~名古屋オーシャンズ VS 湘南ベルマーレ~
シーズンも最終盤を迎え、2月の2週目と3週目は連日駒沢での共同開催で試合が組まれ、1日に3〜4試合を行うことになっている。2月13日(土)の3試合目は、リモートマッチとなった名古屋オーシャンズVS湘南ベルマーレ戦。1巡目の対戦では、無敗の王者名古屋を湘南が逆転で破っている。同じ相手に2度負けるわけにはいかない名古屋のプライドがかかった注目のカードとなった。
1stピリオド開始直後から積極的に攻めたのは湘南。3分には高溝黎磨選手がドリブルで相手選手3人を引きつけて送ったラストパスを鍛代元気選手が落ち着いてゴールに流し込んだ。この1点で目が覚めたのは王者名古屋。約1分後にはキックインからの浮き球パスをペピータ選手がそのままボレー。圧巻のシュートを決めた。これで流れを掴んだ名古屋はその直後にも縦に速い攻撃を展開し、ゴール前でフリーになった星翔太選手がゴールをゲット。10分にも個のテクニックとチームワークの良さで湘南ディフェンスを崩し切って西谷良介選手がゴールを決めた。
この得点の直後、悪い流れを断ち切るように湘南がタイムアウトを取得。選手たちの動揺を読み取った采配を見せる。再開後、お互い攻め合うなか、16分に湘南の荒木辰文選手が自陣でシュートからのこぼれ球を拾ってそのまま相手陣内へ。両サイドを味方選手が走る中央をドリブルで持ち込み、正面からシュートを放って得点。19分にはPKを獲得したロドリゴ選手が落ち着いて決めて同点に追いついた。
2ndピリオドは、負けられない名古屋が主導権争いを有利に運んで、多くのチャンスを作る。しかし、湘南も粘り強く対応し、両者得点を奪えないまま試合は終盤へ。ここでも均衡を破ったのは、名古屋。コーナーキックからのサインプレーで星龍太選手が強烈なボレーを放ち、得点した。しかし、ここで諦めないのが湘南。パワープレーを使いながら、虎視眈々と得点を狙い、残り42秒というところで本田真琉虎洲選手がゴールを決める。名古屋もパワープレーを見せるが、わずかな時間で得点することは難しく、引き分けでタイムアップを迎えた。
湘南は年が明けてから敗戦が続くなか、名古屋を相手に勝点1を獲得し連敗をストップ。名古屋は湘南に負け越すシーズンとなった。
お互いが勝ちにいった結果、多くのゴールが生まれたゲーム
名古屋オーシャンズ フエンテス監督
ーー試合を振り返って
フエンテス「この試合は、両チームとも勝ちに行ったことで非常にオフェンシブなゲームとなりました。多くのゴールが入り、お客さんはとても楽しめたと思います。
私たちの戦いぶりは、引き分けましたが悪くはなかったと思います。特に前半は、先手を打って主導権を握れたと思いますが、一瞬の隙を突かれて、タイミング悪く失点をしてしまったことは課題として残りました。
後半は、より接戦したゲーム展開でした。私たちは4点目決めて、相手にパワープレーをしなければならない状況まで持ち込みましたが、本当はそこで封じて勝たなければいけなかったが、決められてしまいました。うちのパワープレーについては、時間がほとんどなかったので多くの指示を出すところまではいきませんでした」
星龍太選手
星「4失点というところで、しっかりディフェンスできたシーンも多かったので、もったいなかった。チャンスも多くありましたが、ピンチも多くあって、みんながちゃんとやっていれば失点しなかったというシーンもあったので、それは意識から改善していかないといけないところだと思います。誰がということではなく、全体としてよくなかったところが多かったかなと思います。
攻撃面は、先ほど監督が言った通り、いい流れでできてたし、決して悪くなかった試合でした。だけど結果的に4対4っていうのは、何かしら足りない部分があったということ。今回の試合でいうと、さっき言ったようなことがこういう結果につながってしまったのかなと思います。明日も試合はありますし、残っている2試合も消化試合ではないので、しっかりと戦って選手権につなげたいなと思います」
ーー今季湘南に勝てなかったが、やりにくさや湘南の強さはどんな印象か?
