックインを積極的にゴール前に運び、ルーズになったボールを鬼塚祥慶選手が拾ってシュート。2点目を決めた。リードしたすみだは、この試合がデビュー戦となる高校生Fリーガー、田口大雅選手を投入。その後も若手を積極的に起用し、戦い方のバリエーションを広げていった。

ビハインドを背負った北海道は、ゴレイロの坂桂輔選手の持ち味でもある攻撃参加で数的優位を作っての攻撃の形も見せたが、コーナーキックからのボールをすみだに奪われ、カウンターから3失点目を喫する。直後にタイムアウトを取って悪い流れを切り、攻撃を活性化したが得点は取れないままハーフタイムを迎えた。

お互いに仕切り直した2ndピリオドは、北海道がより積極的に仕掛け、際どいシュートも放っていく。しかし、枠内に押し込むことができずにいると、序盤は押され気味だったすみだが22分に獲得したコーナーキックから渡井博之選手がボレーシュートを決める。さらに27分には、北海道が自陣で回すボールに田口元気選手が足を出し、そのままゴール。この試合2得点目を決めた。

5点のリードを許した北海道は、その後の時間の多くを坂選手が前線に上がるパワープレー(PP)の陣形で攻撃を進める。しかし、これはリスクも伴うもの。鬼塚選手がパワープレー返し(PPG)で得点。攻撃がはまると守備にも良い影響が出るようで、北海道が放つ際どいシュートはことごとく防がれた。その間にすみだは佐藤雄介選手がFリーグ初ゴールを決めて7得点目。さらに栗本博生選手、畠山勇気選手がパワープレー返しの形で得点を決め、合計9得点を挙げて完勝した。

試合後会見


フウガドールすみだ 荻窪孝監督
ーー試合の総括をお願いします
荻窪
「点差こそだいぶつきましたけど、楽な試合ではなかったので、前半の序盤に得点を重ねられたのは非常に良かったなと思っています。自分たちが攻撃した後にもう少し(エスポラーダ)北海道さんのカウンターを食らうような想定をしていたんですけど、予想よりは少なかったのかなと思っています。そのへんは自分たちが中断期間からやってきた、攻撃でフィニッシュまで行くというところが良かったのかなと思います。自分たちとしてはアウェイで1対1という結果で、そのときはかなりトランジションからカウンターを食らって、ピンチの回数も今日より全然多かったんですけど、その辺が改善されて結果につながったというのは本当に良かったと思っています」

ーーアップのときに緑のスーツを着ていたが、その意味は?
荻窪
「そこを突っ込んでいただけるのは非常にうれしいことです(笑)。あの緑のスーツはですね、ホームゲームでグリーンデイみたいな日があったんですね、そのときにあのスーツが用意されておりまして。そのときしか着る機会がなかったので、スタッフがアップ中に着て使ってくれっていうのが理由です(笑)。なので僕はわざわざ着替えているんで、結構めんどくさいんですよ(笑)」

ーー就任からずっと着ているエンジのスーツの意味は?
荻窪
「これも僕から望んできているわけではないんですけど。試合の前に会議室にこのスーツが置いてあって、着てくれと言われまして。前任の須賀(雄大現フットサル日本女子代表監督)だと、おそらくこれは着ないと。着れるのは自分しかいないと、騙されまして着ている状態なんですけど。せっかく着るんで、ABEMAの解説者にはみんな伝えているんですけど、カズさん(三浦知良選手:横浜FC)が昔、こういうスーツを来て出られていたんで、僕もカズさんが憧れの選手だったんで、カズさんにちなんでこれを着ている。で、いつかカズさんに、こういう奴がいるんだということがどこかで届いて、カズさんがフットサルを見にきてくれるとか、ABEMAの解説してくれるとか、そういうちょっとフットサル界が盛り上がったらいいなっていうので着てます。それをちょっと気に留めていただいて。これを言わないと浅草のマジシャンと言われているんで(笑)」

ーー今まで記者会見で聞かれたことはなかった?
荻窪
「なかったですね。なかったんでABEMAの解説者と会話するときには一応伝えてました。だからABEMAで渡邉知晃とかはそういうふうに言ってくれていると思うんですよね、一応。広めてください」

ーー今日は若い選手が得点したり、田口(大雅)選手が初出場したが、若い選手の評価をお願いします
荻窪
「正直こういう展開は予想外だったので、もっと引き分けとか接戦になるのかなということを予想していたんですけど、その点でも若い選手も思い切ってプレーをしてくれていましたし、実際ゴールも取ってくれた。なおかつパワープレーの守備というのも経験させられたので、本当に成長もあって、勝利もあって、僕たちにとっては素晴らしいゲームになりましたね」

