~W杯目前 ボルクバレット北九州・馬場監督インタビュー~
7月から9月にかけて行われた東京オリンピック・パラリンピックと、9月12日にリトアニアで開幕するフットサルワールドカップの開催により約二ヵ月半の中断となっているFリーグ。この中断期間中をどう活かすかが今後の戦いにおいて大きな意味をもってくることはどのチームにとっても言えることだろう。F1で2シーズン目を戦うボルクバレット北九州だが、8月にチームのキープレイヤーであったクリスチャン・チャオ・パルメイロ選手の退団、ゴレイロの小島義瑛選手の負傷による長期離脱という想定外の状況が訪れる。リーグ再開後の厳しいスタートが予想される同チームだが、現在タイの代表チームにコーチングスタッフとして帯同している馬場源徳監督に現時点での率直な思いを聞いた。(9月初旬リモート取材)
(違和感なくタイでコーチングする馬場監督)
ーー今季の中断期間前までの総括をお願いします
馬場「初戦の大分戦のあとの出だしがあまり良くなかったんですよね。短い時間での失点をするという、あまり良くない失点の仕方がちょっと続く試合があってリズムを悪くした。全体の調子も上がらなかった中で、湘南戦でクリスチャンがいない中で勝ち点1をとり、そこから少し調子を取り戻して。続いて町田、府中戦でもいい試合ができたのかなと思います。ちょっと時間はかかりましたが、いいリズムをとれてきたかなと思います」
ーー中断期間の持つ意味をどう捉えますか?
馬場「こればかりはちょっとわからないですね。コロナ禍というのもあり練習試合の数もチームによって違いますし、ちょっと何とも言えないですけど確実に北九州の場合は難しい部分はあると思います。
小島の怪我もありますし、クリスチャンの退団も私たちからして大きな戦力ダウンではあります。改めてリズム作るのにちょっと時間かかるかもしれないとは思っています。それも含めてチームとして後半戦は試されているのかなと思いますし」
ーー中断明けの試合は中断前の順位が上位ではないチームとの試合いくつか続きます
馬場「本来万全な状態であればそれらのチームと当たったら叩くべきです。本当に夏の中断明けというデリケートな時期ですし、展開の読めない中、メンバーも変わってますし戦術も変わるでしょう。その中でお互い勝ち点を取らないといけない相手というのはすごく面白いと思います。戦略的にも一番競り合う試合になると思います。お互い勝ち点を絶対に落としたくない。そういう意味ではすごいプレッシャーのある試合になるでしょう。硬かったり緊張感のある試合になる。やりたいことをやるというより勝たなければいけないというプレッシャーのある試合になると想像しています」
ーーまだリーグ戦は折り返してはいないが、この後どういうところを目標においていますか?
馬場「まずはやっぱりチームの主軸となっていたクリスチャンと小島が不在ということで、守備の面で大きく安定感を作るためにちょっとステップダウンするというか、我慢の時が来ると思っています。必ずしも7月までやれていたことが出来るとは思っていないですし、その間に成長してくる選手も出てくると思いますが、他のクラブの選手も成長していますから。
表現が難しいですが、本当に仕切り直しと思っています。ひとつひとつ作っていくイメージです。何を目標にと言うより、ひと試合ずつ勝ち点を大切にし、まずしっかりと残留ポイントを確保。そこから今期の目標である中位、そこから更に上位を狙うという風に目標を上げていくということになると。順位よりは土台を安定させることかなと思います」
ーーワールドカップが開催されますが、日本代表の戦いについてどう見ていますか?
馬場「アンゴラとパラグアイが勝たなきゃいけない相手。極論を言えばアンゴラには絶対勝たなければいけない、パラグアイには対等な立ち位置として勝ちたい。スペインには大きなチャレンジ。大きく分けてこの三つですよね。絶対勝たなければいけない相手と勝てば通過できる相手と、基本的に勝てないけれども勝ち点を取れればラッキーな相手。必ずアンゴラには勝つ、パラグアイにも必ず勝つ。この2つが大切だと思います。ただ日本はパラグアイが苦手だと思うんですよ。フィジカル強くて速い。ラテン人独特の強さがある。戦術的には日本の方が上だと思うんですけど、勝負強さとかそういうところでは日本はかなり苦しむと思います。日本はアルトゥールとイゴールがいますから、この2人の力はとても大きいと思います。やはりキーパーは軸ですからね。それ以外の選手にももちろん期待していますし、帰化した選手のパワーもあるし必ずグループステージを突破してくれると思っています。パラグアイとアンゴラを倒してベスト8目指せるように。いや行けると思います。
ブルーノさんのもとですごくいい準備できていると思います。それはどの国のスカウティングの人たちが見ても同じこと言うと思うんで。日本代表はレベルが高いと思います。楽しみです」
ーー同じくタイ代表についてはどうでしょうか?
馬場「タイも日本と同じ図式で、ソロモンには絶対勝たなくてはいけない、モロッコとは対等の勝負、ポルトガルには金星狙い。格下、同じランク、格上。日本と同じで、二番手狙いですがあわよくば一番手を取りたい。2位でリーグ通過したいというのがタイも日本も現実のビジョンだと思います。タイは一番最初にポルトガルと対戦するんですが、最初どこと対戦するかというのも少しは影響すると思います。アジアの中では強度も高く、戦術もある程度発展しているけれどもフィジカルなどは南米やアフリカにはなかなか勝てない。日本と似たような図式だと思います。ただグループ的にはパラグアイのいる日本の方が少し難しいグループなんじゃないでしょうか。タイの方もグループ内のモロッコが今調子がいいので同じような立場と言えますが。どちらも相当難しいグループだと思います。それは厳しいというよりはすごく見応えのあるということ。ここはアジアのためにお互いグループステージ通過したいですね」
中断期間中はチームが練習場所として使用している体育館周辺の清掃活動を数回にわたり行うなど、ボルクバレット北九州はコロナ禍でも出来る地道な地域貢献活動も続けている。また、クラブのオフィシャルスーツサプライヤーによるスーツモデル選手Twitter投票キャンペーンといったSNSを使ったスポンサー主導の試みも、これまでボルクバレット北九州を知らなかった層からも注目を集めた。
最後に馬場監督の考えるオフ・ザ・ピッチの活動についても語ってもらった。
馬場「公共の施設を使わせてもらい、難しいコロナ禍の中においても自治体から最大限の支援をしていただいているんです。それがもう2年。お客さんにもっと試合を見てもらいたいですが、コロナの制限もあれば北九州市内での開催も少ないのが現状。ただピッチ内で試合をするだけでは足りないと思います。もちろん試合になったら120%の力を常に出すなんて当たり前ですし、そこがないとスポーツは成立しないんですけれども。同時に色々な地域貢献とか共感といったものを増やしていかないといけないなと痛感しています。
感謝すると口で言うのは簡単だと思うんですよね。その中でも自分たちが動いて汗をかいて出来ることがあるのはとてもいいと思います。地域に恩返ししていくことは大切です。本当は地域の子供たちや障がいのある方を招いてアリーナで試合を見ていただいたりもしたいですが、現状コロナがあり難しい。
スポンサーさんの取り組みもありがたいですね。注目してもらうきっかけは何でもいい。地域とか街とかと同じ方向に共感できればもっといいチーム、クラブになると思います。チームとしてはFリーグに参入してから急速に力をつけた部分もあるとは思いますが、まだまだ未熟で成長途上。みなさんとともに成長していきたいと思います」