~立川アスレティックFC VS バルドラール浦安~
Fリーグディビジョン1では、コロナ禍で開催が見送られてきたプレーオフが3年ぶりに開催される。対象は、リーグ戦3位までのチーム。1位のチームは、そのままプレーオフ決勝への進出が確定。その対戦相手として、まずは2位と3位のチームで準決勝を行い、決勝へ駒を進めるチームを決める。
今シーズンもリーグ1位は、名古屋オーシャンズ。リーグ戦22試合を19勝1分2敗で戦い抜き、変わらぬ強さを証明した。2位につけたのは、立川アスレティックFC。昨シーズン、リーグ終了後に開催された全日本フットサル選手権大会で優勝、今シーズンのリーグ開幕前に行われたオーシャンカップでも決勝まで勝ち上がっている。リーグ戦自体は3連敗スタートとなったが、アジア杯のための中断明け後は負け知らずで戦い、2位の座を手にした。3位は、バルドラール浦安。今シーズンは序盤から好調を維持して名古屋を追走。終盤失速して立川にかわされ、3位となったが、リーグを牽引し続けたその強さは誰もが認めるところ。
プレーオフ準決勝の舞台は、駒沢オリンピック公園総合運動場体育館。2月11日(土)に1戦目、12日(日)に2戦目が予定された。とはいえ、2位のチームに1勝のアドバンテージが与えられるレギュレーションのため、1戦目で立川が勝利すると計算上は2勝となって決勝進出が決まる。3位の浦安は、1戦目から何がなんでも勝利が求められる対戦となった。
実力が拮抗したチーム同士の戦いは、攻守両面で強度の高さが際立つ。とはいえお互い守備が堅い上に、両ゴレイロは、共にアジアカップの日本代表。多くの得点が入ることは予想しづらい展開となった。
先制点へ意欲を見せる浦安に対し、受け身に回らず攻撃を形作る立川という構図の試合は、ゴール前のシーンを数多く作りながらも、スコアレスのまま時間が経過し、ハーフタイムへ。
2ndピリオド序盤、欲しかった先制点を手にしたのは浦安。高い位置でのリスタートを加藤馬選手が素早く始め、ゴール前中央にポジションを取った長坂拓海選手へ速いパスを送る。長坂選手はそのボールをダイレクトで蹴り込み、先制に成功する。しかし立川は、リスタートのキックオフから相手にボールを触らせることなくパスを繋いで、左サイドに走り込んだ酒井遼太郎選手がシュートに持ち込み、時間を空けることなく同点とした。
得点したことで両チームともに激しさがいっそう増す中、流れを引き寄せたのは立川。相手陣内のキックインからのサインプレーで新井裕生選手がワンタッチゴールを決めて逆転に成功する。その後、浦安は東出脩椰選手が2枚目のイエローカードで退場となり、数的不利な状況を戦うこととなる。ここで立川は、この試合で何度もチャンスを演出し続けた金澤空選手が得点を挙げ、さらに波に乗っていく。
浦安は、セット構成やシステムに変化を加え、攻勢を強めるものの、得点できず、3分強を残したところでパワープレーをスタートする。攻守の駆け引きの中、浦安のディドゥダ選手を立川の上村充哉選手がペナルティーエリア内で蹴ったという判定が下り、浦安がPKを得る。これをガリンシャ選手が蹴るが、立川の守護神、黒本ギレルメ選手が止めて得点を許さない。その後立川は、上村選手が相手シュートのこぼれを拾ってパワープレー返し、さらに相手のパスをカットしたところから再びパワープレー返しのロングシュートを放ってゴールを決め、5-1までリードを広げた。浦安は、1点を狙って攻撃するが、得点できないままタイムアップとなった。
この結果、立川が1戦目で決勝への進出を決め、翌週に控えるプレーオフ決勝に臨むこととなった。
名古屋との決勝は、以下の通り。
第1戦:2023年2月18日(土)
第2戦:2023年2月19日(日)
会場:駒沢オリンピック公園総合運動場体育館
第3戦:2023年2月24日(金)
第4戦:2023年2月25日(土)
第5戦:2023年2月26日(日)
会場:パロマ瑞穂アリーナ
先に3勝したほうが優勝となるため、第4戦、第5戦は開催されない可能性もある。
立川アスレティックFC 試合後会見
