試合

逆転、逆転、また逆転!最終節の神奈川ダービーは湘南が勝利

~湘南ベルマーレ VS Y.S.C.C.横浜~

Fリーグディビジョン1の最終節、湘南ベルマーレは2月4日(土)、ホームの小田原アリーナに同じ神奈川県にホームタウンを持つY.S.C.C.横浜を迎えた。この試合も声出し応援の段階的導入運営検証試合として開催され、ホームの湘南サポーターはもちろん、横浜のサポーターも声を出して選手たちを後押しした。

リーグ戦終盤、ホームのラストゲームはやはり特別だ。リーグ戦終了後に全日本フットサル選手権大会はあるものの、今シーズン、ホームアリーナで戦えるのはこの試合が最後となる。特にホームの湘南は、シーズン終了後に引退が決まっている鍛代元気選手や退団が発表されているロドリゴ選手がここで戦う姿は見納めとなる。勝って花道を飾りたい思いは強い。

リーグ戦の順位は、21節終了時点で湘南が5位、横浜が7位。得失点差はあるが、横浜が勝つと勝点で並ぶ。また、湘南は4位のペスカドーラ町田や6位のフウガドールすみだと勝点差が詰まっているため、今節の勝敗によっては順位が入れ替わる可能性もある。プレーオフへの出場はかなわなくても、最終節まで1つでも上の順位を目指す気持ちに変わりはない。

縦への速さが特徴の湘南と、パスを繋いで攻撃を組み立てる横浜の、狙いがはっきりしたチーム同士の戦いは、お互いに高い位置からプレスをかけて、ボールを奪うと自分たちのスタイルに持ち込んでいくもの。その中で先にゴール前に迫ったのは横浜。攻守のリズムが噛み合い、攻勢を強めていく。その勢いのまま横浜が先制。堤優太選手が起点となって中央から左サイドへパス、折り返しを今度は菅原健太選手が中央で受けてゴールに流し込んだ。

ところが、その30秒後には湘南のロドリゴ選手が左サイドの1対1をわずかに抜いてゴールし、同点に。失点直後に追いついた湘南は、自分たちのリズムを取り戻し、シュートまで持ち込む回数が増えていく。その中で山﨑歩夢選手が放ったシュートを横浜のゴレイロ、矢澤大夢選手が弾いたこぼれ球を本田真琉虎洲選手が拾って得点し、逆転に成功。1stピリオドは、湘南リードで折り返すこととなった。

しかし、2ndピリオドも先に得点したのは、横浜。左サイドから安井嶺芽選手が放ったシュートはポストに弾かれるがそのボールを安井選手自身が拾って中央の堤選手にパス、堤選手はダイレクトでゴールに押し込み、同点とした。さらに横浜は中盤でのボールの奪い合いを制した芝野創太選手が前に運んで、ゴール前を横切るパスを出すと、逆サイドにいたリッツィ選手がゴールに流し込み、今度は横浜が逆転する。

横浜が1点リードしたところで、お互いにスコアを動かせないまま時間が経過すると、4分強を残したところで湘南がパワープレーをスタートする。相手ボールになると通常の攻撃に戻しつつ、湘南が攻撃に軸足を置くと、横浜の攻撃を自陣で阻んだ林田 フェリペ 良孝選手が左サイドを駆け上がった内村俊太選手に素早くパス、内村選手はゴール近くにボールを運んで、逆サイドを走り込んだ堀内迪弥選手へ向けてパスを出すと、堀内選手はワンタッチでゴールを決めて再び同点とした。

その後も湘南は、パワープレーを継続。その中で左サイドの深い位置まで切り込んだロドリゴ選手が中央へパスを出すと、山﨑歩夢選手がしっかり決めて再び逆転に成功する。

すると今度は横浜がパワープレーを開始。際どいシーンを演出するが、湘南が集中した守備でゴールを守ると、7秒を残したところでワンチャンスを得た内村選手が冷静にパワープレー返しを決めてリードを広げた。試合はこのままタイムアップ。湘南がホーム最終節を勝利で飾った。

