~立川アスレティックFC VS バサジィ大分~
12月4日(日)、立川アスレティックFCは、ペスカドーラ町田とともに町田市立総合体育館でFリーグディビジョン1第15節を共同で開催。第2試合に、バサジィ大分を迎えて戦った。
立川は、14節を終えて6位。プレーオフ進出を争う3位の町田を勝点差5で追っている。順位の近いチームとの対戦が続いたここ3試合は1-1の引き分けが続いていたものの、中断明けからは負けなし。ここで勝って、再び上昇気流に乗りたいところ。対する大分は、ここまでリーグ戦は、1勝したのみ。体調を崩した館山マリオ前監督からバトンを受け取った狩野新監督が11節は代行として、12節からは新監督として指揮を執っている。今シーズンから新しいチームづくりに着手したが、再度スタートを切ることとなった。狩野監督になって5試合目、そろそろ結果を求めていきたいタイミングといえる。
ホーム立川のキックオフで始まった試合は、ボールを持つ時間が長い立川に対して大分がていねいなプレスで対応していく展開。立川が積極的な仕掛けを見せる中、自陣で奪ったボールをペナルティーエリア付近で受けた金澤空選手がシュート。ボールはポストに当たったが、その跳ね返りを新井裕生選手がゴールに押し込み、先制した。大分にとって早い時間帯の失点になったが、戦う姿勢を崩すことなく、ていねいな守備を継続し、ボールを奪ってはチャンスを伺っていく。大分の同点弾は、コーナーキックから。三浦憂選手がゴールマウス上段の際どいコースを狙って決めた。
その直後、立川もコーナーキックを獲得。ゴール前に入った金澤選手にパスが通り、そのままシュート。2-1と再びリードを奪った。
再度、ビハインドを負った大分だったが、キャプテンの小門勇太選手がフィジカルを活かして右サイドでボールをキープ。中央に抜け出して左サイドの野口茅斗選手にパス、野口選手はそのパスをダイレクトでゴールに蹴り込み、同点とした。ところがその後、大分はオウンゴールで失点。立川が三度1点リードしてハーフタイムを迎えた。
2ndピリオド、先制したのは大分。ゴレイロからのロングフィードを左サイドの野口選手が頭で触って中央に位置する小門選手にパス。小門選手はトラップしながら振り向き、そのままシュート。三度目の同点に追いついて、粘りを見せた。
一進一退の攻防の中、立川が攻勢を強めていく。特に小門選手のセットとマッチアップすることが多く、失点に絡んだセカンドセットが攻撃面で奮起し、関尚登選手、南雲颯太選手と立て続けに得点を決め、大分を突き放しにかかる。さらに立川のトップスコアラー、中村充選手が得点。最後は、上林快人選手が決めて7得点を挙げる。大分はタイムアウトを取得後、パワープレーで得点奪取を狙うが、反撃かなわずタイムアップを迎えた。
立川は久しぶりの勝利となったが、勝点の近いチームの対戦結果によって順位は変わらず6位。とはいえプレーオフ争いの希望を次節に繋いだ。大分は、連敗を止めることはかなわなかったが、今後の巻き返しに期待が持てる、粘り強い戦いぶりを見せた。
立川アスレティックFC 試合後会見
比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉「攻撃的に7点取ったことはよかったですけど、僕らのコンセプトとして、チームの土台を作るのはディフェンスなので、失点の仕方やセットプレーでも失点したところが悔しいです。それでもみんなで乗り越えて、久しぶりに勝点3が取れたので良かったです」
酒井遼太郎選手
酒井「ディフェンスから入ろうという話をしてたので、その中で最初の立て続けの2失点は、私たちのフットサルというのはできてなかったんじゃないかなと思います。大量得点できたことは、非常にポジティブに捉えているので、続けていきたいと思っています。今、比嘉監督からもありましたけど、とにかく勝点3というのが取れたので、勝って反省できるというのがすごくプラスじゃないかなと思っています」
ーー失点の仕方がよくなかったと言っていたが、どうよくなかったのか、大分の攻撃が良かったのかなど、要因を教えてください
比嘉「大分は(チームとして)悪くはない、選手たちは技術は持ってる。あのシュート(小門勇太選手の得点)は、いいシュートでしたが、ただ長いボールを入れられて、それが失点につながるのはダメです。僕らのディフェンスとして許しちゃダメです。左利きだし、それを考えないといけないですね。あのボール、クリアできなかったらどこに弾くか、どこを狙うか、そういうことを考えないといけない。2失点目はボールを持った選手が左利きだったから、左足を切らないといけないですね。それは選手もよくわかってるし、初めての(マッチアップした)選手じゃないです。だからダメです。セットプレーも、しっかり分析もしているし、初めてのパターンではない。他のチームも同じやり方をしていて、いい守備ができているし。次はそうならないように反省するしかないですね」
ーー3失点目ですが、小門選手に関選手がマッチアップしていたことが多かったですが、体格的なミスマッチがあったように見えましたが、そこはどういう考え方ですか?
