~湘南ベルマーレ VS ボアルース長野~
6月12日(土)、湘南ベルマーレのホーム開幕戦となる第2節ボアルース長野戦が772名のサポーターを迎え、小田原アリーナで行われた。
キックオフは14時、開場は13時の予定だったが、芝生広場があって密を避けられるアリーナ横では、フードトラックやハンドメイド雑貨の出店が11時過ぎには開店。各種イベントも開催され、ホーム開幕を楽しみに待ちわびたサポーターで賑わった。開場後は、湘南ベルマーレチアリーディングスクール「LUCIS(ルーキス)」や「湘南ベルロック」のパフォーマンスが行われ、ホーム開幕戦を盛り上げた。
久光選手の追悼試合でもあるこの試合で湘南の選手は、久光選手の2020-2021ユニフォームを着て入場。長野の選手も「久光重貴選手支援Tシャツ」を持って記念撮影を行った。また、キックオフ直前には、「久光コール」が捧げられた。
試合は序盤、アグレッシブに攻める湘南が主導権を握って進めるものの、決定的な場面は長野が体を張って阻止する展開。その後は、湘南ほど多くはないものの、長野もいくつかチャンスを作り、どちらが先制してもおかしくない状況を迎えた。均衡を破ったのは、湘南の高溝黎磨選手。すぐに靏谷春人選手が追加点を決め、ホームチームがペースを引き寄せ1stピリオドを終えた。
2ndピリオドも湘南のリズムでスタート。26分には再び高溝黎磨選手が決めて、3点リード。このタイミングで湘南は、ゴレイロをフィウーザ選手からキャプテンの上原拓也選手に交代した。リードを許す展開ながらあきらめない姿勢を見せる長野は、粘り強くせめてゴール前に迫り、31分には坂井佑駿選手が得点。その後、パワープレーに移行したものの、反撃はここまで。得点までは至らず、3対1で湘南が勝利した。湘南は、今季下部組織から昇格した選手も遜色ない活躍を見せ、今シーズンに期待が持てるホーム開幕戦となった。
試合後会見
ボアルース長野 横澤直樹監督
ーー今日の試合の総括を
横澤「お疲れ様でした。今日は、久光(重貴選手)の追悼ということであって、僕も監督として、アナリストプレーヤーとして彼を指導した、プレーも一緒にしたという立場で考えると、本当に今日の試合で、こういう追悼の会ができていることに、そこに参加できたことをうれしく思っています。まだ夢にも出てくるような、もうこの世にいないんだという悲しみがいつもあり、彼のことを考えたりしているんですけど。その彼がフットサル界に貢献したことは本当に大きなこと。彼とは、仕事が終わってからフットサルをやって、そのあと夜中まで「フットサルに人生をかけている」っていう話をよくしたんですけど、そういう昔のフットサルの生活を考えると、今、多くのお客さんが来てくださって、いろんなことが盛り上がってきたというのは、本当に喜ばしいことだし、その中でこうやって湘南と戦えるということ自体を大切に思う日でしたね。
試合に関しては、我々が今シーズン行っている戦略、戦術に関して、湘南(ベルマーレ)さんのプレス回避じゃないけど、そういうものが非常に効果的なところが結構多かったと思います。あと決定力の部分、今日に関してはフィウーザと上原(拓也選手)にしっかり止められてしまったんですけど。でもチームとしては全然下を向く必要はないし、むしろ成長した姿がすごく見えているし、今シーズンは期待しかないと思っています。特に哲平(有江選手)は、若いながらもキャプテンとしてチームを引っ張っている、ピッチの中でも引っ張っている存在なんで、将来的にも楽しみ。本当に楽しみでしかないですね。次のホーム戦は勝利して、みんなに笑顔を届けたいと思っています」
キャプテン 有江哲平選手
有江「今日の試合は、前半はチャンスはかなり作れていたんですけど、先ほど直樹さんも言っていたんですけど、決定力が足りずに点を取れず、逆に失点を重ねてしまいました。僕たちは、セットプレーで点を取ろうというふうにやっているなかで、まだセットプレーでの得点ができていないので、そこをもっと見直して、そこから点を取れるようにしていきたいと思います」
ーー今日は、どういう言葉をかけて選手を送り出しましたか?