ーー田口(大雅)選手は使うのは最初からプランにあったのか、それとも試合の流れで決めたのか?
荻窪
必ず使うことは決めていました。それは練習から彼はいいパフォーマンスを出していたので、実際、紅白戦でも点をとっていましたし。展開的に北海道さんはスピードがあるチームなので、田口大雅が守備面でどれだけそのスピードについていけるかというのを見ながら出場時間は考えていこうかなと思っていたんですけど、思ったより点を取れたので、出場時間もそれによってチャレンジさせることができました」

ーー次節へ向けての抱負を
荻窪
「今月はホームゲームが多い月なので、全部勝ってしっかり上位に食い込んでいけるようにチーム一丸となってまた戦っていきたいと思っています。引き続き応援、よろしくお願いいたします」

エスポラーダ北海道 金井一哉監督
ーー試合の総括をお願いします
金井
「本日もコロナ禍の中、多くのお客様に来ていただき、ありがとうございます。また、平日の夜の開催にご尽力いただいたすべての方に感謝申し上げたいと思います。

試合は、0対9という、もう完敗です。自分たちがやろうとしたこと、また何か工夫をすればするほどこう深みにハマってしまったという印象ですね。その中でもしっかり修正するべきところ、また次に戦うために自分たちが何をしなければいけないのか、どういうマインドを持たなければいけないのかというところを保つことが難しいゲームではありましたが、しっかり次に向けて、また準備をしたいと思います。本日はありがとうございました」

ーーすみだの監督が思ったよりカウンターが少なかったと言っていたが、どういったプランだったのか?
金井
「相手の攻守の切り替えが早いというところはもちろん、そこを相手よりも早く意識するというところはプランニングはしていました。また守備においては、相手の運動量がある部分の攻撃に対して、自分たちがマンツーマンなのか、受け渡しをして前からプレスをかけるのか、ここに迷いがないようにというプランを立てたつもりです」

ーー試合後のミーティングが長かったが、どのような話をしたのか?
金井
「この大きな敗戦というものに対して、ネガティブになりすぎるということは良くないと思いますが、やっぱり自分たちがこういうゲームをしちゃいけないということ、チームを応援していただいている方、スポンサー、フットサルという競技を応援してるすべての方におもしろいゲーム、見方によってはおもしろいゲームでもあったと思いますが、自分たちを応援してくれている人にやっぱりこういうゲームをしてはいけないという責任を感じようという話をしました。そのうえで、次に向けて自分たちの心というものをどこに持って行かなければいけないのか、日々のトレーニングの中で何を見落としているのかというところをもう一度見直して、一歩一歩進んで行くしかないよという話をしていました」

ーーキャプテンであり、ベテランの水上選手の負担が大きいように感じるが、どのように捉えているか?
金井
「おっしゃる通り、水上選手もそうですし、室田選手もそうですし、そういった選手にすごく負担がかかっているというのは認識しています。それを助けるためにも若い選手なのか、同じセットの中でも他の選手たちがやはりどういうふうに相手にとって脅威になれるか、そうすることによってまた違うバリエーションが生まれると思います。やはりそういうところは一人一人が覚悟を持ってもっともっとやって行かなければいけないと考えています」

ーー3失点直後のタイムアウトで前半は修正できたと思うが、監督が表現された深みにハマっていったというのはどこからどういうふうに変わっていったのか?
金井
「特に後半、ハーフタイムで修正をした中で、次の1点というのがすごく重要な場面だったんですけど、結構早いタイミングで4失点目ですね、取られたことによって攻撃がすごく単調になってしまって、ボールが足元に入る時間というのが、入って何かをする時間というのが、言葉での指示ではなかなか修正ができなくなってしまったっていうことがありました。その中からキーパーを上げてちょっと局面を打開しようと、もちろんこれはしっかりトレーニングをしているんですけども、それをやってもそこでも失点につながってしまった。その中でキーパーが上がったときに、人の配置を変えるというところ、これはトレーニングをしてない形もですが、今日は、今やらなければいけないということもあったので、それを私が決断をしたんですが、それも本当に裏目に出たというところが、そういう深みにハマっていったという表現になったという感じです」

ーー次節へ向けての抱負を
金井
「今日のようなゲームの後というのは、非常にチームが不安定になりやすいと思いますが、まずそこをしっかり、自分たちは何のために戦っているのか、そういう部分というのをチーム、選手を含めてしっかり確認をした中で、次節はまたアウェイですけど、勝利を目指してチーム一丸となって戦いたいと思います。ありがとうございます」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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