比嘉「あのセットのフィクソは関(尚登)ですが、今までいろんな選手に対応し、守り切れた試合もたくさんありました。小門は、身体が強いし、どの選手を入れても小門の方が力が強い。ただ、ディフェンスの仕方は頭を使わないといけない。どこに行かせるか、左足を切ったら右足で打つしかない。あの失点シーンは、小門の方が有利だったんですよね。だから左を切って右に行かすとかして、そういう確率をちょっとずつ低くするしかない。
柴田(孝平)選手は、(皆本)晃のセットに入れているんですよ、晃も調子が悪かったり、疲れたりするから、準備しないといけないので。(他のセットに)入れるのはいいですけど、いきなり入れるのは準備に不安なところもあるし、関はずっと試合に出ているからまかせて。そのあと2、3回くらい悪かったところがあったけど、そのあとは修正して、うまくできました。
2失点目も一度小門がボールを持って、対応したのが(中村)充選手だったんですね。僕が言ったのは、ボールに対して強く行かないといけない。相手は身体が大きいからキープされると勝てない。だからディフェンスして1回ボールを後ろに出させるために挟もうとした。そこを小門が間を抜けてしまって、逆(サイド)に出されて打たれた。そういうところを考えないといけない。気持ちも必要ですが、頭を使わないと、誰がプレーしているのか、右足だったら打ってもいいよとか。でも小門が得意なところに行かしちゃダメでしたね」
ーーセカンドセットは、得点を多く取れていたが、どこが良かったと評価していますか?
比嘉「南雲(颯太)は、あんまり仕掛けない選手だけど、今日はチャンスがあったら仕掛けてくれた。関は、あまりセグンドに入らないけど、今日はファーに入って1点取ってくれた。勇気を持ってスペースがあるところに入った。自分のキャラじゃないけど、スペースをうまく使ってくれたことが僕はすごくうれしいです。練習で何度やっても、試合では違うものが出てくるんですよ。だから選手は、頑張らないといけない。1つのやり方がある、でも相手がどういう守り方、どういうディフェンスをするのか、選手は判断しなければいけない。今日は、ミスで失点しても、前を向いて勝点を取ろうとミスを乗り越えてくれたことがすごくうれしいです。
会見では、ネガティブなことが目立つので、そこしか言わないけど、でも僕の深いところはすごくうれしいですよ、7点取れて。3試合ずっと、1-1、1-1、1-1、何回もチャンスを作ったのに点が取れなくて、勝点3が取れなかったから。僕は7点はうれしいです。昨シーズン、全日本選手権で優勝したときに、もう1回1位になりたかったらもっとやらないといけない、と言いました。だから僕は、本当は褒めるところは褒めないといけないですけど、どっちかというともっと成長できるように、きついことを言います。できると思っているから。でも、本当はうれしいですよ、よかったです」
ーー監督は失点の仕方がよくなかったと言っていたが、選手としては、どう考えますか?
酒井「監督が言った通り、大分の攻撃は、私たちのスカウティング通りというか、やられ方だったので、本当に絶対にやられちゃいけない失点の仕方で、本当に絶対にやられちゃいけない失点の仕方で失点したという形でした。向こうがやることはわかっていたし、やり方も変わってなかったので、それに対応できずに3失点というのは、私たちの守備の怠りっていうのが、かなり大きかったんじゃないかなと私は思ってます。セットプレーの部分も、今まであまりやられてないという自信もあったので、あそこは改善しなきゃいけないなと思っています」
ーーリーグが声出し応援の段階的導入について発表しました。すぐにホームで実施できるかどうかは別として、選手として声出し応援に対する思いを教えてください
酒井「純粋にめちゃくちゃうれしいですよね。お客さんの声が届くというのは、私たちの力にもなりますし、ホームで会場が盛り上がっているっていうのは、アウェイの選手にはかなり圧じゃないけど、かかるんじゃないかなと思います。選手側の意見としては、『なんでもうちょっと早く声を出させてくれなかったの?』というのが正直なところです(笑)。それはもちろん、いろいろあるのでしょうがないとは思うんですけど。でも、純粋にうれしいですし、私が言うことじゃないかもしれないですけど、そういうことで立川を盛り上げていければいいかなと思っています」
ーーコロナ禍前の声出し応援のことを覚えてますか?