湘南ベルマーレ 試合後会見


伊久間洋輔監督
ーー試合の総括をお願いします
伊久間
今日は本当にたくさんの、2000人以上の方に入っていただいた試合を、内容はどうあれ、勝利できたことが一番素晴らしいことだなと思います。

前半の入りは、あまり良くなくて失点しましたけど、(鍛代)元気とロド(リゴ)のために、全員に最後まで我慢して戦おうということを伝えて試合に臨みましたので、先に1点取られましたけど、そこから本当にみんな気持ちを切らさずに戦えたこと、早めに同点、逆転とできたことがまず自信になって、その後につながったかなと思います。

後半も逆転されましたけど、その後も自分たちを信じて、パワープレーでも得点が取れて、パワープレー返しも取れて、やるべきことができたから勝利できたと思います。エラーはありながらも、この1年間やってきたことをこの試合で表現できたと思います」

鍛代元気選手
鍛代「お疲れ様でした。試合の総括をしたいんですが、考えてしまうとどうしても、自分自身のフットサル人生を振り返ってしまいそうで、なるべく切り離して今日の試合だけの話をしたいと思ってます。

個人的に今シーズンは、引退が近づいて、リーグも最後のシーズンで、『いつもと違うの?』と、聞かれたりしたんですけど、自分自身は本当に変化はなくて、今まで通り、いつも通りの1試合1試合を戦ってきていて。今日も、昨日まではその予定というか、その心境だったんですけど、今日になって、緊張とかではなくて、ただただドキドキしてるという心境で試合を迎えました。キャプテンをやらせてもらうことになって、やるからには絶対勝ちたいですし、勝つための準備をしてきましたし、事前に(試合後に)セレモニーがあることも聞いてましたので、これはもう絶対勝ちたいと。

という中での試合展開で、今日は難しい時間帯が多くて、そこは今、監督が言った通りで、ひっくり返せたのは、チームとしての粘り強さというか、今シーズンは結構、粘り負けというか、勝ちきれない試合があったからこそこの順位なんですけど、そういう意味で今日はみんな頑張って戦い抜いて、『負けるかも』というような雰囲気は、ピッチにも、もちろんベンチにもなく、戦い抜けたというのが、結果につながったと思います。

その雰囲気で戦えたのが『楽しかった』と一言で言ったら言葉が雑かもしれないんですけど、『やって良かったな』『今日プレーできて良かったな』と思えるような試合でした。メンタル的にはそんな感じです。

中身的には、相手のボール回しというか、鳥丸監督はビルドアップと呼んでいるかと思いますが、相手のビルドアップに対して、じゃあうちがどう対応するかというところで、うちには1対1に強い選手が揃っているので、組織的に守るというよりは1対1に負けない、1対1に勝つという形で考えてはいました。

それでも横浜は、スペースの優位性だったり、個の優位性だったりをうまく取ってくるボール回し、ビルドアップをしてきたので、なかなかうちとしては守備の時間が長かったですし、相手からしたらおそらくリズムを作って攻めている感覚だったと思います。個人的にはゲームの入りは、うちとしてはあまりリズムが掴めずに、『どうする』『どうする』みたいな時間帯が最初だったのかなと思いますし、なかなかオフェンスの時間も作れなくて。

ただ、さっきの話にリンクするんですけど、今日は粘り強さみたいなところがあって、守備でリズムを作ることができたので、相手に(ボールを)持たれてるけど、そんなに焦ることはない、最初の10分間で試合は決まらない、40分間で勝てばいいと考えられたので、そういう意味で最後まで粘り強く、辛抱強く、相手のビルドアップや攻撃に対しても、イライラしたり、集中を欠いてエラーを起こすようなことを極力なくして戦えたことが結果につながったんじゃないかなと。まだ『かな』ですけど。映像を見て反省しているわけではないので、個人的にはそう感じています」

