~湘南ベルマーレ VS 名古屋オーシャンズ~
シーズンも最終盤に入ったFリーグディビジョン1が第20節を開催。1月21日(土)に湘南ベルマーレは、ホーム小田原アリーナにすでにリーグ1位でプレーオフ出場を決めている名古屋オーシャンズを迎えた。
この対戦カードは、延期になっていた名古屋ホームの第9節を年末に消化したばかり。湘南が終盤までリードしながら残り2分で逆転を喫している。しかも湘南は、数字の上ではプレーオフ出場の可能性が残ることもあり、今節、そのリベンジを果たしてプレーオフ出場にも望みをつなげたいところ。
またこの試合は、声出し応援の段階的導入運営検証試合として開催。湘南のサポーターはもちろん、名古屋からも熱心なサポーターが声出しエリアにも駆けつけた。
ホームの湘南は、ケガで一時試合から遠ざかっていた本田真琉虎洲選手が久しぶりにメンバー入り。出場は微妙でも、心強い存在感は支えとなった。
一方の名古屋は、アルトゥール選手とペネジオ選手が出場停止の上、ダルラン選手も不在。登録されたフィールドプレーヤーは8人、ゴレイロを合わせて10人という、2セットギリギリで戦う布陣となった。それでもアンドレシート選手や日本代表の平田 ネト アントニオ マサノリ選手、吉川智貴選手がいるのが名古屋の強み。結果として、若手が長い出場時間を得て、その期待に応える活躍を見せることとなった。
年末の敗戦を胸に、勝利を期して試合に入った湘南は、高い位置からのプレスと積極的な姿勢で攻撃を仕掛けるが、名古屋もスペースを与えない守備で、湘南がリズムを作ることを阻む。相手の出方に合わせて緩急をつけて攻撃でゴールを目指す名古屋が何度か決定的なチャンスを作る中、湘南も身体を張った守備で対応するが、9分を過ぎたところでミスからボールを奪われると、名古屋がカウンターでゴール前にボールを運び、八木聖人選手が決めて先制する。さらに1分も経たないうちに宮川泰生選手が得点し、リードを広げた。
その後湘南も、鍛代元気選手が起点となって内村俊太選手が得点し、1点差と迫るが、名古屋はさらにアンドレシート選手、平田選手が決め、前半で4得点を挙げて折り返した。
2ndピリオドも名古屋がペースを握って、試合を進めていく。湘南もチャンスは作るものの、得点までは至らず、その間に名古屋は、宮川選手、水谷颯真選手が得点を決めてリードを広げる。6失点したところで湘南はパワープレーを選択するが、その戦いの中でロドリゴ選手がレッドカードで退場となる。湘南は2分間、もしくは相手が得点するまでの時間、1人少ない状況を戦うことになったが、ここでも名古屋の八木選手に追加点を許してしまう。さらに再度パワープレーを開始したところでも鬼塚祥慶選手にパワープレー返しを決められてしまう。
一矢報いたい湘南が攻撃に重心を傾ける中、ゴールへの気持ちを見せる山﨑歩夢選手がペナルティーエリア内でファウルを受けてPKを獲得。堀内迪弥選手が落ち着いて決めて、1点を返すが、反撃はここまで。タイムアップとなった。
記憶に新しい前回の対戦が拮抗したものだっただけに、1点を争うゲームが予想された今節は、意外なほどの得点差で決した。名古屋が8得点を挙げて完勝、湘南のプレーオフ出場への望みはここで絶たれることとなった。
湘南ベルマーレ 試合後会見
伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間「声出し応援の実施ということで、本当にたくさんのお客さんに来ていただき、感謝しています。いい試合を見せられなくて残念です。
試合に関しては、前半の入り、相手(の守備)が引いていたところで攻めあぐねた部分があります。また、相手のカウンターの精度が高く、そこ(の対応)を修正しきれませんでした。名古屋は、アルトゥール選手やペネジオ選手、ダルラン選手もいませんでしたが、それでもやっぱり名古屋なんだなと、改めて実感しました。本当に技術の精度が高かったと思います。そういったところで相手のスピードについていけてなかった前半でした。
後半も立て直すことができず、失点を重ねてしまったと。長い時間、パワープレーをすることになったところで、ロドリゴの退場によって、パワープレーもちょっと難しかったんですが。ただ、出場機会が少なかった選手が出たり、次に向けてプラス材料がなかったわけではないので、また切り替えて、残り2試合をがんばっていきたいと思います」
フィウーザ選手
フィウーザ「今日、試合は難しいね。前半4点、それは難しい。名古屋、代表選手もいるいいチーム、選手は強い。僕たち、頑張ったけど、前半で4-1、後半は難しい。今日の試合は終わったので、切り替えて、残り2試合、がんばります」
ーーパワープレーですが、最初、鍛代選手、途中から内村選手に交代しました。前節は、中澤選手もありましたが、戦術的に迷いなどがあるのでしょうか?