フエンテス「湘南もビッグクラブです。毎回彼らと戦うときは、こういうゲームになることが確かに多いし、そのなかでやりづらさというのは、常にあります。彼らのレベルが高いというのは、私たちもわかっているので、気を引き締めて試合に臨んでいます。
ただし、試合の流れを見ても今日は悪くなかったし、前回の試合内容とはまったく違うものだったと思います。しかし、先ほど話したように4対4という結果は、細かいところの修正であったり、一瞬の隙とか油断といった切れてしまう部分でやられてしまうところがありました。そこは監督として、ゲームだけではなく、私たちがいる状況もあると思います。シーズンは終わっていないので、今日の課題を次の勝利に繋げて、カップ戦にもいい状態で望むことが大事だと思っています」
星「湘南だけが特別に苦手というわけではなく、どのチームにも良さはあると思います。それでいうと湘南の選手は、一人ひとり技術がしっかりしているし、戦う気持ちも持っている。何より最後まで走り切るっていうのがチームとしてしっかりしているので、そういったところ、裏に走ってくるチームというのは、対戦している選手としてはやっぱりいやですよね、ギリギリまで諦めないというのは。
今回は4対4、前回対戦は負けてしまいましたけど、どうしても名古屋というのは、対戦成績で見られたり、今回負け越しちゃったよねっていうところで見られちゃうんですけども、僕たちも(引き分けや敗戦を)経験として成長する部分はあると思うので、結果は変わらないですし、それを自分たちの糧にするしかないかなと思います」
選手たちが勇気を持ってタスクを遂行してくれた結果の勝点1
湘南ベルマーレ 奥村敬人監督
ーー試合を振り返って
奥村「お疲れ様です。リモートマッチですがABEMAさんが放送してくれるなかで、見てくださった方に最高に興奮する試合ができたんじゃないかという自負はあります。本当に素晴らしい選手たちを褒めてあげたいですし、たくさんの方々に今日の湘南の選手たちを褒めてもらいたいなと思います。
浦上(浩生)が出場できない非常に苦しい状態だったんですけど、出場した選手が全員戦ってくれたと思います。もちろんミスはあったと思いますが、そこは全員でカバーする意識が強かった。何より横に座っている(上原)拓也が、試合には出ていないですけど、ベンチで一番戦っていたと思います。練習中もそうなんですけど、誰よりも声を出して、どんな苦しい時でもチームを引っ張ってくれるキャプテンがいるから、やっぱりうちの選手たちはのびのびプレーできるのかなと思いますし、フィウーザに何かあってもすぐに拓也にまかせることができる状況になっていると思います。
ただ、勝てなかったというところはね、本当に事実としてあります。名古屋(オーシャンズ)は、過去(バルドラール)浦安と(シュライカー)大阪に2回、(ペスカドーラ)町田には2敗して、負け越しています。今シーズンは2回しか対戦できませんが、完全勝利を目指して、ミーティングでそういう話をして乗り込んだんですけど、やっぱり本当に強かったですね。ただ本当に名古屋との対戦は楽しいですし、選手たちがぎりぎりのところで身体を張って成長している姿が見れるというところが、フットサル人としてすごくうれしく、フットサルをやってきて良かったと思える瞬間でもあります。そのなかで本当に結果を出させてあげたいんですけど、そうかんたんには勝てない。ただ、ダントツ優勝した名古屋さんに負けなかったということは事実だと思いますし、うちの選手たちはそれがやれるというところを、たくさんの方々に証明できたと思います。
明日はY.S.C.C.横浜さんとの試合がありますが、そこで勝てなかったら今日いい試合をした意味がないと思います。コンディション的には非常に厳しく、大変な状況だと思いますけど、体調を戻して明日の試合に臨み、たくさんの方々に湘南の試合はおもしろいと思っていただけるよう頑張りたいと思います」
上原拓也選手
上原「名古屋オーシャンズさんとの試合ということで、非常にタフな試合になることは分かっていたなかで、選手もそうだし、スタッフもそうだし、チーム一丸となって戦った結果だと思っています。