酒井「いや、それよりもコロナ期間中にもかかわらず、思わず出る声の方が。『あ、声出ちゃってるけど、ありがとう』という感じの方が深く覚えていますね(笑)。やっぱり(エスポラーダ)北海道の(ホームアリーナ)きたえーるとか、たくさんの観客に入っていただけるようなところにいくと、アウェイの圧っていうのは感じたりしますので、私たちは、それを立川というところで発揮していかなければいけないなと思ってます」
バサジィ大分 試合後会見
狩野新監督
ーー試合の総括をお願いします
狩野「試合を振り返って、前半はハードワークできていたものの、後半は私たちの守備の強度が明らかに落ち、相手に攻め込まれるシーンが多く、苦しい時間に粘り強さを出せなかったことが最後の3失点に繋がったと感じています。攻撃面では、ピヴォの選手たちを中心にアグレッシブさを出せていたので、次に繋がるゲームだったと感じています」
ーー立川戦に向けて、どのようなプランで臨みましたか?
狩野「まず先制点で自分達はリズムを掴むよう話をしました。そのためには強固な守備でボールを奪い、攻撃に繋げて先制点を奪うということで試合に臨みました」
ーー代行を含めて5試合指揮を執られていますが、現在の手応えはどのように感じていますか?
狩野「選手たちは練習からしっかり取り組んでくれていますので、プレーパフォーマンスに関しては手応えは感じています。ただ、負けが続いているため、メンタル的な部分やチーム内コミュニケーションの部分ではまだまだ回復に時間がかかると思うので、徐々に改善できればと思っています」
ーー選手は試合で戦っていると思いますが、どのあたりがうまくいかなくて、勝利に結びつかないと考えますか?
狩野「先にも言いましたが、メンタル的な部分、コミュニケーションの部分では大きな課題があると感じています。もちろん戦術的なところも課題はありますが、勝者のメンタリティを忘れてしまっていると感じています」
ーー今後に向けての意気込みをお願いします
狩野「チームとしてはとにかく前向きに、下を向くことなく毎日努力し、全力で取り組み、その成果をピッチで出すだけだと、今は感じています。苦しい時間だからこそチームとして一致団結して、残留に向けて一戦一戦、戦っていきたいと思います」
小門勇太選手
ーー試合全体を振り返っての印象を教えてください
小門「取られたくないタイミングで失点し、得点を重ねたい時間帯(流れのいいとき)に取りきることができなかったという印象です」
ーーその中で、よかったとこと、課題と感じたところを教えてください
小門「よかった点は、『攻から守』『守から攻』への切り替えは、個人も全体も意識的にできていたと思います。ただ、トランジションの質と決定力というところで課題でした。
個人の課題としては、勝つためにセットや全体が上手くいかないときに、どうすべきか割り切ったりできるように、チーム全体が何がなんでも勝ちをもぎ取るような行動、試合運びができるような声がけをしたり、話し合って連携を深めるように努めることが必要だと感じました」
ーーアグレッシブに戦っているように見えましたが、後半失点が重なったところで難しくなった印象ですが、ピッチの中ではどのような声がけなどを行なっていたのでしょうか?
小門「チャンスはあったし、取り返せると思ったが、ボールの奪われ方が悪く、気持ち的に落ち込むような失点でした。とにかく1つずつ返そうという声も飛び交っていたし、全体で前を向いていたと思います」
ーーなかなか勝利に結びつかないところで、メンタル面の維持が難しいところもあると思いますが、選手同士で何か声をかけあったりしていますか?
小門「メンタルでは落ちないというか、これ以上落ちることはないし、チームは勝ちに飢えている感覚があるので、メンタル面ではそんなに問題はないです。みんな不満やいろんな考えを抱えていると思いますが、とにかくやるしかないということをみんなで声がけしています」
ーー監督が代わって5試合戦いましたが、現在の手応えはどのように感じていますか?
小門「代わってからの期間は少ないですが、いろんなことが明確になっています。監督が相手をしっかり分析してくれて、相手と戦っている実感があり、本当に勝ちが近いと感じています」
ーー今後に向けての意気込みをお願いします
小門「目の前の試合を、どんな内容でも、恥ずかしかろうがなんだろうがなりふり構わず勝ちをぶんどるくらいの気持ちで戦い、絶対に残留します」