ーー全22試合を終えて、今シーズンのリーグ戦の総括をお願いします
伊久間
プレーオフを目指していたので、そこに行けなかったのは非常に残念だと思いますが、去年からやっている4-0システムから、(堀内)迪弥が入ってピヴォを使った3-1システムを加えたところで、その攻撃も最後の方は浸透してきたと思いますし、去年からやっている速い攻撃も、最後の方は出せていたと思うので、バリエーション的には非常に良くなってきたなと思います。やっぱり最終的にパワープレーのディフェンスや、元気も言ってましたけど、勝ちきれてないところは非常に残念で、そういったところをもっと早く修正できていれば、プレーオフも見えたのかなと、そこは反省するところです。

あとは得点する選手が、もうちょっと若手選手も得点ができていれば、もっとパワーを出せたんじゃないかなと思います。数字的に得点は取れていたと思いますし、失点もプラン通りに行っていたので、あとはゲーム運びというところを反省しながら。まだ選手権(全日本フットサル選手権大会)もありますので、そこに向けていければなと思っています」

ーー今日の試合のプランを教えてください
伊久間
横浜は、非常にビルドアップが上手いですよね、それはもうわかっているところなので、選手たちには、その中でもピヴォに当てた後の真ん中へのランとか、堤選手を中心としたサイドの2対2とか1対1が、非常に整備されているので、そこに対してどう守備をしていくかというところが、大まかにいうと今日の試合の鍵であるというのを伝えました。

我々も定位置攻撃というのは、だんだんと良くなってきているところではありますけど、今日の試合は、相手の定位置攻撃からボールを奪ったあとの速い攻撃が鍵になるよとは言っていたので、そこはプラン通りに行ったかなと思います。横浜さんは、選手たちの距離感も本当にいいですし、個人個人がボールを持てますし、シュートも打てるという、本当にいいチームなので、本当に勝てたことだけが良かったんじゃないかなと思うくらいです」

ーー前半の入りが良くなかったというのは、その辺りの対応がうまくいかなかったというところですか?
伊久間「そうですね、スピード感とか、もしかしたら相手の方がちょっと速くて、そこに対して対応するまでに時間がかかったということなのかもしれないですが、ちょっと映像を見ないとわからないですね」

ーー前半の入りが良くなかったというのは、その辺りの対応がうまくいかなかったというところですか?
鍛代「います、います」

ーーYouTubeなどで元気アリーナを作るといった話もありましたが、引退後について現状で話せる範囲で教えてください
鍛代「来シーズンというか来年度に限っての話ですけど、大筋では決まっていて、Jリーグの方の湘南ベルマーレに在籍します、予定では。今は、そこが大筋で合意しているところになっています。そこが決まれば、元気アリーナだったり、違うステージの、フットボール以外のステージ、フットボールも関わってますけど、今までやってきたことじゃない部分へのチャレンジという話が進めていけるのかなという段階で、結局まだ何も確定はしてないので、これくらいしか言えることはないんですけど。

でも、ベルマーレが僕の人生なので、例えば、スタジアムのゴール裏とか、スタンドの席にいるであろうことは、一生ね(笑)。もちろん人生の中で勝負をかけるタイミングがあって、1年2年違うところに行くとか、そういうことはあり得ますけど、基本的には僕の人生はベルマーレとともにあると思っているので、この辺にはいるでしょうというところです」

