~今はボールを追う仲間~
「これ、ひでさんちゃう?」
送られてきた写真の中央には確かに私が写っている。いや、写り込んでいると言った方が正しい。
2015年9月、私は大阪・岸和田市の体育館で日本最高峰のフットサルリーグ「Fリーグ」のデウソン神戸 対 フウガドールすみだの試合観戦していたようだ。
写真の前列にはフウガのユニホームを着た3人組が座っている。3人組と面識はない。
私は多分、カメラに気づいて正面で写り込まないように横を向いたのだと思う。
そして5年後の2020年、私は転勤に伴って新たなフットサルチームを探していた際、セットスター和歌山(関西2部)の佐藤匠選手にある人を紹介された。
それが前列右の中村博道さん(47)だ。
グローバル和歌山というフットサルクラブの代表で、和歌山県でフットサル普及に尽力されている。トップチームは同県リーグ1部に所属している。
グローバルには40歳以上のメンバーで構成するシニアチームがあり、県のシニアリーグもある。今年は新型コロナの影響でリーグ戦は中止になったが、シニア同士で練習試合を行っている。
シニアでプレーする中村さんに誘ってもらい、今年3月には早速練習参加した。メンバーの多くは、県リーグ1部などでプレー経験があり、私が希望していたレベル感でもあった。
さらに中村さんのフットサルへの情熱や人柄にも魅せられ、緊急事態宣言明けから、私はこのチームでお世話になることになった。
シニアはもっと緩いと思っていたが、そうでもない。スピードやスタミナは若者に負けるが、特にシュートの精度は高く、技術のぶつかり合いが見どころだ。
先日中村さんから写真がラインで送られてきた。5年前にFリーグの会場で、こんなにも近くで試合を観戦していたことに驚く。
自分のFacebookの投稿をさかのぼると、試合展開を書いていた。私がFリーグを観戦しはじめてまだ1年ぐらいだったと思う。
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フウガドールすみだ4ー2デウソン神戸
すみだ得点者:太見、諸江、西谷2
神戸得点者:ロドリゴ、松宮
白熱したシーソーゲームをすみだが制した。
前半は両チーム好機を作るも、それぞれゴレイロ(GK)の好守備で0-0で折り返した。
後半開始早々に、すみだの太見がコーナーキックからの浮き球を強烈なボレーでネットを揺らす。
すかさず神戸も素早いパス交換で相手を崩し、逆転に成功して流れをつかんだ。
しかし、積極的なすみだ諸江のミドルシュートが神戸ゴレイロの逆を突いて同点に。会場は緊迫した展開に盛り上がりを見せた。
同点のまま終盤戦に入ると、神戸はゴールを空けて5人で攻め込むパワープレーを選択。
勝利を狙ったが、攻撃を防いだすみだが自陣からガラ空きのゴールに蹴りこんだロングシュートが2本決まり、熱戦に終止符を打った。
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投稿を読み返すと5年前の試合だが、展開が蘇ってくる。当時Facebookで試合展開を書くことはなかったが、このゲームに興奮して書き残したのだろう。
中村さんはフウガが「FUGA MEGURO」時代からのファンで、同じピヴォの太見寿人選手(2016ー17シーズン終了後に引退)のプレースタイルに憧れた。
それから今も背番号は、太見選手が付けていた「8」である。和歌山にもクリニックで3度ほど、来てもらったという。
「ふっさん(太見選手)のボレーは覚えている。すごいシュートだった」と、この試合のゴールを振り返る。私もイメージがおぼろげに思い出してきた。
同じFリーグの試合を観戦した面識がない2人が、5年後に同じチームで一緒にボールを蹴っている。フットサルでつながる縁を感じた。
コロナの影響で、9月に開幕したFリーグは10月末までリモートマッチ(無観客試合)が決まっている。それ以降はまだ未定だ。
ABEMAでの放送はありがたいが、生観戦に勝るものはないと感じている。現地にいなければ、味わえない興奮や感動がある。
観客がいるFリーグが待ち遠しい。生観戦の迫力に加え、サポーター・ファン同士の交流も魅力だからだ。
無観客が解消されれば、中村さんらとFリーグを観戦したい。今度は知らない者同士の前後ではなく、仲間として横並びで。
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