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Fリーグ選抜からシュライカー大阪の主力へ

~計盛良太、松川網汰両選手が描く成長曲線~

「一番近くにいた網汰(コウタ)には負けたくなかった。でも一緒に成長していければ、という気持ちが強かった」

シュライカー大阪サテライト(本拠地・大阪市)から、Fリーグ選抜(同・名古屋市)に派遣され、1シーズン戦った計盛良太選手(21)は、チームメイトの松川網汰選手(21)について、ライバル心を隠さない。

2024年のフットサルワールドカップなどに向けて「若手選手の育成」の具体的な取り組みとして、2年前に誕生したチームが「Fリーグ選抜」だ。
主にFリーグクラブの下部組織(サテライト)から派遣されたメンバーで結成されている。

国内最高峰の「Fリーグ ディビジョン1」で、1期目は10勝7分16負、12チーム中8位の結果を残した。若手選手たちの躍動に、多くのフットサルファンが驚かされた。1期生は所属クラブに戻り、昨年4月に2期生が新たに選ばれた。

計盛、松川両選手はその2期生にあたる。松川選手は「派遣が決まった時は素直にうれしかった。自分がFリーグの舞台でどれぐらいできるのか不安はあったが、挑戦できる喜びがあった」と振り返る。

(松川選手)

松川選手は熊本県出身。小学生からサッカーを始め、日南学園高校(宮崎県)のサッカー部在籍中に「U-18フットサル選手権大会」に出場。これをきっかけにフットサルに転向し、シュライカー大阪サテライトに入った。ドリブルや守備時の寄せの速さが特徴のアラ(サッカーで言うとMF)。Fリーグ選抜での背番号は2。

(計盛選手)

一方、計盛選手は大阪府出身。小学生からフットサルを始め、サッカーも中学3年まで続けた。高校1年の冬にはシュライカー大阪サテライトに入り、18年には特別指定選手にも選ばれてFリーグに出場、5得点をマークした。高いフットサルIQや、アラでの仕掛けで注目を集める。Fリーグ選抜での背番号は15。

Fリーグ選抜としてシーズンを戦う


Fリーグ選抜の選手たちは昨年4月以降、名古屋市内の寮で生活をともにし、平日は2部練習に取り組み、週末は公式戦に臨んだ。「フットサル漬け」の日々で、競技に集中できる環境が用意された。計盛選手、松川選手は寮の同じ部屋で生活を始める。

松川選手「最初は炒め物など簡単な料理を2人で作ったこともありましたが、途中からはやらなくなりました(笑)」

計盛選手「2段ベッドがある広くはない部屋でしたが、お互い干渉はしないようにしていたので、ケンカは一度もなかったです」

話好きの計盛選手に対して、物静かな松川選手。対照的な2人の相性は悪くなかったようだ。

昨年5月25日にFリーグが開幕した。Fリーグ選抜の初戦は黒星で、6節までに1分5負。7節目でようやく立川・府中アスレティックFCから初勝利(3-2)をもぎ取った。

計盛選手「シュライカーでは連敗することが少なかったので、開幕から負け続けて精神的に追い込まれました。Fリーグ経験がある自分がチームを引っ張らないといけないのに、できなくて。自信も失いかけていましたが、府中戦で自分が得点に絡んで初勝利できた。1年を振り返ってもこの時が一番うれしかった」

計盛選手が初勝利をきっかけに手応えを掴みつつある中、フットサル歴の浅い松川選手は試合になかなか出場できずにもがいていた。一つの転機になったのは、昨年6月の「AFC U-20フットサル選手権」の日本代表に選出されたことだ。優勝してアジアチャンピオンに輝いたことで精神面を強くした。

松川選手「リーグ戦のメンバー外になることもあって、どうしたら出場できるのかと考え続けました。まずは監督に指摘されたところをやってみようと。AFCでは初めての海外試合だったし、完全アウェーの雰囲気だったので、鍛えられた。帰国後、徐々に出場時間が増えていったので、成長はしていたのだと思う」

Fリーグ選抜は初勝利後、戦術面での浸透や、選手間の理解も深まり、勝ち星を増やしていく。最終的には10勝3分20負。1期生の順位(8位)には届かなかったが、12チーム中10位でシーズンを終えた。

計盛選手「1期生の順位は当初からめちゃくちゃ意識していたし、上回りたいと思っていました。最終的に届かなかったのは残念ですが、個人としては落ち着いてボールを持てるようになり、プレーの視野も広がりました」

Fリーグ選抜は今年1月下旬に解散、選手たちはそれぞれ派遣元のクラブに戻った。Fリーグ選抜は2年間の予定だったため、来シーズンは存在しない。最後に焼き肉店で、全員が参加して食事をした。

松川選手「最後でしたが、フットサルの話はほどんどしなかったですね(笑)。たわいもない話ばっかりで。フットサル漬けの1年で自分に向き合えたし、Fリーガーと対峙してきたことで、1対1の守備や寄せの速さには自信を持てるようになりました」

シュライカー大阪に復帰


2月に入ると、2人はシュライカー大阪の練習に合流。すぐにスタッフから「明らかに伸びた」との声が出るほどの動きを見せた。

計盛選手「Fリーグ選抜より練習時間は短いですが、練習の質はシュライカーの方が高い」

松川選手「個人としてのスキルがシュライカーは高い。練習から試合と同じぐらいのプレースピードがある」

シュライカーでの練習をそう語る。クラブは全日本フットサル選手権の頂点を目指して練習を続けたが、新型コロナウイルスの影響で同選手権は中止になった。

3月上旬からオフ期間に入ったが、4月には来シーズンに向けて動き出す予定。クラブにはFリーグ選抜1期生の齋藤日向選手や仁井貴仁選手もいる。

計盛選手「自分には1期生に選ばれなかった悔しさがあった。Fリーグ選抜を経験した次のシーズンが勝負だと思うし、試合に出て活躍したい。ポジション争いに勝ち、自分の成長をFリーグ選抜で応援してくれていた人にも見せていきたい」

松川選手「若手の中で負けたくないが、実力も受け止めながら、活躍できるように努力していく。Fリーグ選抜で試合になかなか出場できない状況から、『1番成長した』と周囲に言ってもらえるようになった経験を生かしていきたい」

2人が描く目標はシュライカー大阪でのタイトル獲得と「日の丸」を背負うことだ。

計盛選手「シュライカーが今シーズンにプレーオフ進出を逃してショックでした。順位を1つでも上に押し上げられるように貢献したい。中学3年の頃から将来は日本代表にと意識してきた。24年のワールドカップに出場したい。実現するには個の力をまだまだ伸ばさないといけない」

松川選手「もちろん日本代表を目指しますが、シュライカー大阪で主力選手になる。リーグ戦や全日で優勝したい。自分にはまだまだフットサルIQが足りないし、体も大きくしていく必要がある。AFC優勝で経験した喜びをフル代表でも味わいたい」

Fリーグ選抜2期生の最後の試合。2年間の活動を終えたFリーグ選抜にバサジィ大分のサポーターがこんな横断幕を掲げた。

F選抜日本フットサルの輝く宝たち

互いに伸び盛りの21歳、新シーズンでどのような輝きを見せてくれるのか期待が高まる。

◆かずもり・りょうた 1998年4月生まれ。165センチ、64キロ。
寝るのが好きで、試合前には西野カナの曲を聴くルーティンで臨む。

◆まつかわ・こうた 1999年2月生まれ。161センチ、58キロ。
家でじっとしてられないタイプで、出かけることが多い。カメラが趣味。

(了)

Text by Hide
Photo by Hide & シュライカー大阪
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