ーーセレモニーでもあくなき挑戦という話がありましたが、まだ全日本選手権がありますし、そのあくなき挑戦をしてきた選手人生の最後はどのように締めくくりたいか教えてください
鍛代「その質問の答えはもちろん優勝になると思いますけど、優勝するために必要なものが何かあるはずですし、現状の僕らはリーグ戦に限って言えば、優勝する順位ではない。では、監督と一緒に何を伸ばすべきか、もしくは何を改善すべきかを考えると、実際には時間に限りもあって全部に着手できるものではないと思うので、その状態で、じゃあ課題を消すことに力を注ぐのか、ストロングを伸ばすことに力を注ぐのか、リーグとは違う一発勝負の戦いになってくるので、そこをしっかりチームで、みんなで共通認識をもう一回しっかり作り直した上で、優勝に向かって戦っていければと思っています」

ーーセレモニー中に「あくなき挑戦」の話の途中で涙ぐんで、言葉が聞こえないところがありましたので、もう一度のそこのところを教えてください
鍛代「当時、その言葉自体を大事にしていたわけではないんですけど、思い出したというか。幕をもらったときはまだ21歳くらいだったと思うんですけど、その20年間の人生でも、母親から見たら、何かにチャレンジしていく人生だったんだろうなと。今もそうですけど、その幕を見た時に、『ああ確かに自分の人生、何かにチャレンジしていく人生、やりたいことにチャレンジするとか、難しいことにチャレンジするとかだな』と。決められたレールの上を歩くとか、そういうことよりも自分のやりたいことややるべきことにパワーを注ぐ人生の方が自分には合っているんだろうなと、パンと思い出して。

そこから10年経って、改めてフットサル選手としての原点はなんだったかなと考えたらやっぱりそこで。フットサル選手になりたいと思ったのも、チャレンジだったし、そこにはヒサ(久光重貴)さんとか、関(新)さんとか、大先輩の影響がありました。フットサル選手を目指そうとは、まだ思ってなかった段階で出会った彼らの影響がすごくあって、そんなすごい先輩に『なりたい』までは言えないですけど、『目指したい』という思いがすごく出てきて。

何を言うかを決めていたわけではなくて、そのときに思った感情もそのまま言おうと思ったので、で、その幕を思い出したので、その話をしているうちに、そんな人生だったなって。フットサル人生もブラジルに行くというチャレンジをしたなとか。何かにチャレンジするフットサル人生だったなと思い返しているうちに感極まってきて、本当に泣くギリギリのところでマイクが切れて。僕的には助かったんですけど(笑)。本当に何も喋れなくなるくらい、感極まった状態でした」

ーーFリーグ最後の試合ということでキャプテンマークを託した鍛代選手は、どういう選手だったかと、今後に向けて送る言葉をお願いします
鍛代「僕、聞いてていいですか?(笑)」

ーー聞いていて欲しいです(笑)

伊久間「サテライトに入ってきたときは、『ベルマーレのサポーターの人がフットサルに入ってきたぞ』と。『どんな感じかな?』と、見たら、速くて、ゴール前に突っ込んでいくみたいな。僕のイメージは、『突っ込み屋』みたいなところだったし、それしかないと思うくらいだったんですけど、彼はそれからフットサルというものをすごく学んで。一緒に神奈川県の参入戦に出たりしました。参入を決める前のセグンドのシュートを外したのは、今でも覚えていますけど、『決めろよ』と思いながら、そういうのもありながら。

先ほど言ってましたけど、ブラジルに行くのも、『大丈夫か?』と思いながら。いろいろありましたけど、挑戦して、その道を切り開くというのは、すごいなと思いますし、やっぱり一概に判断できないと思いました。最初は、『トッププレーヤーまで行くのか?』と思いましたけど、人間捨てたもんじゃないなとわかりましたし。最後まで頑張って。

この時期になると、引退する選手は、彼だけじゃなくてたくさんいますが、彼のように日の目を見て終わる選手ばかりじゃないと思います。でもそれを勝ち取れたのは、彼の努力だと思いますし、本当に感謝したいなと思います。