比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉「前半は、試合をどこまで大事にするか、負けちゃダメというプレッシャーを普段よりかけ過ぎたところがあったのと、ボールの回し方も、新しいボールで、ピッチも滑るからトラップしにくいところがあったし、それに慣れるまでに時間がかかってしまった。正直、今まではいいリズムで試合ができていたけど、それが今日はできてなかったんですね。何回もチャンスはあったんですけど決められず、先制点を取られても、よくない中で切り替えて逆転して、大きな山を乗り越えたんじゃないかなと思っています。すごくうれしいです。本当に選手たちにすごく感謝。走ること、いいプレーをすること、どこまで要求されても、チームのためにやってもらって、すごくうれしいです。以上です」
上村充哉選手
ーー決勝に向けて、意気込みをお願いします
上村「今季、主力が抜けて、アスレが弱くなったと言われないようにやってきた中で、(開幕から)3連敗して、なんとか強いアスレを守らないといけないと思ってやっていましたし、後半から少しずつ勝てるようになってきて、今日もいい試合とは言えないですけど勝って次に繋げられて、そこは良かったかなと思います。名古屋一強時代を終わらせる存在になって、新しい歴史を作りたいと思ってますので、頑張りたいと思います」
ーー浦安はシステムなどでいろいろやり方を変えてきましたけど、どのように対応を考えたのでしょうか?
比嘉「Fリーグの中には、いろいろなキャラ(のチーム)があるんですよ。僕らのやり方もありますけど、相手の弱いポイントと強いポイントを合わせないと勝ち続けられないですよ。だからそれを合わせられるように、毎日練習して、自分たちのフットサルができるように。ここまでの1年間が関わっていて、すべて準備はできていると思います。決勝に行くのは、簡単ではない。だから選手たちに感謝しているんですよ、どこまで覚えないといけないか、戦術だけじゃないですね、セットプレー、自分は本当に数えられないくらい出している。だから選手たちにすごく感謝しています」
ーー相手のやり方がいろいろ変わる中で、ピッチでの対応は、どうでしたか?
上村「今、比嘉さんも言っていたんですけど、いつも相手を見て、相手のキャラを見て守るというのが、だんだん浸透してきているので、相手がやり方を変えてきても、うちもやり方を変えて守るという部分は、すごくいいと思います」
ーーこの試合の前は、スタンドで浦安の小宮山監督と入替戦を見ていましたが、どんな話をしていたんですか?
比嘉「(小宮山)友祐は、仲間ですよね。長い時間、同じ代表のユニフォームで戦った。お互いに自分たちの作戦は言わないけど、フットサルのことをいっぱい話すんですよ。仲間と、戦い、はっきり分けているんです。フットサルが良くなるように、人気が出るように、お客さんを呼べるように、お互いに正直に(意見)交換をしているんですよ。本当に仲間として、一緒に楽しく楽しく試合を見ていました」
ーー今日の試合は、金澤選手や中村選手が、守備でもいつも以上に球際の部分など激しかったように思うが、監督はどういった意識付けをしていますか?
比嘉「正直、毎試合みんな戻って欲しい(笑)。毎試合、文句を言っているんです、だから選手たちにすごく感謝している。ここまで結果を出しているのに、うるさく言っても一切文句もない。だからそれは感謝しているんですよ。僕がうれしいのは、どこまでやらないといけないか、それを選手が感じるのはありがたいし、仲間として、文句を言われても、仲間だからね。正直僕、みんなよりいろんな経験してきているから、負け方も勝ち方も、いろいろしてきたから、ここまでやらないといけない、そういうメッセージを毎日送っているんです。選手たちは、どこまでやらないといけない、そういう意識が高くなっているのは、僕はうれしいです。正直、毎試合毎試合、毎日うるさいです」
上村「そこに関しては、厳しく言われているんで、癖づいていると思います。とはいえ試合になったら、たまに切り替えが遅くなったり、球際に強くいけない場面もあるとは思うんです。だけど、ベンチから言ってくれるので、一個スイッチ切り替えてできてる。いいかなと思います」
ーーその結果でもあると思いますが、上村選手のパワープレー返しが、すごくきれいに決まりましたね?