横澤「我々は今、プレスを前からかけていくチームに対してすごく有効な戦略をとっているので、ただ(プレスを)回避というだけじゃなく、それを利用して一気にゴール前まで仕掛けるっていうものなんですけど、それが効果的に出るかどうかということが試される試合だということで、臨んだっていうことですね」
ーー多くのベテラン選手がいるなか、若い有江選手をキャプテンにした理由を教えてください?
横澤「彼は、ポテンシャルは未知数ですが、一番ボアルース長野のことを知っている選手の一人であるし、今後期待できる選手なんですけど、弱点があって。誰か熱い人がいて、そこに乗っかっていくというスタイルで成長した感じなんですけど、ここで一気に成長を加速させたいと思って、哲平が自分が引っ張っていく番だということで。若いし、経験もないけど、でも、あえてそこに挑戦させて、長を加速させるということが今後のボアルース長野に必要かなと思って指名しました」
ーーセットプレーで点を取ることが狙いといっていたが、ムーブメントの部分で点が取れるようになったが、そこに関しては?
有江「新加入選手が入って去年とはまた違う攻撃ができているんで、そういう部分で試合中に点が取れたというのは大きな収穫ですね」
ーー次の試合への意気込みをお願いします
有江「次は、ホーム戦なので、有観客でまだ勝利できてないんで、そこでまず勝利を挙げられるように、準備していきたいと思います」
ーー監督がらキャプテンに選んだ理由を聞いて、どんな気持ちですか?
有江「そうですね、やっぱり最年少というのもあって、ちょっと難しいのかなと思った部分もあったんですけど、今、在籍5年目になるんですけど、ボアルースらしさというのを一番知っている人間だと思うんで、そこをみんなに伝えながら、ボアルースらしさを出していければなと思っています」
ーーボアルースらしさとは?
有江「泥臭く、最後まで戦うっていうところがボアルース長野らしさだと思うんで、そこを継続していきたいです」
湘南ベルマーレ 奥村敬人監督
ーー今日の試合の総括を
奥村「お疲れ様です。12月19日以来、約半年ぶりのホーム小田原アリーナでの有観客試合で、本当にたくさんの方に来ていただいて、この会場を作るのに下部組織の選手達や後援会FAOの方、クラブスタッフ、たくさんの方々の尽力によって、久々のホームをこういう雰囲気の中でできたことをうれしく思っています。本当にありがとうございます。
そういった中で、今日は久光(重貴選手)の追悼試合だったんですけど、なんとか勝って久光に報告したかったという思いがありましたので、そういう意味では良かったと思います。ただ、試合内容に関しては、(ボアルース)長野さんが非常にやりづらいチームだったので、自分たちの思うようなプレーができず、フラストレーションが溜まる瞬間もかなりありました。その中で選手たちが我慢して我慢してしっかりとチャンスをものにして、最後のパワープレーもしっかり守り切って勝てたというのは、チームとしての成長にすごく繋がっているのかなと思いました。
自分の100%のパフォーマンスをまだまだ出しきれてない選手もいて、そういった部分で納得していない選手たちもたくさんいると思いますし、まだまだ伸び代があるなと思います。ただ来週の名古屋(オーシャンズ)さんは、今日のような試合をしていたらおそらく勝てないんじゃないかなと思いました。勝ってこうやって反省して、来週に向けて練習ができるのはすごくいいことだと思いますし、選手たちも勝つことによって自信をつけると思いますし、結果を出した選手は勝手に伸びてくれると思いますし、結果を出せなかった選手はもっともっと必死に練習をすると思いますし、そういう中でチームが活性化し、相乗効果が生まれて、もっともっと皆さんに喜んでいただけるフットサルができたらと思いました。
今日はすごくピッチ内が暑くて、選手たちの疲労もすごく高かったと思うんですけど、ここをもう一つ乗り越えて、もっともっとアグレッシブに相手にプレスをかけて、何もやらせないような、高い位置で奪ってもっとゴールに迫るようなフットサル、マイボールの時は怖がらずにしっかり回して、相手のディフェンスを崩していくようなフットサルを追求していかないといけない。今日のような環境の中でもっといい内容の戦いをして、素晴らしい小田原アリーナのフットサル、湘南ベルマーレフットサルクラブのフットサルを「一 One Bellmare」として、素晴らしいコンテンツにしていきたいので、そういった部分ではすごく課題が残りました。完璧にすることはなかなか難しいと思いますので、その中でもしっかり勝って、次に繋げていくことは大事だったので、また来週に向けて全員でトレーニングをしたいと思います。以上です。ありがとうございました」