先ほどもみんなの前でも言いましたけど、彼の思いは残っている選手が必ず次に繋げてくれると思っていますし、また元気がスタンドで応援してくれると言っていたので、その姿を見せたいなと思います。本当にフットサル人生は終わりかもしれないですけど、このあとの人生の方が長いので、さらにいろいろ挑戦して、人生を楽しんでもらいたいなと思いますし、お金を稼いでもらって、スポンサーになってくれればなと思います」

鍛代「(胸を刺して)ここに入ります」

伊久間「胸スポンサーになってくれればいいなと思います。以上です」

ーー今監督の話で初めて知ったんですが、サポーターだったところからフットサルを始めたんですか?
鍛代「はい、僕、94年か95年くらいに、サッカーのベルマーレの応援に親に連れていってもらっていて。当時、田坂和昭(現ギラヴァンツ北九州監督)っていう選手がいたんですけど、うちの親が田坂隊の隊員だったんです。そこから僕のベルマーレ人生が始まって。でも自分がサッカーを始めちゃったので、なかなか土日の試合には行けなかったりしたときもあったんですけど。スタンドでガンガン見ていた少年が、いつの日か、ユニフォームに袖を通してプレーをしていたっていう自分の人生なんですけど、すごい幸せだなって思ってます」

ーーセレモニーのスピーチは、今日まで現役をやっていていて、よかったことが伝わるスピーチでしたけど、簡単にフットサル人生を振り返っていただけますか?
鍛代「僕のフットサル人生を半分に割ったら、後半戦は結構勝てていたんで、いいんですけど、前半戦は全然勝てなかったんで、しんどくて。僕、ルーキーで入った年は、割と最初から試合に出ていたんですよ、点も取っていて、自分でも『まじか!』って思うくらい。ビギナーズラックですよね、ハットトリックもルーキーイヤーにしましたし、オーシャンカップが途中に挟まるシーズンだったんですけど、前半戦の3カ月くらいで11点くらい取っていて、こんなことあるのかっていうくらい、気持ちよくプレーしていたんです。ところが、そこから一気に点は取れなくなるし、試合は出られなくなるし、チームも勝てないし。『どうしたらいいんだ』というところからフットサル人生が始まって、それで『ここにいちゃだめだ』って思ったんですよね。

簡単にと言いながら、長くなりますよ(笑)? 退団を決意したのは、全日本選手権のフウガ(ドールすみだ)戦です。メンバーには入っていたけど、試合は出られなくて、負けてシーズンが終わって、『ここにいちゃだめだ』と思ったんですよ。ベルマーレでプレーしたかったんですけど、そのためにはここにいたらダメだと思ったんですね。それで、海外に行こうと。2012年にフットサルワールドカップがタイで開催されて、チームの遠征という形で試合を見たんです。ブラジルが優勝したんですけど、世界一を取るなら、世界一を見なきゃと思ってブラジルに行く決断をしました。

ブラジルでは、最初はなかなか試合に絡めなかったですけど、出られるようになって、ある程度ブラジルでもやれるっていう自信がついて、ブラジルでできるなら日本でもできるでしょと思って、日本に帰ってきました。そこからは、勝てるシーズンというか、僕にとっての勝てるベルマーレになっていきました。そういう下積みの時期が自分にもあって、今シーズンは行けなかったですけど、プレーオフ出場を争えるようなチームになったベルマーレの一員として戦えているというのがうれしくて。試合に出るメンバー選考は、監督がするものだけど、個人的にある程度主力としてベルマーレに貢献してると実感できたこの数年間は、やっぱり楽しかったですね」

ロドリゴ選手
通訳:林田 フェリペ 良孝選手
ーー今日のベルマーレのサポーターの声援は、どのように力になりましたか?
ロドリゴ「自分と元気選手が辞めるとみんながわかっていた中で、本当におもてなしというか。そういうことをしてくれるのは、わかっていたし、うれしかったし、本当によかったです」

