~Y.S.C.C.横浜 VS ペスカドーラ町田~
7月23日(土)、Fリーグディビジョン1第6節Y.S.C.C.横浜 VS ペスカドーラ町田の試合が横浜のホームアリーナ、横浜武道館で開催された。
(観客数:884人)
両チームともに新しい監督を迎えて始まったシーズンだが、それぞれの監督のカラーがチームに浸透し始め、結果にも繋がっているところから、リーグに新しい存在感を示しつつある。現状、中位に位置する順位も近く、勝敗によっては入れ替わる可能性もあり、お互いにとって絶対に負けたくない大切な戦いとなっていた。
ホーム横浜は、キャプテンであり、ここまでの試合で多くの時間ゴールマウスを守ってきたゴレイロの矢澤大夢選手に代わってFリーグ特別指定選手の井戸孔晟選手をスタメンに起用。足元のうまさで攻撃時のプレス回避を目論んだ。しかし、先制したのは、アウェイの町田。井戸選手が上がったところからのパスを毛利元亮選手が奪い、無人のゴールマウスへループシュートを蹴り込んだ。その後はお互いに高い位置からのプレスとボールを奪えばゴールまで持ち込むハードワークで攻撃的な姿勢を見せる。そんな中、横浜は井戸選手がボールを持ち上がったところから得点を決める。右サイドを駆け上がったロドリゲス リッツィ ガブリエル選手へパスを送り、リッツィ選手がダイレクトで打ったシュートが決まって同点とした。
振り出しに戻ったところから始まった2ndピリオドもまた、お互いに譲らない展開。両ゴレイロの好セーブもあって序盤はスコアが動かなかったが、カウンターから町田の山中翔斗選手が追加点を奪う。そこからはリズムに乗った町田が原田快選手、再び山中選手が決めてリードを広げていく。しかし、ホームで負けられない横浜も意地を見せて菅原健太選手が技ありのシュートを決めて1点を返す。さらにパワープレーを開始し、ゴールを狙うが、追加点が決まったのは残り3秒というところ。最後は町田が逃げ切る形となって、順位も入れ替わった。
リーグは6節終了後、短い中断に入る。この期間は、ここまでの戦いを踏まえての修正を中心に、新たな上積みも行われる。この時間の過ごし方が8月の戦いの行方を握っている。
Y.S.C.C.横浜 試合後会見
鳥丸太作監督
ーー試合の総括をお願いします
鳥丸「まずは悔しい試合だったというところと、この敗戦は自分の責任だというところ、その2つですね。というのが率直な気持ちで、具体的なことはまたあとで。気持ちの整理というか、振り返りながらしていければと思います」
矢澤大夢選手
矢澤「僕は、最後10分の出場だったんですけど、本来の力を出しきれなくて、2失点してしまったので、それがすべてですね」
ーー6分以上を残してパワープレーに入って、2点差で6分は長いかと思いましたが、少し焦りがあるのかなというボールの出し方だったりがあって、残り3秒まで点が取れませんでした。そこはどのように捉えていますか?
鳥丸「まずパワープレーに関しては、自信があるどうこうというよりかは、今日のインプレー中のチャンスの数を考えると、パワープレーでその局面というか流れを変えないといけないという判断から、それにはあれくらいの時間が必要だと思いました。すぐに自分たちのボールになるとも限らないので、このまま続けるよりも、点差を縮められるか、さらに引き離されるかはありますが、動かした方がいいという判断です。それとパワープレーの攻撃、守備もですけど、今は取り組んでいる最中なので、チームの成長を考えてもなるべくやりたいなと思っていたので、そういう決断をしました」
ーー先発が井戸(孔晟)選手でしたが、町田に向けての起用など、どういう意図だったのでしょうか?
鳥丸「チーム全体としてチャレンジするところを見せたいというのが1番の理由です。彼が入ることによってチーム全体が一つになったりとか、矢澤選手がキャプテンで彼が支えてくれるというのも大きな要因ですし、いろんなことを考えて。一番はチャレンジするところを来てくれた人たちに見せたいというところ、あとはチームの成長を考えて、という2つの理由から彼を先発で使うという決断をしました。その中で矢澤選手の存在も、彼は安定していいパフォーマンスをしてくれているので、安心して行ってこいという気持ちで送り出しました」
ーーコメントで自分の責任とありましたが、それは町田に対してのプランがはまらなかったというところでの言葉でしょうか?
鳥丸「選手の起用もそうですし、チャレンジするというところは、誰でも言えると思います。何か新しいことをするときに、そういう言葉を使いがちなんですけど、それにはやっぱり内容も伴っていないと。(シュライカー)大阪戦のときも、新しいプレッシングのところに取り組んでいて、そのときはうまくいっていたと思うんですけど、それと同じように、チャレンジしたところから何かを生み出さないといけないし、ただそこのプランがうまくいかなかった時間帯とか、選手への声がけとか、選手の起用も含めて、自分が足りないところがあったんじゃないかという思いがありました。例えば自分よりも経験があって、有能な監督がいたら違ったんじゃないかなというのは、こういう試合の後は考えてしまいがちです。そういうのを糧に自分もまた成長していければとは思います」
ーー選手をどのように評価していますか?