前半の最初に3点を取られましたけど、そこでしっかりチームとして耐えきったのが今日、引き分けまで持ち込めた一つの要因だと思います。苦しい時間を耐え切ったことで前半のうちに同点にできた。後半にもまた決められたけど、パワープレーで同点に追いついた。今日は出場する機会はなかったんですけど、外から見ていて俺も出たいという気持ちにさせてくれる試合でした。チームとして負けなかった(ことはよかった)ですけど、個人としてはそこのピッチに立っていたいという気持ちもあります。
名古屋の選手の、相手の隙を逃さないところだったり、シュートの質だったり、セカンドポストに一人がしっかり走っていたり、洗練されたプレーの一つひとつが本当にすごいなと思います。名古屋オーシャンズと試合をするときは、去年もFリーグ選抜で戦ったりしたんですけど、本当に楽しく、(試合に)出ていなくてもすごいなという雰囲気を感じることもできる。だからこそ今日は勝ちたかったっていう思いもある。今日は出場機会はなかったですけど、僕ができることは今日はベンチでとにかく声を出して、フィウーザにトラブルがあったときに、その後をしっかり引き継げるよう準備をすること。選手として一番は試合に出ることですけど、チームとしてやることはできたかなと思っています。明日もY.S.C.C.横浜さんとの試合がありますし、チームはもう明日に向かっている。明日の試合をしっかり勝ちきって、今日負けなかったことが活きるように頑張って勝ちたいと思います。応援ありがとうございました」
ーー第一ピリオド、1対3の状況でタイムアウトをとり、その後結果が出たが、どんな指示を出したのか?
奥村「コーチの村松(裕樹)が指示を出したんですけど、もっともっといけるぞっていう部分もそうですし、ボールを持ったときにしっかりライン間を取ったりっていうのもそうですし、練習で名古屋さん対策でやってきたことをしっかりやろうっていうところですね。
選手たちが1対3になったときに浮き足立って精神的に追い込まれてしまうような部分があったと思うんですけど、タイムアウトで1回リセットして、カウンターで1点取れたっていうところでまた自信を取り返したのかなと思います。逆にそこで4点目を取られたら、ずるずるといってしまったかもしれない。ホームの小田原アリーナでやった試合でもそうでしたけど、3点差をつけられたら厳しいよという話は毎回しているんですけど、2点差で耐えて、しっかり追い付けたっていうところがすごく大きかったと思います。
ここ数試合、(フウガドール)すみだ戦も、町田戦もそうですけど、3点差をつけられてしまった。そこから追い上げることはできるんですけど、やはり勝利まで、引き分けまでは届かないというところで、そこをしっかり耐えられたのが大きかったと思います。
名古屋さんとやるときは強度とか、スピードもそうですし、頭の中もそうですし、普段とは違います。そこに慣れるまでにいかにロースコアでいけるかというのが重要です。今日は、3点目を取られたときは正直非常に危ない状況だと思ったんですけど、選手たちがしっかり対応して、一歩も引かないで戦うことをやりきってくれた。人間なので、相手に強くこられたときは怯むこともあると思いますし、実際に熱くなって自分のプレーを見失うこともあったと思いますが、心理的な部分でいかに自分たちがずる賢く、戦いを有利に進めることができるのかがすごく大事だと思います。そういった部分でも選手たちはよくやってくれたかなと思います」
ーー名古屋対策とはどんなものか?
奥村「前からのプレスで、ディフェンスがゾーンで受け渡しで残りますので、そのライン間、ファーストラインとセカンドラインの間をついて、3対2の形をしっかり作るっていうところ、怖がらずにボールを当てるっていうところをすごく練習してきました。もちろんボールが引っかかってしまうこともあったと思うんですけど、ピッチの中で決断するのは非常に怖いと思うんです。外から見てると簡単そうに見えますけど、足が出てくるかもしれないとか、相手がすごく大きく見えたりとか、すごく難しいプレーだと思うんですね。そこを選手たちが勇気を持ってしっかりと遂行してくれたからこそ、そういう形が生まれたのかなと思います。本当に怖いんですよ(笑)」