ーー小田原アリーナで印象に残っていることはなんですか?
ロドリゴ「小田原アリーナは、いつも応援してもらえるサポーター、本当に毎試合応援してくれていて、そこが一番自分にとっては印象に残っています」

ーー府中アスレティックFC、デウソン神戸、そこから湘南にきましたが、湘南で攻撃力がいっそう伸びたように見えますが、湘南で過ごした期間を振り返っていかがですか?
ロドリゴ
まず府中にいた3年間は、自分自身、まだ若くて、ブラジルではサッカーしかやったことがなかったので、府中での3年間はフットサルを覚える期間で、府中にいた3年間は感謝しかありません。支えてくれた人、みんなに感謝しています。

そこから神戸に移りましたが、府中での3年間があったから、神戸では結果も良かったし、いいシーズンを過ごせました。

そこから湘南に移って、湘南というチームは本当にファミリー感が強いチームで、湘南が本当に好きで7シーズンやってきて、そのおかげで結果にもつながったのかなとと思います。人生の中で湘南にいた7年間は、本当に素晴らしい経験でした。

攻撃面に関しては、湘南にきた時の最初の監督である、横澤直樹さん(現デウソン神戸監督)、奥村圭人さん(前湘南ベルマーレ監督)、伊久間さんが本当によくしてくれて、リラックスしてプレーができました。最初の頃は、左足で左に抜いてシュートというのが武器だったけど、相手も研究してきたので、そこから縦にも行けるようにというプレーを監督に教わって、縦に行って右足でシュートっていうのをたくさん練習して、そこが一番良かったかなと思います」

ーー今日は、小田原アリーナでの最後の試合でしたが、どういった気持ちで臨みました?
ロドリゴ
前々節のホームの名古屋(オーシャンズ)戦でレッドカードになってしまって、最初は2試合出場停止というリリースが流れて、ホーム最終戦は出られないと思って本当に悲しい気持ちになりました。その後、システムの間違いで出場停止は1試合に訂正されて、それがわかった瞬間、すごくうれしかったです。ホーム最終戦、小田原でプレーができることでモチベーションが一気に上がって、絶対勝利できるという気持ちでいました。

今日の試合は、相手が先制して、湘南が逆転して、横浜に逆転されて、また逆転し返したという試合でしたが、今シーズンの中でも本当に素晴らしい試合で、勝てたことがうれしかったです」

ーー今シーズン全体を振り返って、どんなシーズンだったか教えてください
ロドリゴ「昨シーズン2位になって、相手チームも当然警戒してくるので、今シーズンは本当に難しいシーズンになるとわかっていましたが、その中でも100%の力でやったと思っています。結果的にプレーオフには行けなかったので、そのことについては悲しいですけど、まだ全日本選手権が残っているので、全日本選手権での優勝に向かって100%の気持ちでやりたいと思っています」

ーーロドリゴ選手が感じるFリーグとは、どういうリーグですか?
ロドリゴ「Fリーグは本当にレベルが高いと思っていますし、自分もやってみて、本当にいい選手が揃っていると思います。日本は、W杯でもいい成績を残せたし、今回はU-23代表がフランスU-23代表に2連勝して、本当に世界でもベスト5に入るくらいのレベルじゃないかと思っています。

若い選手も育っていますし、立川の金澤空選手や、スペインのチームに在籍している選手たちもいます。次のワールドカップではもっとよくなるんじゃないかと思っています」

ーー若手選手というところでは、同じ左利きのドリブラーである湘南の靏谷春人選手は、どうみていますか?
ロドリゴ「春人は自分と同じ左利きで、自分が府中にいたときのように若くて、自分と同じ境遇のように感じています。ポテンシャルもすごく高いですし、そのポテンシャルが活かせるように、自分も練習からアドバイスをたくさんしました。僕はいなくなるけど、もっとレベルアップできるチャンスがたくさんあって、ベルマーレの10番にもなれると思ってます。たくさん練習して、あとは春人のモチベーションとか気持ち次第だと思いますが、本当に期待をしています」