伊久間「今シーズン、残り2試合で終わりですけど、ずっと戦ってきた中で、特殊局面で勝負が決することが非常に多いというデータがあります。特殊局面での失点も多いですし、それによって引き分けも多い。それが今の勝点しか取れていない要因の一つです。
そこの部分のトレーニングを積むところと、あとはやはり、例えば先週の(フウガドール)すみださんとか、(ペスカドーラ)町田さん、立川(アスレティックFC)さんとの対戦では、1点差勝負になる。うちがリードしていればディフェンスですし、リードされてる、もしくは同点の場合には、パワープレーの重要性は非常にあるということで、いろいろ試しています。ロドリゴを入れた形と、今日はロドリゴがいなくなりましたけど、そういうこともあるので、いろいろ作ってはいます。定まっていないというよりは、選手の特徴を出させるために、どこに配置するかというところです。先週の中澤がキーパーがそのままパワープレーをやるのはサプライズですし、1点は取れていますし。今日に関しては、得点はPKでしたけど。特殊局面については、まだまだ精度が低いのかなと思いますので、今シーズンはプレーオフはなくなってしまいましたが、チームとしてはレベルアップするべきところだと思っています」
ーー年末に対戦したところから、今日の試合に向けてどんな部分を修正して試合に臨みましたか?
伊久間「修正というか、今の特殊局面のところを修正したのと、あとは(累積などで)ダルラン選手、ペネジオ選手、アルトゥール選手がいないということで、ちょっと速い展開なのかなとは思いながらトレーニングはしていましたけど、予想以上にスピードでやられたなという感じです。選手が変わっても、相手の相手のシステムがすごく変わっていたかというとそうではないので、年末に対戦したところを思い出して、おそらく平田選手が前に入ってくるよとか、そこをどう切っていくかみたいなところで修正しました。相手の守備については、去年も引いてきていたので、そういうことはあり得ると思っていて、そこに対しては定位置攻撃を、ピヴォ攻撃とサイドの2対2の局面をいかに打開するかというところはやっていました。いくつかいい場面は作り出せていたと思うので、あとはシュートの精度がもっとないと、上位にはいけないというところですね」
ーー後半はセット構成を変えていましたが、攻撃に重心を置いた対応をしたということですか?
伊久間「そうですね、やっぱりスピードのある選手を入れていかないと相手からボールを奪えませんし、そういう面で何人かを入れていくという形になりました」
ーープラス材料もあったという話があって、牛迫蒼海選手をフリーキックやパワープレーに起用していたが、彼に期待することは?
伊久間「彼は左利きの長身のフィクソとして、期待しています。フィジカル面がもうちょっとのところだったのですが、ここ最近フィジカル面も追いついてきて、どこかで使えればなと思っていました。フリーキックのシュートもいいものを持っているので、そういうところでフリーキックのときに入れたり。パワープレーも、今日はロドリゴがいなくなってしまったので、そこに入れたという部分もありますけど、そういう面では技術は持っている選手なので、あとは経験を積めば、今後はうちのチームを背負う選手ではないかなと思っています」
ーー他チームの状況もあるが、今日の結果でプレーオフがなくなったところについては?
伊久間「目標はプレーオフ進出でしたので、非常に厳しい状況になったことは間違いないです。選手はよくやってくれたと思いますし、そこに導けていない監督の責任が大きいなとは思っています。ただ、今シーズンも1試合1試合を戦っていくと、次につなげていくというところが重要だと思っていますし、プレーオフはその先にあったと思います。それにここまで、12月くらいにはプレーオフは厳しいというところまで来ていたのを3連勝して、浦安にも勝って、まだつなげられた。(年末の)名古屋戦にも勝っていればというのはありますけど、去年からベテラン選手が数人いなくなった中で若手を使ってこの順位にいられる、プレーオフ争いができていたということをポジティブに考えて、あと2試合、頑張りたいと思っています」
ーーロドリゴの退団が発表されましたが、このことについては?
