試合

ロースコアの戦いは、地力を見せた名古屋が勝利

~Y.S.C.C.横浜 VS 名古屋オーシャンズ~

6月24日(金)、Fリーグは今季初のフライデーナイト開催を実施。Y.S.C.C.横浜がホームアリーナ、横浜武道館に昨年のリーグ王者であり、リーグ開幕前に行われたオーシャンカップでも優勝を飾った名古屋オーシャンズを迎えた。

横浜は、今シーズンから鳥丸太作監督が指揮を執ることになり、昨年までのチームコンセプトからよりフットサルらしさを追求するチームに変わっている。選手が使う技術や戦い方にどんな変化が見られるかが注目点の一つとなった。対戦する名古屋にとっては対策を練るための情報量が少ない状況。相手を見極めるまでがポイントとなった。

試合は、名古屋のキャプテン、篠田龍馬選手が「やりづらかった」と振り返ったように、横浜がこれから先の進化を予感させることができる試合だった。とはいえ、結果は名古屋が2対1で勝利。地力を見せた。

1stピリオド序盤、横浜は名古屋と互角の戦いを展開。パスを回しながら攻め上がり、シュートまで持ち込むシーンも作った。しかし、徐々に攻勢を強めたのは名古屋。横浜陣内でのプレーが多くなっていく。得点が生まれたのは9分、横浜のゴレイロ、矢澤大夢選手が試合後の会見で「僕のミス」と悔やんだプレーが起点となった。

それは、名古屋のセットプレーからのシュートをセーブし、速いタイミングで前線へ送ったパス。カウンターを狙ったパスを、名古屋の選手がインターセプト。右サイドでフリーになっていた水谷颯真選手がパスを受けて左足を振り抜き、ゴールとなった。その後名古屋は、水谷選手が2点目を決めてリードを広げている。

横浜は、自陣から前へボールを運べない時間帯もあったが、矢澤選手のセーブもあり、それ以上失点せずに試合を進めたことで、チャンスを開く。名古屋のシュートからのカウンターを狙って、矢澤選手が再び前線へ走り込んだ選手へパス。さらに後ろから走り込んだ菅原健太選手がパスを受けて、そのままゴール。1点を返してハーフタイムを迎えた。

2ndピリオド、両チームともに自分たちのやるべきことに重きを置いて試合を進めていく。名古屋は強度の高い守備から常にインターセプトを狙い、シュートまで持ち込む。一方の横浜は、パスを回しながら前線へボールを入れることを意図するが、そこがうまくいかないと長いパスも使って前線を狙う。どちらもゴール前で大きなチャンスを作ったが、両ゴレイロの活躍もあり、得点までは至らないままタイムアップとなった。

横浜は、新しい試みにチャレンジしている途中だが、自分たちのスタイルを表現する中で名古屋を2得点に抑えた戦いを披露。これからの進化に期待が持てる試合となった。

試合後会見


Y.S.C.C.横浜 鳥丸太作監督
ーー試合の総括をお願いします
鳥丸
まずは単純に悔しい気持ちがあります。ただ、冷静に考えると、相手のチームの方が上回っている部分が多かったのかなという印象です。その中で、試合中にうまくいかなかった部分を、トレーニングを思い返して、こういうふうに解決しようという話を選手として、解決に向かえたのはとても収穫に思えます。今後のレベルアップのきっかけになってくれる試合だったと思っています」

矢澤大夢選手
矢澤
「全員一致団結して、すごく気迫があって、守備面でもすごく頑張ってくれて、相手のピヴォに何もさせてなかったと思うんですけど、1点目、僕のミスから失点したんで、それが決勝点みたいな感じで、僕のせいで負けたと思っています」

ーー前監督の前田さんは、サッカー選手にフットサルをさせるというところでおもしろいチームづくりをされていて、その段階から次はフットサルにというところで鳥丸さんに引き継いだと聞いています。先ほど、名古屋の篠田選手に昨シーズンと比べると今シーズンの方が嫌だったという話をしていましたが、現在取り組んでいることと現在の成果、今後について教えてください
鳥丸
「簡単にいうと、グループで行動するというところで、チームスローガンは『繋ぐ』なんですけど、それは選手同士のプレーも含まれていて、2人組とか3人組というところではなくて、ピッチ上はキーパーを含めた5人で共通意識を持って行動するというところに取り組んでいます。昨シーズンは、3-1のシステムを採用することが多かったんですけど、そのシステムに囚われないというか、みんなが4-0と呼んでいる、4枚に近い状態でのボール回し、そこからいい距離感を持って前進して、押し込んだら今までやってきた3-1システムのいいところを思い出して、うちには強力なピヴォがいるので、ピヴォを生かしながら攻撃をするとか。そういうチーム全体のグループ行動というところに、一番時間をかけてトレーニングしています」

ーーオーシャンカップから拝見していて、非常にロースコアなゲームが多いと思うが、今日の試合も含めて、そこの要因はどう感じていますか?
鳥丸
「先ほど矢澤が言った通り、ディフェンスがよく体を張ってくれるチームなので、それは前監督の前田監督の財産だと思ってます。得点に関しては、相手のディフェンスが良くて、すごく強度が高いディフェンスが続いていて、なかなか前進するのが難しかったというところで、うちの良さも消されてしまったのかなと。押し込んだところでのピヴォ攻撃というのは、迫力があるんですけど、そこの良さがなかなか出せなかった。ただそれがずっと続いていたわけではなくて、そこを回避していい形も作れてきてというところもあったので、そういったところが収穫だなと思っています」