ーー攻守の切り替えに境目がないと思うくらい速いと思うが、プレーしている時に何か意識していることはありますか?
ロドリゴ「切り替えの速さは、普段からいろんなシチュエーションで練習をしていて、それを試合で活かしています。自分が考えているのは、本当に50%50%、攻撃50%、守備50%で考えていて、どっちかに偏ると、例えば攻撃が80%だと守備が遅れるし、逆だと攻撃にいけないということがあるので、本当にいつも半々で意識してやっています」

Y.S.C.C.横浜 試合後会見


鳥丸太作監督
ーー試合の総括をお願いします
鳥丸
(敗戦した試合後は)いつも同じことを言いますが、悔しいです。ただ、具体的に試合のことを振り返ると、選手たちがよくやってくれたなと思います。見ていただければわかると思うんですけど、横浜には手を抜く選手というのは誰もいない。その中で前節のフウガ(ドールすみだ)戦で課題だった立ち上がりだったり、気持ちを出して戦うところ、そして相手のディフェンスを見て、考えながら自分たちの引き出しを当てていくというところで、その内容がよくやってくれたと思う内容なんですけど、それらを踏まえてよくやってくれたなと思います。ただ、そのよくやってくれた選手たちを勝たせてやれなかったところで、得たもの以上に悔しいという気持ちが一番、強いです」

堤優太選手
「まず最終節に湘南サポーターの皆さんがこんなにも集まってくれて、最高の環境で試合ができたことをうれしく思いますし、感謝申し上げたいと思っています。

試合展開の部分では、僕らが先に得点して、逆転されて、僕らが逆転して、また逆転されるという、なかなか難しい、落ち着かないゲームでした。そこで最後に勝つという部分がチームとしては、まだまだ足りないというのがあります。そこはもう日頃から強度高く練習しなければいけないですし、試合展開を見て、落ち着かせることができる選手がいるなら、一度落ち着くことも大切だと思うので、まだまだ足りないものはたくさんあります。結果的には、7位でフィニッシュしたので、来シーズンはもっと、プレーオフというレギュレーションがあるかはわからないですけど、上を目指していきたいと思います」

ーー1巡目の対戦と打って変わって、すごく点が入る試合になりましたが、今回の試合はどのような想定をして、どのようなプランで望みましたか?
鳥丸
構図としては速い展開が多くなる、それは湘南さんの特徴でもありますが、その中で強度の高い試合になるのは、間違いないなと思っていました。湘南さんは、短い時間で攻撃することで優位性を狙ってきます。例えばフィウーザ選手が投げたときに相手は2人走っていて、うちは1人しか反応してないとか。湘南がそういうところで優位性を作っているのに対して、僕らはビルドアップで優位性を作っていくことを今シーズンはやってきたので、そこの部分が大きく違うのかなと思いました、その中で想定していた構図の試合展開になったというところです。得点がどう動いていくのかは、正直わからないというところがあったので、その都度、ゲーム展開を読んで、選手たちをどういうセットで出すかは想定していた部分もありますけど、その中で考えていきながらということだったのかなと、そういう試合でした」

ーー去シーズンまでは前田前監督が3-1システムでサッカーの良さを活かすチーム作りをしていましたが、そこから引き継いで1年、ビルドアップという言葉が印象に残っていますが、鳥丸監督がやりたいフットサルの完成度については、現状どう評価していますか?
鳥丸
そうですね、選手たちが真摯に取り組んでくれて、よく順応してくれていることを前提に、6割とか7割くらいなのかなと思います。それは、Fリーグというリーグの中で、僕がトレーニングやゲームを経験することで、こういうことをやりたいと枝分かれしていくことや、選手の伸び代を考えたときに、まだまだ成長できる部分があると思うからです。また、やりたいことをすべて伝えきれているわけではないので、そういう意味ではすごく楽しみではありますし、そうですね、さっきも言っていたように、選手たちがすごくしっかり順応してくれているというのを前提に、期待も込めてそれくらいの評価としています」