上村「今季の途中に、僕はパワープレー返しを決められないって言われていて、1年間通して練習してきたわけではないんですけど、練習してきた期間があったので、その練習が生きたかなと思います」
ーー相手が退場して、1人少なくなった時間帯で、最初は中村選手が入っていたセットで金澤選手のシュートが2本止められて、皆本選手に交代したあとにシュートが決まったのは、何か影響があったんですか?
比嘉「昔、同じ状況の試合があって、その試合のあとに言ったんですよ、点が取れなかったら、ディフェンスのバランスを崩さないといけない、(相手を)走らせないといけない。1回ごとにボールを持つと、相手はバランスを取ってしまう、パス交換をしないといけない。でも充は、シュートのキャラがあるんです、多分自分で決めたい気持ちがあったと思います。でも晃、どこまでボールを回さないといけないか、2-1だから、後ろの位置にいる選手、すごい走らないといけない距離があったんで、だからそういうところを早くパスを回した、絶対にシュートコースを作れるから。あとは、奥までボールが入ったら、奥からセグンドにパス、狙ってなかったところもあったけど、今日はみんなすごく、あまり練習してないけど、意識して狙ってたので、点が取れたと思います」
皆本晃選手(ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません)
ーー今日の試合の感想は?
皆本「まぁ良かったなと思います。僕自身としては、明日休みになったことが一番大きいなと(笑)。いや、みんなそうですよ、申し訳ないですけど、先を見据えての戦いなんで、2位として上がった以上は、ここで負けるのはありえないというのが一番にありますし、いかに短く終われるかというのは思っていたので良かったなと思います」
ーー今日はいつも以上に守備が良かったと思いますが、チームとして守備からしっかりやっていこうというのはありましたか?
皆本「今シーズンを通してそうなので。『今日だから』ということではなく、全試合そういう戦い方をしているので、『いつも通りやりましょう』というのが一番だったと思います」
ーー相手が退場になって、金澤選手が2本連続でシュートを外しましたが、皆本選手が入ってすぐに得点できましたけど、何か関係はあるんですか?
皆本「僕、疲れていて、シュートを打つのはきついなと思っていたので、中村に託して。中村もすごくシュートが強いので、そこでやらしていて。ただ、彼には、1分で入らなかったら交代だぞという話はしていたので。それで入れば良かったんですけど、というところで途中で代わったと。僕もおじさんなんで(笑)」
ーー名古屋戦は同じ退場局面で決めていましたよね?
皆本「あのときは、まだ元気があったので(笑)。試合を通しての体力があったので、2分間できると思って出たんですけど。あのときも自分の中で疲れていて難しいなと思ったら多分、『頼む』と」
ーーリーグ戦が終わって、ホームの試合がないプレーオフは、ある意味、選手としての意識に専念しやすいのでは?
皆本「そうですね、もう本当に経営とか考えずに挑める試合だったので、そういう意味では選手としての価値を証明したいなと思いつつも、今日は勝たないと次に行けないので、そんな何か考えることもなく、勝つためにできることというのをやってました」
ーー今シーズンは立川になって初めてのシーズンで、ある意味激動のシーズンだったと思いますけど、そこで決勝まで行けたということを代表としては、どう捉えていますか?