鳥丸「とても熱量を持ってやってくれたと思います。運動量も多かったと思いますし、その中で最後まで切らさずやってくれたので、評価というのはよくやってくれているなと思っています。それは僕が監督になってから、4月からスタートして、そこから新しいことを始めて、みんなのプレースタイルは間違いなく変わったので、今日の試合も含めて、今はかなりチームのプレーモデルは実現できていると思います。よくやってくれていると思っています」
ーー先発した井戸選手には、試合中も声をかけていましたが、どういった話をされたのでしょうか?
矢澤「そうですね、例えばクリアランスとか、キーパーはやることがたくさんあるので、入ったときに何をやればいいのか迷うことも多いので、そういったところとか、外から見ていて味方の選手にボールを出すときに、相手がディフェンスをハメに来ていたので、狙われてるからこうした方がいいんじゃないか、とか。それから孔晟のいいところは、ボールを運べるところなので、1失点目はミスになりましたけど、あそこで自信をなくしてしまうとあいつのいいところが出ないと思うので、気にしないでもっと積極的にいけという声がけしたり、ですね、はい」
ペスカドーラ町田 試合後会見
甲斐修侍監督
ーー試合の総括をお願いします
甲斐「お疲れ様です。今日は、試合前から今季の横浜に対しての対策、考え方を含め、掲げていたことが、前半はちょっとミスもありながらでバタバタしましたが、後半はある程度長い時間うまくいったので、いいゲームの流れになったと思います。最後はちょっと余計な失点が多かったですけど、そこらへんのクロージングを高めていけるように、また今後もトレーニングを積んでいきたいと思います」
伊藤圭汰選手
伊藤「お疲れ様です。少し難しい試合でしたけど、しっかり勝つことができたのが良かったです。ただ失点の部分だったり、もっと得点できるチャンスはあったので、それを活かせればもう少し楽なゲームにできたかなと思います。ただ、少しずつですが成長を感じられるのがいいことかなと思います。練習からまた頑張りたいと思います」
ーー試合の中で選手の組み合わせがどんどん変わっていきますが、その狙いを教えてください
甲斐「今週の練習は特にたくさんの組み合わせでやってきまして、選手の組み合わせであったり、噛み合わせであったり、そういうところで発揮できるちょっとした化学反応的なものも、新たに感じるものもたくさん出てきたので、そこはメンバーを固定するよりは、ポジション別であったり、利き足のバランスであったり、そういうところでゲームがバランスよく進むであろう組み合わせを、ゲームを見ながらコントロールしているつもりです」
ーー組み合わせが変わる中で選手たちが迷わないようにするための共通理解みたいなものはありますか?
甲斐「僕らはあまりジョガーダ(※)というか、サインプレーを『これ』というふうに決めてやるよりは、プレーポジションだったり、組んでる選手の特性だったり、相手のディフェンスの陣形だったりという一個一個の局面での状況判断を選手たちにして欲しいと思っています。もちろんジョガーダ的に噛み合うところもあるのがベストなんですけど、それ以上に不定期なところで状況判断していく能力というのが選手としては一番大事なんじゃないかなと思うので、今日のゲームは、これまでの試合よりもいい状況判断ができてるなという内容だったかなと思います」
※ジョガーダ:動き方やパスを決められた順番で行うこと。いわゆるサインプレー。
ーー横浜は監督が代わって、フットサルが変わったと思うが、ピッチの中ではどのように感じましたか?また、やりやすいやりにくいなどはありましたか?
伊藤「監督が変わって、去年までと比べて、すごくボールを保持される時間が長いなというのは感じました。僕らのスタイルとしては前から常にボールを奪いにいくので、噛み合わせというかは、僕らはすごく良かったかなと思います」
ーー対応がしやすかったということですか?
伊藤「はい。そうです」
ーーコメントの中で、今季の横浜に対する対策という言葉がありましたが、どのように捉えていますか? また、先発のゴレイロが井戸選手でしたが、想定外のやりづらさのようなことはありましたか?
甲斐「まず今シーズンは、ビルドアップのところでクワトロからのスタートが多いのはこの数試合を見てわかったので、我々は前からプレスをかける、引いて守るチームではないので、そういう意味ではクワトロをやってくれるチームは、少しやりやすさはありました。もちろんただがむしゃらにノープランでプレスということではなくて、その4枚でローテーションするものに対しての寄せ方だったり、受け渡し方というところはある程度、試合の前にも話していたので、そこはある程度のレベルで対応できたのかなと思います。ラインを破られたとしても、撤退のスピードも結構1試合を通して疲れることなく、修正も早かったので、全体を通してそういう対応はゲーム前に想定していた内容に添えたかなと思いますね。
キーパーに対しては、矢澤(大夢)選手であっても、井戸選手であっても、特にキーパーを使われることに対策はしてなかったんですけど、前半の失点シーンはバランスが悪い中で一つの局面での対応を一個間違ってしまったので、それは後半話しをして、そういうシーンが起きないような対応はできたかなと思います。仮に最初から矢澤選手が出ていたとしても、特に奪いに行くシステムを構築していたかというと、そんなでもなかったです。特にゲームラインを上げるという目的だけで、シュートをうちに来るとか、不規則で変則的でもなかったので。ゲームラインを上げさせるというところは譲ってもいいかなというふうには捉えていました」
ーーコメントに成長を感じられるとあったが、どういう部分で感じていますか?
伊藤「開幕してから最初の頃は負けることが多かったのと、今は結果がついてきているという部分での成長と、あとはやっぱり若い選手が、スタメンとかセカンドセットだけじゃなくて、サードセットに出る選手でもみんな自信を持ってやれるようになってきたという部分に成長を感じます」