~立川アスレティックFC VS ペスカドーラ町田~
AFCフットサルアジアカップクウェート2022の開催のため、1カ月半の中断期間を経て、F1リーグが再開。10月22日(土)、立川アスレティックFCのホーム、アリーナ立川立飛では第9節、ペスカドーラ町田を迎えての東京ダービーが行われた。お互いに熱心なサポーターがいる、ホームタウンに愛されるチーム同士の戦い。訪れたサポーターは1413人。アウェイゴール裏にも町田のサポーターが太鼓を中心に集まった。
リーグ中断前を振り返ると、立川は思ったような結果が出せずに中位から下位といった位置付け。しかし、アジアカップを戦った日本代表選手3人を擁し、リーグ開幕前に行われたオーシャンカップでは準優勝している実力あるチーム。ここからの巻き返しが期待される。一方の町田は、プレーオフ圏内の3位をキープ。とはいえ、代表選手は1人いるものの、中断前に主力選手2人が海外へ移籍し、戦力の維持が気になる状況だ。
メンバーは、立川がスタメンに代表で活躍した上村充哉選手、金澤空選手、ゴレイロの黒本ギレルメ選手を起用。町田は代表のヴィニシウス選手をセカンドセットに配置した。
1stピリオドは、キックオフ直後からお互いに高い位置からかけるプレスと、ゴールに向かうアグレッシブな姿勢が見える展開。両チームともに中断期間中の充実ぶりがうかがえる強度の高さが際立った。ゴール前のシーンは多いものの、なかなか得点に至らない中、ホームの意地を見せたのが立川の皆本晃選手。町田の選手に対応されながらも強引にシュートを打ち切り、先制点を決めた。
2ndピリオド、逆転を狙う町田は開始直後から攻勢をかけるが、その勢いを止めたのが立川の湯浅拓斗選手。町田のゴレイロが出したパスを目の前でカットし、そのままシュートに持ち込んでリードを広げた。その5分後、再び湯浅選手が得点。リズムに乗った立川は、今度は新井裕生選手が得点し、4点差に。ここで町田がゴレイロを中断期間中に補強した新戦力、ジオヴァンニ選手に交代。足元に自信があるというジオヴァンニ選手が攻撃にも積極的に絡んでリズムを変えると、流れを引き寄せてヴィニシウス選手が得点し、1点を返した。その後も町田は、パワープレーも織り交ぜながら反撃を試みるが、立川が守り切ってタイムアップ。ホームの立川がサポーターの後押しを受けて勝点3を積み上げ、プレーオフ争いに踏みとどまる結果となった。
立川アスレティックFC 試合後会見
比嘉リカルド監督
ーー試合の総括をお願いします
比嘉「中断期間は長かったですが、Fリーグの再開後、初めてのホームゲームで、気持ちを入れた試合ができて、勝点3が取れてよかったです。ディフェンスから気持ちを入れて、ボールを持っているときも、いいリズムを作れたし、チャンスもたくさん作れてよかったです。次のボアルース長野戦も勝ち続けたいです。ありがとうございます」
上村充哉選手
上村「うまくいかない時間帯もあったんですけど、それはどの試合でもあることなので、決めるべきところを決めてくれたし、個人的には心肺がきつかったんですけど、味方が助けてくれて、いい試合ができたと思います。一つ悔やまれるのは、失点の場面、山中(翔斗)選手から、僕はファーサイドに(ボールが)出てくると思って、そちらを警戒して縦に遅れてヴィニシウス選手に決められたんですけど、あそこは味方のディフェンスを信じて、僕がもう少し早くヴィニシウス選手のところに寄っていれば、なかった失点だったと思うので、そういったところを改善しながら長野戦に向かいたいです。といっても4勝5敗なんで、誰も満足してないと思いますし、ここから勝っていけるように頑張りたいと思います」
ーー中断期間中に強化した部分を具体的に教えてください
比嘉「フットサルチームの土台を作るのは、ディフェンスだと僕は思っています。いいディフェンスをできるように頑張って、(新加入の)ボラ選手も合わせられるように。あとはもう一つ、ディフェンスの土台も必要だけど、上位を目指したいから、中断期間は、攻撃も増やせるように、もうワンステップ上がれるように、時間をかけました。今日も何回かチャンスを作っていたし、よかったんですけど、僕の狙っているところはまだまだですね。ただ、人間が難しいのは、攻撃だけを練習していると、ディフェンスを忘れてしまうことです。1週間のうち5日間しか練習はできませんから、その中で強度を上げ下げしたりといったことも考えないといけないので、正直時間が足りない。それでもいいディフェンスやいい攻撃ができるように続けていきたいと思います」
ーーキャプテンも話していましたが、現在4勝5敗で、まだプレーオフ圏内も目指せると思いますが、中断明けからの目標を教えてください
比嘉「勝つしかないです。正直、開幕の(バルドラール)浦安戦、2節目の(フウガドール)すみだ戦、(ボルクバレット)北九州戦とか、いい試合だったんですよ。相手も頑張っていましたが、どっちかというと自分たちのペースだった、チャンスを作っていたし、自分たちが決めるところを決めていれば、勝っていたと思います。そういうところは修正しないといけない。僕は上位を目指して頑張りたいですが、あまり長く先を考えると難しくなるから、1節ずつ勝ち切れるように頑張っていきたいと思います」
ーー今日の試合は得点して欲しい選手が決めたが、代表で離れている間にチーム力が上がっているように感じましたが、久しぶりに合流していかがですか?