皆本「ある意味、出来過ぎな部分もありますし、ストーリーとしてはもう少しで完成しそうかなというところはあるんですけど、そんな簡単なものではないとは思ってます、ここから5試合勝ち切らないといけないというところで。ここまで本当にみんなよく、僕だけじゃなくて、僕の思いにみんなが乗っかってくれて、確かに僕の思いは他の人よりかなり強いのかもしれないですけど、それで今があるので、そういう思いを一緒に引っ張ってきてくれた仲間が頑張ってくれているので、そういう中でいい結果が出ればいいなとは思っています」
ーー今日もサポーターがたくさんきてくれていましたね?
皆本「そうですね、傍目に見ても青い服を着てくれている人は明らかに増えているので、やっぱりそれは今までの経営努力が実ってきた瞬間でもあると思います。一方で試合に勝っていて、いい試合を見せられているというのも大きいのかなと思います。選手たちが頑張ってくれているので、やっぱり僕1人が経営で頑張ったとしても、うまくいかないのがスポーツビジネスです。勝ち負けじゃないけど、やっぱり選手たちが頑張って、いい試合を見せてとか、最後まで諦めない姿勢とか、みんなを感動させたり。僕たち『彩り』って呼んでますけど、そういうものを与えてなかったら、絶対に応援してくれないですよね。そこが今はうまく回り始めてる、1個だけじゃ回らない、1個2個3個と回っていけば、いわゆるゴールデンサイクルというのが回り始めるのかなと思っているので、そこは今、回せているのでこの勢いで行きたいなとというのはあります」
ーー優勝するつもりで、5試合戦い切るというところですか?
皆本「もちろんもちろん。負けるつもりで試合に挑むつもりはないですし、簡単ではないですし、絶対に勝てるとも、今日も絶対に勝てると思って挑んでるわけではないですけど、一方で自信は持って、5試合あるから本当の実力を試されると思うので。運や勢いだけで勝てる試合じゃないと思います。1試合だけだったら運や勢いで勝てると思うんですけど、5試合って多分、それを勝ち切るのは運や勢いだけじゃないと思うので、そういう部分に関してもしっかり自信は持っているので、そこをしっかりぶつけたいなと思います」
ーー今、チームを作ってきた1年間を振り返ると、どんな思いがありますか?
皆本「すべてがうまく行っていたわけではないですけど、結果的にいろんな人の思いが乗っかってチームとして一つになって、戦術的にも比嘉さんがやってきたことが形になってきているのかなってうふうには思っています。でもやっぱりスポーツって結果が問われるものだと思っているので、いい形にできればいいなとは思っています」
ーー最近、比嘉監督が会見で選手が大人になってきたとおっしゃってますが、そのあたりは感じられますか?
皆本「本当にすごく感じます。ベテラン選手がいっぱいいるわけではないんですけど、1試合1試合積み重ねる中で、勝つために何が必要かっていうのをみんなが考えながらやれるようになってきているので、そこがうまくフィットしてきているのかなとは思います」
バルドラール浦安 試合後会見
小宮山友祐監督
ーー試合の総括をお願いします
小宮山「お疲れ様です。すみません、お待たせしてしまいまして。
今日のゲームは是が非でも勝たなければいけない状況の中で、先制点が鍵だよということは常々言っていました。先制することができて、すごくいい流れだなと思ったんですけどね、同点に追いつかれたのがちょっと早かったかなと、もったいなかったかなと感じています。
立川さんのインテンシティの高いフットサルに対して、自分たちがどうするかというところは、この試合が確実に決まったときから考えていました。キーパーを使ってビルドアップして、立川のプレス強度を一回ゼロにすると言いますか、キーパーを上げることによってディフェンスでイニシアチブを取られないようにして、自分たちはその中から押し込んだ状況でゴールに迫るというところを考えました。
それからガリンシャに対しては、おそらくミスマッチができるというところで、うまくボールが入ったと思いますし、そこからの攻撃に関しても、いい場面もありました。ガリンシャがいないサイドでのアクションが、少し足らなかったかなというところは、残念な部分だったと思います。
