~ひびきのフットサルラボ、REPLO J.F.C代表・小原崇さん~
中3までは空手、高校時代はウェイトリフティングと子供の頃からスポーツ経験はあったものの、フットボールの経験はなかった。20代後半、「なんか運動不足だし、ちょっと体を動かした方がいいかなって思っていたところで誘われたのがたまたまフットサルだったんです」
そんな「たまたま」出会ったフットサルだったが、その後、福岡フットサルリーグ事務局を経て、代表・監督として率いたボルク北九州では九州リーグ5連覇を達成。ボルク北九州がボルクバレット北九州としてFリーグに加入したのを機にチームを離れた。
現在はフットサルコートと珈琲店を経営しながらサッカー未経験にもかかわらず、ジュニアサッカーチームREPLO J.F.C(レプロジュニアフットボールクラブ)を指導。北九州でも指折りのチームへと成長させている。今回はそんな小原崇(こはらたかし)さんにボルク北九州設立からFリーグ参戦までの話を聞いた。
ボルク北九州誕生
当時福岡県リーグ事務局に携わっていた小原さんに、ボルク北九州の前身となるWORST!から「もっと上にいきたい」と指導依頼の声がかる。
小原「WORST!が上に行くにはまだ足りない部分があった。それは技術だけではなく、人間としてどうあるべきかというような基本的な部分も含めて」
WORST!が更なる強さを身に着け、上のレベルに挑戦するための課題も見えていた小原さんは、依頼を快諾した。
ちなみにチーム名のWORST!は漫画のタイトルが由来だが、そのまま使用するのは好ましくないのではないかということで、WORST!で使われているエンブレムのモチーフが狼だったことから、チーム名に狼のロシア語「ボルク」を入れる事に。
2006年12月、小原さん率いるチームは「ボルク北九州」と名称をかえ、更なる高みを目指して行く。
2007年、福岡県1部リーグ優勝。翌2008年には昇格した九州リーグ2部でも優勝。2009年九州リーグ1部昇格、優勝。その後2013年まで5連覇。ボルク北九州発足から一度も優勝を逃したことなく、7年連続で優勝し続けた事になる。
まさに破竹の勢いだ。
ボルク北九州の快進撃の理由は一体何だったのか?小原さんの答えは、ある意味非常に分かりやすくシンプルなものだった。
小原「生活の全てをフットサルにささげていたからです。そして九州で一番頑張る、走れるチームになった。プレーだけでなく見た目からも『強さ』を感じさせるようになった。そこは今振り返っても自信があります。
仕事もあって忙しくても、より強い相手と対戦するために県外まで行ってました。武者修行みたい?そんな感じです。日帰りで大阪まで遠征したり。でも本当に楽しかったですよ」
Fリーグ参入へ
2016年、九州の雄として揺るぎないポジションに存在したボルク北九州はFリーグから加入の打診を受ける。多くの選手がFリーグ参入へ前向きな姿勢を見せる中、小原さんは消極的立場だった。
小原「まずスポンサーを集めることに反対だった。理由?自分達が支援してくれる方々に何かを返せるような存在になれると思っていなかったからです」
しかし、小原さんは自身の考えをチームに押し付けることはしなかった。2017年、ボルク北九州は正式にFリーグ入りを目指して活動を開始。
小原「参入を目指すと決めてからのみんなは目標に向かって本当に頑張った。スポンサー、資金集めも含めてよくやったと思います」
2018-19シーズン、新設されたFリーグ2部に「ボルクバレット北九州」として参入を果たす。そして小原さんはチームを退いた。
小原「いわゆる『老害』になりたくなかった。元々参入には消極的だったし、みんなに色々気を使わせたりするのも本意じゃなかったですし」
地元北九州の未来のフットボールのために
ボルクバレット北九州からは離れた小原さんだが、現在はボルク北九州ジュニアを前身とするREPLO J.F.C(レプロジュニアフットボールクラブ)の代表・監督を務める。
REPLO J.F.C(旧ボルク北九州ジュニア)出身の川部悠翔(かわべゆうと)さんは、小原さんの指導を受けた経験を振り返る。
川部「サッカーに対しては本当に厳しかったです。オンとオフの切り替えがはっきりしていました。ここでの経験のおかげで、その後サッカーを続けた中でどんなにきつい状況になってもしっかり乗り切れました。本当によくしてもらったし、それは今も変わりません」
今年熊本の高校を卒業後地元に戻って来た川部さん。現在はひびきのフットサルラボのスタッフとしても活動している。「指導者への道に興味がある」という教え子は、小原さんにとって期待の存在に違いないだろう。
今、ボルクバレット北九州へ思うこと
小原「もちろん今でも応援しています。馬場監督という素晴らしい監督と共に上を目指せるチーム。支えて下さっている方々のためにも更に強くなって欲しいし、北九州や福岡のフットサルチーム、選手達から目標とされ、リスペクトされる存在であって欲しいと思います」
ひびきのフットサルラボ
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Text by 東 恭子
Photo by 東 恭子
Illustration by Marika
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