伊久間「僕がサテライトとユースの監督をやっていたとき、ロドリゴはずっとトップチームにいました。彼は、本当にプロフェッショナルで、得点も取りますし、努力も惜しまない。ファンサービスも非常に素晴らしいし、人気選手ですので、クラブとしては当然痛いと思います。ただそれは僕が決められることではないので。本当に湘南を引っ張ってくれた彼は、リスペクトしてますし、去年も今年も素晴らしい活躍をしているわけで、他のチームが欲しいと言うことは当然かと思います。そこは応援したいと思いますので、我々も彼に負けないように頑張っていかなきゃいけないなと思います」
靏谷春人選手
ーー今日の試合を振り返って感想をお願いします
靏谷「全体を振り返って、名古屋に勝ってるものが、うちが少なかったのは、スコアを見ても明確になっているかなと思います。僕らがやりたかったフットサルを、なかなかやらせてもらえない中で、前半の最初の方はたくさんあったピンチの場面をみんなで防ぐことができてましたけど、先制点を決められて、そこから連続で失点をしてしまって、相手のペースになってしまったのは、僕らの課題として連続失点はなしで行こうというのがあったので、そこが今回の試合でも課題になった点です。パワープレーを始めても、続けて失点をしてしまう、簡単にミスをして、相手にゴールをされることがあったので、全体的に僕らのプレーが軽かったのかなと思っています」
ーーチャンスはありましたが、得点まで結びつけられなかったところは?
靏谷「うちにも決定機はもちろんあった中で、決めきれないというのは相手のゴレイロの選手が良かったのもあると思いますし、僕らが技術的な部分で劣っていたというのはあると思います」
ーー失点がかさむ中で、チーム全体が焦るようなところも見えたが、実際はどうでしたか?
靏谷「失点しても下を向かずにやっていこうというのは、チームでずっと言っているんですけど、僕も含めて少しネガティブになる時間帯というのは、チーム全体として、監督も含めてあったかなと思います。そこはメンタル的な部分ですけど、改善していかないと上にはいけないのかなと思います」
ーー名古屋とは短いスパンで対戦してますけど、前回対戦と違ったところはありましたか?
靏谷「今日は、名古屋の主力でいつも出ている選手がいない中での試合だったので、僕らとしても『いけるんじゃないか』みたいな気持ちがどこかにあったかなと思います。それで、前回対戦であった、バチバチした戦い方が僕らはできずに、向こうの圧に飲まれてしまった。前回の試合との違いがこのスコアまで開けられて、そのまま負けてしまうということにつながったかなと思います」
ーー伊久間監督が名古屋はいつも出ている選手がいない分、速かったと言っていたが、そういった感覚はありましたか?
靏谷「僕の個人的な感覚でいうと、1対1の場面ではそんなに負けることはないかなという、スピード感的にも劣っている部分はないかなと思うんですけど、すべてにおいて相手のクオリティが高かったです。僕らもカウンターはありましたけど、名古屋はしっかり決めてきましたし、そこを決めてくるクオリティの差を感じました。今日は外から見ている時間はあまりなかったので、スピード感の差は感じなかったですけど、クオリティの差は間違いなくあったと思います」
ーー精度の差が得点差につながったということですか?
靏谷「クオリティのせいにしてしまうと、僕らこれから上に上がっていけないと思うんですけど、リスペクトの気持ちを持って言うと、本当に相手がうまかったというのは、一つあると思います」
ーー靏谷選手ご自身は?
靏谷「僕の中では今日はあまり良くなかったとは思っています。まだ映像を見てないので、どこがダメで、どこが良かったかあまり整理できてないんですけど、僕が得意としている右サイドのポジションで自分でドリブルを仕掛けて相手を抜くとか、ゴールにつながるようなアシストのパスを出すとか、そういう得意なプレーが出せたかというと、出せなかったです」
ーー対応されていたシーンも多かったが?
靏谷「はい。ファウルで止められるシーンもありましたし、そこは好き放題やらせてくれるとは思ってなかったです。そこを乗り越えていかないとレベルアップできないと思うので、頑張るしかない。次の試合で改善できればいいなと思います」
ーーロドリゴ選手の退団が発表されましたが、同じ左利きの選手としてどんな存在ですか?
靏谷「間違いなく参考になる選手です。僕としても日本の、このFリーグの中で1番の左利きの選手だと思っていましたし、目指しているところでも、間違いなくロドリゴの存在は大きかったです。それこそ僕がベルマーレに加入する前から『すごい左利きの選手』だって思ってましたし、実際に一緒にプレーしても彼の能力は本当にリスペクトする部分が多かった。実際に彼が退団してしまうというのは、一つのお手本として見ている部分もあったので、僕の成長にも影響する可能性があるかなと思います。けど、裏返して考えて、今度は僕がやらないといけないなという気持ちを強く持っています」
ーー実際に参考にしていたプレー、盗んだプレーはありますか?