いずれにしても今シーズンは、本当に選手たちが、常に自分と向き合って、自分たちと向き合ってくれて、最後、自分たちが目標にしていたところには届かなかったですけど、本当にチームのために全員がハードワークしてくれましたし、誰1人、今の自分に満足することなく、他人のせいにすることもなく、本当にチームの中でやり切ってくれたなと思います。
リーグは3位という結果に終わってしまいましたけど、彼らの成長という部分に関しては、代表選手を3人も輩出できましたし、U-23の選手も浦安から輩出することができて、シーズンを通した評価としては、タイトル取れなかったので、いいシーズンだとは確実には言えないですけど、我々にとっては大きな大きなステップになったシーズンだったなと感じています」
石田健太郎選手
石田「お疲れ様です。今日の試合は、どんな形でも勝たないと次がなかったので、最初からチームの雰囲気もそうですけど、試合の入りも含めていい雰囲気でスタートができたかなと思います。ここ数試合は、あまりいい雰囲気ではできてなかったので、今日は入りも、多少攻められましたけど、みんなで声かけてやっていけたのでよかったです。
ここ最近は、どうしてもスカウティングされて、ピヴォを使った攻撃をうまく抑えられていたのかなと、やりながら感じていました。それでも浦安には、サイドで1対1ができる選手が何人もいますので、攻撃で厚みを出していけたらよかったと思います。その中でもディフェンスの部分は、ハードワークできてたのかなと思います。
1本のチャンスを決めるかどうかで、毎試合そうですけど、勝負が分かれてしまったかなと感じていますし、その1本を決めるためにたくさん練習をしてきましたけど、こういう結果になってしまったのは悔しいです。以上です」
ーーシーズンを通してみると、序盤非常によくて、追われる立場で上位にいて、終盤にかけて連敗したまま今日を迎えてしまったという流れでしたが、今シーズンの評価を教えてください
小宮山「そうですね、ずっと2位でシーズンを進んでいくというのは、ここ数年の浦安で考えられなかったことです。いつも追う立場だった自分たちが、追われる、名古屋(オーシャンズ)追走の一番手でいられたということは、ある種すごい経験だったと思います。その中で選手たちが常に成長・変化していく姿というのを私はたくさん見てきました。もちろん全部勝つことが理想ですけど、勝てない、うまくいかない、私から厳しい言葉をかけられる。でも、決して心が折れることなく、自分たちの成長・変化、何を求めているかというところに向かって、しっかり歩んでこれたんじゃないかなと思っています。もちろん最後、2位だったらもう1試合あったので、それは本当にたらればになりますけど。
今シーズンは、2つの局面があったと思います。自分たちがやりたいことを追求してきたアジア選手権前と、対策されてやらなければいけないことをやり始めたときと。苦しむことで選手はすごく成長できると思いますし、勝ち続けることもすごく大事だと思います。ただ、1つはチームのエンブレムの元に、全員が何ができるかというのを、一人ひとりが考えてプレーしてくれました。石田も言ってましたけど、もっとできるんですよ、うちの選手たち。もっとできるんです、それを出せなかったことが監督としては一番、心苦しく、僕の力不足だったかなと、自分の中で大きな反省点と思っています」
ーーピヴォを使ったセットから入って、セット構成を変えたり、クワトロを使ったり、最後8分くらいのところからは新しい組み合わせもありましたが、狙いを教えてください
小宮山「ガリンシャは収まることは分かっていたんですけど、柴山(圭吾)は若干まだ未知数なので、柴山に収まらなかったときに何ができるかというところで、もちろん柴山を使い続けることも1つですけど、(ボルクバレット)北九州戦も(シュライカー)大阪戦も割とピヴォ当て一辺倒な単調なゲーム展開になっていたのかなというのが正直、ありました。