ーーどれくらい時間をかければ鳥丸さんのやりたいフットサルに近づきますか?
鳥丸
それは正直わからないところがあります。セットによっても、特に選手個々のキャラクターが違いますし。例えば堤選手は、自分で時間を作れます。要は、堤選手が(ボールを)持つとみんな安心すると思うんですよね、そういうときはみんなが連動する時間ができるとか、連動以外にも配置が整うとか。そういうところは、キャラクターによってもそれぞれがやれることは変わってきますし、その中で完成度となると。

僕もこういうことができたら自分がやりたいフットサルがパーフェクトにできているという図は、なかなかまだ。僕自身も足りないところがあって、その中で試行錯誤することでまた新しいアイデアが出てきたりというところもあるので。これを言ったら元も子もないですけど、100%というのはないんじゃないかなと思いますね。ただ、その中でも完成度というのはあって、100%はないかもしれないですけど、できる限りそこに近づけるという作業なのかなと思っていますし、選手の成長には満足しています」

ーー昨シーズンのフットサルとはスタイルが変わった中で、今シーズンを通して自分の特徴というのは、どのくらい活かせた手応えがありますか?
「3-1から、今シーズンは4-0という戦術に変わったんですけど、僕の役割はそれほど変わってないし、すごく決めごとがあるというわけでもなく、監督から信頼してもらって、わりと自由にやらせてもらっているので、そこは自分のコンディション次第で、間違いなくいいパフォーマンスはできると思います。プラス、チームメイトに自分の特徴をわかってもらって、スペースを空けるであったり、してもらうことも大切です。とはいえ、3-1でも4-0でも中央のスペースはあるので、そこをパスで使うのか、ドリブルで使うのかということはありますが、去年と今年で違う部分はそこまでないので、最終節までいいコンディションでやれたことが、良かったかなと思います」 

ーードリブル突破の回数は、昨シーズンより少ないかなと思いますが、そこはどうですか?
「シーズンの最初にケガをして、中断明けから復帰しましたが、右肩上がりでいいパフォーマンスができているのは、確実に見ていただけると思います。縦への仕掛けであったり、カットインからのシュートというのは僕に足りない部分なので、そこでスコアを動かせれば一番いいと思いますので、それは僕の課題として練習から取り組んでいきたいかなと思います」 

ーー声出し応援の段階的導入運営検証試合として開催され、横浜からもサポーターがきてくれましたが、声出し応援についての感想をお願いします
鳥丸「僕らの今シーズンの22試合の中で、一番お客さんが入っている試合でした。その中での湘南のサポーターさんは、すごく迫力があって、もちろんYSのサポーターも来てくれていましたけど、その何倍も人がいて、その中で単純に『選手冥利に尽きるんじゃないかな』と思いました。特に湘南のサポーターさんは、僕らに嫌がらせをするわけでもないですし、とてもいいサポーターで、盛り上がるので、これを言ったらあれですけど、僕らにとっても味方というか(笑)。盛り上がる要因になるので、先ほど堤選手が言ったように、こういう場で試合ができたことに対して、すごく感謝しています」

「まず神奈川ダービーということで、僕らのサポーターには、勝てなかったことは非常に申し訳ないというか。勝ちたかったというのはあるんですけど、最初に言いましたが、応援によって僕自身も盛り上がって、最高のピッチでやれたと思います。相手への応援も、自分が応援されているという気持ちに僕は変えているので、最高の環境でやれたと思いますし、コロナ禍はまだ続くと思いますけど、どんどんサポーターの方が増えて、全席声出し応援ありであったりということをやっていければいいかなと思うので、これからもよろしくお願いしますというところです」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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