上村「おっしゃる通りだと思います。僕もアジアカップに行って優勝しましたけど、別にチームで特別なわけではないですし、僕と(金澤)空は、チームで1カ月半くらいフィールドのことをやってないので、もっと合わせないといけないと思う。みんなが自分のためにやれば、それがチームのためになりますし、今日は素晴らしい活躍をしてくれたなと思います」
比嘉「監督としては、その3人は、やっぱり目立つから、若い選手にここまでやらないといけないんだと思わせるような、いいお手本になって欲しいと思います。僕はそれを期待しています。プレッシャー(笑)」
ーー代表活動をどうチームに還元できるかを考えているか教えてください
上村「僕が思うのは、マインドのところです。みんなもやっているとは思いますが、やっぱりアスレのみんなにも上を目指して欲しいし、一人一人が意識高くやれば、自分の価値を高めることになるとも思いますし、それが結果、アスレの価値を高めることにもなると思いますし、アスレの価値が高まれば日本フットサルの価値が高まると思います。まずは自分の価値を高めるために、一人一人がやっていって欲しいなと思います」
ペスカドーラ町田 試合後会見
甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐「8節が終わってからのこの1カ月半で、チームとしては強度高く、積み上げてやってきたんですけど、今日はちょっと思っていたような内容のゲームにはならなかったので、試合自体はちょっと残念だなと捉えています」
伊藤圭汰選手
伊藤「監督も言ったように、いい積み上げはできていましたけど、今日はなかなかうまくいかない試合で、相手ペースの時間がすごく長くて、僕らのミスもすごく多くて、いろいろ改善しないといけない部分もありました。ここで終わりではないので、みんなでまた少しずつよくなるように練習から頑張るしかないかなと思います」
ーー中断期間中に積み上げてきたものは、どういったところだったのか、今日の試合でそれが表現できたか、できなかったのであればそれはなぜか、今考えていることを教えてください
甲斐「中断期間は、フィジカル的な側面も戦術的な側面も、できる限り伸ばせるところに対してはアプローチして、トレーニングマッチもいくつかやりながら、そういう効果を感じられるゲームもあって、そういう意味で僕も楽しみにしていました。ところが、思った以上に今日は、割と苦しい局面が多かった。ただ、前半は、悪いながらも修正できたり、ギリギリのところで失点しなかったり、食らいついていたので、ゲームが壊れるようなことはなく、最低限のベースでできていたと思います。正直、今日の状況判断といったクオリティの面では、前半のうちに2点3点取られておかしくないような、ちょっと質の低いミスが多かったので、そこの状態であってもチャンスがなかった訳ではないですし、逆に前半1点2点入ったりしていたら、もう少し自分たちの時間も増えていたかなと思います。
そういった前半の最低限の状況から、後半はいい形で修正ができず、本来起こしてはいけない失点も起きてしまって、より試合を難しくしてしまった。ただ、選手たちには、今の現状としてネガティブになる必要はまったくないと、先ほど話をしました。悪くても前半のような戦い方をして、後半もしっかりコントロールした上で、全員がハードワークしないといけないチームなので、そこはしっかり練習から凌ぎあって、次の名古屋(オーシャンズ)戦に、挑みたいと思います」
ーー後半の途中からゴレイロを新戦力のジオヴァンニ選手に交代しましたが、その狙いと、彼に期待していることを教えてください
甲斐「前日に体調を壊してしまって、点滴を打つような状態だったので、本来今日は使う予定ではなかったんですけど、昨日の夕方くらいにはある程度回復したことと、今朝はなんとかサブに入れそうだという話だったので。彼はそもそも止める能力も、ゲーム全体を見る能力も、そういう経験値も含めて高い選手なんですけど、ちょっとゲームのスコアだったり、ゲームの状況を考えて、流れを変えるためにキーパーを使ったということですね。彼は足に相当自信がありますし、そういう意味ではインプレー中でも彼が起点になりながらのオプションもあります。そもそもキーパーとして、止める能力も高いですし、今後はより活躍してくれる機会が増えるかなとは思っています」
ーーうまくいかなかったと話していたが、ピッチの中で感じたことがあったら教えてください
伊藤「個人的にピヴォにうまく当てられなくて、チーム全体として、ピヴォに当てられない分、ボールを後ろで持つ時間が長くて、そこでのパスミスが多かったかなという印象があります。ピヴォにうまく当てるというのと、あとは相手のディフェンスを見て、しっかりボールを押し上げることがうまくできなかったので、ピヴォだけじゃないですけど、ボールをもう少し押し上げながら、ボールを進めていくところがうまくいかなかったという感じです」
ーー前半はなんとか凌いで後半に繋げたと思うが、ハーフタイムにはどのように修正しようと考えていたか、また後半試合の中での修正はどのようにしようと考えていたでしょうか?
伊藤「僕らのセットでは、ピヴォの圭介くんに、僕はけっこう手前で受けて欲しいという要望を伝えて、チームとしても1点で抑えられたので、後半はもっと行くぞという雰囲気もありました。後半は、なかなかうまくいかなくて、前半の悪かったときよりはいいゲームだったと思いますけど、やっぱり2点目を取られたところと、僕らがすぐに同点に追いつけなかったところで、すごく難しい試合にしてしまったという印象です」