クワトロができない選手たちではないですし、長坂(拓海)、大島(旺洋)というキーになる選手がいない時期があったので、クワトロを終盤で使うことはなかったですけど、今日に関しては、おそらく立川はマンツーマンで厳しく、柴山のところにも来る、挟み込みも来るというところで、人に対しては割と強いディフェンスですけど、背中を取られてライン間を使われてとなったときは、割と脆さがあると感じていたので、押し込んで点が取れるところまで行けたらよかったですけど、そこまではなかなか難しかったというところです。
残り8分を切ってからは、相手が4ファウル、金澤(空)くんと酒井(遼太郎)くん、新井(裕生)くんと皆本(晃)社長が出てる時間は、サイズ的にミスマッチが起きると思ったので、そこに圭吾とガリンシャをぶつけました。相手は4ファウルでしたので、厳しく来れない、ピヴォ2人を使った攻撃でファウルをもらう、もしくは身体で押し込んでというイメージを持っていました。この組み合わせは、湘南戦でも5ファウルになったときにやりましたし、練習でも破壊力がありましたからチャンスを作れるかなと思ったんですけど、なかなか大きなチャンスには結びつかなかったと思います。
それがダメだったからパワープレーというところで、PKは取れましたけどね。あれが入っていたらまた違った展開でしたけど。私は、ガリンシャを信頼していますし、このチームで一番点を取っているのはガリンシャですから。大阪戦も外しましたけど、気にせずガリンシャに蹴ってくれとお願いしました。入る入らないは、しょうがない。あれを蹴らせたのは、私の責任なので。最後の残り10分過ぎからは、そう意図を持ってやりました」
ピレス イゴール選手(ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません)
ーー来シーズンに向けて、浦安の改善点はどんなところだと考えますか?
イゴール「決勝まで、タイトルまで行きたかったけど、8年ぶりにプレーオフが戦える順位に入って、全体的にいいシーズン、いいリーグ戦だったと思う。だけど、足りないと思う。もっともっと得点が必要。チームとして、そのレベルを上げたら、強くなる。チームについては、ゴールだけじゃなくて、ディフェンスも強くいかないといけない。ゴールを取るのが一番大事、それがもっとできたら、もっと強くなりますね」
ーーシーズンの終盤までは得点も取れていたのに、終盤は点が取れなくなったように感じたましたけど、そのあたりは?
イゴール「わからない、最後の4試合で3点だけ、(Y.S.C.C.)横浜戦1点、大阪戦1点、北九州戦0点、今日も1点だけ。フットサルとしては少ない、もっともっとね、点を取らないといけない。全日本選手権や来シーズンを考えたら、もっともっと得点を取らないといけないと思います」
石田選手(ミックスゾーンでの取材のため、写真はありません)
ーーシーズン全体を振り返っての感想を教えてください
石田「さっき(試合後の会見で)、監督も言ってましたけど、上位に食い込めない中位が続いていて、久しぶりに2位という順位にずっといて、自分たちが名古屋を追走する中で追われる立場になったというのは一つ成果としてあるものの、自分たちにはそういう経験が初めての選手が多くて、それをプレッシャーに感じる選手も少なからずいたのは事実です。それでもこうやってプレーオフに出て、こういう舞台を経験できたというのは、それぞれの選手にとってプラスになったと思うので、よくやった部分もあります。でも、優勝できなかったので、悔しさの方が大きいです」
ーーシーズンの終盤に勝てなくなっていったのは、プレッシャーも一つ要因ですか?
石田「それもありますし、今日も、さっき(試合後の会見で)は言わなかったですけど、他の選手を見て、緊張してるなというのを僕自身が感じていたので、シーズンが終盤になるにつれてプレッシャーというのはもちろんあったと思います。若い選手も多いので、自分たちがいくら『緊張するな』と言ってもしちゃうものだと思いますし。そういう中で僕なんかがもうちょっと結果を出せたら良かったんですけど、それができなかったので、本当に自分の責任であるなと感じています」
ーー他のチームメイトを見て、経験の足りなさを感じますか?
