コラム

フットサル界に新風吹き込む「頂杯」とFC NAKAI

~主催者のZOTT WASEDA・清野潤氏インタビュー~

フットサル界に新風を吹き込んでいる大会がある。

若者たちが全日本フットサル選手権優勝を目指すYouTube番組「目指せ!Fの頂」のチーム・FC NAKAIや、関東1部の名門・ZOTT WASEDAなどが参加する「頂杯」だ。

第1回は2021年2月、東京都内で開催し、ZOTTが優勝。第2回は5月に静岡県で開き、FC NAKAIが栄冠を手にした。

そして第3回は8月8、9両日に三重県で行われ、FC NAKAIが連覇を達成した。大会の様子はFの頂で紹介されている。

大会の主催者で、ZOTT WASEDAの代表兼監督の清野潤氏(41)に、大会の意義や今後の展開を聞いた。

清野潤(きよの・じゅん)
1980年5月生まれ、茨城県出身。2000年に早稲田大学の同級生とZOTT WASEDA FUTSAL CLUBを創設。同クラブの代表兼監督。同クラブのTOPチームは現在関東1部に所属。フットサルブランド「DALPONTE (ダウポンチ)」を販売する株式会社ZOTTの代表取締役でもある。選手時代のポジションはフィクソ。夢は観客席付きのフットサルコートを作ること。

--頂杯開催のきっかけは?
清野「昨年3月以降、どのチームも新型コロナウイルスに振り回されたと思います。ZOTTが所属する関東1部リーグも公式戦が半減し、全日本選手権の関東大会が抽選になりました。

一番の目標だったアマチュア日本一を決める「地域チャンピオンズリーグ」も中止。色んなことを我慢してきましたが、目標としていた大会が無くなり、シーズンが強制終了しました。

トレーニングを頑張ってきた選手に、本気になれる、真剣勝負できる舞台を用意したい。FC NAKAIを率いる中井健介氏と距離が近いこともあり、『独自の大会を一緒につくりたい』と打診しました。すると、すぐに乗ってくれて」

--当初から続いていく大会として計画していましたか?
清野「はい、最初から第2回、第3回と続くことを意識し、スタートの段階で「第1回」としていました。5月の第2回は毎年静岡県で「ダウポンチカップ」を例年開催してきており、この延長で企画しました。

第3回は他の地域でやりたかったので、三重県を選びました。運営はZOTTに加え、第2回はDELIZIA磐田(東海1部)に、第3回はMIOびわこ滋賀(関西1部)に、それぞれ会場や審判の手配、運営面で力を借りました。金銭的な負担もお願いして、両クラブに感謝しています。

頂杯は全国のチームが参加できるよう、様々な場所でやりたい。地方に行くほどFC NAKAIのことを聞かれるんですよ。YouTubeで見るだけでなく、FC NAKAIが来る、そんな機会を設けたかった」

--頂杯は有観客で開催している判断は?
清野「新型コロナウイルスの感染拡大で、賛否両論あるのは理解しています。オフィシャルの試合では、有観客に踏み切れない部分があると思います。フットサルの試合を見たくても見られない人がたくさんいます。

もちろん、コロナを無視しているつもりはありません。観覧希望者には事前の申し込みをしてもらい、当日の検温や消毒などの対策を徹底してきました。第3回の会場・三重県営サンアリーナは、1万人を収容できるキャパシティーがあり、観客が密になることはありません。会場費は高額でしたが。

選手も試合を人に見てもらう方が絶対に楽しいし、有観客にこだわりたかった。実際、1~3回で問題は起こりませんでした。ただ有観客に反対する立場の意見も尊重すべきで、難しいところでした」

--出場チームの基準は?
清野「出場チームに関しては、私のつながりのあるチームに声をかけているのが現状です。ダウポンチを着ているチームが多くなっていますが、それに限っている訳ではありません。

第3回に出場した京都産業大学ALEGRIAは、大学側の意向で「全日本大学フットサル大会」(インカレ)の京都府予選に出られなくなったのをツイッターで知り、声を掛けました。

目標の大会に出場できなくなり、4回生が引退するのは辛いものがあります。それで声を掛けたら『是非出たい』と参加が決まり、FC NAKAIと試合することになりました」

--賞金100万円を設けている狙いは?今後の計画は?
清野「各チームが優勝したいと思ってもらえる大会を目指しています。一生懸命練習している選手たちに、真剣勝負を楽しんでもらい、バチバチの試合やってもらう。賞金があることで、燃える部分はあり、プラスアルファのモチベーションになっています。

コロナの第5波により大変な時期なので、次回の開催日は決まっていません。希望としては第4回も、地方でやりたい。西に行くのか、北に行くのかは、今言えませんが(笑)。

実は現在、ある地域のクラブには相談しています。それぞれの公式戦の日程を調整がありますが、開催したい。これからも選手たちに真剣勝負の場所をつくっていきます

--Fの頂で大会が放送された後の反響は?
清野「Fの頂の放送があると、知り合いに『感動した』『面白かった』とよく声を掛けてもらいます。1回大会はZOTTが優勝しましたが、2、3回大会はFC NAKAIが連覇。3回大会は決勝で延長の末に1-2で敗れ、ZOTTの監督として悔しさを味わいました。

一方で大会の主催者としては、FC NAKAIの優勝を嬉しく思う部分もあり、複雑な心境です。Fの頂でZOTTの負けるシーンを見るのは辛いものがあるんですが、決勝はYouTubeで楽しんでもらえる劇的な展開で、いい絵が撮れたと思います」

--Fの頂やFC NAKAIに対して感じることは?
清野「Fの頂のファーストシーズンで、ZOTTとFC NAKAIが対戦する機会があり、トレーニングマッチで、強い思いを持って臨んでいることがわかった。YouTubeでの発信力、人を巻き込んでいく動きに、僕も引き込まれていきました。

YouTubeからの盛り上がりをみて、日本フットサルのチャンスではないかと感じました。その後「マレーシア編」では、ZOTTに声をかけてもらい、合同チームを結成しました。Fの頂の撮影や編集も本当にプロフェッショナルで、引き続きFの頂には協力したい。

フットサルの実力では、選手のたくましさを感じます。中井健介は異次元なプレーを見せ、伊藤広樹も凄いですが、少ない人数のうえ、追い込まれた状況で、1人1人の責任感の強さを感じました。ZOTTもいい選手がそろっていますが、勝てませんでした」

--清野さんが感じるフットサル界の課題は?
清野フットサルの観客数が減少していると言われて、もどかしい思いがある。でも僕はネガティブに捉えていません。フットサルに取り組む、小・中学生、高・大学生は格段に増え、大会も整備されてきた。確実に普及しています。

22年間フットサルを続けてきて、競技自体は間違いなく面白い。ZOTTは関東リーグで「色」を出していくし、FC NAKAIにも彼らにしかできないことをやってもらえれば、盛り上がりますよ。

ZOTTやFC NAKAI、ほかの地域のクラブとフットサルを盛り上げていくためにも、頂杯を発展させていきます」

(了)

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