ーー先ほど悔しい試合だったが今後につながるとおっしゃったが、次は今季初のアウェイで、相手がF2から一緒に上がってきたボルクバレット北九州です。北九州も監督が代わっていますが、どういった戦いにしたいと考えていますか?
鳥丸「まずはトレーニングでやったことを出したいと思います。もちろん北九州の試合は、僕も見させてもらって、その中で僕は、選手たちに選択肢に与える。要するに、ディフェンスの観察して、自分たちで決断できるようなトレーニングをしているつもりなので、そういうところを発揮していくような試合にしたい考えています」

ーー今シーズンの目標、順位でもチームづくりでも、目標にしているものがあれば教えてください
鳥丸「目標、順位というところは置いておいて、一番最初に掲げていたのは、タイトルを意識しながらシーズン戦いたいというところです。少しぼんやりしていますけど、一つひとつの試合を戦っていって、そこを意識できている順位だったらいいなというというところです。プレー面では、僕がも言わなくても、選手が判断できるようになるというのが最終的な目標です」

ーーピッチの中で自立しているということですか?
鳥丸「そういうことです」

名古屋オーシャンズ フエンテス監督
ーー試合の総括をお願いします
フエンテス
私が日本で戦ってきたシーズンの中でも特に強度が高く、スピードが速い展開の試合だったと思います。相手は、名古屋と対戦するということでモチベーションが高く、4-0(クワトロ)で最初から強度高く入ってきました。自信を持って戦っていたと思います。その中でも私たちは、起こっていることに対してしっかり対応し、先に2点を取ることができましたし、3点目を決めるチャンスもありました。しかし、自分たちが先に3対0にする前に失点してしまい、2対1になりました。それでも私たちは前半しっかり戦っていい内容の試合ができたと思います。後半もしっかり戦えたと思いますが、相手ボールになる時間が増えたと思います。カウンターでピンチになる時間が少し多くなったり、主導権を少し握られたりした展開になりました。勝利は、苦しみながらも最後の1秒までしっかり戦えた結果だと思っています」

篠田龍馬選手
篠田
いつも監督がほとんど言ってしまうので
、僕はあんまり話すことはないんですけど。今日は、すごく難しい試合になりました。横浜は監督が代わったことで、サッカースキルが高い選手が多く、勢いのあるチームから、よりフットサルらしさを表現するチームになったと試合中に感じました。その中でも3点目を取れるチャンスもありましたし、相手がハーフを超えられないような時間帯もあったので、その時間帯に仕留められたらまた違った展開になったと思います。でも、監督が言ったように、やれることはやりましたし、全部が全部うまくいくわけではないので、今やれることは全部やれた試合だったと思います」

ーー監督が交代した横浜に対して、どのように準備をされたのでしょうか?
フエンテス
新しい監督でも、前の年にF1で監督をしている人であれば情報もあるので、準備できるのですが、そうではなかったので情報収集が難しく、準備をするのは難しかったです。それでも、前回の対戦をベースに準備をしました。ピッチ内では100%同じことが起こることはないので、そういったところで自分たちは準備しています。横浜は、3-1や4-0で組み立ててくるチームですが、4枚でも3-1でも1つ目のパスをアラに飛ばしたときに必ず1対1を仕掛けてくる、縦にオフェンシブにやってくるチームで、自分たちの攻撃をしっかりやりきるというのを理解した上で、そこに対して私たちはしっかり準備ができていたと思います」

ーー去年、小田原で横浜と対戦して3対2で負けた試合に出場されていたと思いますが、横浜は監督が代わってフットサルらしさの強いチームに変わっているところで、どちらがやりやいとかやりにくいとかはありますか?
篠田
「僕個人的には、今回の方がやりづらかったですね。監督からハーフタイムで修正もあったんですけど、ファーストタッチでこう、ボールを動かしてくる、よりフットサルっぽいことをするようになって、それで結構かわされるシーンとかもあって、そこの修正もありました。昨シーズンは、もちろん勢いだけじゃないんですけど、結構それが強いような印象だったんですけど、それに細かい技術とかもついてきて、今日の方がやりづらかったかなという印象ですね」

ーー開幕戦ではダルラン選手と西谷選手が、今日も西谷選手がいない状況で、今日の試合もセットごとの交代ではなくて、選手に出場時間のばらつきがありましたが、誰が出ても名古屋のフットサルのレベルや強度が落ちないというところで、どういった取り組みをされているんでしょうか?
フエンテス
「セットで交代してないですけど、その中でもバランスを気にしながら交代をしています。オフェンシブな選手とディフェンシブな選手、押し込める選手、フィニッシュに行ける選手などを考えながら、利き足も含めて注意しながら交代をしています。また、一人一人のキャラクターを考えて、全員が自分の役割を果たせるポジションを与えて、そこでやってもらっています。練習で試合を想定して強度高くやっているので、そういうところでインテンシティが落ちないような取り組みをしています」

ーー(通訳を担当している)鬼塚選手は、スペイン語はいつ修得されたんですか?
鬼塚祥慶選手
鬼塚
「僕は11歳から18歳までスペインでサッカーとフットサルをやっていたので、そこでスペイン語を学びました」

▶Text by 小西 尚美
▶Photo by 小西 尚美
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