石田「試合中も『緊張してる?』って聞くと、『してる』って言ってたので(笑)、それはすごくおもしろいなと思いました。それこそ後半が始まる前に柴山に聞いたんです、全部裏ばっかり狙って、相手のフィクソと勝負してなかったんで、『どうしたの?』って。そうしたら、『緊張してる』って言ってたんで、『いやもう、今しかやれないよ』っていうのは、話しましたけど。でもガリンシャと一緒に出たときは、相当収まってましたし、一人ひとりが自信を持つっていうのは、本当に大事だと思いました。例え、経験があろうがなかろうが、自信のなさは伝わると思うので。僕自身はそれが好きじゃないので、できるかできないかはわからないですけど、やろうとする姿勢というのは、少なからずチームにも伝染すると思うので、そういう部分では、個人個人が自信を持つことができたら、もっといい選手になったり、いいチームになれるかなと思います」
ーー若手を引っ張る立場、ということですね?
石田「自分は緊張しないタイプですけど、自分が浦安に入った頃、18、19、20歳くらいの頃は、10歳離れている先輩ばっかりだったので、この間、柴山、東出、宇野と一緒に出たときに自分が一番年上だったのは、不思議な感覚でした。今までは本当に先輩しかいなかったから。でも、緊張がありながらもみんな頼もしいというか。シンプルにフットサルが楽しいなというのは、感じましたね。それも含めてやっぱり楽しかったですね、今シーズンは」
ーー楽しいと思ったのは、今日の試合もですか?
石田「今日もそうです。だけど、若い選手と一緒にやるのは、今シーズンが初めてだったので、僕も経験ができたし、新しい自分になれた気がします」
ーー試合の終盤、パワープレーをしながらも、パワープレー返しで失点が嵩んでいく中で、どういう気持ちで戦っていましたか?
石田「立川もずっと勝ってるので、パワープレーを受けなれているし、自分たちも今シーズンは、ずっと2位できていたので、あまりパワープレーをやってなくて。終盤の3試合くらいパワープレーをしたんですけど、なかなかうまくいかないことが多かった。パワープレーは数的優位で回しているけど、人数だけ見たら5対5で変わりはないし、リスクを背負っていて、崩すのはなかなか難しいところがあります。PKの失敗があって、ガリンシャもその後のプレーはなかなか気持ちを切り替えられない中、それでもやり続けなければいけないですし。点を取りたかったなという感じです」
ーーピッチの中で、点差がついていく状況をキャプテンとしてどう引っ張っていくのかというところは、どう考えますか?
石田「声をかけられる部分はかけましたけど、僕なんかより経験があるベテラン選手たちが多くいるので。それに、チームで戦ってますけど、最終的には自分との戦いになると思うので。全日本選手権でも今日のような場面は絶対にあると思うし、選手権は一発勝負ですから、こういう場面の方が多くなると思うので、僕が引っ張れるところは引っ張りますけど、一選手として、大きくなるチャンスを、もう1回得たのかなと思います。選手としてもう1回、一人ひとりが成長していかないといけないというのを感じます」
ーー全日本選手権という言葉が出てきましたが、気持ちはそこに切り替えてというところですか?
石田「うーん、全日本に切り替えられないですね、なかなか。監督も、チームのみんなもまだ全日本があるっていうのは、言ってましたけど、僕自身は本当に優勝したかったので、なかなか切り替えられないですね。でも、僕1人が下を向いている暇もないんで、そこはね、やらなきゃいけないです。けど、まぁこのチームで優勝したかったなというのは、多分一生残るんじゃないかなと思ってます」
ーーこの試合にかける思いは、強かったですか?
石田「そうですね、追われる立場を初めて経験した選手が多い中で、こういう舞台も含めてですけど、若い選手もいて、プレーオフが初めての選手もいて、難しいなというのを感じました。やっぱり立川は、全日本も決勝まで行って、オーシャンカップも決勝まで行って、こういう舞台を経験してる。やっぱり経験なのかなっていう部分と、それをもっと質で上回れたら良かったなという部分を、自分の中ですごく考えています。今は、なかなか難しいですけど、本当にそこを、相手の圧力を凌駕できるような選手になりたいなというのは、強く思いました」
ーー石田選手自身が影響を与える存在になっていくということですね?
石田「本当に今までは助けてもらっていたんで、良さを引き出せるような選手になりつつ、自分でも試合を決められる選手になりたいなと思います」