靏谷「彼のタイミングがあるし、僕のタイミングもあるし、同じ左利きでドリブルをするプレーヤーとしてもちょっとタイプが違うんですけど、彼はタイミングを外してからシュートを打つまでの動作が速いんです。それをずっと真似したくて、練習が終わった後に彼にアドバイスをもらうこともあったり。それを目の前でやってくれるので、自分の番になったときに真似してやってみたり。そういう部分は盗みたいなと思ってましたし、逆に、僕のドリブルのことも彼はリスペクトしてくれて、すごいって褒めてくれたりとか。いろいろいい関係性でいられたと思います」
ーーロドリゴが退団するまでの間に、何か盗みたいもの、学びたいものはありますか?
靏谷「彼のメンタル的な部分、僕はうまくいかないときに結構沈みがちなので、そこはまだ経験だったり、いろんなものが足りてないのは承知なんですけど、彼の何度でもチャレンジする、失敗しようが、失点しようが、自分のプレーを貫くみたいな、そのメンタル的な部分ていうのは、これから自分につけていきたいなって思います。残り少ない中で、彼から少しでもいいなと思う部分は盗んでいきたいなと思っています」
ーー今日の試合は、身体を張ったディフェンスが非常に良かったと思いますが、手応えは?
靏谷「ディフェンスは、1対1の局面では絶対にやられたくないという気持ちがあったので、身体を放り投げても止めてやろうという、その気持ちでやっていたんで、ああいうプレーができたというのは、一つあります。負けたくないという気持ちがあったので、そういうディフェンスのところでも今日は頑張らないとと思って、いつも頑張らないといけないんですけど、いつも以上に力を入れました」
名古屋オーシャンズ 試合後会見
フエンテス監督
(通訳:鬼塚祥慶選手)
ーー試合全体を振り返っての感想をお願いします
フエンテス「今シーズンの中で一番いいゲームができたと思います。全員が10点満点のプレーをしてくれました。最初から最後まで、100%集中してましたし、エラーが0に近い試合でした。いいフットサルをしながら、自分たちの戦う姿勢を見せられたと思います。それがスコアにつながったと思います」
篠田龍馬選手
篠田「前節の敗戦を引きづらずに、いい内容といい結果が出たゲームだったなと思います。最初から集中力高く臨めましたし、人数も累積だったりケガだったりで、少ない状況でしたけど、今いるメンバーで、僕は出てないですけど、全力で戦ってくれて、名古屋オーシャンズのエンブレムをしっかり守って戦ってくれたなと思います」
ーー完勝でしたが、短いスパンでの対戦は、有利に働きましたか?
フエンテス「短いスパンで試合ができたということは、自分たちにとってプラスになったと思います。ビデオでも見てきましたし、どういうふうなことをやってくるかということは、より修正しやすかったので、それが結果に表れたと思います」
ーー前回の対戦から修正した部分というのはどう言ったところですか?
フエンテス「試合のキーだったのは、集中力というところだったと思います。相手がやりたいことを阻止しながら、自分たちが40分間、常に集中してやれたことがこの勝利につながったと思います」
ーーアルトゥール選手、ペネジオ選手、ダルラン選手が不在でしたが、多くの試合で長い時間出場している選手がいない中で、プランに変化はありましたか?
フエンテス「3人がいなかったので、ハーフでの守備というプランに変更して、いつも出ていない選手の出場時間が増えました。メンタリティ的には、守備を重視しました。大きい変化としては、プレーするスペースを狭くしたところです」
ーー3選手がいないことで、必然的な変化もあったかと思いますが、その変化をどのようにプランに活かしましたかか?
フエンテス「セットプレーのところもより絞ってやりましたし、メンタル的なところでより集中してやれるように、選択肢を狭めてやりました。試合の中でやることを少なくして、その質を上げるというところに特化しました。そこから相手にプレッシャーをかけて、相手は絶対に勝たないといけないというプレッシャーがあった中で、それをうまく自分たちが利用してプレーできたと思います。その中で自分たちはエラーを少なくして、より相手が焦るような試合になって、そこで自分たちが勝てる要素がより増えていったという形です」
ーープレーオフ出場が決まった後の試合でも選手たちがモチベーション高く戦っていますが、どのようなマネージメントを行なっていますか?
フエンテス「自分たちは強度の高いフィジカルトレーニングをやっているんですけど、そういったところでプレーオフに向けて、集中力を高めています。疲労度が溜まった状態の試合になっていますが、それもプレーオフに向けて準備してきているところです」
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