キャプテン 上原拓也選手
上原「お疲れ様でした。久々のホームゲームを戦うことができてうれしく思っています。こうやってリーグを戦えること、今この情勢の中で僕たちが当たり前にフットサルができていることは、当たり前ではないと思っているし、場所によっては運動会がなくなったりする中で、僕たちがこうして試合ができているのは本当にたくさんの方が尽力してくれたおかげだ思うので、その意味というものをしっかり僕らは噛み締めて、なんのためにフットサルをやっているのかということをもっともっと考えてやらないといけないと思いますし、観てくれる人をもっともっと楽しませたいし、そういう意味でも今日の試合はまだまだ課題が残るゲームだったと思うので、反省して次に生かしていきたいと思います。
今日はヒサさんの追悼試合だったんですけど、ヒサさんには本当にたくさんのことを伝えてもらったし、行動で見せてもらいました。それを僕たちは背負っていかなきゃいけないなということはすごく感じているし、背負うなんてそんなに簡単には言えないと思うんですけど、それでも僕たちはヒサさんの思いを次の世代に引き継いでいかないといけないと思うし、そういう一つの行動、一つのプレーっていうのを責任を持って、自覚を持ってやっていけるように頑張りたいなと思っています。これからもまだまだシーズンは続くので、しっかり練習して、しっかり休んで、来週は名古屋戦なので、もっともっといいパフォーマンスを出せるように頑張りたいと思います。ありがとうございました」
ーー今季のボアルース長野の印象を教えてください
奥村「昨年とかなりメンバーが替わったと思うんですけど、非常に野心や反骨心のある、他のチームから、もう1回長野で一花咲かせてやろうというメンタルを持った選手たちが入ってきて、すごくアグレッシブでスピードのある選手も多いですし、横澤監督のフットサルをしっかり体現しようと取り組んでいる選手が非常に多いなと思いました。そういった部分ですごくやりづらかったですし、彼らの迫力というのもありましたし、これからもっともっとよくなるんじゃないかという印象があります」
ーー開幕から2連勝といいスタートを切れたが、何が強みと考えているかを教えてください
奥村「若手の選手たちが非常に躍動していることが2連勝の大きな要因なのかなと思います。今シーズン、練習試合も負けなしできていて、その中で自分たちのプレスが相手にはまっていて、そういった部分で選手たちは自信を持って公式戦に望めたと思いますし、その中で公式戦で2連勝できたのは、すごく自信になるのかなと思ってます。ただまだまだ課題だらけで、もっともっとよくなる要素っていうのはいっぱいあると思うんですけど、そこは練習で解消して行けたらなと思っています」
ーー次節の名古屋戦に向けての意気込みを教えてください
奥村「昨年は1勝1分と勝ち越しているんですけど、運良く勝てたという部分もたくさんありますので、実際、絶対王者という存在でもありますし、自分たちはチャレンジャーということを忘れず、どんどんどんどんチャレンジして、相手が嫌がるプレーを一つでも多くして、勝ちに行きたいなと思っています」
ーー「フルパワーZ賞」を受賞した高溝選手がこれで自信が持てるとコメントしていたが、もっと自信を持っていい選手だと思うが監督はどう考えますか?
奥村「黎磨はあれでいいと思います(笑)。なぜかというと、大地悟(元湘南ベルマーレ)もそうなんですよ、本当に良い選手なんですけど、自分に厳しすぎるというか、どんなにいいプレーしても全然ダメでしたっていうタイプだったんで、黎磨はあれでいいんじゃないですかね。多分完璧を求めていると思います。プレースタイルも似てますし、そういうマインドも似てるなと思います。勝手に向上心を持ってやってくれると思いますので。本当にどんなに良いプレーをしてもまだまだですねっていう感じだし、それが彼の活力になっているんじゃないかなと思います。欲を言えば、もっともっと点は取れたと思いますし、もっともっとできると思いますので、そういう部分でも彼は満足してないのかなと思います。ただベルマーレに所属して、初めて古川賞をもらえたというのは、彼にとっても大きなことだなと思いますので、もっともっと飛躍してほしいなと思います。ありがとうございます」